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2024年5月の読書メーターまとめ

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2024年5月のお気に入られ登録
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

roughfractus02
社会とは差異が織りなす関係ネットワークであり、社会空間は出身階層や学歴資本によって形成される個々人の習慣傾向(ハビトゥス)によって形成される知識、教養、趣味、感性、技能等からなる文化資本に満たされている。ここから本書は、フランス社会におけるこの資本の複雑さを、上流、中間、庶民の3階層の職業的地理的分布を定量データを駆使しつつも、社会的判断力つまり自己を他者と区別する仕方(ディスタンクシオン)が定量化されづらい様々な差異に基づき、差異も2項的に構造化できない点を具体的なケーススタディも交えながら示していく。
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2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

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先週ウォーキング中に笑う地蔵(?)に遭遇、、撮るとき思わずしゃがんだのは、先月の人類学読書の効果で、人類学者たちの世界を大地に近づけて見る視線が体に沁みてきたからかな、、さて今月も人類学読書は続く、、ブルデューとラトゥールまではまだ遠そうだけど、、 2024年4月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:10472ページ ナイス数:306ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/743402/summary/monthly/2024/4

先週ウォーキング中に笑う地蔵(?)に遭遇、、撮るとき思わずしゃがんだのは、先月の人類学読書の効果で、人類学者たちの世界を大地に近づけて見る視線が体に沁みてきたからかな、、さて今月も人類学読書は続く、、ブルデューとラトゥールまではまだ遠そうだけど、、
2024年4月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:10472ページ ナイス数:306ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/743402/summary/monthly/2024/4
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2024年5月の感想・レビュー一覧
31

roughfractus02
スペイン国境に接するダンカンの庶民として育った著者がエコール・ノルマル・シュペリオールで哲学を学ぶうちにこの世界に違和感を持つ。自由な知識人を叫ぶ哲学エリート、サルトルの無邪気さから哲学を離れて科学史家カンギレムを指導教授に選び、アルジェリアへの徴兵時に人類学に接して社会学へ向かう。本書を自伝的に読むと、学生時代の哲学への違和感がハビトゥス、界、文化資本、象徴暴力等著者の理論概念を生む契機だったように見える。が、本書を「自伝ではない」と断言する著者は、死の床にあって自身を最後の分析対象に選んだのだという。
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邦訳は原題のréfléxivité(反省性)を省いているが、本書の姿勢を見るとこの語は重要だ。著者は科学領域を研究者個々のハビトゥス(貴族とプチブルの研究の性向の違い)、研究者同士が作る特殊な界(科学的承認を与える制度的装置の発達と科学者同士の競争・闘争)を検討することで科学界が存立する社会的・歴史的条件を前景化する。本書は、マートンの科学社会学のコミュニティ概念を競争市場に置き、今作動している科学を「反省」的に注視する。ここから読者は、ITやエネルギー問題の界の今に眼を向けることも可能だ(2001刊)。
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人々に「自然に」振る舞うことを説いたパスカルは、「自然さ」に無意識なる「自動機械」の存在を予想した。著者はこの「自然さ」と無意識を集合的歴史が作る社会的条件と見なし、個人の振る舞いに感覚や勘として出てくる非理性的領域と捉えて、パスカルを最初の社会学者と称える。一方、「自然さ」に神の意志を読む中世スコラ哲学の伝統はカント以後ハイデガーに至る近代哲学にも生きているとし、「自然さ」に人間の意図を読む「スコラ的幻想」として批判する。遠近法の形成をこの幻想の例とし、パノフスキーの分析に沿って展開する議論が興味深い。
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1960年代のフランス西南のダンカン(レスキール)を調査した著者は、第一次大戦前後の農村での結婚を例に、個人の合理性に基づく近代が旧社会のシステムを崩壊させる過程を描く。長子相続によって次男以降は相続放棄となる20世紀以前の旧社会の婚姻システムが機能したのは、職業と血縁の結びつきが強く、職業の選択しづらかったからだった。が、選択肢が豊富な都市との交通ができると、農村部では女性がまず都市部へ流れ、長子でも独身者が増加する。その際農村部では、都市部の身振りや言い方の洗練(身体的へクシス)によって差別化が進む。
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贈与と交換、国家と資本、利害と無私という対をそのまま実践の理論に組み込むことはできない。功利主義以来定義を人間の分節された言葉から導出するホモ・エコノミクス(経済人)には、行動や実践は合理性の範囲でしか説明できない。『実践感覚』で個々人の状況の具体的な行動に注目し、言葉以前のハビトゥスの形成を様々な資本の力の場から捉えた著者は、状況の不確実な曖昧さに「本能のように自動的」に行動するヒトの性向に社会的条件と行動との密接な関係を見る。講演集である本書は、個々人の時間性と切り離せない状況の理論の基礎概念を示す。
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原題はLes Structures sociales de l’économie。本書は新自由主義批判の例として住宅市場を取り上げ、国家の住宅政策によって構築される社会的条件が、購入か賃貸か、新築か中古かという選択肢を作り、小市民階級の「自由」を作り出しているとする。フランスでは1970年代に消費社会に入り80年代には家はローンを組んで買うものになった。80年代のデータを読み解く著者は、個々の生の状況を数学化した経済学が政策を競争市場化し、小市民階級をデータとして制御して、状況の悲惨を隠蔽する過程を見る。
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リヨン大学での講演(1999)を収めた本書は、政治を界と捉え、その自律性=閉鎖性を社会という差異空間に置き、外の力との特殊な闘争関係を描く。著者は、代表制におけるデータ化された個人(投票者)と代表としての政治家との不均衡な関係、宗教界に似た政治家と政党の信仰関係、ジャーナリズムと政治との共犯的関係等の力のせめぎ合いの中で、政治界内にジャーゴン化した政治資本が蓄積され、外を政治のノンプロと見なす排他関係を作る。一方著者は、政治の界が刷新される契機が内の異端の力と外の諸力の増大が関わることを美術界を例に示す。
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階級は差異のある一定の持続であり、実在ではないと著者はいう。実在するのは社会空間でありそれらは差異でできているからだ、と。ここから本巻はアルカイックな集団を形成し、階級を作り出した「血統」を差異空間に置き、人類学的なアプローチを交えながら、「血統」が実在するのではなく、その観念を巡る駆け引き、脅し、交渉という実践的戦略によって一定期間持続した差異として表象されると捉える。同時に、この実践的手続きが繰り返され、ゲーム感覚化(実践感覚化)するところに、近現代の集団形成と階級と呼ばれる単位の創出を見ようとする。
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社会を記述する場合個人との関係やその動きをどう規定するかが問題になる。構造主義は行動の基盤となる無意識を客観化したが個人に踏み込めず、現象学は個人の主観形成を問題にしたが社会を描かない。そこで著者は、個人と社会という分割を諸関係のレベルから捉え、一方で個人の実践を促すハビトゥス(慣習行動)での単なる再生産から新奇なものに対する繰り返しの程度(ゲーム感覚/実践感覚)、他方でそのような感覚が社会を作る際にハビトゥスを共有する集団(階級)の持続に信用を与える象徴資本(言語、制度)の検討から実践の理論を構築する。
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原題はContre‐feux(1998)であり、自由という語の逆効果的ニュアンスがある。著者は新自由主義を経済面からではなく、経済的側面に人々を還元する全体主義的統治として検討する。投票によって選ばれない官僚主義(IMF、WTO等)と多国籍企業の少数の運用者によって制御されるこの政治形態は、既存の国家機能を外交と軍事へ縮小させる傾向を伴う。本書は、経済のランダムな動きに合わせた「不安定就労」が失業の不安から労働者に従順さを強い、弾力的搾取を加速させるとして、労働法や社会保障制度を守るよう労働者に訴える。
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原題はSur la télévision(1996)。本書はテレビ、ジャーナリズム、視聴者の関係を他の界との力関係において記述する。情報を見せることで隠し、紋切り型の言説を振り撒き、視聴者が数値化される商業主義的なテレビという界は、競争的な情報市場にあるジャーナリズムの支配力を背景に「ファスト・スィンキング」と「プロレス」的議論ゲームを氾濫させる。一方視聴者は、他の界(大学界や歴史学者の界等)の思考を難解か劣ったものと枠づけられ(凡庸化、均質化、脱政治化)、その枠内で情報を欲望する循環の中にあるとされる。
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ハイデガー哲学の読解からその政治性を暴くのが本書の目的ではない。ワイマール共和国における大学という力の場において、大学界(champ)を世俗と分離し、哲学を守る場と見なす歴史的背景から、ハイデガーの著作を政治的かつ哲学的に二重に読む、という方向で本書は展開する。哲学の純粋性を求める姿勢こそ歴史的であるとする著者は、『話すということ』において展開したハイデガーの文体批判をさらに詳細に行いながら、専門語を作り繰り返す修辞に、政治と哲学を共通の由来を持つとした「相同的」関係と見なす「保守的革命」の動きを見出す。
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バシュラールは科学史を認識問題として捉え、その研究が成功事例のみを扱い形成しつつある誤謬を考慮しないと批判した。著者も認識問題を生成過程において検討する姿勢から、学問の自由を標榜する大学機関が教育格差を再生産し続ける状況を問う。授業評価アンケートによる大学研究は、成功事例のみを扱い、教員の専門知識を学生に伝達するコードを明確にせず、大学以前から専門教育に臨む際の学生個々の教育格差も無視していることを指摘する本書では、そのような場で形成されるアンケートは、取り繕われた「絶望のレトリック」であると批判される。
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学生が蜂起したフランス5月革命(1968)から20年近く経って、文化・象徴資本を再生産する大学を対象に、学部の配置や学部間の権力構造を界のせめぎ合う力の場として捉えた本書では、著者自身も本書の読者の多くが大学権力に属することも念頭において、対象の内部において対象と自己をどう客体化する努力を続けるか、という反省性のテーマが前面に押し出されている。認識に属する反省性を著者は、カンギレムらのように科学史的参照軸を採らず、社会調査を通して集団において正統性の権力を構成する知のバイアスに抗うように認識を練り上げる。
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文学作品をそれ自体の内部の関係として読む内的読解の超越性に対し、作品と社会や歴史等外部との関係として読む外的読解は言語の超越性に依拠するとした著者は、両者の超越性を排した生成の場に文学作品を置き、文化資本の生産の場面から文学作品を捉える。『感情教育』に3つの場と作者フローベールのハビトゥスを読む前巻を受けた本巻で著者は、19世紀産業社会で振興ブルジョワジーの移動の頻度が、眼という器官を中心に美学を再編成し、作品の自律性という文学的信仰が生産されることを示しつつ理解することを理解する「作品科学」を提唱する。
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文学テクストの自律性から「作者の死」へ転回する文学批評のアプローチに対して、著者は文化資本の生産の一部として、作家固有の習慣形成(ハビトゥス)と文学場(=界の結びつき)の考えによって作家と作品を捉え直そうとした。19世紀後半の産業社会下のフランス文学を対象とした本書は、唯一の創造者としての作家という考えを批判し、誰が作家を創造したのかと問い、その唯一性を力のせめぎ合う場において創造される作家の特異なハビトゥスに置き直す。本巻はフローベール作品を例に学生界・貴族界・芸術界の重なり合う文学場の検証から始まる。
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国立統計経済研究所のアラン・ダルベルとの共著である本書は、数理モデルを駆使しつつ、教育が能力格差を生み、文化資本が階級と関係し合う様を、美術館に来場する観衆を例に、美術を愛好する階級形成と資本主義的な文化の生み出す排除の構造を検証する。美術教育を受けた者はその知識を前提に美術館内の絵画彫刻を鑑賞し理解するゆえに、個人レベルでは理解の格差を、社会レベルでは一定の教養を享受する者たち以外を排除する言説を生む(わかる人はわかる)。本書のモチーフはカント『判断力批判』とマルクス/エンゲルス『資本論』にあるという。
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人類学者は文化接触を語る際に経済の動きを疎かにし、経済学は経済指標で世界を語る際に文化接触を軽視する。この矛盾に直面する著者は、1960年代植民地時代のアルジェリア調査で、植民地化によって貨幣経済を強いられた前資本主義社会のハビトゥスの変容を検討した。貨幣の導入で賃金労働となった生活は定量化される人々は近代的アパートに移ることで生活支出は一定となり、個々の収入の程度で文化を作る余裕ができるか困窮するかの階級差が発生する。本書は、未来の計算というハビトゥスの強制が、文化を定量的な排除の構造に変える様を追う。
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科学的純粋理論を求めるソシュール言語学を援用して中立的観察者たろうとする社会科学に対する批判に始まる本書は、ラングや文法からトップダウンで構成されるそのイデオロギーを、不特定多数の言説からなる言語市場を設定し、特異な行為者たちが交錯する力の場において捉え直す。著者は、官許の公用語、国語等の正統言語の権力を強化する社会科学は命名行為によって制定するもの以外を無意味のものとしつつ秩序を再生産すると主張する。その際、言語の成型(音や意味の制限)と検閲や正統の権力をめぐってハイデガーやアルチュセールが批判される。
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入門書の位置付けとなる本書は、動態として捉えられる文化資本を、文学、音楽、芸術、スポーツ、モードの具体例で概説し、社会学自身の問題に対する自らの問いやジレンマも示しつつ進む。単位となる行為者は差異の集合だが、それらが心的性向(ハビトゥス)を作り行動(プラティック)するゆえに視点を持ち、差異は差別化に変わる。一方著者は行為者同士が生み出す界(接触しぶつかり合う交互的作用)に注目する。界が文化資本に浸透する行為者の視点の拘束を生産する権力構造を前景化すると、「若者」は言葉でしかなく「世論」もない世界が見える。
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前巻(第I部・第II部)では社会空間を差異のネットワークとし、階級構造全体に行き渡る文化資本が社会的判断力=選別化(ディスタンクシオン)の指標として扱われた。本巻(第Ⅲ部)では、前巻後半で文化資本を社会空間から力の場に移した上で、階級を個別的に検討する一方、その分類行為自体の曖昧性をあらわにする。階級を生成の効果と見なす著者は、他者と自己の区別(選別化)を諸力が生み出す差異が蠢く社会空間に置いて捉え直し、判断力を目的概念から始めて生得的(目的なき合目的性)と規定したカントのニュートン的社会空間を刷新する。
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社会とは差異が織りなす関係ネットワークであり、社会空間は出身階層や学歴資本によって形成される個々人の習慣傾向(ハビトゥス)によって形成される知識、教養、趣味、感性、技能等からなる文化資本に満たされている。ここから本書は、フランス社会におけるこの資本の複雑さを、上流、中間、庶民の3階層の職業的地理的分布を定量データを駆使しつつも、社会的判断力つまり自己を他者と区別する仕方(ディスタンクシオン)が定量化されづらい様々な差異に基づき、差異も2項的に構造化できない点を具体的なケーススタディも交えながら示していく。
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構造主義に対する違和感からその前提となる哲学をフィールドワークするように自らの戦略を練る著者は、大学人的な学から距離を置きながら、社会と個人の関係に踏み入る。本書はその道程をインタビュー形式で読者に伝える。身体技法を調査する際モースが用いたハビトゥス概念を身体の効率を調整する機能と捉える著者は、人の行動をすでに確立した主体が様々な可能性から選択するのではなく、個々が育ち経験した習慣を通して選択するとした。ハビトゥスを通して構造を発生の側から捉え直すと、合理性に従わない人の行動と多様な社会の動きが見える。
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人類学は人間集団の横の繋がりと縦の繋がりを記述してきた。が、経済学に依拠した構造主義を採る人類学は、贈与や交換を横の繋がりを中心に考察する傾向があった。『贈与の謎』で「神々への贈与」を検討した著者は、本書第2章で「贈るモノ」や「売るモノ」でない「贈っても売ってもダメなもの」=「聖なるもの」を伝える縦の繋がりを作り出す人間の関係構築の仕方を前景化し、人類学の再構築を試みる。その際、非社会的な性を人間社会にどう取り込むのか、家族や親族に基礎をおく社会はあるのかというラディカルな問いが提示される(2007刊)。
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著者は『観念と物質』で観念と物質は単に反映的関係にはなく、思考なしに生まれた物質的関係(自然)に触れる人間が意図、指向、判断によって「観念的現実」を作ることで生まれるとした。本書では、モース『贈与論』で扱わない「神々への贈与」(シルック王国の玉座に宿る象徴性と権力の所有)や贈与を行わない社会(バルヤ族の女性同士を交換する婚姻)の事例から、象徴から想像に転化する「観念的現実」の傾向と神話象徴下で行われる交換を検討し、物質的関係に対するモノと観念の混淆を貨幣自身に見て、経済合理性に疑義を唱える(2004刊)。
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K・ポランニーは大恐慌から第二次大戦に至る様々な経済政策を市場経済という「擬制」の破綻から捉え、その過程を16世紀重商主義から捉え直す際、経済を実在的定義(生存の必要)と形式的定義(合理性の最大化)に区別し、社会は互酬、再配分、交換の3パターンで統合されてきたとした(『大転換』1944)。ある程度安定した「人間の経済」から破綻に向かう市場経済を区別したポランニーを受け、物質の世界と観念の世界の関係として経済を捉え直す著者は、市場経済が作る観念世界の不均衡な拡大を階級政治に見て、その処方を人類学から探る。
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ブローデルに学びレヴィ=ストロースの助手を務めた著者は人類学者として経済概念を検討する。その際、西洋諸国の経済概念の一つである所与の目的の最大化という「経済的合理性」中心の経済とは異なる未開社会の経済概念から始める。自らのニューギニアのバルヤ族調査等を通して、著者は互酬的交換と蕩尽的贈与を行い、合理/非合理両者が織りなす経済を考える。その核となるのはマルクス主義の上部/下部の両構造に作用する親族構造である。本書は、親族・宗教・政治を含む文化総体の「構造としての生産様式」として、経済を扱う(1966刊)。
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国民国家の管理を超えたグローバル市場の不確実性を注視する著者は、リーマンショックで注目されたデリバティブ取引を不確実な未来について約束する言語行為と要約する。従来この行為は装置と心性の2面から分析されるが、著者は両者のズレが資本を拡大させるとし、さらに市場があるのではなく取引によって作られると捉えた。ここから本書は、トレーダーが債務者個人をデジタルデータに切り分けて個人を分人化し、貧富の差を広げる捕食的分人主義に対し、理想的分人主義の具体例を挙げ、個人としてでない「不確実性の想像力」の別の用法を提案する。
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2001年以降の全世界監視状況下で統計・国勢調査・人口分布図という国家統治側の管理は強化され、マジョリティ/マイノリティの二項は対立的操作概念となった。本書では両者を「衝突」でなく「殺戮」に向かう脊髄型/細胞型のシステムとして扱う。従来マジョリティは自らのアイデンティティを保持するためにマイノリティの排除を目的に暴力を行使してきた。が、著者はこの構造の「捕食的」性質に分け入り、マイノリティもアイデンティティ保持のために暴力を行使するとし、現代は2つのシステムの「理念」の「殺戮」状況と捉える(2006刊)。
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ムンバイ出身の人類学者である著者がグローバル化する社会を19世紀イギリス統治下の多様を極めるインド社会の矛盾をクリケットの普及に見るとき、人類学の中心/周縁という領土的な固定化に異議を唱える。本書では英上流階級から脱領土化し、インド社会に規律を移植しつつ新たな文脈を生む再領土化の流れと地域(ローカル)の初期値鋭敏性が示され、人文系的カオス理論が要請される。その際地域は、土地なる概念から離れ、民族、メディア、技術、資本、観念の流動(フロー)が複雑に織りなす5つのスケープ(地景)による空間編成と捉え直される。
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2001年の9.11自爆テロ事件を境に「テロとの戦争」を鼓吹する先進諸国の状況に、著者は自爆攻撃と宗教の関係性はほぼないと主張する政治学者R・ペイプのデータ(1980-2001の188件)を参照し、自爆テロに関する2つの問題を示した。まず宗教原理主義に距離を置く先進諸国が自身以外の宗教国家を野蛮とし、原理主義者以外の国民も脅威と見なす点。次に自爆攻撃をする原理主義者には宗教が戦略の道具となる場合が多い点だ。本書は、強大な軍隊を持つ先進諸国中心のパワーポリティクス下にある世界に目を向けさせる(2007刊)。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/02/06(2690日経過)
記録初日
2017/02/06(2690日経過)
読んだ本
3323冊(1日平均1.24冊)
読んだページ
1275174ページ(1日平均474ページ)
感想・レビュー
3323件(投稿率100.0%)
本棚
13棚
自己紹介

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