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2024年6月の読書メーターまとめ

オールド・ボリシェビク
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198ナイス

2024年6月に読んだ本
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2024年6月にナイスが最も多かった感想・レビュー

オールド・ボリシェビク
下巻に入っても物語は勢いを落とさない。ますます、ドライヴがかかってくる。発生段階では無理心中として処理された過去の父娘惨殺事件も浮上。偽刑事が捜査を混乱させるという「おまけ」も。組織内の情報漏洩や、職場の人間関係、30歳を過ぎた女性の結婚観など、盛り込みすぎとも思えるエピソードを抱えながら、物語は大団円に向かう。愚か者による愚かな犯罪。その結果として、無垢な人々の人生が狂わされる。慟哭しかない結末に酔え。
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2024年6月の感想・レビュー一覧
24

オールド・ボリシェビク
藤沢周平全集第4巻は、下級武士たちの悲哀を描く「士道小説(一)」である。著者のキャリア初期の「暗殺の年輪」「ただ一撃」など、傑作ぞろい、粒ぞろいで、ページをめくる手も思いのほかに進むというものだ。「武士」としての体面を保つためには、命さえ捨てる。そのような不条理こそが武士道なのである。そのメンタリティーをいかに無理なく、現代にも通じるように描いていくか。藤沢周平はデビュー当初から、そのことを無理なくこなす人だったように思う。
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オールド・ボリシェビク
永井荷風から江藤淳まで、明治から大正、昭和の文壇で活躍した65人の作家を写真と文章で紹介していく。写真を撮影した樋口進は文藝春秋のカメラマンとして活躍したが、作家たちがどれもくつろいでいるのは、彼の人徳ゆえであろう。川本三郎の文章を読むと、永井荷風に影響を受けた後輩作家が多いことに驚く。人との交わりを嫌った永井荷風であろうから、その作品に感化された作家が多かったということか。粋人として一時、荷風もブームとなったがな。
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オールド・ボリシェビク
再読。1998年ごろの刊行なので、勢古さん、まだ50代のころの著作か。意気込みが行間から伝わるような熱い一冊なのだが、もう少し肩の力を抜いてもいいような気もする。読書ガイドとして読むと期待外れ。あくまで、「読書術」、テクニックを知るものとして読むべきだろう。
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オールド・ボリシェビク
たぶん再読。まあ、著者が言いたいことは、キリスト教がわからなければドストエフスキーがわかるわけもないし、森鴎外はハンサムでもてたから「その現代小説はことごとく、色男の惚気的作品」であり、「こころ」は不自然な失敗作であるということだ。とにかく、国内・国外の小説を読みに読み、自分なりの評価を下す、すなわち、世評などを考えずに自分だけの判断を下すことは重要であり、それを公表することは、なかなかに勇気のいることではあると思う。
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オールド・ボリシェビク
2005年4月、JR福知山線で起きた快速電車の脱線事故は死者107人、負傷者562人を出す大惨事となった。この事故で妻と妹を亡くし、娘が重症を負ったひとりの男の視点から、大企業・JR西日本の体質を変えていく地道な戦いを描く。事故はあくまで運転士の責任とするJR西と、経営効率最優先の大組織そのものにを変えなければ安全は確保されないのではとする遺族者側の思い。互いの思いは交わることがあるのか。JR西側の最重要人物である井出正敬の存在感が圧倒的だ。「国鉄改革3人組」の凄さを知る。
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オールド・ボリシェビク
藤沢周平全集15巻は、伝奇小説「闇の傀儡師」と出羽三山を舞台にした「春秋山伏記」を収める。「傀儡師」は主人公の浪人に、三代家光の弟・忠長の血を伝えようとする闇の組織。さらには田沼意次が絡み合う。「伝奇」とはいえ、荒唐無稽ではなく、殺陣の場面などは迫力十分。忍術などは出てきません。「山伏記」は意図的に庄内弁を駆使した異色作。土着の民のしたたかさが奔放に描かれています。こういう作品、藤沢周平はもっと書きたかったのではなかろうか。
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オールド・ボリシェビク
2017年に読んでいます。その時の感想が、全く古びていません。以下の通りです。 6月12日はナンシー関の命日でした。導かれるように購入し、読了しました。ナンシーの前にテレビ批評家はなく、ナンシーの後にも、また、いない。本当に39歳での死が悔やまれる人物だと思う。モリシゲの死、SMAP解散、「いいとも」放送終了などのトピックを、ナンシーならどのようにさばいただろうか。著作は刊行時にほとんど読んだつもりでいたが、あらためて買い求め、読み直すことにする。古びていない批評がそこにはある。
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オールド・ボリシェビク
2017年、21年に続き三読目になる。読み始めると止まらないんだよね。村上春樹の小説家としての観点と、柴田元幸の研究者、翻訳家としての視点が絡み合って、サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の魅力を徹底解剖していくのだ。読後、「キャッチャー」を読みたくなっている自分がいる。大した本である。
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オールド・ボリシェビク
江戸諸藩で起きた奇妙な出来事をまとめているのだが、史料の裏付けもあるので、いい加減なものではありません。妖怪変化が蠢く話は少なく、「妖談」と銘打つのは羊頭狗肉の感もあり。されど、ぽつんぽつんと拾い読みしていると飽きません。その時代の空気が何となく、流れていきます。
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オールド・ボリシェビク
盲目の女性書評家と、古本屋主人の物語。舞台は東京・神楽坂で、そこにちょっとすかした感じがしたのだが、物語そのものはハートウオーミングで、爽やかな読後感を残す。読書の喜び、物語が作り出す、なにものにも代えがたい世界。本好きの人なら、誰でもうけいれられる物語空間を築いています。
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オールド・ボリシェビク
保守とは「主義」ではなく、「態度」だと思うが、常に何ものかに対峙する立場として現れる。「反フランス革命」「反共産主義」「反大きな政府」というようなかたちで。本書はその歴史的流れを実にコンパクトにまとめていて読みやすい。翻って現在の日本の保守論壇は如何? 進歩主義・革新主義の退潮とともに、保守の思想的劣化も進んでいるのではないか? くれぐれも間違えてはいけないことは、保守と右翼とは全くの別物であるということだ。保守は群れない。
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オールド・ボリシェビク
乃南アサが行く先々で出会った変なヒト、おかしな出来事を綴っていく。エッセイなのか、ショート・ショートなのかわからないが、これらがすべて実体験だとしたら、乃南アサ、変なことを呼び込む独特の才能があるといってよいのではなかろうか。どれをとっても、短編小説になりそうなネタだ。この作家、エッセイじみた短いものにも独特の才能を発揮するのだなあ。
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オールド・ボリシェビク
谷崎潤一郎が志賀の「城崎にて」の文章を激賞していたので、気になって再読してみた。確かに、一つの狂いもない、かっちりした建造物のような文章だとは思うが、これは随筆だよなあ。小説ではない。だから何だというわけではないが、小説の文章としてはどうなのか、ということをふと思ったのである。そのほか、収められている「焚火」も随筆だよなあ。なかなかに沁みるけど。私小説は随筆に限りなく近くなるというのかなあ。
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オールド・ボリシェビク
ネタバレアメリカ南部の小さな町で保安官を務める元FBI捜査官の黒人が主人公。ハイスクールでの銃乱射事件に端を発し、猟奇的な連続殺人へと物語は突き進む。根深い人種差別的な風土の中で、黙々と捜査を進める主人公の人物造形が素晴らしい。いやはや、アメリカは血と暴力の国であることを知る。
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オールド・ボリシェビク
2001年に文庫化。短編5作を収める。物語の中心にあるのは「ピストル」。ひょんなことから、ピストルを手にしてしまった男女が織り成す悲喜劇をつづっていく連作である。まあ、そういう趣向はこれまでにもあったし、特に新味もなく、驚くべき捻りもなかった。どうにもデジャヴ感があるのだった。読みやすかったけどね。
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オールド・ボリシェビク
下巻に入っても物語は勢いを落とさない。ますます、ドライヴがかかってくる。発生段階では無理心中として処理された過去の父娘惨殺事件も浮上。偽刑事が捜査を混乱させるという「おまけ」も。組織内の情報漏洩や、職場の人間関係、30歳を過ぎた女性の結婚観など、盛り込みすぎとも思えるエピソードを抱えながら、物語は大団円に向かう。愚か者による愚かな犯罪。その結果として、無垢な人々の人生が狂わされる。慟哭しかない結末に酔え。
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オールド・ボリシェビク
東京下町・墨田区の古い一軒家の解体作業中、2体の白骨死体が発見される。さらには胎児と思われる白骨も。隅田川東署の刑事・音道貴子は、死体の身元を探るべく。家の持ち主である老人を訪ねるが、半ば認知症の男からの供述は要領を得ない。そんな中。この老人が講演で撲殺体で発見され、捜査本部が立つことに。音道は、かつての同僚ながら、さんざんいやな目にあったベテラン刑事・滝沢と組むことに。コンビは、白骨体と殺人事件との関係を懸命に探るが。20年も前の作品だが、圧倒的なリーダビリティーで物語を引っ張る。作家の円熟を知る。
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オールド・ボリシェビク
再読。純文学とは何かという議論は、「芥川賞と直木賞」をはじめ、いろいろな議論があって、未だ決着がつかないというか、もはや誰も決着を知ろうとも思わなくなっているのかもしれない。文学史を辿りつつ、「純文学」とは何かを考えていく。著者は「私小説こそ文学の精髄だ」という久米正雄のことばを引きつつ、「私小説」に一章を割いている。まあ、いろいろな考えをまとめる必要もない。こちらは「面白い小説」を読みたいだけだ。
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オールド・ボリシェビク
藤沢周平全集の第11巻は「彫師伊之助捕物覚え」の全3作「消えた女」「漆黒の闇の中で」「ささやく河」を収める。元岡っ引きながら、仕事を嫌って出奔した妻がよその男と心中。その後、彫師として静かな暮らしを送るつもりだった伊之助。腕利きだったことを知る同心らから、「頼まれちゃくれねえかい」と探索の依頼が相次ぐ。仕事の傍らの探索には苦労も多いが、隠された秘密に着々と近づいていく。設定としては異色だが、本格的な捕物帳だ。罪を犯す者たちの闇は深いが、伊之助の人物造形がどこか淡々としていて、救いになっている。
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オールド・ボリシェビク
ナイツは私のお気に入りの東京漫才師である。土屋と塙の芸人としての達者さは大したものだと思う。本書はこのナイツのふたりが、佐藤優と創価学会、SGIのすばらしさについて語り合う一冊である。なぜ、買い求めたのか、全くわからない。でも、ふたりの真摯さは伝わるし。されど佐藤優、プロテスタントなのになぜ、かくも創価学会に接近するのか、本書でも熱く語っているが、よくわからないのである。
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オールド・ボリシェビク
村上春樹キャリア初期の短編集。短編というか、ショート・ショートというか。村上春樹自身は「スケッチ」と呼んでいるようだが、描かれているのは、事実のようであり、虚構のようでもある、ぎりぎりのエピソードである。どれもアーバンライフを送る人物が主人公で、ああ、こういうところが「つくりもの」「すかしてる」嫌われる所以でもあるのだなあ、と思ったが、まあその上手さは初期のころでも否定できないね。読ませるもの。
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オールド・ボリシェビク
2014年に出た本を2021年に通読。さらに再読。小田嶋さんと対談しているのは早稲田大教授の岡田憲治。専門は現代デモクラシーです。2014年、安倍政権下における「やりたい放題」の時代を、チクリチクリと言葉で刺していく姿勢が痛快だ。右翼とか左翼とかいう立場を超えて、「デタラメ」だったあの時代への反省として、いま、読む意義があると思う。2020年開催予定だった東京オリンピックへのふたりの皮肉なまなざしが印象的。まさに懸念された結果になってしまった。
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オールド・ボリシェビク
2008年に出ている文庫本だが、いつ買い求めたのか、全く記憶にない。本棚の近くに転がっていた。最近、そういう本が多くて困る。著者は時代物作家のようだ。とはいえ、語源探索などはあまりせずに、池波正太郎や藤沢周平らの作品を引用しつつ、そこに出てくる言葉を解説していく。まあ、時代小説読みなら、ほぼわかる範囲だけどね。一種のブックガイドとしても読めます。
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オールド・ボリシェビク
2020年に次いで再読。偏屈な勢古さんの面白さに惹かれて、著作を読み続けてきたのだが、古希を過ぎてさらに頑迷さを増し、それでも「読書は面白い」というのだから、本物の「市井の読書人」だと思います。大学院生浪人のころまで本など読まず、されどその年齢で吉本隆明と出会い、耽読し、読書という大波に呑まれていった自らの体験を振り返りながら、奢らず、高ぶらず、本を読むことの意義を伝えていく。会心の一冊です。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/03/07(2700日経過)
記録初日
2017/01/01(2765日経過)
読んだ本
2162冊(1日平均0.78冊)
読んだページ
624061ページ(1日平均225ページ)
感想・レビュー
2149件(投稿率99.4%)
本棚
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性別
年齢
66歳
血液型
B型
職業
その他
現住所
北海道
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