53歳から40年ぶりにピアノを弾き始めた作者の奮闘記。うーん、ピアノ弾きたくなるけどきっとここまでできないだろうなぁ。かなり猪突猛進感もあるし。でもちょっとクラシックを日常に取り入れてみてもいいかなとも思えた。大人になって、新しい未来が拓ける希望もなくなっていく年齢でもこれぞという趣味に無我夢中に取り組むのってステキだなぁ。

古典部シリーズ第６弾。摩耶花が漫研を辞めた経緯や、ホータローがなぜあのモットーを掲げるようになったか、えるの将来についてなど今までのストーリーの隙間を埋めていくような短編集。ホータロー、なんか可哀想というか、こうやって子どもの人生が歪められてしまうと思うと周りの大人は責任重大だな…。姉、いいお姉さんだね。

二人の母親のもとを行き来して生活している怜と高校の仲間たちのお話。地域の密を感じる。羨ましいようなうっとうしいような…。高校生活でここまで仲良かったら楽しいのかな。ただ主人公が覇気がないと話も全体的に靄がかかった感じになるなぁ…。でも何度か吹き出しそうになることがあって、やっぱり文章は面白い。

短編集。金色の風はシティマラソンの方で読んでたけど、やっぱりこの話いいなぁ。好き。この中ではかなりポジティブな方。他のはだいたい最後に一刺しくるものが多い。面白いけど、続くとちょっと疲れるので優しい話はありがたい。

ショパンコンクール６位入賞のエドワードと岬洋介の２台ピアノコンサート開催に向けての話。今回は岬洋介早々の登場で楽しく読めました。本当に音楽で世界がまとまればいいのにね。

パ・マルでもコロナの影響が出てきた話。でも今回は後味が悪いものがほぼないし、どっちかというと明るい光が見えてくるような終わり方でスッキリ読める。一つの話も短いし、全体的にあっさりした印象。この本の教訓はスフレを食べるときに手が止まる話はしちゃいけない、ということだね。

『ラプラスの魔女』の事件の前日譚短編集。最後以外は鍼灸師のナユタを中心とした円華との話。ラプラスとの話も絡んで面白かった。最後は青江の赤熊温泉調査の話。それ以前の温泉街での硫化水素事件を交えて進んでいく。硫化水素事故起きすぎだな…。

温泉街で硫化水素中毒の死者が出たことにより、調査依頼された学者の青江。そこで見かけた少女を他の事件現場でも目撃したことにより少女に話しかける。翻弄されつつ徐々に真相に近づいていく。全体的にはうまく繋がってきて面白く読めた。ただ、事件のトリック的には解明の仕方が雑でちょっと不満。もうちょっと学者的に解明してもらいたかったなぁ…。

古代エジプトが舞台。半年前に死んだセティが心臓が欠けているということで冥界への審判を受けられず３日間だけ欠けた心臓を取り戻しに現世に戻る話。そもそもが突拍子もない設定から始まるのに、信仰を巡る陰謀や王墓からのミイラ消失トリックなど現世ならではのリアル感。まぁ最後は伏線もあったし予想はついていたけど、なんだか心が温かくなりました。満足。

ライトな学園ホラー。120年の歴史がある凰西学園に入学した真矢と花音はお互いが触れるとこの世ならざるものが見え、霊障に悩まされる生徒たちと親しくなっていく話。よくよく考えれば救いようのない話だったり、怖い話だったりするけど、全体の描写が柔らかくて怖さはあまり感じない。さらっと読めて、真矢と花音の高校生活が楽しいものになることを願って終われる、かな。

高校時代に空き缶タペストリーを作った仲間が４５歳になった時に再び集結して、天文台を作る話。そして、その仲間の一人が高校卒業後に死んだ理由も明らかになる。一番心にくるのは見知らぬ人たちの優しさの拡がりで泣きそうになる。そしてDIYに挑戦してみたくなる…。

親子関係に悩む巻。派遣の人間関係とかもあり。どのトラブルも深みにハマる前にマラン・マランに出会えるので嫌な気分になりすぎないのがいい。思い合って助け合える仲間っていい。

人工親友（AF）クララが主体。お店で買い手を待ち、病弱なジョジーのAFとなり、お日さまに特別な力をお願いする話。やり切ってクララも引退となり廃品置き場行きになるのは老人ホームに行くみたいだった。クララの一生という感じ。この作者の話は決してアンハッピーエンドではないけど、最後いつも一抹の淋しさを感じる。

裏表紙のあらすじを読む限り、SFチックな話かと思ったけど…荒唐無稽さはイメージ通りのまぁまぁリアル社会の話たった。でもやっぱりありえない〜と思いながら読んでたら、最後はいたって真っ当な捕物劇な雰囲気で終わった。というか２時間ドラマの展開っぽかったかな。麗子像は作者なのかなーというくらい、作者もバイタリティに溢れている方のよう…。

いつの間にかシリーズ第８弾。今回はひたすら縁談関係の揉め事だらけ。吉五郎はなんだかいつも報われないなぁ…。

話は予選会からスタート、と思ったら終わっちゃった…。そこから始まる学生連合チームの話。制作側と学生・監督たち側両方から話が進む。一難去ってまた一難の繰り返しだけど、ドキドキしながら確実に駅伝が近づいていく。やっぱり学生たちが苦難を乗り越えていく姿に涙腺が緩みます…。下巻、楽しみです。

離婚を切り出された沙世加が定食屋「雑」のアルバイト募集を見つけて働き出した話。自分の中の決まり事が強かったが、だんだん寛容になっていく。沙世加、「雑」の店主みさえ、常連客の高津などが主体となって話が進む。どの人もどこかしら好きになれない部分があるけど、人間だものね、仕方ない。そこまで料理描写もときめくものではなく、まぁまぁ楽しめたかなというところ。

色々ホームズ絡みの本を読んだけど、本家の内容をすっかり忘れていたので、原点に戻って読み直し。話は短編だし、奥深いミステリーではないけどやっぱり面白い。トリックとかは比較的わかりやすく、予想はつくものが多いけど、発想は豊かだなーと実感。いつ読んでも楽しいな。

宇月メインの短編集。漢方薬局での相談がメインの話。興味深いし、なかなか面白かった。

今回はおおごとな模様。爽太、毒島さん、刑部さんというメンバーで旅行から始まり、いつもの日常の出来事が積み重なってかなり大きい問題に発展。うーん、ホテルマンって大変。

爽太の同僚の親がハマるサプリメントのマルチ商法撃退と、馬場さんの婚約騒動の話。毒島の知り合いの宇月が登場しつつも、事故の原因も退場の仕方も予想外だった…。

コロナ禍で仕事中に発熱した馬場さん。濃厚接触した爽太もホテルで自主隔離。続々従業員に発熱症状が出て、暇を持て余した爽太が感染源を辿ると意外な事実が…、という巻。その他毒島さんの接客スキルの話なども。特に進展はないけど、こういう話だとコロナの話題が出てもすんなり読めるなぁ。

ショパンコンクールで2位になった盲目のピアニストの自宅でフリーライターが殺される話。岬くんの出現を心待ちにしながら読み進め、残り3分の1あたりでようやく登場。どうやら私はストーリーよりもただ岬洋介の出現だけを待ち侘びているようです…。2台のピアノ競演は良かったなー。

早期退職したおじさんが人生に迷走して喫茶店で食べまくる話。ていうか食べ過ぎじゃない？ハシゴしてどれだけ食べるの…。しかもお腹いっぱいとかいいつつまた食べる…。しかも無職なのに外食三昧。生活費を把握してない。退職金の半分はなくなってるのに危機感なし。いい人なんだろうけど考えが浅すぎてイライラする。というのが周りの人の感覚ってことなんだろうなぁ。

高校生のピップが自由研究で、5年前に起きた17歳少女の失踪事件を題材に調査を始める。その事件の犯人とされたサルの弟ラヴィと協力しながら、関係者に話を聞き容疑者を挙げていく。関係者の話を聞くたびに容疑者は増えたり変動したり…。話は少しずつ進みながらも二転三転してなかなか真実に近づかない。やっと全て解決したときは終わったー！って気分。長い課題でした。

シリーズ２巻目。馬場さん、ちょっとうっとうしいおじさんタイプと見せかけてめっちゃいい人だった…。影山は面倒くさい…笑

『八月の御所グラウンド』のシリーズとのことだったけど、スタンスだけで特に続き物ではない感じ。多少枝葉で話が繋がっているかなってくらい。でもこちらの方が万城目さんっぽさが出てたかな。八月も爽やかだしいいんだけど。突拍子のなさがこっちのが強かった。清少納言と織田信長の話でした。ただ、片手に本で片手にグミの袋、口にグミくわえて、どうやって箸を置くのかすごく気になった…笑

女子高校駅伝の短編と、大学生の一夏の野球大会の話。両方とも不思議な話、というかある意味ちょっとした怖くない怪談のような。まぁ面白かったけど、万城目ワールドとしてはかなり控えめでちょっと肩透かしかなぁ…。

本編で触れられなかったスピンオフ。惣次が江戸に来てからの話や佐七の結婚、お竹の身の振り方、大七の医者転身など。そして最後はずーっと気になってた幸と賢輔の関係！これ語らずに終わられるのは困ると思ったから一安心。気になる穴が埋まっていった感じ。特別巻下巻はどんな話が来るのかまた楽しみです。