電子式テレビを開発した高柳健次郎のドキュメンタリー。 才能と目標を持ってる人がプロジェクトを楽しみながら日夜努力する姿が面白い。 ホワイトカラーという点で自分も同じだけど、ここまでの努力はしたくないと思いつつもその姿が面白いと感じてるのが不思議だ。 潜在的な羨望があるのか、はたまた全く別の所で面白いと感じてるのか…。
①について、19世紀後半の電信網の拡大、産業革命、鉄道敷設が進んだことで、時間で労働を規制する動きが強くなり、人々の時間意識がより精細化したとのこと。 時間意識というのがそもそもあって、それはこれまでの生育環境で身に付けたものというのがあまりに無自覚で逆に新鮮だった。 あと、イギリスでは正確な時刻を知る上で天文台の役割が大きく、当時は正確な時報を法人に販売していたというのも驚いた。 必要不可欠というわけではなく商品として売っても構わない程度のニーズだったのかも。
②について、戦前の電話交換手の過酷な労働環境と、モールス信号を送る電信マンのプライドをかけた戦いの2つが印象に残った。 特に電話交換手は電話の普及拡大に伴わない人手不足状態が戦後1960年代の交換業務の機械化(自動化)が進むまで続いたらしい。 そもそもどうやって機械化したのか、人手不足解消までの約50年間に何故自動化できなかったのか気になった。 やっぱり産業機械のテーマ史を一通り知りたいと思った。
あとは3つの問いとは関係ないことだけど、コラムに書かれてた100年前を最初に10年おきの物価チャートについて。 よくテレビ番組でも“国会議事堂は当時100万円で現在の〇〇億円”と紹介されてもふーんという感じだったけど、そもそも物価の算出方法は?とか考え出すとキリがなくて、経済と日本史が合わさった内容の分野を勉強したくなった。
最後に。 本の趣旨とは全く異なるけど、“日本初のエスカレーターは日本橋三越の1914年製”と知って、そういえば材料や食品のテーマ史は手を出したけど、産業機械はまだだなと気付いた。 今度行き付けの図書館で探してみようと思う。
以降自分用のメモとして面白かったポイントを記していく。 ①戦時直前の異様な雰囲気が面白い。 軍需景気に湧く国民に贅沢は敵だと植え付けたい政府(軍?)は一般品販売を禁止し、代用品を推奨する。政府によるプロパガンダも然る事乍ら対応する代用品メーカーの振り回されっぷりも戦時中独特のもの。 代用品とは具体的になんなのか、代用品の質向上にメーカーはどう対応したのかなど代用品について調べたくなった。
②日本(世界)初の〇〇に興味がある。 知らない用語、知らない人名が多く本来なら興味が持てないはずで理由はよく分からない。けどテーマ史が好きな理由と一緒な気がする。 多分開発までの苦労話が好きなのだろう。 これまでテーマ史なら何でも読んできたけど工業製品、産業分野に絞って読み進めるのも収穫がありそう。
学部2年の頃に初めて読書というものに触れてから、就職活動・多忙の日々で習慣が途切れながらも今でも長く続いている趣味となりました。
大事に積み上げていきたいという一心で、読んだ本を記録し、レビューを書いて、時には読み返して気になったものを再読しています。
主に現代の日本の小説やエッセイ、仕事に関係のある自己啓発本を読んでいます。
ただ、歴史小説やガチガチのミステリー、学生の恋愛・青春系はどうも忌避してしまいがち。
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