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2024年3月の読書メーターまとめ

フクロウ
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2024年3月に読んだ本
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

フクロウ
政治権力こそ持たないものの、経済的に不自由せず、また自由奔放に学問、性、食事、飲酒、喫煙と過ごしてきたパリ第三大学のノンポリの文学教授が、フランスに誕生したムスリム政権下で、最終的には予め神の意志で決まっていたことのようにムスリムに改宗し、教授職に復帰するであろう話。研究対象のユイスマンスに没入していき、その結果ムスリムに到達するあたりが良い…フィクションの作者の意図を追究していくうちに、自身の現実への向き合い方や考え方も変容する。
フクロウ
2024/03/31 06:15

個人的には、「偶然性」と「幸福」、そこに絡む「宗教」と「尊厳」は、憲法13条解釈の伏線を提供しているように感じられてならない。なお、佐藤優の解説は読まなくてもいいっしょ(読んでない)。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
9

フクロウ
政治権力こそ持たないものの、経済的に不自由せず、また自由奔放に学問、性、食事、飲酒、喫煙と過ごしてきたパリ第三大学のノンポリの文学教授が、フランスに誕生したムスリム政権下で、最終的には予め神の意志で決まっていたことのようにムスリムに改宗し、教授職に復帰するであろう話。研究対象のユイスマンスに没入していき、その結果ムスリムに到達するあたりが良い…フィクションの作者の意図を追究していくうちに、自身の現実への向き合い方や考え方も変容する。
フクロウ
2024/03/31 06:15

個人的には、「偶然性」と「幸福」、そこに絡む「宗教」と「尊厳」は、憲法13条解釈の伏線を提供しているように感じられてならない。なお、佐藤優の解説は読まなくてもいいっしょ(読んでない)。

が「ナイス!」と言っています。
フクロウ
森島恒雄『魔女狩り』、上野千鶴子『家父長制と資本制』、フェデリーチ『キャリバンと魔女』の流れで。「ケア」という語をわざわざ使わなくても同じことは言えるんじゃないかと思った。(憲)法学でも、本書でまさに批判対象になっていたロールズを代表とする近代リベラリズムの個人像=強い個人(樋口陽一)について、まさにケアの観点、弱い個人の観点から批判する研究が出てきている(朱穎嬌『尊厳の法理論』)。
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フクロウ
『大統領の陰謀』のカール・バーンスタインによる、自身の家族についての自伝的書物。ユダヤ人、移民二世、組合活動そして共産党への所属と、アメリカ的なるもの。本文中には全く出てこないが、バーネット判決がちらつくと同時に、我が国で2024年3月現在国会審議が進む経済クリアランス法案への懸念が高まる。奥平康弘が本書を訳しているのも意外といえば意外。特に結社の自由との関係で、構成員を明らかにするよう求める形での議院調査権と憲法の関係については毛利透『表現の自由』。
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フクロウ
資本主義は発生・進展の過程で他者からの収奪である「本源的蓄積」を伴う。産業革命の際のエンクロージャーは、農民からコモンズを剥奪し、労働者の地位に追い込んだ(マルクス)。そして労働者は資本主義から身体規律を課せられる(フーコー)。これがヨーロッパ外に出ればキャリバン=植民地からの収奪となる。以上のマルクスとフーコーの分析から落ちているものがある。再生産労働ないし女性である。収奪と身体馴致は男性と女性では異なる形で現れる。女性は自律した地位や生業を奪われ、男性労働者の賃金に依存する従順な子宮として理解される。
フクロウ
2024/03/22 01:15

これに抵抗した女性たちを大量に虐殺したのが「魔女狩り」である。以上を踏まえれば、たとえば2024年の今日においてもなお、なぜ女性に中絶権を認める必要があるかがよくわかる。それは、資本主義を背景とする女性の非人格化・人格否定としての身体化・パーツ化、柳沢伯夫元厚労大臣が言う「女は子供を産む機械」を否定するために必須だからである。早く人工子宮技術が発明・実用化されればよいと思う。

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フクロウ
「一人ひとりの自由や自己決定を守るために、バリアをつくって殻をつくるように、だれも侵害してはならないものを「人権」として定めて守っ」ている(v頁〔犬塚元執筆〕)。この記述とvi頁のメタ合意としてのリベラリズム①と、メタ合意を前提とした上での自由放任としてのリベラリズム②vs自由放任だと社会的権力がのさばって弱者を抑圧するから弱者の実効的な自由の確保のために国が介入してエンパワメントすることを認めるリベラルという整理はわかりやすい。犬塚元執筆部分は木庭顕の読者はすんなり理解できるだろう。
フクロウ
2024/03/14 20:38

他方で、特に第二部は、日本史は明治維新前後から始まり現代までやった後に今度は西洋史は古代ギリシアからで、ぶつ切り感が否めなかった。もちろん、「リベラル・デモクラシー」を主軸に据えるがゆえにこのような選択になるのはわからないではないが、それにしても。全体的にも犬塚、河野、森川の統合がうまく行っていない(さながらプラウトゥス『捕虜』の逆!)印象。それぞれが単著の教科書を書けば良いのではないか。特に犬塚元先生のは読んでみたい(もちろん河野有理は近代日本政治思想、森川輝一は西洋政治思想(特にアレント)と、

フクロウ
2024/03/14 20:42

それぞれの得意分野での筆は一流なので、やはりコラボレーションがうまく行ってなかったのが残念。/33頁の「公職選挙法178条6項」は「公職選挙法178条6号」の誤り、116頁の「桂太郎」と「西園寺公望」はお互い逆だろう。

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フクロウ
本体は4年前に挫折してしまったため。差別的言説や冷笑主義が蔓延する近時のインターネットSNSさらには批評界隈。かかる差別的言説や冷笑主義と、本書に言う「アイロニー」がどのような関係を切り結ぶのか、合わせて、九鬼周造『偶然性の問題』のいう「偶然性」と同じか違うか、そのあたりの問題意識からものの本に手を出した。「アイロニー」じゃなくて「反省」「省察」にしておけば、ネット右翼が引用することもなかったろうに、というくらい、政治哲学の本として読めばしごく真っ当なことしか書いてない。
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フクロウ
新自由主義的帰結による女性の分断。今の資本主義は、仕事ができる女性には甘いが、できない女性には厳しい。最近は「新自由主義」を帰結に限定して使うよう個人的には気をつけている。(p-i-r)はポストフェミニズムにおいて女性が身につけるべきマインドセットである。
フクロウ
2024/03/08 21:32

「それはネオリベラリズム下での個人化、自己責任化された女性性であり、さらには自己資本化し、アントレプレナー化するような女性性である。」(231-232頁)

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フクロウ
魔女狩りは、異端審問制の財政的需要充足のために数が減った異端に代わり発明された財源である。もちろん冤罪。その意味で、全く罪の実態もないのに、うわさで世論の非難のターゲットにされ、しかもそのバッシングがアテンションを集めて広告収入に繋がる、SNSでの差別言説は、経済的利益と弱者叩きがセットな点で魔女狩りと同じメカニズムであり、現代の魔女狩りはキャンセルカルチャーの側にではなくキャンセル対象にこそあると言えるだろう。/魔女狩りの歴史は刑事手続で犯人が虚偽自白に至る最たる実例としても理解されるべきであろう。
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フクロウ
マルクス主義が見落としたものが二つある。私的領域とされた家庭(内労働)と、資源制約である。タイトルからもわかるとおり、本書はこのうち家庭について、マルクス理論に取り込む形で分析する。すなわち、家事を「(無償)労働」と観念して、この家事労働をなぜ女性だけが担うことになったのか、そしてその結果、女性はキャリア途中で子育ての中断が生まれキャリアアップできず結果労働力を買い叩かれるようになったのか?
フクロウ
2024/03/02 16:45

近代の、土地持ち長男以外の誰でもが労働賃金のみで自由に結婚できるようになった核家族モデル下で、女性は出産育児家事を担い、男性は外に働きに出るモデルが生まれ、資本制(会社)はこの状況を前提に最大の利潤が生まれるよう、最初は未婚女性を、次には既婚女性のうち重労働たる出産育児が終わった者を、外国人移民労働者を受け入れない代わりの労働力としてパートタイムジョブに使い始める。このような家父長制と資本制の結託は、時代時代に応じて変わるし、性別以外の要素が絡む場合も多々ある。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/09/06(2452日経過)
記録初日
2017/09/06(2452日経過)
読んだ本
695冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
203434ページ(1日平均82ページ)
感想・レビュー
317件(投稿率45.6%)
本棚
2棚
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