雑誌やYOUTUBEで拝見してとて面白い方だと感じていたアドベンチャーランナー北田雄夫さん。読んでみて益々好きになった。アドベンチャーマラソンという圧倒的マイナーかつ圧倒的に過酷な競技で、人生の道なき道を切り開いていく様が、軽快な文章で綴られている。レースは恐らく書かれている何倍も危険なのだろうが、その様子にワクワクしてしまう。挑戦を重ねるたびに人の繋がりが広がっていくのも素敵だし、レースだけでなくプロとして様々なことを学ぶ姿勢が素晴らしい。一度きりの人生、真剣に考えて生きている人は本当にかっこいい！

時代を経ても人間の心は変わらない。そこに普遍的な人間模様があり、少なからず誰かに感情移入しながら物語を見つめる。歌舞伎の女形の世界を舞台に、人の心の複雑さを描いたミステリーだが、演目の登場人物に重ねられた人々がとても美しく見える。何もかもが思い通りにいけば幸せなのだろうか。届かないからこそ頑張れる人生もあるし、理解できない他人の心を懸命に理解しようとするのが人間らしさではないだろうか。

優越感と差別心、そうした感情を胸に抱えながら人間は生きているのだろうか。ただ、その感情を隠すことなくさらけ出す人間と、そのことを恥じて隠している人間がいるだけなのだろうか。差別される者は、別のものを差別し、その連鎖が互いを傷つけあい、時には取り返しのつかない出来事へと発展してしまう。すべての日本人が自らのこととして考えなければ不幸は続く。読了して、自分を顧みて、日本のニュースを眺め、世界の出来事を読みながら、この問題はまだ何一つ終わっていないのだろうなと感じた。

今、私が立っている場所にいた過去の誰か、あるいは未来の何者か。今、私が過ごしている時間に、別の場所で過ごしている誰か。私の人生の軸に一瞬でも交わった誰か、そして交わらなかった多くの者たち。 私が知っている世界はとても狭く、しかし想像は無限大だと信じている。新しい物語を読むたびに、創造力の可能性は広がっていく。ひとつひとつは些細なことでも、無限に広がる些細な物語が永遠と紡がれている。 もし私の人生が百年と一日あったら、死ぬまでにどれだけの誰かを想像することかできるだろうか。 良書との出会いに感謝したい。

雑誌やYOUTUBEで拝見してとて面白い方だと感じていたアドベンチャーランナー北田雄夫さん。読んでみて益々好きになった。アドベンチャーマラソンという圧倒的マイナーかつ圧倒的に過酷な競技で、人生の道なき道を切り開いていく様が、軽快な文章で綴られている。レースは恐らく書かれている何倍も危険なのだろうが、その様子にワクワクしてしまう。挑戦を重ねるたびに人の繋がりが広がっていくのも素敵だし、レースだけでなくプロとして様々なことを学ぶ姿勢が素晴らしい。一度きりの人生、真剣に考えて生きている人は本当にかっこいい！