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2024年9月の読書メーターまとめ

sanukinoasayan
読んだ本
15
読んだページ
4359ページ
感想・レビュー
14
ナイス
168ナイス

2024年9月に読んだ本
15

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

sanukinoasayan
バレエに出会い才能豊かなダンサーに育った深津純は、有名スクールへの入学をかけたワークショップで、他者とは異なる視線をもつ、仏像のような両性具有的に美しい天才萬春と出会う。本作は若きバレエダンサー達と、天才ダンサー兼天才振付師の、そのプロとしての煌めきと成長を描いた一作ですが、それを描いた作者の豊穣な筆力、ストーリー構成の見事さが、創造すること、表現することの素晴らしさを描いた作品内容と共振して、読者を圧倒し幻惑するという、稀有な経験を得られる奇跡の一作。ラスト数ページの疾走感と弩級の美しさには只々驚嘆!
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
14

sanukinoasayan
人の個としての苦悩、個の集合としての社会の病理を、自らの孤立感溢れる体験とその自己分析も含めて、人の脳機能から考察してみせる本書。生存と生殖以外に新たな欲求を持ってしまった人の、承認欲求、正義執行中毒、健康志向という病、ポジティブであるということの闇、女性(男性)というステレオタイプの脅威、言語と時間の本質、本書中語られる考察には度々意表を突かれるが、果たしてそれが分かったからと言って、自らそれに対処できるのか、ページを捲る手を止めて暫し沈黙し、生きるということを再考せざるを得ませんでした。
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子を成して間も無く夫を亡くした母さき子の子更屋恭一郎。その母は一組の双子を含む八人姉妹の長女であり、本作は個性溢れる更屋家の姉妹それぞれのエピソードを、恭一郎の語り口で描いてみせた家族小説ですが、この設定そのものがこの作品の成功を約束したようなもので、それぞれの性格とその性格からくる、深刻だったり、驚きの事件だったり、ちょっと懐かしかったりするエピソードを、暖かな視線で恭一郎に語らせており、ホームドラマの名手小路幸也さんならではの、読んで楽しく優しい心持ちになれる見事な一作。
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sanukinoasayan
自らの車の中から血の付着した財布が発見され逮捕された大学教授、その財布の持ち主を探す警察は思わぬ人間関係に辿り着く。本来複数の馬などに車を引かせる際、首と首をつなぐ横木を「首木」と呼び、そこから転じて「クビキ」は自由を束縛するという意味で使われるが、この事件は誰が誰にそのクビキを掛けているのか、驚きの展開が待っています。本作は痛烈な財務省批判の内容となっていますが、財務省は文書改竄命令により部下を死に追いやるだけで無く、国民にクビキをかけるという醜態に至っているのかを小説という表現手段で糾弾しています。
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sanukinoasayan
新卒で入った会社を上司の凄まじいモラルハラスメントが原因で退社したナガセは、工場でのパートを経て四年で契約社員に昇格し、週末のパソコン教室の指導員と合わせなんとか生活していた。ある日自分の年収と同じ費用の世界一周旅行の広告を目にし、その費用を貯めるため節約生活を始めるが、時を同じくして旦那と折り合い悪く、幼い少女を抱えた大学時代の友人がナガセの家へ転がり込んでくる。第140回芥川賞受賞の本作は、何気ない日常を心地よいテンポでさりげなくユーモアたっぷりに描いた表題作と、それとは対極にある怖しい作品の二篇。
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sanukinoasayan
母親と二人大阪で暮らす、高校受験をひかえたヒロシとその友人達、席替え、クラス替え、受験、引っ越し、イジメ、虐待、現実の大阪大正区を舞台に、少年少女達のリアルで切ないエピソードを、シンプルで明快かつ暖かな筆致で描く、これ以上ない程甘酸っぱくほろ苦い青春群像物語ですが、この作者の描く日常が、読んでいて鳥肌立つほど絶妙にリアルで、読中心地よい苦笑と困惑の連続でした。それにしても「お城みたいで、青過ぎて、四角過ぎるIKEA イケア」って、実際その通りで、そのまま中坊が言いそうな言い回しで、やっぱり苦笑!
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sanukinoasayan
テルマエロマエのの二年前に初巻が出版された、北海道時代の幼きヤマザキマリさんと妹さんとお母さんがモデルと思われる本作。作者の別著から想像した、さぞや破天荒な母親と姉妹の面白可笑しい物語かと思いきや、各エピソードとも主人公家族とその周辺の人々の、なんとも愛おしく切なく優しいストーリーが、懐かしさ溢れる画調で描かれており、こんなに泣かされるとは思いもしませんでした。エッセイを含む別著で作者が垣間見せる、人に対する柔らかで大らかな視線が本作にも表れており、心温まる作品として是非手に取って欲しい作品です。
が「ナイス!」と言っています。
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テルマエロマエのの二年前に初巻が出版された、北海道時代の幼きヤマザキマリさんと妹さんとお母さんがモデルと思われる本作。作者の別著から想像した、さぞや破天荒な母親と姉妹の面白可笑しい物語かと思いきや、各エピソードとも主人公家族とその周辺の人々の、なんとも愛おしく切なく優しいストーリーが、懐かしさ溢れる画調で描かれており、こんなに泣かされるとは思いもしませんでした。エッセイを含む別著で作者が垣間見せる、人に対する柔らかで大らかな視線が本作にも表れており、心温まる作品として是非手に取って欲しい作品です。
が「ナイス!」と言っています。
sanukinoasayan
テルマエロマエのの二年前に初巻が出版された、北海道時代の幼きヤマザキマリさんと妹さんとお母さんがモデルと思われる本作。作者の別著から想像した、さぞや破天荒な母親と姉妹の面白可笑しい物語かと思いきや、各エピソードとも主人公家族とその周辺の人々の、なんとも愛おしく切なく優しいストーリーが、懐かしさ溢れる画調で描かれており、こんなに泣かされるとは思いもしませんでした。エッセイを含む別著で作者が垣間見せる、人に対する柔らかで大らかな視線が本作にも表れており、心温まる作品として是非手に取って欲しい作品です。
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sanukinoasayan
何気ない日常の風景を的確にそして嫌味なくリアルに、また別の作品では突拍子もない実験的な設定の物語を軽快にユーモアたっぷりに描き、何故か向田邦子の語り口を思い出させる本書は、冒頭の川端康成賞受賞の「給水塔と亀」を含む七篇の短編からなっていますが、比喩の少ない平易な表現の、短い文節でテンポ良進む文体が心地良く、文章を読むことの楽しさを改めて感じることができる、中々に得難い一冊で、この作者の作品は初読ながら、その発想のバリエーションの多彩さとストーリー構成、キャラクター造詣の巧みさに驚かされました。
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sanukinoasayan
日本から切り離され、数多の犯罪者が逃げ込む治外法権の地である途鎖の山中で再会する異能者は「イロ」と呼ばれる特殊能力を持って生まれ「在色者」として少年期をともに過ごした子供達。傭兵、特殊な入国管理官、稀代の犯罪者、異能を隠した警察官、禁足の地「フチ」に途鎖の犯罪者たちの頂点である「ソク」として君臨支配者、そして子供達を救おうとした教師。別々の道を歩んだ者達の凄まじい死闘が始まり、ラストに現れる巨大な存在とは。これほど見事な熱量の戦闘表現は、夢枕漠を思い起こされる程で、この世界観を築き得た作者には只々驚嘆。
が「ナイス!」と言っています。
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日本から切り離され、数多の犯罪者が逃げ込む治外法権の地である途鎖の山中で再会する異能者は「イロ」と呼ばれる特殊能力を持って生まれ「在色者」として少年期をともに過ごした子供達。傭兵、特殊な入国管理官、稀代の犯罪者、異能を隠した警察官、禁足の地「フチ」に途鎖の犯罪者たちの頂点である「ソク」として君臨支配者、そして子供達を救おうとした教師。別々の道を歩んだ者達の凄まじい死闘が始まり、ラストに現れる巨大な存在とは。これほど見事な熱量の戦闘表現は、夢枕漠を思い起こされる程で、この世界観を築き得た作者には只々驚嘆。
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sanukinoasayan
「イロ」と呼ばれる特殊能力を持って生まれ「在色者」として少年期をともに過ごした三人。ひとりは傭兵、ひとりは途鎖に置ける特殊な入国管理官、そしてもうひとりは稀代の犯罪者として別々の道を歩み、やがて日本から切り離され、数多の犯罪者が逃げ込む治外法権の地である途鎖の山中で再会する。作者別著「夜の底は柔らかな幻」で凄惨な死闘を演じる男たちの過去が、ここで明らかになる。前読の若きバレエダンサーを描いた「spring」からいきなり超能力バイオレンス物へギャップあり過ぎ。この作者どうなっている!
が「ナイス!」と言っています。
sanukinoasayan
本作は巻末に記されている通り、「もはや戦後ではない」と言われた昭和30年、高度成長は始まりましたが、その一方で多くのものを失ったその時代を背景に、9歳の作者自身であると同時に多くの日本人でもある主人公による、日本版の「赤毛のアン」を書こうとして生まれた一作です。全てのことを自分の目で確かめようとする新子9歳、失われたもの、生命の儚さ豊かさを少女の目を通して描いた本作。日本人は戦争とその後の発展を通して、何を得て何を失ったかを考えさせられる異色の一作。
が「ナイス!」と言っています。
sanukinoasayan
バレエに出会い才能豊かなダンサーに育った深津純は、有名スクールへの入学をかけたワークショップで、他者とは異なる視線をもつ、仏像のような両性具有的に美しい天才萬春と出会う。本作は若きバレエダンサー達と、天才ダンサー兼天才振付師の、そのプロとしての煌めきと成長を描いた一作ですが、それを描いた作者の豊穣な筆力、ストーリー構成の見事さが、創造すること、表現することの素晴らしさを描いた作品内容と共振して、読者を圧倒し幻惑するという、稀有な経験を得られる奇跡の一作。ラスト数ページの疾走感と弩級の美しさには只々驚嘆!
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/11/26(2503日経過)
記録初日
2017/12/01(2498日経過)
読んだ本
803冊(1日平均0.32冊)
読んだページ
225262ページ(1日平均90ページ)
感想・レビュー
728件(投稿率90.7%)
本棚
1棚
性別
自己紹介

好きな作家
誉田哲也 原田マハ 小路幸也 山田詠美 池澤夏樹 伊吹有喜 夢枕獏 冲方丁 今野敏 あさのあつこ

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