歴史学というのは、たんに昔のことを調べる学問ではありません。いまある世界がなぜこのようになっているのか。ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、いまこうなっているのか。そういうことを研究するのが歴史学なのです。昔から「すべての歴史は現代史である」などといわれるのは、このためです。（P.204）

「道徳的に善く生きること」は自分の意志において実現可能なことですが、「幸福になること」は自分一人ではどうにもならないことなのです。これで先の悩みが完全に解決するわけではありませんが、「道徳的に善く生きること」へとこころを集めることは可能になるでしょう。（P.111）

以上は、いずれも議会制民主主義を実現するための条件となるものですが、そのいずれよりも重要な根本条件（中略）は、国民が主権者としての自覚をもち、その立場から政治を監視し統制する不断の努力をすることです。統治権が国民のものであることを忘れて、その行使を他人まかせにするならば、民主主義は死んでしまいます。ルソーは、『社会契約論』の中でつぎのようにいいきっています。「国の政治について、だれかが『わたしになんの関係があるか』といいだすや否や、〔民主主義の〕国家は滅亡してしまったと考えるべきである。」（P.194）

歴史学というのは、たんに昔のことを調べる学問ではありません。いまある世界がなぜこのようになっているのか。ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、いまこうなっているのか。そういうことを研究するのが歴史学なのです。昔から「すべての歴史は現代史である」などといわれるのは、このためです。（P.204）

大切なのは、相手を理解しようという気持ちと、人間には利己的な面があるのだということを率直に認める気持ち、ではないだろうか。（P.167）

ベルグソンは若いころにかういふことを言つてます。問題を出すといふことが一番大事なことだ。うまく出す。問題をうまく出せば即ちそれが答へだと。この考へ方はたいへんおもしろいと思ひましたね。いま文化の問題でも、何の問題でもいいが、物を考へてゐる人がうまく問題を出さうとしませんね。答へばかり出さうとあせつてゐる。（中略）ほんとうにうまい質問をすればですよ、それが答へだといふ簡単なことですが。（P.69）

その最も極端な例は、楽章終わりのコーダのテンポのつくり方で、ここでのテンポは曲のはじめのテンポの遅さに比べてみると、びっくりするほど速くなってしまっている。しかし、それは、二つのテンポを、ばらばらにして比較するから、そうなるのであって、この出だしとそれから結びの、二つの部分の中間にあって、さまざまの音楽の局面を思ってみると、そのどこをとっても、無理をしたり、音楽に暴力を加えた瞬間はなかったのである。（P.127）

左翼だとか、右翼だとか、保守だとか、革新だとか、日本を愛するのなら、どうしてあんなに徒党を組むのですか。日本を愛する会なんて、すぐこさへたがる。無意味です。何故かといふと、日本といふのは僕の心の中にある。諸君の心の中にみんなあるんです。会を作つても、それが育つわけはないからです。こんな古い歴史を持つた国民が、自分の魂の中に日本を持つてない筈がないのです。（P.51）

難民は西欧世界に新たな潮流、政治勢力を生み出しました。排外主義です。フランスの国民戦線、イタリア、オーストリア、ポーランド、ハンガリーの極右勢力です。いずれも国粋、伝統文化の名において異文化の人間を受け入れようとしない。強権で排除しようとしている。これらの勢力を大きくさせたのは、難民だけではありません。グローバリズムに由来する貧富の格差への不満があることを見逃してはならないでしょう。これら全ては民主主義を鈍化させる要因です。（P.156）

いろいろ知識を得てゆくなかで、それらの知識同士が繋がって、輪になるときがある。輪のある部分が欠けている場合もある。続けているうちに、欠けている部分が少しずつ埋まり、きれいな輪になっていくのです。（P.74）