春近し。綾辻行人「Another」分厚いのにサクサク読めた。エリザベス・ストラウト「ああ、ウイリアム」この人は外れない。町田康「ギケイキ3」めさおもろいやんけ。今月もよろしくお願いします🙇2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3596ページ ナイス数:1637ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→https://bookmeter.com/users/815148/summary/monthly/2024/2 写真は名古屋の揚輝荘の中の和室の灯りです。
やっつけたいタイプですと。まさにその通り。はた迷惑なおっさんだった。庄司薫『赤ずきんちゃん気を付けて』が取り上げられていたので本書を読んだ様なものだ。田舎住まいの中学生の作者が本書を読んで東京山の手の坊っちゃん嬢ちゃんの生活に猛烈に憧れた、は私も同じ。かつ本書が基準で他の本を読むと言うのも同じ。例えば『ノルウエイの森』は『風立ちぬ』と『赤ずきんちゃん気を付けて』に似ていると。風立ちぬとの共通点は女主人公が病気である点。赤ずきんちゃんについては「薫クンと由美ちゃんのやり取りとワタナベとくんとミドリの→
やり取りに共通の雰囲気を感じたからだ」と。それにしても『ノルウエイの森』には性描写が多い、とは多分誰もが思う所だろう。『雪国』の出だしで葉子がまず現れるのは職業的漫画家にとってあり得ないと言う。葉子は主人公ではない。作者は駒子が一方的に島村に惚れて通うがかわされる、と言うが以前女性の読友さんと島村と駒子は関係があったかどうかについて議論した事があった。彼女は「有ったに決まってるでしょう。島村の人さし指が女を記憶していると書いてあったでしょ」と言った。女性恐るべし。柴門さん、ちょっと間違いましたね(笑)
した後に自分探しが始まる。カツオは学級に必ず1人はいるふざける少年。父親が大工の棟梁なので中卒で大工になると勉強しない。マスコは体が大きくて小学生にしておっかさんタイプ。それぞれの小学生が中学、高校、さらに上の学校、或いは修行を通して大人になって行く所謂成長譚と言って良い。結婚にも色々あるんだと思った。同級生達が還暦を過ぎて集まる。あのお嬢様然としたユリコが呼びかけた。楽しそうな同窓会。毎月やる、ついに一泊でやる、とどんどん楽しそうになる。老後の楽しみとは友人に有りですね。
貫一は寿司屋の父親を持つが父親が大酒飲みのせいで中卒で寿司屋の修行に出された。読書が趣味で都に自転しながら公転するなんて事を入れ知恵した。読書好き人間には好ましいやつだが都はあまり読書好きでなく服が大好き。ハウスマヌカンと言う言葉は久しぶりに聞いた。そんな2人にベトナム人で筑波大学に留学しているニャン君が絡んで面白い物語が展開する。作者は本書出版のすぐ後に亡くなった。残念な事だ。『プラナリア』しか読んで無いが他の本も読んでみたいと思わせる秀作。
節税方法が書いてあった。ダブルアイリッシュ、ダッチサンドイッチ方と言う名前まである確立した方法。カリフォルニアでの開発費の多くを税の安いアイルランド法人に付け替えてその法人が開発した事にしてアイルランドの第二の法人にライセンスし、そこから世界中にライセンスすると言う知財を使った節税法。さらにその間にオランダ法人を噛ませるとさらに節税出来るとの事。脱税に見えるけど現状の法律では合法らしい。タックスヘイブンを合法とする現法律がおかしいのだが。これにより米国IT企業は殆ど無税。トランプも゙税を払っていない。
と言う分かり易い題材を巧みな文体で描いた。ただしその後の村上龍の伸び悩みは彼が見たままの現実を描く点にあると言う。村上春樹は現実を一旦受け止めて咀嚼して形を変えて読者に提示する。従って極めて抽象的かつ暗喩的になり読むと面白いんだが作者は一体何が言いたいのか、が分からないと言う村上春樹作品となって出現する。作者は1981年の『パン屋襲撃事件』(未読)を取り上げて村上春樹はポストモダン時代の到来を生きた最初のアジア人作家だと言う。ポストモダンと言う言葉自体が雰囲気で使われている気がするがポストモダンで→
思い出すのはポール・オースターで確かに何やら自我とはなにか分からなくなって来る感じの小説と言う認識だ。なにせ文学史に弱いので。さて1985年『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で初期の村上春樹は終わり1987年『ノルウェイの森』で彼は普通の文体で普通の恋愛小説を初めて書く。これがバカ売れして日本を逃げ出し米国に在住する。この間に日本を改めて外から見て生まれたのが『ねじまき鳥クロニクル』だと。妻の失踪と言う「小さな題材」から入って「大きな題材」ノモンハン事件に至ると言う転換期の作品だと言う。
お楽しみと言うことで。綿矢りさは『蹴りたい背中』『インストール』と10代の話題作を読んで以来だったけど本作で女性心理をうまく書いている。思春期の自分の失敗もこの女ゴコロが全然分かって無かった事によるものである事に気づいた。1言言えば良かったのだった。あー、あの時に帰りたい。っておっさんが今更何を言うてなもんです(笑)
でくださいと言ってあったのにも拘らず。この猛母の事は『楡家の人びと』でも書いてあった。北杜夫が売れたきっかけの『ドクトルマンボウ航海記』は3社から書かないかと言って来たが中央公論社の宮脇俊三編集者により出版された。そういう縁であったか。阿川弘之は海軍に居た事を強調するが実は中国で暗号解読をしていて船に乗っていなかったと言うのも初めて知った。船に乗っていたらおそらく生きてはいなかっただろうが本人は陸の海軍がコンプレックスの様で船旅を何度も繰り返す様だ。北杜夫に『茂吉シリーズ』があるらしい。読みたいものだ。
ちなみに北杜夫は84歳没。阿川弘之に至っては94歳没。この頃はまだ若かったって事。阿川弘之も晩年は船旅で一緒になった御婦人方から「あら阿川佐和子さんのお父様ですの、」と言われたと腐っていた(笑)
ウィンドウズもマッキントッシュのパクリである事はよく知られている。マッキントッシュのGUIやマウスはゼロックス研究所の発明品である事は有名だ。良いものはパクると言うのが成功の秘訣。そのマッキントッシュが全然売れずジョブスは解雇される。10年後戻って来てiMac,iPod,iPad,iPhoneと続けざまにヒットさせる。離れた10年の間にUNIX系のOSを学びiOSに採用したと。その後グーグル、アマゾン、フェイスブックとこの地をベースに世界に羽ばたく企業が続出する。S大出身はグーグルだけだが。
作者はワシントン大学の歴史学教授。女性なのでシリコンバレーで成功したのは白人男性ばかりである事を喝破する。白人男性の大学やベンチャー資本とのコネが成功の大きな要因であろう事は確かだ。若者だった創業者達は政治とは一線を引いていたが政府の金は大きいので次第に政治的になる。フェイスブックはリーマンショック時にロシアのオルガルヒかの出資を得9%の株を渡したと。作者は最後に前回トランプが大統領になった時SNSが大きな役割を果たし、プーチンの差し金も有ったと匂わすが9%も株を渡したザッカーバーグの罪は重い。
他の本でも読んだ事がある。今回は妻に加えて娘と母親まで出てきてセンセをいたぶる。女は強い。(今どきこう言う事を書く事自体がセクハラであると言われる)。助手諸君にも尊敬されていないと言う。尊敬されたいらしい。柴門ふみとケータイで話が出来る僕って凄いでしょう。柴門ふみ母親僕の教え子だもんネ、と自慢する。センセ、柴門ふみの本の方が随分沢山売れているようですが❗
金原ひとみとてデビューから二十年以上経っている筈。若者の範疇には入らないのではないかとツッコミを入れたくなる。陰キャ、陽キャ、豆腐メンタルなぞ最近の言葉であるのかな。YouTube、TikTok、ツイッターなどのSNSを使って若者達が如何に発信しそれを真に受ける者達、いわゆるフォロワー達の生態も使って小説を構成する。マナルイは魔女か?
ガラスの文鎮というニックネームですが文房具フェチな所があってそういう意味の文鎮です。文鎮と呼んでください。嫌いな作家は百田尚樹なのでそのレビューだけはナイスをパスします。悪しからずご了承ください。
(好きな作家、敬称略、順不同)
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貫一は寿司屋の父親を持つが父親が大酒飲みのせいで中卒で寿司屋の修行に出された。読書が趣味で都に自転しながら公転するなんて事を入れ知恵した。読書好き人間には好ましいやつだが都はあまり読書好きでなく服が大好き。ハウスマヌカンと言う言葉は久しぶりに聞いた。そんな2人にベトナム人で筑波大学に留学しているニャン君が絡んで面白い物語が展開する。作者は本書出版のすぐ後に亡くなった。残念な事だ。『プラナリア』しか読んで無いが他の本も読んでみたいと思わせる秀作。