読書メーター KADOKAWA Group

2024年2月の読書メーターまとめ

夢追人009
読んだ本
77
読んだページ
755ページ
感想・レビュー
77
ナイス
32280ナイス

2024年2月に読んだ本
77

2024年2月のお気に入り登録
11

  • やっさん
  • はうめ
  • 🐾あゆ🐾🎮🎧@キララ&すいとペア画ちゅ!
  • さっちゃん
  • ぷーどる
  • ⿻ .◌ 𓂃 *   ℝ 𝕚 𝕣 𝕒 . ◌ 𓂃*
  • Paddington@windsorgarden
  • KAZU
  • Rito #僕、復活!!(久しぶりでテンションバグった)
  • 夏梅
  • オレオ

2024年2月のお気に入られ登録
12

  • やっさん
  • つぼみ
  • 🐾あゆ🐾🎮🎧@キララ&すいとペア画ちゅ!
  • さっちゃん
  • ぷーどる
  • ちゃむすゔぃ
  • Paddington@windsorgarden
  • KAZU
  • Rito #僕、復活!!(久しぶりでテンションバグった)
  • 夏梅
  • 葉々
  • オレオ

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

夢追人009
江戸川乱歩さんの4編目。本作はミステリーではなく奇妙な味の掌編です。乱歩さんの作品は未読作が多いですので少しずつでも読まなければいけないなと思いますね。名のあるピアニストの男が深夜の路上で何者かに襲われ右手首を刃物で切り落とされてしまった。近くにあった私の医院へ運び込まれ彼とは親友の私が手当てして手首に包帯を巻いてやった。私は彼がショックを受けるのを見るに忍びなく惨い事実を黙っていた。彼が目覚めて右の指を動かしてもいいかと聞いたので彼の上膊の尺骨神経を指で押さえてやって普通通りに指があるように錯覚させた。
指
夢追人009
2024/02/01 10:46

彼は調子が良さそうで機嫌よく即興で作ったばかりの曲を指で演奏しているイメージを頭に思い描いていた。私が退室すると看護婦が手術室の前で青ざめた顔で棚を凝視していた。そこにはガラス瓶の中にアルコール漬けされた親友の右手首が置いてあって私は一目見て体が動かなくなった。その中では彼の五本の指がカニのようにしきりに動いていたのだった!こういう事って実際にあるのでしょうかね?彼は実はエスパー超能力者だったりしてね。

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2024年2月にナイスが最も多かったつぶやき

夢追人009

読み友のみなさん1月も沢山のナイスをくださいまして本当にありがとうございました。先月は寒さの為に絶不調で駄目でした。2月も厳しい寒さで苦しいでしょうけれど気合を入れ直して、もっともっと本を読みまくって努力して頑張りますのでよろしくお願いしますね!2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:102冊 読んだページ数:4543ページ ナイス数:37315ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/868158/summary/monthly/2024/1

かすみん
2024/02/01 18:47

まだまだ寒いですね~(*'▽')今月もよろしくお願いします🥜

夢追人009
2024/02/01 18:50

かすみんさん、こんばんは。今月も厳しい寒さに負けずによろしくお願いしますね!

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2024年2月の感想・レビュー一覧
77

夢追人009
山川方夫さんの4編目。世界的な動物学者のロレンス博士の隠された秘密を描く奇妙な物語。アヒルは脳に損傷を受けた仲間を排斥するが、ミセス・デービスという人間が来院し件のアヒルの目を見て朝鮮で脳に被弾し今は行方不明の夫の目ですと言う。彼女が帰った翌日に雌のアヒルが現れ虐げられたアヒルの世話をして博士はアヒルの彼女をミセス・デービスと名付ける。博士はアヒルの精神を深く理解しアヒルに変身するのかも知れません。私は話の続きを考えまして、この研究室に来た人が行方不明となりアヒルの数が増えて、そして誰もいなくなるのです。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの3編目。これは文句なしの傑作です。著者はそれ程にメジャーな方ではないですがダークな世界観に彩られた異端の作家さんで作品をどんどん読みたくなって癖になりそうですので本格推理に飽きた方に特に強くお奨めしますよ。不眠により睡眠薬を常用する男が日常と夢の世界の区別がつかなくなっていく。外国の映画を見ていると自分の見た夢の風景が出てくる。彼は夢の世界を崇拝するようになり、自分を心配して見舞いに来てくれた小田君にも夢の世界を知ってもらおうと考えて無理矢理クロロフォルムを嗅がせるが不覚にも死なせてしまう。
夢追人009
2024/02/29 11:15

彼は精神病院に収容されてしまうが、それでも小田君はまだ生きていると信じて夢の世界への賛美の念を捨てないのです。狂気の世界の描写が凄まじく危険な香りが漂うアブノーマルな面白さを皆さんも一度読んでみて実体験してくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の3編目。青空文庫には著者の作品中では有名ではないけど珠玉の面白い作品が紹介されていて嬉しいですね。京都の愛宕山にある人里離れた小さな村に高僧が住んでいた。そこへ猟師の男が訪ねると、私の寺に毎夜、白い象に乗った普賢菩薩がお見えになるので御覧なされと勧められる。その夜、高僧と小僧と猟師が待っていると説明通りの白い象に乗った普賢菩薩が現れたが、猟師は弓を引き絞って菩薩に向けて射つ。高僧は情けない男だ、何て事をしたのだと怒る。だが猟師は殺生をする私にも見えるのはおかしいと判断したのだと言う。
かっこちゃん
2024/03/01 06:38

小泉八雲大好き。青空文庫、見たいのですが、これ以上目を酷使するととんでもない事になりそうで、躊躇してます。

夢追人009
2024/03/01 07:21

かっこちゃんさん、ありがとうございます。まあ青空文庫ではなくても紙の本がありますから、また読んでくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの4編目。児童向けジュブナイル・ミステリーの少年科学探偵・塚原俊夫シリーズの1編です。私は著者の「犬神」を読んだ時にふざけた作風だなと思いましたが、本作を読んで印象が一変しましたよ。本作は初期作ではない為に不明点もありますので今後他の作品も読んでいきますね。俊夫君が警視庁の「Pのおじさん」小田刑事の持ち込む難事件を大人顔負けの名推理で見事に解決します。高利貸しの老人の死の真相は自殺か他殺か?まあサプライズは少ないですが、俊夫君の名推理は天晴れで大人に臆する事のない不敵な態度も頼もしいですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の8編目。人々は持つだろう あたたかい夕餉を持つだろう 静かな憩いを持つだろう 共感にほほ笑み 善意なるものに満ちていよう 無限なるものに包まれ 美しい手紙を秘めていよう すべてやさしくつよかろう 彼等の敷き布は白かろう 夜は深く ねむりはあまくまるかろう 気性が激しく常に怒っているように思われる中野さんには珍しく優しくて気持ちを癒して落ち着かせてくれる心安らぐ詩ですね。あたしだって、その気になればこんな詩も書けるのよ!って言われている気がしますね。でも眠気を吹っ飛ばす詩も魅力的ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの7編目。湧く水のように 自然の素直さ 自然の親しさ 親しさの深まった 少女と少年の 永遠をねがう二人の 愛 親しみ 子供から大人へ 成長してゆく ありのままの 素直なねがい りんどうと野ぎくと 花にたとえて りんどうの花しか知らぬ 触れもせぬ 野菊の花の りんどうの花しか知らぬ 子供をみもごり 死んだ方がい のです 死んだ手に りんどうの花と手紙とにぎられていた 著者が伊藤佐千夫さんの小説「野菊の墓」を基に作られた映画を見て書かれた詩でしょう。些事ですが子供をみもごりは身ごもりでしょうね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
三富朽葉さんの詩の3編目。ふるへては何処(いづこ)へか咽(むせ)び入り 跡かたもないメロデイよ、淡蒼(うすあを)い影を揺うごかす おまへの指は絶間なく咽(むせ)び入り、しなやかな幻にとり縋(すが)る。真白い指の王国は 恣(ほしいまま)な圧制を 虐(しひたげ)の歌を掻き鳴らす、薄明りの上に輝いて 裂けて死ぬ光りのなげき。けぶりのやうな明るみへ、秘密を探る指の白よ、四阿(あづまや)のにほひと色彩(いろ)に埋められて、私の心は幾度も幾度も生き死ぬ。こういう陰鬱な詩は精神衛生上よくないので程々に読みましょうね。
ピアノ
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの2編目。著者の作風は変格推理小説とでもいうべきでシュールで奇妙な味わいの意外性をとことんまで追求した小説のようですね。洋二郎は銀座の裏通りにある喫茶店「ツリカゴ」が気に入って通っていたが最近原と名乗る男が頻繁に近づいてきて自分から話し出す。都会では一度会った人とは二度と会えない。にも拘わらずこうしてあなたと毎回何度も会えて非常に嬉しいと。だが彼のくれた煙草を吸い始めると意識が遠のいていく。原の思惑は孤独を愛するが故に自分を殺す事だったのだと洋二郎は漸く気づくが既に手遅れだった。変人にご用心!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの6編目。ある日 市電ののりかえで待っていると 一人の女の人がやってきた 洋服も帽子も見たこともないような古い型で 汚れて穴もあいている 断髪の毛は赤ちゃけ 木綿靴下の足がすりこぎのように弾力がない 電車がきて 彼女はわたしの前に向かい合った 健康でない むしろやつれた細面のかお けれども 目は生き生きとして ひとところを見ていた 彼女はどんな過去を持っているのだろう 風呂敷き包みをきちんとかかえ どんな仕事をしているんだろう 亭主や子供があるんだろうか 好奇心メラメラのライバル意識ですね。
ある日
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
大阪圭吉さんの4編目。題名は幻想小説風ですが、実態は殺人犯人当ての謎解き小説ですよ。大月弁護士の乗るタクシーが夜のハイウェーを走っていると、クリーム色のクーペがハイスピードで飛ばして追い抜いて行き道の先で轢き逃げされた男を見つける。本編はここまで読むと白熱のカーチェイスを予想しますが期待は裏切られ、途中で嫌な男の殺人事件が発覚します。その小道具は殺人の凶器となった婦人持ちの血まみれのナイフで十七回の記念文字が彫られていて一目瞭然なのですが、そんなに単純でなく捻りがあってヒントは時期的にタイムリーでしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岡本綺堂さんの怪談噺の10編目。著者が雨の降る晩に町の珈琲店の主人から聞いた話。関東大震災後の区画整理で復興局が赤い杭を打ったが、その後界隈が大火事に見舞われたがこの店だけは焼けずに残ったという。彼岸過ぎの夜に何故か客足がバッタリ途絶え陰気な復興局の三人の役員が来て何も話さず延々とビールを飲む。七杯目を飲み干すと漸く腰を上げるが今日の勘定は晦日まで待ってくれという。だが約束の日には誰も来ず店じまいして寝ていると近所で火事が起きるが赤い杭が消失しこの店だけは奇跡的に助かったのだ。まさに不幸中の幸いでしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの3編目。本編は中学生の男子が主人公の青春小説のようなひと夏の物語です。海岸の町は夏になると都会から大勢の避暑客が押し寄せて賑わい、すっかり他人の夏になってしまう。アルバイトでガソリン・スタンドで働く中3男子の慎一は夜の海で泳いでいて都会から来た若い美女と出会う。慎一は自分の父が漁師だった事を女に話す。もし自殺するつもりでしたら僕は決して止めません。父に教えられましたから。人には人それぞれの生き方がりて他人の運命に干渉するのは良くないと。父は働けなくなり自殺した。彼は言葉通り女を海に残し帰る。
夢追人009
2024/02/27 09:34

僕は翌日女とガソリンスタンドで再会し「生きる勇気を貰えた」と礼を言われる。私は省略して短くまとめていますが原文は爽やかな余韻が漂って清々しい心地になりとても良かったですので、みなさんよろしければどうぞお読みくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
島崎藤村さんの1編目。シンプルな掌編寓話です。幸福(しあわせ)が乞食のかっこうをして方々の家を訪ね何者だと聞かれると「私は貧乏ございます」と答えた。一軒目の家では「うちでは貧乏はお断りだ」と言われて、そこの飼い犬も恐ろしい声で吠えました。二軒目でも同じ結果で飼っている鶏を取られはしないかと警戒しました。三軒目ではそこの主には情けがあると見えて台所からおむすびを持ってきて「これをおあがり」と言って黄色い沢庵おこうこも添えてくれました。飼われている兎はグウグウと寝ていました。幸福はその家に福を置いてきました。
幸福
夢追人009
2024/02/27 08:38

今の時代の物価高で世知辛い世の中でも人の情けは大切で弱者に向けた優しい気持ちは失わないように心掛けると幸福がくるかもしれませんね。それを見越して行動するのは計算高くて良くない事ではありますが、でもこの話を教訓にしていきたいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの1編目。初読み作家さんですが、現実と虚構が交錯して真実がどこにあるのか曖昧で判然としない幻想小説的な味わいの興味深い作風の作家さんですね。千里眼と自称する男が奇妙な話を独白する。不吉な事件が起きたと話す声を聴いたと思ったら、それが現実に起きていたのだと。男は精神病院に入れられて生きているようですが著者は読者に対して真実はどこにあるのかの判断を委ねているかに見えますね。彼は狂人なのか?それとも正常な人間で千里眼という症状が一種の病気で現実に存在しており伝染する物なのか?神経がざわつく一編です。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
牧逸馬さんの1編目。中々に洒落たミステリーで軽い内容でありながらも見事に騙される快感が味わえますよ。ニューヨークの記者ヘンリイ・フリント君が地方での取材を終えて夜汽車に揺られて帰路について仮眠から目覚めると向かいに紳士が座っていて続いて若い田舎娘が来て側に座る。そこへガラの悪そうな男が来て腰かけると腕時計が壊れたから60ドルを払って弁償しろよと娘に向かって一方的に脅迫する。フリントが男に文句を言ったが紳士が私が金を出そうと言いだし相談の結果、男二人が30ドルずつを出して男に渡す。だが男と女が列車を降りる。
夢追人009
2024/02/26 11:50

二人の仲の良い様子を見た紳士は時計が最初から壊れている計画的な詐欺だと見破って二人を追って列車を出て行く。だがフリント君は三人が連れ立って歩くのを見て自分以外はみんなグルだったのだと気づく。殺人事件は起きませんが、久々に読んだ古き良き時代の古典ミステリーで面白かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
下村千秋さんの2編目。これは本当にいい話ですのでぜひ多くの方に読んで欲しい隠れた名作ですよ。賢くて金持ちの重吉と馬鹿で貧乏な六兵衛は全くの正反対なのに大の仲良しでした。重吉はとんまの六兵衛と皆に馬鹿にされる友を助けようと自分で隠した父の掛け物を六兵衛が占いで当てる芝居を演出して大成功します。その頃お城で家宝の名刀が盗まれ六兵衛が占い名人という評判が伝わって呼ばれることになりました。六兵衛は前日に家でハクショーンとくしゃみをすると隠れていた盗人が白状を迫られたと思い込み城の裏に刀を隠したのですと白状します。
夢追人009
2024/02/26 10:22

六兵衛は思わぬ幸運に喜び翌日に殿様の前で占いの結果を申し上げて的中します。だが、そこで殿様は本当はお主が刀を盗んだのではないかと六兵衛を疑います。わしが手に書いた文字を当ててみよ、当たれば良いが外れたら手打ちにいたす。絶体絶命の大ピンチに六兵衛は占い師になったきっかけの重吉の事を打ち明けようと「重、重」とどもると殿様が「そうじゃ、十じゃ」と言って喜び六兵衛は許されて褒美を沢山もらって帰りました。それからは誰も六兵衛を「とんまの六兵衛」とは呼ばなくなりましたとさ。幸運な偶然のハッピーエンドに大感激でしたね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の2編目。屋敷の庭で処刑される事に決まった罪人が主人の侍に命乞いをするが拒否されて死後にお前に祟りを為すぞと言って脅す。侍は罪人に刀で斬り落とした首で石を噛んで幽霊のいる証拠を見せてくれと頼むと「きっと噛むとも」と言って応じる。刀が閃き首が落ちると一瞬首が飛び上がって石を噛むとやがて力尽きて落ちる。一同は罪人の為す祟りを恐れて暮らすが、主の侍は何も心配いらない、もう大丈夫だと言う。罪人の最後の意識を石を噛む事に向けたので他の事は忘れただろうと事実何も起きなかった。理詰めの怪談でしたね!
術数
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの2編目。人間の妄念の怖さを描いた心理サスペンスの秀作です。陶製の瓶や壺を愛するニューヨークの美術教授サンバードは偶然にボーモン教授の家に行って美しい白い壺を目にして心を奪われる。だがボーモンは急死し彼の遺言により壺は彼の遺体と共に荼毘に付される。サンバードはボーモンから生前に聞いた手掛かりを追ってニューギニアに行き壺を作る老婆を訪ねるのだが、この老婆がまた奇矯な収集癖の持ち主で、サンバードは人生初の試練にさらされる。本作を読んで自分にも蒐集狂の資質がありますので激ヤバの危機感を抱きましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの5編目。わたしは途中で一人の女とすれちがった 女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった 背が高くふっくら円かった 年は二十三四 そして藤色チリメンの長袖 厚いフェルト草履の大股でトットッと歩いて行った それは大変に自慢そうで からだ全体が得意で一ぱいのようだった わたしは洗いざらしの浴衣を着て 青じけた顔をうつむけて通りすぎた わたしは顔をうつむけて通りすぎた そうしてわたしは振りかえった 振りかえった時 わたしの胸はわくわくとこみ上げた いくらでも威張りなさい いくらでもおけつを振りなさい
途中で
夢追人009
2024/02/26 08:35

あなたがそうしてじゃらじゃらしている間に わたしたちが何をしようとしているか 何処に向かって着々としているか 高慢ちきな娘よ この陽に焼けたゆがんだ顔で みすぼらしいわたしたちが何をしでかすか 何をしでかすか 振りかえった時 わたしの胸はわくわくとこみ上げた わたしの胸は色あせた浴衣の中で焼けた  若い女性の方はもしもこういう不気味なおばさんに見られていたら気をつけてくださいね。何をされるか見当がつきませんからね。身の危険を感じたならば決して躊躇わずに直ちにその場から立ち去って安全地帯に逃れましょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岡崎雪声さんの怪談噺の1編目。私が13歳の時に京都寺町通の書房にいて主人夫婦に男の子が生まれたが、不幸にも肛門が無かった為に三日目に死んでしまった。親戚や近所の人々が集まって夜伽が始まり、私が寝ていてふと四時頃に目が覚めると店から奥に向かう土間の隅の方からボウとした赤ん坊位の大きさの赤い影が出てきて夜伽をしている人々のいる部屋の方へ動いていった。私は怖くはなかったが三回程繰り返されるのを見ている内に再び寝てしまった。朝に老婆に話すと他言を止められ寺の住職に幽霊だと言われゾッとした。子供故に見えたのかもね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山口芳光さんの1編目。吾は思ふ 淋しさを 吾は思ふ 愛の淋しきを 吾は思ふなり 母の愛を 吾は思ふなり 友の愛を ああ いかなる縁(えにし)あればぞ 母、吾を生み いかなる縁あればぞ 君又吾と知り 今吾が為に かくも真心もて看護(みとり)の氷嚢など取り返へゐるぞ 吾は思ふなり 愛の淋しきを 吾は思ふなり 大空の寂寥を ああ 淋し淋し いかなればぞ 母、吾を愛し いかなればぞ 友、吾を愛す 著者については沖縄の詩人という以外には何もわかりませんね。うーん、どうしてこんなに寂しがるのか?ですが、お元気でね。
さびし
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
三富朽葉さんの2編目。影と銀の乱れる夜へ 月は死葉(しにば)を刈り立てる。魂は忍び音(ね)を聞く。虚空の淵に揺すられる 星の瞳(め)は鈴(りん)を響かす。(魂は灰を見つめる。)――渦巻く雲より覗(のぞ)く 烈しい闇の裸形(らぎやう)。(魂は火を失ふ。)――いつも地平を逍(さまよ)ふ獣の群よ、いつも雪の降る薄明りよ、いつもわが閉ぢた窓に映る幻よ、いつも暖(だん)をとる寒い魂よ、いつも我を裏ぎる我の心の罠(わな)よ 肉の恐怖(おそれ)よ。いつもいつもつまづくわが神経のいらだたしさ……心魅かれる詩です。   
深夜
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
三富朽葉さんの1編目。古家を洩れて 蒼い夕をおとづれる 沈黙の煙の翅(はね)。匍ひ廻(めぐ)る霧の奥に 森や山が闇を語つてゐる。ほそぼそと銀を乱す 蜘蛛(くも)の網の 湿り気を吐く糸目にまつはつて 苦しい死を訴へる羽虫のなきがら。こごえた冬のうろつくところ 欝陶(うつたう)しい魂(たましひ)の旅が始まる…… 著者は明治、大正時代の詩人で惜しくも28歳の若さで友人と犬吠岬で溺死されたとありますね。不気味な風情が感じられる作品で、ひたすらに陰鬱なムードが漂っておりますが、私はこの感じが嫌いではありませんね。
冬の歌
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
久米正雄さんの1編目。直木賞受賞作「ともぐい」が今は話題ですので非常にタイムリーな話で面白く読みました。北海道ではクマよけにラッパを吹いて歩くそうです。行商人が親父と呼ばれる熊と出くわして不意にいいアイディアが心に閃きます。それは洋傘を開いては閉じ開いては閉じの動作を繰り返す事で熊は一目散に逃げて行ったそうですよ。もう一つは牧夫の放し飼いにしていた牡牛と熊との死闘の話で大迫力の読み心地ですよ。結果は牡牛が鋭い角で熊の腹を突き刺して木にぶち当てて殺して勝ちますがホッとして自分も死んでしまいます。面白かった!
熊
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
下村千秋さんの1編目。本編は著者の作風の一つである愉快な童話作品ですね。頭は賢いが腕っぷしが弱い勘太郎の手柄話。お寺のお坊さんが亡くなって無人となり荒れ果てたので新しい僧を雇うが寺に住み着いた鬼にやられて村へ逃げてくる。そこで村の力自慢の若者達がくじ引きで鬼退治をすることにしたが一人二人と体を食われて瀕死で逃げ帰ってくる。そこで勘太郎が俺が行くと名乗り出て皆に馬鹿にされ笑われながらも我慢して寺へ乗り込む。勘太郎は天井に登って鬼達の会話を聞くとトッテクーと鳴く鶏が怖いと話していたので頭上から鳴き真似で叫ぶ。
夢追人009
2024/02/25 10:41

すると鬼どもは慌てふためいて自滅する。勘太郎は鬼の大将を生け捕りにして村へ連れ帰ると皆から見直されて尊敬され、寺の住職となり後に名僧になったとの事である。ちょっと出来過ぎな結末でしたが面白い話で未来にもずっと読み継がれて欲しい傑作ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫(まさお)さんの1編目。著者はショートショートの奇妙な味の作品で活躍された方ですが惜しくも34歳の若さで交通事故で亡くなられました。死体なんか怖くないと言い張る男が本当に恐怖を感じるものとは?同級生の女性との縁で知り合った男の職業は警察の鑑識課員で、会うたびに私に女のグロテスクな死体の写真を見せてくる。こいつは見せられる方の気持ちを全くわかっていない鈍感で無神経な奴なのだ。やがて迎えるショッキングな結末とは?サプライズはそれ程ではなかったですが著者のセンスの良さを感じましたので他も追いかけますね。
Hong Kong @新潮部2024
2024/02/25 13:05

ぜひ追いかけてください。❤ハマりますよ。そんなに若く亡くなられていたんですね。知りませんでした。

夢追人009
2024/02/25 13:24

Hong Kongさん、ありがとうございます。これから楽しみに読んでいきますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の1編目。江戸の瀬戸物店の店主が番頭のお陰で商売繁盛していたが番頭一人では手が回らなくなり大阪で商売を習った若い甥を呼び寄せると出来た有能な男で商売がますます繁盛した。だが七か月程してこの手代が病気になって命が危なくなった。本人に聞いた所目を閉じると女が首を絞めてくるというのだ。店主は手代から生霊の正体が番頭の妻だと聞いて五十を過ぎた女が何故に憎むのか理解出来なくて番頭に調べてくれないかと頼んだ。妻は自分の息子が手代に騙されるのを危惧して憎んだのだと話したので手代を支店に出す事にする。
夢追人009
2024/02/25 09:44

やがて生霊はなりを潜め手代の健康が回復したという。こういう経験は私にはありませんが切れ者すぎると人から恨みを買う事があるようですから心当たりのある方はくれぐれもご注意してくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの125編目。酒屋の小僧は孤児院から来た子供で可哀想にと同情する親がいる一方で彼が背が低く足がブルドッグのように曲がっている処を見て酒屋のワン公とあだ名で呼んで笑いました。それは六つの頃から赤ん坊をおぶわされていたからなのです。酒屋の主人は嫌な奴で飼っている白犬が子犬を産むと全部川へ流してしまいました。三味線を持った女が通りかかると犬の母親が狂った様に足に噛みつきました。ワン公は犬が狂った理由を女に説明して女の足の傷を水で洗ってやり布切れで手当てしてあげました。ワン公は遠くへ使いに行きました。
夢追人009
2024/02/24 11:27

途中で雨に遭いずぶ濡れになって帰るとおかみさんから強く叱られました。ワン公が雨の露を見て自分も露になりたいと思っていると優しそうな女の人が来て私がお母さんになってあげようと言ってくれました。前に来た三味線を持った女の人でした。少年は女の人に連れられて二人で酒屋を出て行きました。物語はここで幕を閉じますが、不幸続きの少年がこの先は幸せな人生を歩んでいますようにと心から祈願しますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの124編目。読者に真理を問いかける3つの話で珍しくイラスト付きですよ。男の子2人が気にとまったセミを見つけて一人が虫取り網を取りに行く間見張っていてくれと頼んで戻ってくるとセミが飛んで行ってしまった後で残念がった男の子が怒って拳で殴る話。博物館で日本画を見たい叔父さんと美術館で西洋画を見たい子供の気が合わず若い者は昔の絵は化石みたいな物だから今の絵が良いと主張する話。貧乏な男が死んで霊魂が金持ちの老人にとり憑いて風邪をひかせて殺し二人で仲良くあの世へと旅立つ話。この世の理不尽さを感じますね。
町の真理
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岩村透さんの4編目。これが著者の最後の作品で寡作なのが惜しいなあと思っていたら、本業は美術批評家の方だったのですね。イギリスの画壇で有名なハークマの自伝に書かれた話で自分の親しくした人に不吉な事があるとコツコツと叩く音がしたという。学士会院(ラシテスキュー)の鐘はフランスのパリの下宿屋で夜になって蝋燭を灯すと血だらけの顔が現れるのである。学士院に聳える時計台の鐘が午前二時の丑三つ時に鳴るカンという音と同時に怪異が出るのだという。この場所は元は尼寺で革命の時には病院になったという。著者の怪談愛を感じますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の169編目。洋画家の橋田君が子供の頃に自転車で鬼火や狸が出るという評判の坂道を通っていて峠の茶店で一服しようとして店の前に朝倉一五〇と書かれた提灯をぶら下げた人力車を見る。「兄さん、どうせ乗って往きや」と声がして、けったいな言い回しが気にかかった橋田君は嫌な予感がして茶店にも入らずに自転車に乗って坂道を駆け下りた。だが側を朝倉一五〇の提灯を付けた人力車が猛スピードで駆け下りていく。こんな事は人間業では不可能だ。麓に着くとまたもや例の人力車が朝倉連隊への道を折れて行った。幽霊人力車?
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の168編目。これは読み友の皆さんの評価も高い傑作で誠に面白かったですね。猟師の章が山中に入り日が暮れて寝ていると喉元を舐められる気配で目覚める。そこには若い女がいて暫くすると乳母という女が現れて山中の家に案内され三人で暮らし始める。二人の女が山へ出て行くので狼がいて危険だから私が同行しようと言ったが断わられる。章は諦めて山道に毒を塗った鹿肉を置いて帰る。その日は二人の女が家に帰って来ず朝心配して見に行くと鹿を置いた場所に二人が倒れていた。着物を着た二匹の狼だった。少し可哀想ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の167編目。本作は波乱万丈の面白い冒険譚ですよ。土佐の東端に野根山という大きな山があり山中には数千匹の狼がおり旅人を襲った。阿波へ向かう飛脚が倒れている妊娠中の女を見つけて檜の上で女を助けお産を無事に済ませるが、下から狼どもが群れを成して襲い掛かる。飛脚は刀で狼どもを次々に斬り殺す。すると「佐喜の浜の鍛冶の母を呼うでこい」と声が聞こえ一際大きな狼が木に登ってきたので刀で額に斬りつけると遂に落下して他の狼も一斉に逃げて行った。飛脚は謎の言葉が気にかかって佐喜の浜に赴き鍛冶屋を訪ねる。
夢追人009
2024/02/22 11:48

息子と会うと昨夜から老母が額に怪我をして寝ているというので良い薬をあげようと言って案内させると老婆は狼に変身して飛脚に飛びかかってきたので刀で斬り殺して退治する。狼が山に出かけた鍛冶の母を食い殺して化けていたのだった。鍛冶は本物の母の骨を見つけて父の墓に葬った。天晴な飛脚の活躍でハッピーエンドを迎えた誠に血沸き肉躍る見事な冒険物語でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の166編目。番町に住む旗本の用人が歩いていると傍らを歩く四十歳くらいの旅僧に気づく。煙草の火を借りられ男と話し始めると自分の通う主家の邸から来たと言うので嘘を言うなお前など見たこともないと問い詰めると家の不幸な出来事について詳しく話すので驚く。男は自分は貧乏神だと明かし隣の邸に移るので今後は主家の悪運もなくなって上向き出すだろうよと話す。旅僧の言葉通りに不運続きだった主家に明るい兆しが見え始めるのだった。こういう事って実際あるのかもしれませんね。自分の家には福の神を招きたいですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の5編目。今日は一月一日 今日は正月だ 明けましておめでとうって たとえのようにいうけれど わたしらはそんなどころではないわ 年がら年じゅう米つくるが商売なのに 一片の雑煮もない 毎年ただ一本きていた 他国からの年賀状も今年は来ない 来るものは町の掛取りや 残りの年ぐ米を取りに来る地主の番頭だ 台所はポチャンポチャンと雨がもる 炭は買えず もみがらをぶすぶす燃やす くすぶり火が家一ぱいにひろがる 七十五の婆はあつい汁もあたらず 枯木のような背中を曲げて 水鼻をすすり目をつむっている 十一の
夢追人009
2024/02/21 13:43

弟と七つの妹は 一生けんめい 一銭にもならない繩なうている 賑やかなのは寺の鐘ばかり あさ早うからやかましい いくら鐘たたいても わたしらもうまいる気はせんわ いくらナミアミダブツ唱いても 飢じい腹はふくれはせんわい 婆に軽いふとんの一枚も着せられないわ 子供のひびあかぎれが快うなりもせんわ 夏のさかりでも白足袋はいて 魚さかな喰って何が地獄じゃ 極楽じゃ 何が持ちつ持たれつじゃ わたしらだとて一人前の人間だ 地主や坊主ばかりが うまいもの喰って いい気持ちして わたしらを家来あつかいにして その田圃を

夢追人009
2024/02/21 13:49

わたしらに持たせてみろ みんなの持ち物をおんなじにしてみろ その上で物が言いたいわ わたしら この腕っぷしで いい米収ってみせるぞ 遊んでいる者が親方で 働く者が家来で おお これを××××かえしたいわ この腕っぷしで目に物見せたいわ わたしは今日二十三になる百姓女 若い血が湧きたぎる きっとやってみせる みんなの胸たたいて みんな手引っぱって 目に物見せてやるぞ 火ぶた切るのろしの鐘を 村から村に鳴りひびかせてみせるぞ 凄いですね。題名からは想像もつかない凄まじい内容で、心を抉られ強烈に響きましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの123編目。これは著者には珍しいダーク・ホラーファンタジー小説ですよ。鉄道の線路を横切る白い大男の人影を見た汽車の運転手が避けようとして脱線事故を起こしてしまう。噂では過去にも暴風が吹き荒れた年に白い大男が見た者がいるという。やがて車と汽車の衝突事故が起きて街中がパニックになり、人々は恐怖の波にのまれていく。惜しいのは結末が不思議な感じで「白い男」の謎が合理的に解明されず終いで曖昧なままに呆気なく事態が終息してしまう点ですが、それでも怪しげな雰囲気を十分に味わえて中々に楽しめた一編でしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの122編目。これは良い話です。賢吉は戸田がお父さんがいなくて母と妹と三人で寂しく暮らしているのだと聞いて日頃から同情していた。遠足が近づき賢吉はお母さんにおやつを沢山買ってもらって戸田にあげようと思っていたが当日に戸田は遠足に来なかった。ある日戸田は宿題をしてこなかった事で先生に強く叱られた。賢吉の父は蛙と蟷螂を見たと話して息子に自然の厳しさを教える。やがて賢吉は自分の女々しさを悟って反省する。戸田は新聞配達をして働いていて、賢吉に頼んで宿題を教わる約束をする。厳しくも優しい良い話でしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの121編目。昼は少年が穏やかないい日だなと喜び前の家のお姉さんの弾くピアノの音を楽しみ金魚売が通り隣家の武ちゃんの買って来た金魚を見て美しさに不思議だなと言います。夜は前の家のお姉さんが風邪をひいたと見えて薬の匂いがします。少年と母の会話。「誰でも、その当座は戦争の悪い事、恐ろしい事を身にしみて感じますが、それをじき忘れてしまうのです」「そんなら、どうしたらいいの」「苦い経験をいつまでも忘れぬ事です。そして世界中が平和のために骨をおり、力を合わせて、我が儘や、傲慢心を抑えなければなりません」
夢追人009
2024/02/21 11:48

この文章は素晴らしいなあと思いましたね。1946(昭和21)年、日本の敗戦の翌年に書かれた物語で今後も永遠に読み継がれるべき作品だと思いましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
宮沢賢治さん原作の童話に武田美穂さんが絵を描かれて一冊に仕上げた素晴らしい絵本です。このお話は正直言いますと冒頭の幼いカニの兄弟の会話の「クラムボン」の意味がわからないので少しとっつきにくい印象がありましたが、今回絵本として読むと海底に住むカニの兄弟の表情が豊かで生き生きとしていて飾らない手書きの文字も構えずに読めて素朴な童話の精神が伝わって懐かしくてとても良かったです。まだ世間知らずのカニの子供たちに物の道理を優しく教えてくれる父親のキャラもとてもいいですね。原作はほぼ百年前の1923年に書かれました。
中村です
2024/02/21 22:47

宮沢賢治の絵本はたくさんありますね〜。こちらも頂いていきます( ๑>ω•́ )۶

夢追人009
2024/02/21 23:02

中村ですさん、ありがとうございますね。どうぞ存分に楽しんでお読みくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の165編目。朝鮮の張という男が良い人参を探して山中に分け入り疲れて眠っていると目が覚め自分が毛むくじゃらの怪物に抱き抱えられている事に気づく。彼は怪物に体を撫でられながら洞窟の中へと運び込まれ手真似で生肉を食えと促される。張が食べないと怪物は火を熾して肉を焼いてくれる。その後また抱かれて外の木に括り付けられて虎が来ると怪物は弓で虎を射て肉を手に入れる。張は養っている家で待つ年老いた父が心配で必死に怪物に家へ帰らせてくれと頼む。怪物は張を解放し人参を土産にくれる。誠に優しい奴ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の164編目。ある寺の僧侶が横浜の写真屋で写真を撮ってくれと頼むと写す直前になると急に機械の不調を理由に断られる。これが三度も続いて腹を立てた僧侶が問い詰めると、黒い布を被ると彼の背後に女の姿が出るというのだ。そこで景観を呼んできて撮影してもらうと僧侶の頭上に髪を振り乱した女が座っている姿が写っていたという。警察は当件を当時の内務省に報告した。女は僧侶の死んだ先妻で後妻をもらわないでくださいねと遺言したのに僧侶が約束を破った為に化けて出たのだという。これは史実の様で本当に驚きますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の163編目。奥州に住む冷酷非情な性格の百姓・甚六が死んだ姉の十二三歳の小娘フジを引き取るが盗みを働いたと疑い外の木に吊るして一晩さらし死なせてしまう。失せ物は出てきて甚六は少しは気がとがめたろうが、正月になると怪異が起こり出し客が少女の亡霊の姿を見るが甚六には見えずポルターガイスト現象を起こしたり茶店で冷や麦を食べるのを邪魔したりする。山伏に頼んでも怖くて逃げだし、ある人が狐狸の仕業ではと助言し砂を撒くとフジが出てきて嘲笑う。最後は丁寧に弔うと何とか収まる。甚六よ、真人間になれよ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の162編目。四国の山中で半兵衛という猟師が次々に怪異に襲われる。ミミズをカエルが丸呑みにし、それをヘビが食べて次はイノシシが半兵衛の目前で食べてしまう。帰ろうとすると怪しい僧が立ちふさがったので山刀で切りつけると二人に分裂して、あれよあれよという間にどんどん増えて百人を超す事態になり、もうへとへとでヤケクソになって石を投げつけると漸く怯んでくれて妖僧が消えていき全員いなくなってヤレヤレのハッピーエンドとなります。でも最後は自分の投げた石が己の顔に当たって血塗れでエライ災難でしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
吉井勇さんの1編目。いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、朱き唇、褪せぬ間に、熱き血液(ちしほ)の冷えぬ間に、明日の月日のないものを。いのち短みじかし、戀せよ、少女、いざ手を取りて彼かの舟ふねに、いざ燃ゆる頬ほを君が頬ほに、ここには誰も來こぬものを。いのち短かし、戀せよ、少女、波にたゞよひ波の樣に、君が柔手(やはて)を我が肩に、ここには人目ないものを。いのち短かし、戀せよ、少女、黒髮の色褪せぬ間に、心のほのほ消えぬ間まに、今日はふたゝび來ぬものを。大正四年(1915年)に書かれた永遠の名曲ですね。
bura
2024/02/19 14:17

夢追人さん、「生きる」志村喬の歌声が聞こえます。

夢追人009
2024/02/19 14:28

buraさん、ありがとうございます。↓ですね。私自身は映画はまだ見ていませんでしたが、またいつか拝見しようと思いますね。 https://www.youtube.com/watch?v=8DktP-PDll8

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
漢那浪笛(かんな ろうてき)さんの1編目。黄昏時を四五分すぎたあと、薄闇を縫ふて、紅い々々燈ひの華が、冬咲きの仏相花のやうにちらつく。昔の栄華を夢見る古るい街、傾むいた軒を並べて、底深く静まりかへる。蔦の生へた石垣からは、亡びの色調を帯びた虫の歌。また、たく/″\と流れる溝のなげかひ。私は古るい街の巷に迷ひこんだ、何処かへ逃げ道を見出さうとした、古るい街は逃すまいと抱きつく。私と亡びゆく古るい街、その間に永い哀情が横たへ、深かい/\闇に沈んでゆく。著者は沖縄の方ですね。人は古い街に迷いたい時もありますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
森川義信さんの1編目。せるろいどのやうにふるへる むかしむかしのお姫さまよ 童話の向ふから童話のやうに掌をあげて 黒びらうどの青い喪服もふくがよく似合ふ あれ あれ 木馬もくばもお通りなさる がた がた 首をゆさぶり はげ落ちた灰色の眼で何を見つめるのやら みんなみんな蒼白あをじろいせるろいどの向ふよ みんなみんな幻燈(げんとう)の様に通りすぎた昔よ 黒びらうどのお姫さまよ はげ落ちて歩けない木馬よ 幻燈の後あとに残されたわたしよ 一枚の絵のないふいるむよ カタカナ未使用の詩で、ノスタルジーを感じますね。
幻燈
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
片山広子さんの1編目。著者は有名なエッセイストで真面目からユーモアまで幅広い作風の方ですのでこれからも長く読み続けられるでしょうね。中国に相当に長い月日を過して来たからSはよく中国の話をした。その時分上海が非常なインフレになつたので、紙幣おさつをかばんに一ぱいつめ込んでレストーランに行き料理をたべる話なぞきかせた。「コーヒーが一杯五千円です」と彼が言つた。まだその時分私たちの東京ではコーヒーが一円ぐらゐなものであつたらう。だから五千円と聞いて眼がまはるやうで「コーヒーが五千円で、お料理が十万円ですか? 
夢追人009
2024/02/19 10:36

東京がそんなインフレになつたら、私たちは死ぬばかりですね。でも、死ぬのも大へんにかかりませう?」私が言ふと「百万円以上かかるでせうね。しかし、そんな心配をなさらんでも、衣裳をたくさんお持ちでせうから、必要の時それを一枚一枚売るんですね。大島の着物を一枚十万円ぐらゐに売れば、日本のインフレはどうにかしのげるでせう」Sはさう言つてくれた。その時からもう六七年の月日が経つてゐる。私の大島はまだ十万円には売れない。コーヒーも五十円あるひは百円位で飲むことが出来る。百万円のお金を使はないでも私が無事に眠ることが

夢追人009
2024/02/19 10:38

できればこの上もない幸だと思ふ。それに上海でも、インフレのために市じうの人間が死んだといふ噂もまだ聞かない。素直に面白いですね。日本にこういう未来が未だに来ていなくて本当に良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
幸田露伴さんの1編目。発動機の如きはなほ取り扱ひが重大で、飛行機の墜落の大部分は発動機の故障より生ずるのである。然らば如何にして、物に接すべきか。それには、その物を愛する、この心がけが最も重大なものであつて、これは仁である。その物を理解し、正しく取り扱ふ、これは次に大切な心がけであつて、これは義である。物に接するにも仁義が第一である。大正十五年の作品で、とてもシンプルな事を書かれていますが、まさに大切な心掛けですね。物にも魂が宿っていますよ。付喪神というのも怪談話にはよく出てきますね。肝に銘じましょうね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中井正一(まさかず)さんの2編目。少し長引いて丸三年間の自由をうばはれて後、戰爭のさ中、やつと、私は執行猶豫の身となつた。しかし、私は、あの雪の日以來、大空を壓して降りて來るあの固々たる雪の中の深い秩序が、何時の雪の日にも、私のこゝろによみがへつて來る。そして、この大都會の人の世の上に降つてくる雪が、この上もない美しいものとなつて呉れたのである。掌の上でとける雪も、あの二万尺の上から、あの結晶をはこんでくることを思つて、今も、私は涙ぐむのである。著者が3年獄中にあられた時に雪が心の支えとなったのですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の4編目。行ってしまった もう煙も見えない 息子を乗せた汽車は行ってしまった 剣を抜いて待ちかまえている 耳や 手足の指がくさって落ちるという そんな寒い 戦場の×煙の中へ 息子の汽車は走って行った 生きて帰るようなことはあるまい 汽車の窓のあの泣き笑いがお あれがあの子の見おさめなのか 親一人子一人の暮らしで あの子は毎晩 わたしの夜具の裾をたたいてくれた いつもやさしい笑顔で働いてくれた ああ わたしを大事にしてくれたあの子 わたしのひとり子 物持ちの子供らは きりきず一つ 鼻風邪一つ
母の叫び
るい
2024/02/19 10:21

与謝野晶子さんの「ああ君死にたもうなかれ」を思い出しました。

夢追人009
2024/02/19 10:43

るいさん、ありがとうございます。戦争についての詩は決して忘れぬように誰もが今後とも時々読み返していくべきでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中井正一さんの1編目。長次郎は私をいざなって一つのピークに立った。そして昔の山びと特有のヨードルを高らかに放った。鳶の鳴き方に一寸似た、“Oho………horrr………ooo”という様な、美しい声であった。声は遠く寂けさの中に消えて行った。しばらくして、思いかけず、見ゆる峰々から「木霊」が帰ってくる。一つ二つ三つ……四つ。そして、もとの空虚な深い孤独感の様な、静寂にかえって行った。ところが、耳をうたがったのであるが、霧の底から同じヨードルが帰って来た。Oho……ho……rrr……ooo………一つ二つ三つ……
夢追人009
2024/02/16 10:18

これは、霧の谷の底を、わたっている山びこが、遠い見も知らぬヨードルに、答えて呼んだに違いない。私は何故とも知れない深い感動をうけた。この高さで、よび合っている二つの孤独。山と山の木霊の様によびかわしている、霧の中に追い求めているヨードル。この寂けさの中にして、この孤高にして、相求めている淋しさ。これは私に、今も、まざまざと、生きて、青春の声として、胸の中に響き渡っている声である。山びとの、高さへの熱情、清らかさへの熱情、孤独への熱情、この熱情の底に漲っている、涯もない寂寥の美しさが、山の誘惑として、今も

夢追人009
2024/02/16 10:21

私の中に響き渡ってやまない。素晴らしい感性と閃きだと思いますね。ヨードルはヨーデルでしょうけれどね。後半からの長い引用でごめんなさいね。私は作者の文章に心を打たれて強い感銘を受けましたね。また折を見て他の作品にも触れていきたいと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
室生犀星さんの1編目。本作は「少女の友 第十四卷第一號」實業之日本社、1921(大正10)年1月1日に発表された作品ですね。不治の病で寝たきりの少女が自らの死を自覚しながらネジを巻く事で繰り返される音楽時計の調べをずっと飽きずに聞き続ける切なく悲しい中に安らぎも感じさせる繊細な風情の物語ですね。今から百年以上前に書かれた掌編です。この時代は当然ながらネットもパソコンもスマホもありませんが、ネジで巻くと音を出す音楽時計はちゃんとあって不幸な運命の少女の心を慰め優しく癒してくれた事に素直に感動を覚えましたね。
音楽時計
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の3編目。思っただけでも胸がおどる 裸一貫のわたしらが堂々と乗りこんでゆき おお このわたしら わたしらのタコだらけの手 真黒に焼けたおでこ ただ一つの心臓 二本の足 二本の腕に あらゆる権力と最上の美しさを打ちたてる日 働いて笑える 働いて肥える おお その日、その世界よ 思っただけでも胸がおどる 詳細は不明ですが不機嫌よりも上機嫌で笑っている方がいいに決まっていますね。作者の喜びがストレートに伝わってきて読んだ方も嬉しくて幸せな気持ちを共有できる詩ですね。素直に笑えるっていいですよね。
歓喜
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!ショッカーと「金魚すくい」ならぬ「人魚すくい」の物語にはそこはかとないノスタルジーが感じられて懐かしい哀愁が漂っていましたね。今回もハチャメチャな出来ですが続きを考えましたのでお読みくださいね。君を救おうと必死で探し回って海底のA地点からB地点C地点まで行ったけど見つからなかった。僕はおさむちゃん(ザ・ぼんち)だからね。でもね君のお父さんには会えたよ。海底原人ラゴンだったね。実は上方落語家の笑福亭鶴瓶師匠にお会いして師匠の故・笑福亭松鶴(ショッカーク)さんの正体を伝えたよ。嘘ですよ。
Vakira
2024/02/15 21:38

009さん お読み頂きありがとうございます。m(_ _)m ウヒ!海底原人ラゴン!ウルトラQやん うれしか〜 して 松鶴師匠ね。

夢追人009
2024/02/15 22:18

Vakiraさん、ありがとうございます。バレンタインデーの話は難しいですが、また続きを考えますのでもう少しお待ちくださいね!ボケなしで、ごめんねごめんね~!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の120編目。駅前の広場で年を取った母親と赤ん坊をおぶった若い母親が新聞を売っていた。老いた母は工場で働く息子から「おかあさん、映画でも見に行っていらっしゃい、正月だもの」とお金をもらっていた。若い女の夫は病気で寝ていた。あくる日老いた母親はデパートに行って飾られた衣装を見て二万円、三万円、誰が買うのだろう、私たちは一生身につけることはないだろうと考えて悲しい気持ちになりました。彼女はおもちゃ売り場へ行って息子のくれたお金で隣の赤ん坊が喜びそうな赤いかざぐるまを買いました。彼女に幸あれ。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
横光利一さんの6編目。著者が妻と一緒に家を探していると二人ともに疲れて座り込む。ふと見つけた家が貸し家だったので慌ただしくここに住もうと決めて移り住む。家の外には美しい草花が咲き乱れていたが、自身が風邪を引いて激しく咳き込み、母親があっという間に亡くなってしまう。妻も身体を壊して寝込んでしまい不吉なこの家から出ていこうとするが体を動かすと却って危ない事態になる。家の外の花の美しさを愛でる事で二人は辛うじて持ち応え、いずれ不幸は亡くなるだろうと信じて家に踏み留まる。未完の掌編の趣で二人の幸せを切に祈ります。
美しい家
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の2編目。人間には幸福と不幸がある それは何処からきているか みなもと深く学者はしらべた 人々は自分に照りあわせ 実際的に納得した けれども目ざす彼岸は高く あまりに遠い ふしあわせは 片時もはなれずつきまとう 人という人はことごとく 本能 感情 意志を持つ 不幸は四六時中五感をつっさす みんなは生きる ふしあわせとの組み打ち ふしあわせは一様でない その千差万別をうたいたい ことに普遍的なものよりも 特殊なふしあわせをうたいたい たとえば肉体的なかたわ者 人は彼を見ることさえうとんじ 
夢追人009
2024/02/15 10:37

愛の花もしぼませる それにもまして心のかたわもの 愛も怒りも消え失せ 人は彼をさけ 自分は我が身を投げ深ばまりしてゆく わたしは彼らのビッコの心の中をうたいたい 仲間の心をもって、愛と泪をもって これは問題作ですね。中島みゆきさんが歌ってもおかしくないとは思いますが、けれども放送禁止用語が沢山入っていますので実現は無理でしょうね。でも飾らない言葉で述べられた歌の精神はとても素晴らしいと思いますね。今の時代も未来にも永遠に読み継がれていってほしい作品だと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
薄田泣菫さんの13編目。大阪毎日新聞の朝刊に掲載された短いコラムが5本分ですね。外国の作家や作品に書かれた言葉を引用して日本の場合に当てはめて皮肉たっぷりに風刺されていますよ。私が気に入ったのは、戦争賛成論者の記者や作家に実際の戦場で自身が最前線に立って進軍しなさいというものですね。出兵論者の作家のKさんにはぜひ誰よりも先に前衛の一人として出かけて欲しいし、腹を抱えて噴き出さぬ訳にはいかないと意地悪に書かれています。こういった話題はいつの時代にもあってつい最近もニュースで似た趣旨の話があがっていましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの1編目。気魄を感じる詩ですね。わたしは 三度目の開腹手術を受けるために 行ってきます 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです いろいろの 心のキズを耐え 力あつめて立ちつづけてきた 体に三度目のメスを受けねばならぬ 黄色い目じりから泪がにじんで流れようとする 友よ 手術をしなければならぬということは  命があるということです 命がなければ 誰の顔も見えなくなるではないか 誰も わたしをもう見ることができないではないか 命がなければ もう詩が書けないではないか 命が
夢追人009
2024/02/11 12:07

なければ 体も心も灰になってしまうではないか 女流詩人の中野鈴子さんの重いですけれども心と魂に訴えかける詩をこれから少しずつ読んでいこうと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
大下宇陀児さんの1編目。著者についてはお名前が「うだる」と読む事しか知らない昔の作家さんでしたが先日図書館で創元推理文庫を見つけて興味を持ちました。青空文庫では残念ながら4編しか読めませんが次回は借りて読もうと思います。本作の題名は11月の時期に翌年の挨拶エッセイを書いていますという意味で堂々とネタバラシしていますね。相当にユーモアの好きな剽軽な方で一読し大好きになりましたね。火事場見物・GF(ガールフレンド)の意味をカメラと勘違いして恥をかいた話・「お」の適切な使い方等々、海野十三さんも出てきましたよ。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
大阪圭吉さんの3編目。創元推理文庫の表題作にもなっている著者の代表作ですね。ヨットで起きる殺人事件ですが快走船という題名がカッコイイですね。語り手でワトソン役の私と名探偵・東屋三郎氏が招かれたキャプテン深谷邸で起きた当主の死の謎に迫る。E・クイーン張りの論理的な推理と意外な動機と犯人で本格ミステリーの愛好家には嬉しいよく出来た秀作だと思いますね。唯一点だけ欲を言えば、著者に明智小五郎・金田一耕助・神津恭介のような魅力的な名探偵がいたら、もっと大人気を得ただろうになと思えて、それだけが残念で仕方ないですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
大倉燁子さんの4編目。有閑マダムの会でS夫人が語った中国・南京街のキールンホテルで美貌のK夫人が惨殺された事件についての顛末記です。本作には殺人鬼・鼠色の男や仮面をつけた男女の逢引の場のいかがわしい未亡人倶楽部が出てきて素人のS夫人が尾行したり潜入したりして活躍しますが事件を解決したりはしません。ここ数作を読むと著者の作風は謎解きのパズルやフーダニットにはなく猟奇的な殺人事件をハードボイルド・タッチで描く事にあるようで読み所は限定されますが、それでも今の時代に読んでも十分に新鮮で怪しげな魅力を感じますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
横光利一さんの5編目。本作は青空文庫で読みましたが思いの他長い中編作品でした。内容は語り手である夫が彼の友人を家に居候させてから妻が色目を使い出したのに気づいて精神的な不貞に腹を立てて黙って郷里に帰り昔一時好きだった女と再会して恋心を抱くのですが、彼は妻といる時も近くの古本屋の既婚女性に思いを寄せるという誠に身勝手な男ですので本書を読んだ女性読者は呆れ返るでしょう。でも彼は自分の悪さを反省して自己嫌悪に陥る誠実さもあり紆余曲折の心理描写が心の琴線に触れて彼らの運命が気になり冗長ながらも最後まで読ませます。
夢追人009
2024/02/09 11:35

唯一不自然な点は主人公の二十代らしき夫が所帯持ちなのに何故か働いている様子がなく一日ぶらぶらしているのが不思議ではありますが、もしかして作者の思わぬ失敗かもしれませんね。人間は完全無欠な愛を望んでも得られないものなのかというテーマが読後に心に訴えかけてきますよ。もしも興味を覚えられた方は長さを覚悟の上でぜひお読みくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
菊池寛さんの1編目。健作は列車の食堂車で食事中に昔つきあっていて別れた彼女・愛子によく似た女性が夫らしき男性と食事している後姿を見て昔の事を思い出した。はにかみ屋の彼女は彼の前では何も食べず唯一蠣フライだけは食べたなと。これは許せない事だと思いますね。第一に勿体ないです。残したら残飯として捨てられるだけですし、食べないなら何も注文せずに水だけ飲んでいればいいのだし、または彼が食べてやればいいのです。まあそれはともかく本作は彼が唯彼女の現在の幸福を考えて再会を見送る少しセンチメンタルで切ない愛の物語ですよ。
蠣フライ
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!素晴らしい蘊蓄は勉強になりますしピカレスク小説の落ちも最高によかったです。また例によって続きを考えましたのでお読みくださいね。実は名古屋で女性団員たちがアイドルグループとして数年前から活動しているのだ。みなさんもご存じのSKE48だ。SKはそのまんまで、Eはショッカーの戦闘員がイー!と叫ぶ声を表しているのだよ。他にもBGと呼ばれるライバル組織が存在する。それは黒い幽霊団(ブラックゴースト)でサイボーグ009に出てくる死の商人の組織で今も世界中で密かに暗躍しているんだよ。全部嘘だよ~!
Vakira
2024/02/09 12:03

おい!ショッカー あまり大食いすると消化不良になるよ~ん

Vakira
2024/02/09 12:05

おい!ショッカー あいつ ショッカー東京支部の隊長に昇格したらしいよ~ん

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岡本綺堂さんの9編目。本作は現代怪談噺で題名の河鹿(かじか)はカジカガエルの事だと調べてみて初めて知りました。C君が箱根へ遊びに行った時に同行のS君から湯の宿の部屋で聞いた思い出話。初めて梅雨時に訪れた時に当座はガラ空きで僕一人だったが遅れて女三人連れの客が来て僕の隣の部屋に泊まった。女中さんにお嬢さんと四十路のお母さんで静かで陰気だった。河鹿の鳴く夜に隣室からパパア、ママアと声がした。ヨーロッパに赴任中の父親から九歳の娘に贈られたた人形で左右の手を上げると声が出る仕掛けだったが故障し修理に送ったという。
河鹿
夢追人009
2024/02/07 11:54

だが娘は風邪で死んでしまう。人形は修理されて外国から母の元へ帰されたという。その人形の声だと思われたが僕が事情を確かめるのを躊躇う内に一行は宿を発った。その年の秋の末にある外交官の夫人が病死したと知って僕は再びぞっとしたよ。僕が思うにあの人形は、おそらくお母さんの手に抱かれて暗い土の底へ一緒に葬られてしまったろう。もしかすると大袈裟に考えているのかも知れませんが、人形が自身で声を出したと想像すると震えるような怖ろしい話ですよね。さすがの怪奇の大御所の著者の堂々たる傑作でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
大倉燁子さんの3編目。伝聞によるフランスの実話と自身の周辺の実話を織り交ぜたミステリアスなエッセイです。フランスの科学者が孤独生活を送る中で絵を描くのが唯一の趣味でモデル女達を雇っていたが家に行ったきり誰も帰って来なかった。刑事が家宅捜査をするとストーブから女の髪の毛が出てきて、その真相は科学者が女の体を溶かして薬や絵具にしていたのだ。この話を友人から聞いた晩に知人の奥さんと十年振りに再会し行方不明の彼女の夫について話をされ著者は外国の話の様に溶かされたのかも知れないと想像されています。有り得る話ですね。
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夢追人009
江戸川乱歩さんの6編目。乱歩さんのプライベートライフに触れた自伝エッセイで奥様との馴れ初めの事情等を書かれています。乱歩さんは独身主義者であったけれど未来の奥さんがご病気になられた事で考えを変えて結婚に踏み切られたエピソードにはホロリとさせられましたね。作家になる前は職業を転々とされご苦労されたようで、私には朝起きて、きちんきちんと勤めに出る根気がなかったのであると正直に書かれています。海外ミステリーの翻訳や探偵小説の執筆に情熱を傾ける大作家の顔とは別の本当の性格がうかがい知れて非常に興味深かったですね。
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夢追人009
横光利一さんの4編目。モダニズム文学の作家である著者の自慢話エッセイです。知人とピンポンをされた時に学生時代は先生から運動の天才と言われた程の万能選手だった事を思い出したが、ピンポンはなかったという。学生の時に文士が集まって野球の試合をしているのを見物に行くと飛び入りで参加を許され打席でヒットを打つと三塁を回ってホームに突っ込む寸前で滑って転んでアウトになった。ぼくは本塁からファーストまで三秒半で駆け抜けた。僕は学校一の乱暴者で十分間の休憩中に十五人殴ったとの事で、お近づきになりたくないなと思いましたね。
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夢追人009
大阪圭吉さんの2編目。日本の昔の探偵小説には今日読むと出来不出来の差を多少感じてしまいますが著者の作品にはハズレがなさそうだぞと思える程に今回も面白かったですね。赤沢医師の経営する私立脳病院は没落の一途を辿り患者数が激減していって今では三人の患者「トントン」「歌姫」「怪我人」の三人の男だけが残っていたが、ある朝この三人が姿を消し赤沢院長の脳を抜かれた惨殺死体が発見される大事件が起きたのだった。本作は意外性に満ちたトリッキーな一編で精神病院と狂人たちの舞台装置が上手に活かされ誠に面白くて楽しめた秀作ですね。
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夢追人009
江戸川乱歩さんの5編目。本作は著者には珍しく「こんな話も書かれるのだな」と驚かされたコメディーではないですが堂々とミステリ―とも呼べないような要するに新婚夫婦の痴話喧嘩の顛末記ですね。夫が帰宅すると新婚の妻が写真を見ながら顔を赤らめていたので、さてこれは結婚式の時に世話をしてくれた職場の上司の課長に気があるのだなと勘ぐって立腹した夫が思い切った行動に出ます。本編の良さは結末に二転三転のどんでん返しの面白さが仕掛けられている所で著者がわざと真相をボカしている点もシャレていまして小粒な小品として楽しめますね。
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夢追人009
大倉燁子さんの2編目。著者は夏目漱石さんの門下生だったそうですよ。本作は女性私立探偵・日名子シリーズの一編で和製ハードボイルドなのかと期待しましたが、他の作品は未読ですので別として本作に関しては少しもサスペンスや興奮は感じられない穏やかな内容でしたね。旦那さんから奥さんの美耶子さんが浚われたという事件の調査を依頼された私立探偵・日名子は事情を聞いて動き出す。本作は誘拐事件ではなく犯人は最初から明白で知的興味は皆無な、贅沢に慣れ切った和製椿姫こと美耶子さんの人生模様が語られる、しんみりとした人情噺でしたね。
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夢追人009
国枝史郎さんの2編目。著者の作品は青空文庫で全126編も読めますが、ウーンこれはイマイチの出来でしたね。不景気で働き口が見つからない男が夜にとある建物の扉が開いたので中に侵入すると奇妙な男女二人に金を出すから仕事を手伝ってくれと頼まれ引き受けるとショッキングな手荒い非道な犯罪に加担させられる羽目になるのでした。本作は猟奇SFミステリ―風の作品なのですが、恐怖感がそれ程なく割合にあっさりして淡泊なのが残念でしたね。警察も犯人も落ち着き払っていますので盛り上がりに欠けましたが昔懐かしいレトロ感は味わえますよ。
人間製造
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夢追人009
大阪圭吉さんの1編目。初読み作家さんでしたが非常に良かったです。昔のミステリーには珍しく殺人の起こらない話で、それでも文句なしに面白いのですから著者の実力は確かだと思いますね。裁判のある度に頻繁に証人として出てくる器量良しの女の謎。事件の関係者とは何の関係も利害もないのに何故なのか?最初の方はダラダラと続く展開に少しイライラさせられますが、最後に素人の名探偵が現れて事件の謎をスパッと解決してくれますので心地良い気分になりますよ。奇妙な謎の解明と悪党が成敗される快感と共に「あやつり裁判」の題名も秀逸ですね。
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夢追人009
久々の新作を堪能させて頂きまして蘊蓄も素晴らしく男と女のラブゲームの恋愛ドラマにも大満足でした。今回もあまり面白くありませんが続きを考えましたのでお読みくださいね。ねえねえ、今日は豆撒きしてチューできる日だよね、早速二人でどんどんやろうよ!あんた今日は接吻と違うがな節分や!あんたの事なんか、なーんとも思ってへんし。あんた舞台で「女にフラれたとです。ヒロシです」言うて最近ごっつ儲けてるらしいな。あんたホンマにキッツイな。そしたらオレは死ぬぞ!アカン、この包丁で逆に私が殺したる。あんた見て覚えたわ「殺意」な。
夢追人009
2024/02/03 20:51

Vakiraさん、ありがとうございます。2月はもうすぐバレンタインデーですので、また新作を期待していますね!

Vakira
2024/02/03 21:47

009さん 当たり〜 たまたま 下書き書いてました。モンティパイソンのような ブラックコメディを妄想してます。

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夢追人009
大倉燁子(てるこ)さんの1編目。初読み作家さんでしたが、ジャンルとしては悪女サスペンス・スリラーといった所です。既婚の男が旧子爵の屋敷で若い女と浮気をするが、妻は第七感を持つ霊能者で全てを知り尽くしている魔性の女だった。女は夫が若い頃から何かとアドバイスをして夫が会社で出世する力になってやり良好な関係だったのだが、夫は次第に妻の自分を支配しようとする態度にうんざりして離婚を切り出すが妻は頑なに拒否し応じようとしない。やがて迎える禍々しき結末とは?著者は意外性を狙うタイプではなくある程度予想した結末でした。
夢追人009
2024/02/02 08:14

でも本作は男女の愛憎と情念の物語として異様な迫力に満ちており、論理的なミステリーとは別種の小説で捻りがなくストレートながらも今の時代に読んでも却って新鮮な印象で面白くて楽しめる普遍の魅力を持つ一編でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
江戸川乱歩さんの4編目。本作はミステリーではなく奇妙な味の掌編です。乱歩さんの作品は未読作が多いですので少しずつでも読まなければいけないなと思いますね。名のあるピアニストの男が深夜の路上で何者かに襲われ右手首を刃物で切り落とされてしまった。近くにあった私の医院へ運び込まれ彼とは親友の私が手当てして手首に包帯を巻いてやった。私は彼がショックを受けるのを見るに忍びなく惨い事実を黙っていた。彼が目覚めて右の指を動かしてもいいかと聞いたので彼の上膊の尺骨神経を指で押さえてやって普通通りに指があるように錯覚させた。
指
夢追人009
2024/02/01 10:46

彼は調子が良さそうで機嫌よく即興で作ったばかりの曲を指で演奏しているイメージを頭に思い描いていた。私が退室すると看護婦が手術室の前で青ざめた顔で棚を凝視していた。そこにはガラス瓶の中にアルコール漬けされた親友の右手首が置いてあって私は一目見て体が動かなくなった。その中では彼の五本の指がカニのようにしきりに動いていたのだった!こういう事って実際にあるのでしょうかね?彼は実はエスパー超能力者だったりしてね。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/06(2251日経過)
記録初日
2018/01/20(2357日経過)
読んだ本
3020冊(1日平均1.28冊)
読んだページ
488781ページ(1日平均207ページ)
感想・レビュー
3020件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
性別
血液型
A型
現住所
奈良県

参加コミュニティ1

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