読書メーター KADOKAWA Group

2024年3月の読書メーターまとめ

夢追人009
読んだ本
93
読んだページ
1016ページ
感想・レビュー
93
ナイス
35679ナイス

2024年3月に読んだ本
93

2024年3月のお気に入り登録
10

  • 勝山仁志
  • 王室付麻酔科医
  • せ な @ 稜 風 と ペ ア 画 予 定 @ す と と ペ ア 画 中
  • えびちゅん
  • kotaro
  • yutaka
  • ツヤマユウスケ
  • がわたん
  • さとみくんの虜🍓👑💖🐾
  • ぶぶ ひこ

2024年3月のお気に入られ登録
8

  • 勝山仁志
  • えびちゅん
  • kotaro
  • nami1022
  • yutaka
  • ツヤマユウスケ
  • がわたん
  • ぶぶ ひこ

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の5編目。別作品の「生霊」の姉妹編のような題名で如何にも恐ろしそうな感じでしたが読んでみると全く怖くはなかったです。ある代官が死んだ時に悪党が遺族を騙して家財道具全てを差し押さえ、代官が不正をしていたと虚偽の報告を拵えて宰相に送ったので代官の妻子は追放命令を申し渡された。だが、その命令が届いた時に妻の雇う女中に奇妙な異変が起きた。女中は自分が死んだ代官だと名乗り、偽りの訴えが出鱈目であると帳面で計算した上で証明してみせたのだ。それで妻子は許され悪党は厳罰に処された。現実っぽい話ですね。
死霊
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

夢追人009

読み友のみなさん2月も沢山のナイスをくださいまして本当にありがとうございました。ハー中途半端でダメでしたね。3月は絶対に盛り返して頑張りますよ!とにかく切羽詰まる所まで追い詰められない様に先手必勝で書く事を心掛けますので3月もよろしくお願いしますね!2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:77冊 読んだページ数:755ページ ナイス数:32284ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/868158/summary/monthly/2024/2

なつきネコ
2024/03/01 18:56

夢追い人さん 今月もよろしくおねがいします〜!

夢追人009
2024/03/01 19:08

なつきネコさん、今月もよろしくおねげえしますよ~ん!

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
93

夢追人009
久生十蘭さんの2編目。落語みたいに面白いユーモア時代劇の顎十郎シリーズの第2話です。南町奉行に比べてパッとしない北町奉行の同心、頑固で強情な親分の庄兵衛老人(しょんべんと馬鹿にされる)が町を騒がす毒殺事件の証拠品で毒薬の入った印籠を紛失してしまい、趣味で育てていた万年青(おもと)も弱って枯れそうになり気が滅入って溜息を吐くと甥の顎十郎が声を掛ける。意地を張って苦境を隠す老人だったが十郎は事件の真相を見破り外に誘き出された老人を助け植木屋に化けて家に来た悪党を追い返す。偶然がもたらした仕掛けが秀逸でしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの13編目。バッタ殿とんだ 天をめがけてとんだ バッタ殿とまつた 竿竹へとまつた 竿竹や高い 天はもつと高い そこでバッタ殿 いま一飛び 竿竹蹴つて 天までとんだ トノサマバッタがいますので、バッタ殿の表現は違和感がなく受け止められますね。春が来ていよいよ昆虫たちが活躍する季節になりますね。バッタは草にとまると保護色で見分けられなくなりますので気づくと驚かされますよね。バッタとカマキリは違う生き物ですね。バッタはカマキリに食べられちまうのが可哀想ですが弱肉強食の自然の摂理なので仕方ないですね。
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夢追人009
佐々木味津三さんの2編目。右門捕物帳の第2話。べらぼうに面白い大満足の読み心地でしたよ。むっつり右門が前作で手柄を立て名声が高まったのに嫉妬したライバルの四十代のベテランあばたの敬四郎との勝負に右門は真剣に燃えて必勝を誓い挑みます。事件は旗本の屋敷で主人の枕元に左目を潰された生首が三日連続で置かれるという怪談じみた奇妙な内容です。優秀な二人が知恵を絞り一進一退を繰り返す中で右門は相棒の伝六と共にあらゆる手を使って最後には奇想天外な犯罪の全貌を暴き出します。推理と人情とユーモアが融合した傑作でお勧めですよ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岡本綺堂さんの12編目。半七捕物帳の第2話で若い19歳の岡っ引きで無名の手下だった半七が見事に初手柄をあげます。小間物屋の若い娘お菊が浅草の観音様へお参りに行ったまま行方不明となった事件を半七は知る。娘は翌日には帰ってきたがすぐにいなくなり、また次の日に来ると何と母親の腹を刃物で刺し殺害して逃げる。半七は庭の石灯篭に女の小さな足跡を見つけ下手人の正体を推理する。ミステリーとしてのトリックは平凡ですが、犯人像は中々に狡猾な人非人の大胆不敵な悪党で強く印象に残りましたね。著者の時代小説は読み易くて最高ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの12編目。八ノ字山の 八ノ字ゴウロ 雪がこんこん ふつてゐる どこのお家(うち)も 戸をしめて 昼まも夜さも 知らん顔 冬の神さま 早よ去(い)んで あかるい春に なつてくれ 八ノ字ゴウロに 菫が咲いて 雉子がケンケン なく春に 著者はこの山に愛着と強い思い入れがあるのでしょうか「八の字山」と一字違いの物語バージョンをもう一つ書かれていますね。冬の神さまには本当にもう帰ってもらって来年まで来ないで欲しいですね。春の神さまは花粉症を連れて来ないで欲しいですね。もう懲り懲りです。辛い季節ですね。
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夢追人009
岡崎雪声(せっせい)さんの怪談噺の2編目で本作が最後の作品です。著者の本職は彫金家で江戸・明治・大正に活躍し67歳で逝去されました。今回の話は東京へ出て4年目で25歳の著者がある家へ遊びに行って夜の帰り道での話で世話になっている家から三、四分の場所に着いたのが十時頃だったが気が付くと十二時頃で道の真ん中で突っ立っていた所へ人力車が走ってきてぶつかって転ぶ。二時間の記憶がすっかり飛んで徘徊していたのだ。帰って寝て起きると小僧が老人の首吊りがあったと言うので見に行くと昨夜帰る時に自分が通った場所の近くだった。
夢追人009
2024/03/30 08:45

家に帰って主人に経緯を話すと「お前は死神に憑かれて幸いにも車にぶつかって倒れたから逃げて行ったのだろう」と言われたという。うーん、死神がノルマを果たそうと狙っているターゲットに選ばれずに済んだ著者は車にぶつかられて少々痛かったとは言え無事に帰って来れて誠にラッキーでしたね。

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夢追人009
土田耕平さんの11編目。自転車とほる 犬の子はしる 広告隊が 笛ふきとほる 日がかたむけば 春風さむい 走れ走れ 犬の子走れ 今はほとんどいませんが昔は野良犬が沢山いたから、こういう風景は当たり前によく見られたのでしょうね。野山を元気よく駆け回る犬の子の姿を想像すると元気をもらえますね。そういえばまだ春風は寒いですね。そうでした、昔は花粉症なんて病気は全くなかったのですね。今は杉の木の花粉で目をやられてショボショボしていますよ。それから広告隊というのは、ちんどん屋さんの事で今でも街中でも時々見かけますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
久生十蘭さんの1編目。著者はユーモラスな作風がお得意で本作も型破りで常識外れの自由奔放な読み心地でしたね。北町奉行所同心の顎が顔の半分を占めるあだ名が顎十郎が甲府で勤めて江戸へと帰る道で老僧から徳川家の将軍の子に双子の男子が生まれ厄介事を恐れた為に寺に預けられたが出家するのが嫌で逃げ出したという秘密を明かされる。十郎は関係者と出会って逃げた捨蔵の居場所の手がかり3枚の紙に書かれた文字を追い目安箱を白昼堂々と盗み出して逃げる大胆な行動に出つつ謎に迫る。論理的な推理ではなく痛快無比な冒険物語の味わいでしたね。
loanmeadime
2024/03/29 18:38

大原麗子さんの「顎さんのバカ!」に痺れっぱなし

夢追人009
2024/03/29 19:28

ありがとうございます。大原麗子さんは「顎十郎捕物帳」のTVドラマに1968年に当時22歳で出演されていましたね。そして2009年に62歳でお亡くなりになられたのですね。私はこのドラマは見ていませんが、こうして永遠に熱烈な時代劇ファンの記憶に残り続けるのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
佐々木味津三さんの1編目。著者は執筆に頑張り過ぎて健康を害し急性肺炎で38歳の若さで逝去されたとの事で誠に惜しいですね。むっつり右門は八丁堀の26歳の若い同心で普段は喋らない黙り屋ですが奮起するとインスピレーションの名推理で迅速に行動するのですね。相棒はおしゃべりの岡っ引きの伝六で二人の掛け合いのやり取りも楽しいです。今回は南町奉行の芝居に見せかけた岡っ引き殺しに眠りの秘術に侍の誘拐という大掛かりな犯罪を右門がスピーディーに解決します。少し上手く行き過ぎの感もありますが、とても面白く存分に楽しめましたよ。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
岡本綺堂さんの11編目。江戸時代の日本のシャーロック・ホームズ「半七捕物帖」の第1作ですね。時代劇ですが今読んでも全く違和感がなくサクサク読み易い非常に面白い完成品ですね。武家へ嫁いで四年になる妹お道が幼い娘お春と一緒に実家に帰りたいと言い出したので兄の松村が事情を聞くと、おふみという全身びしょ濡れの女の幽霊が枕元に夜な夜な出るのだと言い、娘も毎夜「おふみがきた」と泣くのだという。松村はKのおじさんに相談し岡っ引きの半七が鮮やかに怪談の謎を解明する。意外性十分な半七の名推理と人柄の良さに惚れ込みましたね!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
夏目漱石さんの1編目。ユーモアエッセイではありますが病院が舞台で人の生死に関わる話題が書かれていますのでナンセンスな内容ではなくて淡い面白みですね。著者が入院していると隣の病室から変な音が聞こえてきたので?何の音だろうかと気になる。どうも大根おろしの音のようだが病院では料理などは禁じられているだろうに。はっきりと確かめないままで退院し、暫くして再入院すると偶然に看護婦の女性と話す機会が来て漸く謎が解ける。患者さんが足がほてって仕方ないので胡瓜を擦って冷やしてあげたという。だが退院後に直腸癌で亡くなられた。
変な音
夢追人009
2024/03/28 09:58

著者の病は快方に向かいまして健康で生きていることのありがたさをじんわりと噛み締められているようですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
鈴木鼓村(こそん)さんの3編目。これが著者の最後の作品です。京都時代に箏の教室を開かれていて十九歳のある娘が習いに来て弟子になった。彼女は上手な腕前で自分では結婚を望まなかったが、ある時に男から器量よしを理由に見初められて結婚した。最初は仲睦まじく幸福だったが実はこの男はこれが三度目の結婚という放蕩者の悪い男で次第に本性を現して妻をなおざりにして外で遊び回った。妻は持病の肺病を悪化させて寝込み遂に亡くなる。遺書が二通出てきて一通は私への感謝で二通目が愛用の二面の箏を売って得た金を葬儀費用にしてくれとの事。
夢追人009
2024/03/27 12:30

この二面の箏はすぐに戻ってくるでしょうと予言していた。著者が作家の家を訪ねて夜泊めてもらって寝ていると箏の音が響いた。後にそれは弟子の娘が臨終を迎えた時刻とピッタリ同じだったと知ってゾッとした。、娘が売った二面の箏は著者の弟子二人が一年の内に二つとも中古店で手に入れて娘が予言した通りになった事にも驚いたのである。悪い夫が何の罰も受けなかったのは少し残念ですがまずは古風な風情の怪談噺で楽しめましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
鈴木鼓村(こそん)さんの2編目。東北地方の寺に伝わる怪談噺です。明治二十二年の秋に東北の或る連隊に所属する軍曹の若い青年が母方の大叔父にあたる住職を訪ねて教えてもらった話。住職が三十代の若い頃、冬の雪の舞う晩に美しい着物を着た娘が寺に来て面会を請うた。彼女は一人娘で婚礼を目前にして亡くなり両親が悲しんで婚礼のままの姿で葬ってくれまして私もこの世を去り難くなりましたのでご住職様にお願いにあがりましたと涙ながらに訴えました。住職は剃刀で娘の黒髪を根元から切ると娘は微笑み棺に入れた古鏡と黒髪を寺に残して去った。
夢追人009
2024/03/27 11:47

この二つの品は今も寺に残されていると言って大叔父が見せてくれたという。これも全く怖くはないですが心に残る良い話ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
鈴木鼓村(こそん)さんの1編目。食べ物を持ち帰ると災難に遭う話です。さる家で昼飯を頂いて塩カツオが美味しかったと言うと土産に包んでくれて帰り道を歩いているとまだ昼間なのに辺りが暗くなった。これは狐か狸の仕業だと思って座り込み、この塩カツオが欲しいから悪戯するのだろうが俺はお前にはやらんぞ!と言ってムシャムシャと残らず食べて皮でも食らえと放った。すると辺りが元通りの明るさに戻った。だが塩気を食べて喉が渇き水を大量に飲んだので下痢になった。怪物に勝ったが結局は負けたのかもしれぬ。京都の茶屋でも似た事があった。
夢追人009
2024/03/27 11:16

宴会の帰りに折り詰めを下げて雨傘を差して歩いていると傘が異常に重く感じられるようになった。そこで今度も腰を下して土産を食べ尽くしてしまうと傘の重みが消え普通になった。昔からよく言うように、こういう時には気を確かに持つ事が肝心だろうよ。全然怖くはないユーモラスな愛すべき怪談噺ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの11編目。体格の良い藤岡さんが陸軍士官学校の試験に挑んで二年続けて不合格となってしまった悲惨ながらも何となくユーモラスな顛末記。一年目に落ちた理由は体格検査の時に何と後頭部にある小さな頃に火傷のせいで出来た禿を見つけられた事なのだった。友人たちからもう一度トライしてみてはと勧められて二度目の体格検査に臨むと前回とは別の教官だったので幸運に心が有頂天になった。ドキドキしながら相対すると禿を指摘されたがスルーされた感じで更に喜んでいると最後に心臓の不整脈を理由に不合格となりショックで失神する。
夢追人009
2024/03/26 10:45

でも不合格となったお陰で軍人にならずに済んだのが藤岡さんにとっては逆に人生の幸運だったと言えるでしょうね。勝負に負けて人生に勝つ幸福も確実に存在するのですから誠に♪人生って不思議なものですね。小椋佳さんの詩で美空ひばりさんの歌唱の名曲「愛燦燦」の一節ですよ。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの30編目。本編が青空文庫で読める著者の最後の作品です。愛を信じないで生きて来た男の人生の物語です。年上の役者・大ちゃんと暮らす下宿屋の二階で夜になると下から聞こえて来たのは戦時中の軍歌を大声で歌う娘の声だった。大ちゃんは見た事もない女を愛し、女が明日はどの歌を歌うのか俺にはわかるんだと遅く帰ってから予言する。男は大ちゃんの無垢な幸福感を馬鹿にして笑いながらも嫉妬するのだが…。男は女の姿を一度だけ見下ろして小娘だと知り遂に女と会って恋愛はしないが心境が変化します。面白く良い話でお勧めしますよ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの7編目。本編はタイトル通りそのものズバリのショッキングな実話風小説です。知人と列車に乗りながら彼の体験談を聞く。線路の枕木に寝転がっていた男が列車が近づくと飛び起きて逃げたので見ていた彼はホッと安堵した。だが暫くして再び線路に転がった男は列車が来ると起きて走り出し列車に正面から向かったのである。その話が終わると乗っていた列車が駅でもないのに停車する。外を見ると駅員が車体の下から足を引き摺り出し逆の側には女の首が転がっていた。その場に死体を放置して列車が走り出す。乗客に配慮したのでしょうか。
夢追人009
2024/03/25 11:43

今なら警察が来て検死を行い長時間乗客が留め置かれそうな気がしますが昔は割とドライにてきぱきと処理されたのかもしれませんね。まあ轢死人の体験談を話している時にリアルタイムで実際に同様の事件が起きるなんて出来すぎの作り話のように思えますが、案外本当の話かもしれませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの10編目。今回もちょっとだけ医者が出てくる話ですよ。冬の夜に煙草をスパスパ吸いながら按摩に揉んでもらっていると煙たがるのでニコチン中毒で仕方ねえんだと話す。按摩は私は昔モルヒネ中毒だったのが目を潰して直したんですと言うのでギョッとする。按摩は己の秘密を告白する。恋敵を短刀で刺して殺すと血が目に入って酷く傷んだ。死体を放置し逃げだすと病院に駆け込んだ。医者がモルヒネ注射を打つと痛みが消えたが毎夜痛くなり注射する日が続き右目を失明する。やがてモルヒネの快楽に目覚め遂には自ら左目も潰してしまう。
夢追人009
2024/03/25 10:56

肝を潰して煙草を吸うのを止めた客に按摩が言う。今の話は嘘で私は生まれながらの盲目ですよと。ストーリー自体よりも按摩の語るモルヒネに酔う男の禁断の快楽描写に心を奪われるアブノーマルな魅力漂う一編でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの29編目。本編は著者の中学三年生の頃の人生を描いた自伝的な作品ですね。戦後、同級生達が土方仕事に駆り出される中で病弱者として同学年の山口と上級生達と居残り組になって過ごす恋愛もなく怠惰で無為な日々が描かれています。昼に自分の弁当を半分こして山口に与える著者。後に山口が昼飯を抜く理由が貧しさではなく裕福なのに家を建てる資金の節約の為だと噂を聞いて怒りますが自分が勝手にたべることを強制したのだからと納得します。平和な今よりも戦時中の方が必死で生きていて充実していた。著者の感慨にうなずけましたね。
煙突
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!少しずつ主題が明らかになって行き、どんどん期待が高まりますね。すみませんが今回もアホな事を書きますね!ミーちゃんはベッドの中で悪夢を見て寝汗をかきうなされていた。♪雀、雀、私の心~私は増田恵子、ピンクレディーはミーと私ケイで中島みゆきさん「すずめ」でソロのヒット曲も出ているから忘れないでよね!ごめんなさいね。誰か私を見て頂戴なお願い見てよ!すると三度笠を被った若い衆がみーちゃんの目の前にスッと現れた。♪やだねったらやだね、やだねったらやだね、箱根八里の半次郎~!氷川きよしさんだった!
夢追人009
2024/03/26 11:30

ネギっ子genさん、ありがとうございます。私は中島みゆきさんの歌は暗すぎて性に合わず、さだまさしさんのファンですが、セルフカバーアルバムはそれだけ心を込めていろんなアーティストの方々に楽曲を書いて来られたという証でしょうね。コメントを下さって、ありがとうございますね。

ネギっ子gen
2024/03/26 12:59

あ、さだまさしもいいですねぇ~。特にあの語りは絶品で。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
森川義信さんの詩の1編目。枝を折るのは誰だらう あはただしく飛びたつ影は何であらう ふかい吃水のほとりから そこここの傷痕から ながれるものは流れつくし かつてあつたままに暮れていつた いちどゆけばもはや帰れない 歩みゆくものの遅速に 思ひをひそめ 想ひのかぎりをこめ いくたびこの頂に立つたことか しづかな推移に照り翳り 風影はどこまで暮れてゆくのか みづから哀しみを捉へて佇むと ふと こころの佗しい断面から わたしのなかから 風がおこり その風は 何を貫いて吹くのであらう 答は己の心に問いかけましょう。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの6編目。有名な「浦島太郎」以外の竜宮にまつわる日本の民話3つを紹介されどれも面白かったですね。①竜王の御妃の乙姫様がお産の前に猿の肝が食べたいと言い出し相談された亀が猿を騙し竜宮へ連れて行くと門番の海月が肝を取られるよと教える。猿は肝を家に忘れたと言って陸に帰ると高い木の上に昇り亀に向けて「海中に山なし。身を離れて肝なし」と言う。②河童が馬の睾丸を抜こうとして馬方から怒られお詫びに竜宮から珍しい宝を持ってきて渡す話。③海底で宝を見つけた漁夫が心配になり竜宮に預けようと海に潜りいなくなる話。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの9編目。ミステリーではありませんが著者のお得意な医学小説ですね。隠居の老婦人の具合が悪いからと呼ばれた医者が家を訪ねると私の家系は一旦血が流れると止まらなくなって死ぬ病に冒されているのだと話し、私は百五十歳になるまで月のものが無かったのですが初めて血が流れました。どうか私の命を助けてくださいと頼む。医師は血友病は男子しか発症しませんから、あなたは大丈夫なのですよと説明する。すると老婆は医師に飛びついたので驚いて身をかわすと倒れそのまま死んでしまい、安堵による死で私の責任ですよと医師は言う。
夢追人009
2024/03/24 12:09

医学的な事の真偽は私にはわかりませんが、誠に残念でしたね。この話とは全然無関係ですが、あの成瀬さんには元気で二百歳まで生きて欲しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの28編目。終戦後の茅ケ崎の米軍キャンプに兄に同行しバンドボーイとしてアルバイトで働く大学生の青年・信二の一年を描く青春小説ですね。日本人娼婦達に混じって一際輝く美人「黒い女」に惚れて米兵の伍長専属の囲われ女だとは知りつつもいつか一度でいいから抱きたいと願うのだったが…。粗暴な米兵と喧嘩をやらかしてバンドをクビになり、先輩バンドマンの安達ダーチーは不慮の死を遂げる。本書を読んでいて近年の沖縄で起きた米兵の乱暴事件が頭を過ぎりました。ずっと逞しく元気に生きていく女達と彼の人生に幸あれと願います。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの5編目。坪井という男が年老いた伯父の家を訪ねたところ、伝来の刀剣を見て一本に心を強く引き寄せられる。叔父にぜひとも欲しいと言うと拒否されたが強く懇願して借り受ける。その夜から家で寝ていると白衣の女人が寝間に迫ってくる夢を三夜続けてみる。試しに友人を家に泊まらせると彼は大きな蜘蛛が間近に迫る夢を見た。この話を聞いた私が坪井から刀を借りてきて家に置き寝て幽霊が出るのを期待したが別に何も起こらなかった。三人の息子にも試したが同様であった。これぞ完全な肩透かしですね。うーん、どうしてでしょうかね?
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの8編目。これは短くて良い医学小説で読後に晴れやかな気分になりますよ。新米の医者が初めての往診で患者の家を訪れ診療の処置をした後で自分の失敗に気づき心が動揺して蒼白な顔で家に逃げ帰って来る。幼い坊やにカンフル注射をしたつもりが、モルヒネであったのだ。これはヤバイと一目散に家を出てドキドキしていると子供の母親が家に訪ねてくる。子供が医療器具をイタズラで玩んで壊してしまいまして。それで体の具合はどうなのですかと問うとお陰さまで元気になりましたと言う。彼は安堵してボロボロと涙を流した。良かったね!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの11編目。私が十一か二の冬の夜に母が「熟柿を買って来ないかえ」と、母の癖で頬を真っ赤にして私に頼んだ。近所の果物屋で5銭で大きな熟柿を買って帰ると母さんが包丁で切って自分は小さな方を私には大きな方をくれて食べると美味しかった。子供の頃は言われた通り当たり前のようにに受け入れ不愛想にしていたけれど、母が亡くなって二十年経った今では、母に半分こにした大きな方をあげればよかったなと悔やむ。母は一生を不幸に過ごした人で思い出すと悲しくてならない。もう帰らぬ夢だ。時々、お墓参りをして供養してあげてね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの27編目。著者の未読は残り4編で長大な作品ばかりです。本作も69頁で身勝手な男の物語です。大学性の時からの演劇部の仲間で今も仕事を共にする人妻の真理子が突然に睡眠薬を飲んで自殺する。主人公の独身男・久保は一年前に彼が四年間続いた演劇仲間の富子と自分から切り出して別れた事を真理子から非難されていた。何一つ逆らう事無く自分にひたすら盲従する女が嫌になったのだ。最後まで読んでも真理子の自殺の理由も、彼が富子とよりを戻すのかもわかりませんが、彼の心が変わってハッピーエンドになって欲しいと願いますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの4編目。童話ではなく寓話という副題が付けられた大人の男女の奇妙で悲しく切ない物語ですね。戦災の焼け跡に立つ狸に似た大きな石に或る夜、青白い火がどろどろと燃えると共に男が現れた。狸石に向かって自らの想いを切々と訴える。するともう一人女が現れ私を捨てて狸石に会いに来たのねとなじり、私は十を数えてあなたを待っていたけど来ないから立ち去ったわと話す。男はもっと待ってくれたら間に合ったんだと二人で言い合う。二人が狸石に聞くと「わしは十を数えたりしないな」と言った途端に男女は消え失せ狸石も後に消える。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの7編目。著者は医学博士だけあってこういう医学系ホラーサスペンス小説では本領を発揮して異様な迫力に満ちた作品に仕上がっていますね。三十代の男が妻と共に医師を訪れ自分は死んでもいいからと覚悟して右の肩にできた肉腫を切断して欲しいと頼む。博士は熟慮の末に男の依頼に応じ、手術は無事に終わる。目覚めた男は博士に切断した右腕の肉腫を見せてくれと言う。男は手術に使用したメスを借りると左手に構えて切り取られた肉腫に対峙する。彼は右腕を切られたのを理解すると左手の指で肉腫を掴み断末魔の痙攣をし血が飛び散る。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの10編目。芝の芽の萌えるころは ふるさとの丘を思ひだす ゆるやかにふわふわと雲の浮かんだ あの丘山を 犬ころが走り 凧があがり ぼくらは寝そべつてゐたつけが「どこへ行かうかな」「大きくなつたら」「海へ――空へ――遠いところへ――」誰やかれやみんな叫びあつた――芝の芽の萌えるころは ふるさとの丘を思ひだす ゆるやかにふわふわと雲の浮んだ あの丘山を ああ誰もかれも みんな大きくなつただらうな。郷愁の想いが読後に自然に込み上げてくる詩です。もう一度幼い頃の自分に戻って大地に寝転びたくなりますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの26編目。64頁もの長さの中編恋愛小説ですね。これは読み通すのに時間がかかりましたね。ダラダラとした展開でいつ終わるのか先が見えず苦しかったですが何とか意地になって読了しました。人を愛せないクールな大学生の男が友人の妻と関係を持ち週に一度借りたアパートで会ってズルズルと愛欲の日々を過ごす。ラストは思い切った展開になり彼も久し振りに涙を流して人として変化する兆しが見えます。いつもの軽妙な作風ではなく純文学の趣きで面白いとは言えず必読とは思いませんが時間のある時にじっくりと読んでみてくださいね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの6編目。読後に恐ろしい不気味な余韻が漂い長く忘れらそうにない医学サスペンス怪奇譚ですね。男六人女三人の集まりで共食いをテーマに話を発表し合い最後のトリを務めるのが元看護婦のC子さんだった。ある大学病院の産婦人科教室で医療関係者を集めて経験豊かな男性医師が患者の子宮摘出手術を行い見学する会合があった。だが助手を務めるC子さんは先生の誤診と衝撃のシーンを垣間見てしまう。医師は小さな胎児に見えた物を持ち去り追いかけて見つけた場所で口を血だらけにしていたのだ!一刻も早く忘れたいおぞましい話ですね!
夢追人009
2024/03/21 12:32

中村ですさん、ありがとうございます。さすがにそれはなく自分の失敗を誤魔化す為に体内に入れて証拠を手早く処分したのでしょうね。

中村です
2024/03/21 14:13

うわぁ😱…そうなんですね…

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの9編目。激しい雨風の夜に山小屋で一人で暮らす爺さんがランプの灯りを見ながら目を開いたり閉じたりしながらウトウトしておりますと、韋駄天、観音さま、そして天童が目の前に現れます。天童は山へ草刈りに来て一緒に弁当を食べた少年が病気になって死んだのが生まれ変わって会いに来てくれたようです。朝が来て起きると嵐は過ぎ去っておりランプは芯が燃え尽きて消えていました。お爺さんは60歳を過ぎて白髪でとても弱弱しく描かれていますが、今現在の私達の生きる時代との違いを痛切に感じますね。まだまだ元気で長生きしてね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの25編目。本作は中々に難解な死後の世界を描いた幻想物語ですね。カトリックのキリスト教徒のフランス人青年ジャンが仏教に憧れて日本にきて自殺する。新盆に彼岸に留め置かれた彼は鳥の姿の者から今日一日の夜十二時まで自由時間を与えられて下界へ降りて東京見物をする。だが盆踊りをする人々にうんざりし日本人が意外にお盆の行事を行っていないのを知って失望する。だが美女と知り合って店で話す内に彼女が自分とは逆に西洋とフランスを愛する人だと知る。お別れの時が来て天に昇り始めると、そうか彼女も仲間なのだと気づく。
夢追人009
2024/03/21 10:50

本作の一番の良さは死後の世界を描きながらも暗さが全く感じられない所ですね。彼は少しも慌てず死後もゆっくり長い時間をかけて仏教を学んでいくのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!私は安部公房さんの著作はこれまで一冊も読んだ事がありませんので、また機会を見つけてぜひ読みたいですね。魅力的なタイトルですし小ムービーのシナリオ編に期待していますね。今回も続きを考えましたのでお読みくださいね。シナリオは構想中だけどね、イメージソングの企画が出来たんだよね。懐かしのフォークシンガー・山崎ハコさんに歌ってもらうんだよ。候補曲は2曲、箱根の山は天下の瞼~と、はるばる来たぜ函館へ~あなたと食べたい酒茶漬け~!この陽気な歌をマイナーで陰気な短調にアレンジして歌ってもらうのさ!
Vakira
2024/03/21 11:26

009さん お読み頂きありがとうございます。またしても山崎ハコ!!!よくご存じで~ 昭和歌謡の箱シリーズギャグ ありがとうございます。

夢追人009
2024/03/21 11:47

Vakiraさん、ありがとうございます。ネタ的に苦しくなってきますが何とか頑張りますね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!いつも詩的なイメージの話でムードが良いですね。バキラックスさんの独特な世界観が冴え渡って何とも言えない味わいがたまりませんね!今回もあまり面白くなく出来はよくないですが続きを考えましたのでお読みくださいね。剛君たら目が覚めたら縦縞のユニフォームを着ていきなり塀に向けてピッチングを始めたのよね。喫茶店に入って水飲んで梅干し弁当を広げて食べるの。自分は横浜学院の土門剛介と思ってるのよ。神奈川県に行って明訓高校の山田太郎・岩鬼正美・殿馬一人・里中智を毎日探してるわ。いつか見つかるかしらね?
Vakira
2024/03/22 22:12

009さん お読み頂きありがとうございます。うひゃ~ ドカベンやん!昭和じゃ~ 楽しま頂き頂きありがとうございます。

夢追人009
2024/03/22 22:50

Vikiraさん、ありがとうございます。太郎からの連想でドカベンになりましたよ。次はエイプリルフールで楽しませてくださいね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
相馬御風(ぎょふう)さんの1編目。題名から怪談だと想像していましたが、実はそうではない奇妙で愉快だが少し切ない話ですね。小学校の図工の時間に教師が生徒に粘土で何でもいいから自由に作りなさいという課題を与えた。みんな喜んで作り始めたが、日頃からぼんやりしている劣等生の子どもが何もせずに粘土を見つめていた。教師が彼を叱るとこんな返事が返ってきた。幽霊を作ろうと思うが母さんから幽霊には足がないと聞いたので、どうやって立たせようかと考えていたのですと。うーん、それじゃあ幽霊に逆立ちさせなさいという手もありますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小酒井不木さんの5編目。ニューヨークが舞台の男女の色恋の犯罪実話風小説です。著者は論理的な探偵小説がお得意ですが気分を変えてユーモラスな軽い読み物に挑まれたのでしょう。金持ちの宝石商グレイジー(偶然でしょうけれどクレイジーに濁点を付けた名前ですね)が若い未亡人に恋をして彼女に盗みを働かせていたが、いよいよ我慢できなくなり駆け落ちして逃げようと持ち掛ける。女にその気はなく毒を酒に仕込んで男を殺そうとするが動揺して怪しまれ見破られる。だが男は女を追う途中で持病の心臓発作で死ぬ。私の頭が変?と自虐オチでしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの8編目。本編は著者の家族の実話で、旧仮名遣いの「おぢいさん」という表記が味があって良いですね。著者の生まれるずっと前のわずか42歳で亡くなったお爺さんは本が大好きで離さずに持っていて読んで道を歩いている内に遠く離れた場所まで来てしまったという話には好感が持てますね。もし電車に乗ったらきっと読書に没頭して始終乗り過ごして終点まで行ってしまったに違いありませんね。「わしはうそ字なら知らぬ。ほんとの字で知らぬ字は一字もない」難読漢字も読めて薔薇とか魑魅魍魎とかスラスラ書けただろうなと尊敬しますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの24編目。星新一さんが描く様な世界観を思い出させるSFファンタジー作品ですね。妻との間に愛する事の義務感が生じ始めて憂鬱な気持ちになっていた夫が身長5cmの小さな彼女と知り合って宇宙のいろんな星についての話をしながら心を通い合わせる。妻とは心が離れていき季節は秋から冬へ年末になろうという頃に小さな彼女が不意に別れを切り出す。同じ種族の青年も地球に来ていて実はその青年は妻と知り合っていたのだった。単純な事実、人間は同じサイズでないと愛し合えない。著者の優しさがよくわかる心和らぐラストでしたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの7編目。短くて面白くて無邪気なとても良い話ですね。旅人が川の前で向こう岸へ渡る手段がなくて困っていると奇麗な顔をした美少年の乗った舟が川を流れて来て「渡しのコン助というものだが渡しの御用はないかな」と聞いたので乗せてもらって無事に着いたが、途中で少年に尻尾があるのを見て狐なのだと気づいた。男は葉っぱを少年に小判だと言って差し出しこの辺りに出るという狐には気をつけなさいと言って別れる。その後宿屋に着くと少年からの預かり物だという箱の中に狐の手紙と一緒に小判があったが火にあてると燃え尽きました。
夢追人009
2024/03/19 12:27

男は主人に狐の話をして二人で大笑いしました。狐の手紙は宿の主人が家宝にしたとの事です。この狐は間の抜けた所があって少しも悪質ではありませんので心がホッコリする良い話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの3編目。本作は全く無邪気ではない哀しい大人の童話ですね。ペルシャの大変えらい学者が魔法を会得したいと思い立ち旅に出ると森の中で舞い踊る女精たちを目にしますが同時に恐ろしい声がして「お前の望みを叶えてやるから夜空の星の数とお前の髪の毛の数を言ってみろ、もしもわからなければ沼に飛び込んでしまえ」と言います。学者はどうしてもわからないので沼に飛び込んで底へと沈んでいきました。目覚めると自宅で年老いていて彼は二つの問いの答を得ており変身する魔法を会得していて、自分を死なずにいられる石に変えました。
夢追人009
2024/03/19 12:01

家の人が彼を見つけると王様に知られ宮殿に運ばれていろいろと質問されましたが石になっていたので何も答えられませんでした。彼は学者たちから敬われ大切にされました。うーん、死んではいなくてもこれじゃ死んでいるのと同じですね。この話は人間は大それた願いを持たない方がよいのだという教訓なのかもしれませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの23編目。世間によくある芸能界を舞台にした恋愛スキャンダルの物語です。15歳でバンドボーイとしてスタートした青年が40歳のベテラン女性歌手と逢瀬を重ねて3年後には暮れの紅白歌合戦に出場する人気歌手へと出世する。翌朝の元日に女が男を電話で自宅に呼び出し過去の密会での二人の会話の録音テープを週刊誌に送ると言って脅迫する。だが男は内心では女を憎みながら女をなめてなだめすかした上で立ち去る。この二人の愛は最初から最後まで打算的な虚飾の偽りの愛だったのでしょうね。彼女は次の人生を頑張って欲しいですね。
愛の終り
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
沼田一雅さんの怪談噺の2編目。著者の作品は惜しくもこれが最後ですね。2つの怪談で私はどちらも好きですね。『白い光り』下宿に住んだ二人の男が等身大の白い光りを目撃したので下宿の主人に聞くと前に住んでいた貧乏な大学生の男が肺結核を患い縊死を遂げたのだという。『上野の鐘』銀行員の男が二人の女の内自分の好きな方と結婚すると六十路のお婆さんが病になり息子を恨んで死んだ。それから嫁さんの方も病に倒れ深夜に上野の鐘の音がボーンと鳴る音がすると同時に天井から怪しい足音がして嫁の眠る真上まで来ると下の嫁の脈が絶えたという。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
沼田一雅(いちが)さんの怪談噺の1編目。本作は明治42年(1909年)に発表された今から200年以上前のクラシックな逸品ですね。東京・柴の上方風の屋敷に住み込んだ男が夜中に便所に行って便器にしゃがんでいるとゾーッと寒気がしふと窓から庭を眺めると浴衣を着て顔が真っ青な白髪の気違い婆さんのような姿が見えた。それが八月の半ばで忘れかけた十月の夜中に再び便所の窓から不気味な白髪の婆さんを見たのだ。彼が家主を問い詰めると昔住んでいた婆さんが若い男に金を騙し取られた果てに狂い死んだというので男は僧侶に供養して貰った。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの6編目。おほ寒こ寒、山から小僧が、とんでくる……。寒い冬の夜に幼い子供がおばあさんの口ずさむ童謡についてたずねるとおばあさんが少しも面倒くさがらずに親切に疑問に答えてくれる。田舎の素朴な暮らし。大きくなって都会に出た三郎は幼い頃の優しいおばあさんの思い出を大事に心の中で今も温めているのですね。ああ、とてもいい心に沁みる話ですね。私は昔も今も田舎暮らしなのですが、おばあさんはおっかない感じの人で近寄り難くて、こういう経験がありそうで全くありませんでしたので、三郎くんがうらやましくなりましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの22編目。海辺の事故で幼い息子を失った夫婦の物語。どうにも悲しくて遣り切れない気持ちになった妻が家を離れて女友達と暮らしていると去年のクリスマスに来年は僕がママに花束を贈るよと言ってくれていた花束を自分が用意していたのが届く。だがよく見ると自分が注文したのとは店の名前が違っていたのだ。この題材ならばオカルト仕立てにもできたでしょうけれど著者はそうせずに真面目な夫婦の和解のストーリーにして、そこに息子の幾分かの両親を別れさせない気遣いがあったような気分を漂わせていますね。夫婦愛を信じましょう。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの21編目。本作は著者の代表作である事が強くうなずける戦争文学小説の傑作ですね。戦争末期の小学生の頃に東京からの疎開児童として3か月を過ごした町を久々に訪れた彼は田舎の夏の葬列を見た途端に忌まわしい記憶が一度に甦る。あの時も葬列を見て東京から来た唯一の年上の女子生徒が一緒で、その時突然に空に米軍の爆撃機が飛来したのだった。白いシャツを着ていると目立つと教えられた服を着た女性が助けに来てくれたのに彼が突き飛ばした為に女性は銃撃を浴びて倒れる。彼は彼女の体の様態も確かめず逃げる様に町を出て行った。
夏の葬列
夢追人009
2024/03/17 08:56

翌日は終戦の日だった。それは彼の心のトラウマとなり数十年ぶりに彼は真実を知って心を打ちのめされる。幼くて未熟だったからという理由だけでは許されない生きている限り己の心をさいなみ重く心に圧し掛かる一生続く強烈な傷ですね。戦争は残酷なドラマを多く生み出す恐ろしい悪魔の如き災厄であることが強く実感されましたね。彼には誠に辛いことでしょうけれど決して悲しい現実から目を背けずに逃げずに彼女を悼んで今後も時々この町を訪れて供養してあげて欲しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
寺田虎彦さんの1編目。著者はエッセイストの方のようで良い味のある文章で非常にユーモラスで面白いですね。蒲団を引っかぶって固く目を閉じると何も見えぬ。しばらくすると真赤な血のような色の何とも知れぬものが暗黒の中に現れる。なお見ているとこれが次第に大きくなって突然ぐるぐると廻り出す。それはそれは名状し難い速さで廻っているかと思うと急に花火の開いたようにパッと散乱してそのまた一つ一つの片が廻転しながら縦横に飛び違う。血の色はますます濃くなって再び真黒になったと思うとまたパッと明るくなって赤いものが廻りはじめる。
夢追人009
2024/03/16 11:50

こんな事を繰り返しているうちに眠りの神様は御出でになる。きっとこの血のような花火のようなものが眠りの神の先駆のようなものであろう。熱帯地方の山川草木禽獣虫魚は皆赤いもののような気がして仕方が無い。これは多くの地図に熱帯を赤く塗ってあるからであろう。先生赤い涙があるもんですかと、真面目で聞いたのは僕の友達じゃ。赤とは火の色なり、血の色なり、涙の色なり。素晴らしい、面白くてワンダフルですね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの2編目。これまで知りませんでしたが豊島さんは素晴らしい方ですね。作品数も多いですし、これからどんどん読もうと思いますね。このお話は二人の猟師が腹鼓(つつみ)を打つ狸を鉄砲で撃とうとして逆に騙され村の賢い御隠居さんに相談すると狸を縄で縛って化かした理由を聞き出し善行をすれば助けてやると約束します。狸は約束を守り村の八幡様の社を奇麗に掃除してくれました。それからは村人たちと狸が年に一回、秋の月のいい晩に八幡様に集まって「狸のお祭り」の酒盛りをして老若男女・人間も狸も浮かれて踊り騒ぎましたとさ。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
坂口安吾さんの11編目。石川淳さんのように正しく古典を解するとともに正しく近代に身を置く人は稀にしかない。彼の文学の浪曼性は虚妄の秩序をしりぞけること、いきおい悪の華を開花せしめる如くに展開するが、その思考の基は古代から現代に至るまで一貫して揺ぎのない正論の選択と発見の上に成り立っている。一朝一夕に思いついたところは微塵といえどもないのである。彼の文学は怱卒そうそつな現代に於て味読に価する最も意味の深遠な作品と言えよう。石川淳さん著「鷹」の帯に書かれた言葉ですね。青空文庫の登録日が2024・2・22です。
「鷹」
夢追人009
2024/03/16 11:04

今も日々、青空文庫は更新を続けているのですね。今も講談社文庫で読める石川淳さんの作品「鷹」を読んでみたくなりましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの20編目。友人と待ち合わせの喫茶店で彼はふと視線を感じ、昔お世話になっていた貸本屋の女主人・頼子が自分を見つめていて小さな女の子を連れているのを知る。今から十三年前の記憶。「バラックの貸本屋の屋根裏、二畳ほどの彼にあたえられた部屋の中に、ふいに頼子があらわれたのは、その年の秋、停電の夜半だった。目がさめると、もう頼子の姿はなかった。しかし、はじめての経験の記憶はあまりにもなまなましく、わけのわからない恐怖が彼をおそっていた。」省略の描写が上手ですね。娘はいつか真実の父と再会すると思えますね。
十三年
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの5編目。小学四年生の担任の牛島先生は中学を卒業したばかりの若い先生で生徒たちを外に連れ出して鉄道線路の踏切にある立札の文句「きしやにちゆういすべし」を読んで「おめえたち、きしやってなんのことか知ってるか」と聞き「きしやというのは汽車のことではねえ。騎士屋というとても強い人が昔おって汽車も逃げていったもんだが今の野郎どもはみんな弱くなっちまって情けねえ世の中だ」と訳の分からない事を言った。でも先生の話ぶりが愉快だったので本当の騎士屋のようにとても頼もしく思われました。駄洒落先生は人気者ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
豊島与志雄さんの1編目。犬が大好きな方が読んだら喜びそうな童話です。山奥の村に住む八太郎は独身でのんき者、遠くの町へ日雇い仕事に行った帰りに二匹の子犬がいるのを見つけて故郷の村には犬が一匹もいないこともあり可愛いので懐に入れて持って帰りました。村の子供達も珍しいので食べ物を持ってきてくれて最初は順調でしたが犬は雌と雄だったので子供を産み段々と増えてきて食べ物が不足し困りました。犬達が村中から食べ物を盗んで来たり泥棒を捕まえたりと何とか無事でしたが、犬はさらに増えて…苦しい結末ですが彼らの幸せを祈りますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの19編目。著者お得意の心理サスペンス小説で、そう来たかと周到な企みに唸りましたね。姉の身を心配する妹。私が不甲斐ないから姉は妻子ある男に騙されて遊ばれようとしている。私は窓の外にあいつが家族を連れて歩いているのを見たのよ。でも見ていらっしゃい。二人で家に帰ってきたらこのナイフで卑劣な男を刺して姉さんを救ってあげるわ。破滅に向かって静かに着実に進行する物語。最後に姉と男が語る会話で明らかになる意外で残酷などんでん返しの真実。この姉妹は日頃から何事も包み隠さずに本音で話し合わなくちゃ駄目ですね!
歪んだ窓
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの4編目。村の鎮守のお祭りの日に太郎さんは掛小屋で一銭銅貨を払って、のぞき眼鏡で4枚の絵を見ました。田舎では活動写真の映画館などありませんから子供達は大満足です。鎧武者と土人と兵隊さん、そして四枚目は西洋の女の子が花を摘もうとしている絵でした。太郎さんは早くサッサと積めばいいのに馬鹿だなあと思いました。その夜に夢の中に出て来た女の子がこの花を摘んでもいいの?と聞いたので、いいよと教えてやりました。朝起きてもう一度昨日の場所に行ったけど既に全部消えてありませんでした。少年の淡い初恋の記憶ですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの18編目。幻想的で悲劇的な少年と少女の恋の物語ですね。孤独を愛する少年が少女の制止を振り切って朝のヨットに乗って海へと出て行き海難事故で遭難してしまったのか、もう二度と帰って来ない。少女にはわからないのだけれど彼はカモメの姿になって鳴き声で懸命に呼びかけるのだけど無情にも思いは全く伝わらないのだ。うーん、後悔先に立たずの自業自得だとは言え残酷な結末で誠に少年が哀れで可哀想ですね。全く無関係な話ですが、さだまさしさんの「黄昏迄」という歌の詩「ぼくの心が鴎になって舞い上がる」を思い出しましたよ。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの3編目。冬の季節に読むと丁度いい素朴な愛すべき民話ですよ。お秋さんは山へ柴刈りに行った帰りに雪にられ全身に積もってもう助からないと死を覚悟しましたが、ふと気づくと雪のトンネルの中にいました。洞穴の中を進んでいくと大きな男がいて火を熾していました。大男はお秋さんの背負った柴を火にくべろと命じました。お秋さんは命令に従いどんどん次々にくべていきました。全ての柴がなくなると大男は「もう帰っていいよ」といい外へ出ると一時間ぐらいしかいなかったはずが季節は春になっていました。村に無事に帰ってきました。
夢追人009
2024/03/13 10:28

お秋さんは村人を誘って山を探しましたが洞穴は見つかりませんでしたとさ。サクサク読めて心がホッコリと温まる日本昔ばなしのような良いお話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の12編目。土佐の国の22歳の娘おかめが三つ年上の八右衛門を強く愛して結婚するが病身で2年も経たぬ間に流行り病にかかって己の死を覚悟し夫に自分の死後は他の女と結婚しないでと頼んで夫が誓うと同時に亡くなる。それから八右衛門は日に日に衰弱し痩せ衰えていく。心配した両親が理由を尋ねると死んだおかめが毎夜枕元に現れ朝に出て行くという。両親が檀那時の寺僧に相談すると死相が現れ危険なので親戚を集めておかめの墓を掘り返すと生前と少しも変わらぬ姿であった。僧は死者の体に徳のある梵字を書いて法要をした。
夢追人009
2024/03/13 10:07

それで、おかめは八右衛門の前に二度と現れなくなり八右衛門は健康を回復した。彼がその後独身を貫いたかどうかは書かれていない。おかめは夫を殺して自分と同じ死者の国に導きたかったのでしょうけれど間一髪で間に合ってよかったですね。これも古風な怪談噺の名作ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの17編目。著者の原点的な若き日に書かれた文学作品です。19歳の青年と四つ年上の女性が野球の試合を見物している。彼は一年前に大学四年だった彼女と一緒に見た夏の花火大会の思い出を回想し記憶をかみしめている。わたし秋に結婚するのよと告げる彼女。彼は「おめでとう」と返し彼女とのずっと縮まらなかった関係性に思いを馳せ自分でも認めないけれど寂しさを感じて虚ろに心を彷徨わせている。年上の女性との年の差に遠慮して心の距離を感じたままで一歩も踏み出せず時間だけが駆け足で過ぎ去ったのでしょう。ほろ苦い恋の物語。
昼の花火
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の11編目。これも文句なしの力作ですよ。旗本の家来の足軽・忠五郎が夜な夜な出かけて青白い顔で帰ってくるとの噂が流れたので本人に問い質すと、若い美女に誘われて水の中へと誘われ気づくと大きな屋敷の中にいて密かにその女子と結婚したのだという。だが女は誰にも言ってはならないと口止めし、その約束を破った日から来なくなって忠五郎は病に倒れる。医者が呼ばれて体を診ると体の血がなくなっていると言い、間もなく死んでしまう。足軽の老人が医者に経緯を話すと魔性の女の正体を教えてくれた。それは醜い蝦蟇だった!
夢追人009
2024/03/12 10:54

恐ろしや、夜毎に待ち伏せをして若者の生き血を好んで吸う化け物、醜いガマ女にはくれぐれもご注意してくださいね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの16編目。地味な書き出しからは想像もつかない油断しているとドえらい目にあってぶっ魂げる事間違いなしのサイコサスペンス恐怖小説の傑作ですよ。小心者の女に旅行客らしい男が近づいてきて持参のカメラで自分を写してください、シャッターを押すだけでいいのですからと頼む。気の弱い女は生身の男が怖くてカメラの写る四角い箱の中に見える男の姿ならば安心だわと思いシャッターを切る。女は自分が好きな場所へと誘うのだが、男は不意に狂暴化し乱暴に女を押し倒すと、急展開の果てに…。ラストの女の独白に背筋が凍りつきますよ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの2編目。著者の素朴なお子さん向けのお話は今の時代にも変わらず楽しめますね。海の近くの従兄弟の家へ遊びに来た少年が浜辺でお遍路さんの格好をした六十歳ぐらいのお爺さんと偶然に鉢合わせして出会います。お爺さんは石を探しているのだと言い親鸞聖人さまが七日七番の間、南無阿弥陀仏と刻んだ石を探しておるのじゃが見つからんのじゃと非常に残念そうでした。少年が帰って従兄弟にその話をすると、「そんなの今から七百年前の話だぜ、学校の先生に聞いてみなよ」と言って馬鹿にします。先生は少年にどう答えられたのでしょうか?
夢追人009
2024/03/11 10:07

これはサンタクロースが実在するか?という問いに匹敵する問題でしょうね。あまりにも現実的に過ぎて懐疑心を抱いて全否定するのも面白くなくつまらないですので少しは信じる気持ちを残していたいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の10編目。本作は、いわゆる生まれ変わり・輪廻転生・リインカネーションの奇跡の話ですよ。新潟の長尾という男が小さい時に父の友人の娘お貞(おてい)と婚約していたが娘は十五の年に不治の肺病にかかった。彼女は未来の夫となる人に私は死にますがもう一度生まれ変わってあなたに会いますよと言い残して息を引き取る。長尾はその事を紙に書いて印鑑を押し仏壇の位牌に飾る。長尾は親の為に結婚するが数年後に両親と妻子を失って独り身になる。彼が旅に出て旅館に着くと、宿の中から出て来た女中がお貞そっくりの女だった。
夢追人009
2024/03/11 09:21

彼女は自分はお貞で長尾との約束を果たしに来たと言った後で気を失い、目覚めると自分が喋ったことについて何も覚えていなかった。だが二人は結婚して長く幸せに暮らしたという。情が深いハッピーエンドの話で誠によかったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの15編目。最初は冴えない夫婦喧嘩の話でしたが、最後には持ち直して心がホッコリして良い話になる珍しい好編ですよ。日曜の朝早くから妻に起こされ安月給の不満たらたらで妻は家を出て行く。夫が十一時に目覚めて近所の煙草屋に行くと公園に若い美しい女が立っていた。もう二時間も前から立っていると教えられ、夫は気になって度々見に行くが夕方になるまで全く様子が変わらない。冬の寒い日で大変だろうに堪らずもう帰りなさいと声を掛けたが女は拒む。仕方なく家に帰って寝ていると夜に目覚め妻が帰宅していて夫に意外な話をする。
夢追人009
2024/03/11 08:33

てっきり妻は実家に帰っていたのだと思っていた夫は驚く。女心の不可解さというか熱した衝突の後で冷却期間を置いて本音で冷静に話すのは夫婦にとって大切な方法ですね。最後まで読んでもわかりませんが、若い女は男にフラれたのではなく不幸ではないと信じたいですね。「待っている女」は偶然にも五木ひろしさんの1972年のヒット曲で、本作は丁度10年前の1962年に書かれた作品でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の9編目。これは好き嫌いは別にして怪談としては極上の極め付きの恐ろしさの傑作ですよ。みんなが集まって怪談噺を披露し合い怖がっている座で今夜幽霊滝に一人で行ったら取った麻をあげると皆が言い出し、赤ん坊を背負ったお勝という女が「私がやります」と名乗り出る。行った証拠に賽銭箱を持ち帰ると話が決まり、お勝が出かけて行くと「おい、お勝」と威嚇するように呼びかける声が二度繰り返される。お勝は相手にせずに無視して帰ってくると、皆が労い赤ん坊はさぞ寒かったろうにと見ると手足だけで首がもぎ取られていた!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの14編目。多彩な作風の著者の珍しい時代劇で若い娘の恋物語です。昔御所に一人の娘がいて中宮に仕えて二十歳をとうに過ぎた。ある春の日に御所で花見の宴が催され、娘はそこで十代の若い武士を見て初めての激しい恋に落ちる。だが思いを伝える事も叶わず中宮の許しを得て部屋で悶々と引きこもっている内にあるアイディアが頭に閃く。それは武士に似せた等身大の人形を作ることだった。一心不乱に取り組んだ結果遂に中秋の名月の夜に人形は完成する。だが娘はそれを見た途端に夢から醒め逆におぞましさを覚える。儚い幻の愛でしたね。
菊
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
土田耕平さんの1編目。おばあさんが寝る前に小さな太郎さんに話してくれた昔話です。おばあさんが若い頃に田圃から湧き出た湯の風呂に女友達数人と出かけて帰り道を歩いていると最前まで月明かりで照らされていたのが急に真っ暗闇になっているのに気づきました。続いて川の流れる大きな音が聞こえてきました。おかしいなと思っているとピカリゴロゴロと雷の音がして雨が降ってきました。みんなが近くにあった藁小屋に避難してジッとしていると傘を差した人がやってきて、沢山の傘を持った権兵衛さんでした。みんなありがとうと言い傘を貰いました。
夢追人009
2024/03/10 08:27

でも、おばあさんだけは下駄で権兵衛さんの肩の辺を思い切り叩くと「キャン!」と言って姿が消えました。それで狐に化かされたのだとみんなは気づきました。みんながおばあさんに「どうして狐だとわかったの?」と聞くと「真っ暗闇なのに権兵衛さんの顔があまりはっきり見えましたのでね」と答えましたとさ。素朴で愉快なお話で、こういう話はもっともっと一杯読みたいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の8編目。本作は以前に田中貢太郎さんの別題の作品で読みましたが、久し振りに読んで改めて良いなと感じましたね。京都の商人の家で働く下女の玉は美しい着物で着飾らずに粗末な姿でいるので主人が問い質すと死んだ私の両親の為に法要を営んでもらおうと金を節約していたのですと答える。お金が貯まって法要が無事に営まれると翌冬正月に玉は病で死ぬ。十日後に家に大きな蠅が来る。主人が手で追い払ったが何度も戻ってきて羽に印を付けると同じ蠅だと知れる。これは玉だと夫婦は確信し自分の供養を望んでいるのだと推測する。
夢追人009
2024/03/09 10:50

やがて蠅は落ちて死に、夫婦は玉の遺した金と蠅の死骸を小箱に収めてお寺に持って行って法要をしてもらい蠅の死骸は地面に埋められて卒塔婆が立ったという。死んで後に蠅に変身して思いを伝える怖くはないけれど、とても良い話ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの13編目。これは短くて単純であっさりしていますが間違いなく傑作だと思いますので、ぜひ多くの方に読んで欲しいですね!不吉な予感で危機を察知する能力がある夫が妻と共にバス旅行に行き車中で妻に話しかけ昨夜から感じていた危険が今にも差し迫っているのだと激しく訴える。何をバカな事言ってるのよという妻を何とか説得してバスを降りた夫婦だったが…ラストは著者の作風では珍しい非常に且つ非情にブラックなオチでしたね。うーん、あらかじめ決められた運命は避けられないのでしょうか。寿命も決まってるのかもしれませんね。
予感
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!ひな祭りにはこんなにも暗く悲しい背景があったのですね。童謡では「今日は楽しいひなまつり」と歌われていますがメロディが何となく哀調を帯びているのが納得できる気がしましたね。また続きを考えましたのでお読みくださいね。おいメグ、これが終わったらカラオケに行こうぜ、お前は津軽弁が嫌だって言うけど「津軽海峡冬景色」はすげー名曲じゃねーかよ。おめえにピッタリな歌はフォークソングの「岬めぐり」と「季節の中で」めーぐーるー巡る季節の中で~!ひな祭りは「ひなげしの花」もええでー!あんた昭和の年寄なん?
Vakira
2024/03/08 12:28

あんた あの娘の なんなのさ。♪ 港のヨーコ~ 横浜~ 横須賀~♪ってちゃうねん。009さん お読み頂きありがとうございます。そしてまた昭和ギャクに振って頂きありがとうございます。楽しい~

夢追人009
2024/03/08 12:44

Vakiraさん、ありがとうございます!一曲ど忘れしていて今思い出しました。「め 組のひと」でした!目黒のサンマを食べて、おめえの親父さん有名なメグレ警部かよーん?オレってタメぐちばかりでごめんねごめんね~!バキラックスさんは次々に書いてノリノリですのでどんどん追いかけて読みますね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の7編目。本作も不思議な民話風の物語に勧善懲悪と人間性の教訓が含まれた良いお話です。若い農夫と暮らす妻の夢に数年前に亡くなった舅が出てきて「明日自分は危険な目にあうから出来るなら助けてくれ」と頼んだ。夢を夫に話し畠に出た夫の留守を守っていると外から雉が家に入ってきた。妻は鳥の正体が舅だと察し米櫃の中に隠してやる。地頭が一行と共に来て鳥の行方を聞いたが真実を隠して鳥を救う。夫は帰ってきて妻から話を聞くと片目がないのも舅の証拠だと言い不意に鳥の首を捻って殺す。妻は残酷な所業に怒り出て行く。
夢追人009
2024/03/08 11:38

その足で地頭に一部始終を話すと、地頭は人の道を外れた夫を土地から追放して妻には新しい良い夫を世話してやる。堂々と生き物を殺し無益な殺生をする悪い奴が成敗されて、めでたしめでたしのハッピーエンドで誠に良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの7編目。本作はミステリーではなく今の実話怪談の現場にもよく出てくる設定の不可解な怪談噺ですね。ポンコツは列車に轢かれた轢死体の事で、その日は主人公の私の同僚の先輩の倉さんの奥さんが夫に虐待された果てに線路で自殺してポンコツになった命日で、同じ日のしかも同じ場所で倉さんのポンコツが見つかる。そして蛇の青大将のズタズタになった死骸があって、昨夜は列車の運転手が運転中に謎の男女の人影を目撃したという。とどめは妻の死体が棺ごと消え失せるなんてアンビリーバボーな展開で真相は?なのが神秘的で良いですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの12編目。男がひとりアパートの部屋の中でO氏がやって来る明日の午前十時までに間に合わせなければと知恵を絞って懸命に死体処理の方法を考えている。チョコレートを食べ煙草を吸いながら。おそらく男は推理作家でO氏は雑誌社の担当者でしょう。いろんなアイデアが浮かんでくるのを読んでいると最後に頭をガツンと殴られたような衝撃的なラストが!といったストーリーですが、現代の作家ならば細部に凝って、もっと捻った展開にしそうな気がしますね。こういう完璧を目指さないアバウトな書き方が著者のスタイルで逆に好いですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の6編目。本作は一読すると心を捉えられ奪われて離さない悲しく切ない日本昔ばなしにありそうな素晴らしい掌編民話ですよ。陸奥の国の鷹師であり漁師である村允(そんじょう)という男が獲物を得られず帰りに赤沼という所で一つがいのおしどりが泳いでいるのを見て感心はしないが非常にひもじかったので矢で雄を射殺した。雌は直ちに逃げて行った。帰って鳥を料理した男の夢に雌の鳥が出てきて嘆き悲しんで泣いて夫を理不尽にも殺した男を責めた。そして明日赤沼へ来るようにと言った。男が行くと雌の鳥は自らを突いて死んだ。
おしどり
夢追人009
2024/03/07 10:52

村允は頭を剃って、僧となった。おしどりは仲睦まじい夫婦の例えに使われる静かで穏やかな鳥ですね。罪な話で彼は己の残酷な行為を心の底から悔いて一切の快楽を捨て去って一生を僧職に捧げたのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの6編目。今回はおどろおどろしくはない少年時代の不器用な男の性(さが)を描いた掌編です。照れ屋のシャイボーイだったら誰もが経験したであろうほろ苦い思い出たち。舌打ちして嫌な記憶をやり過ごせばいいのですね。近年になるとストーカー行為が横行する嫌な世の中になったのに比べればこれくらいはまだまだ可愛らしいものでしょう。さだまさしさんの「木根川橋」の歌詞を思い出しました。使いの帰りは廻り道をしてあの娘の家の前を通ったもの、そのくせ会えば、そっぽを向いた、なんともはや、すてきだった、仲間達に、カンパイ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの11編目。若い男女の虚実が入り混じった切ないラブ・ストーリー。貧しい喫茶店のウエイトレスと似た境遇の電気店のアルバイト青年の間に芽生えた恋は、女が男の飼うトンボの餌になるハエの死骸を封筒に入れて手渡す事で続いていたのだが、青年が出した手紙によって全てが無に帰してしまう。男は金持ちの坊ちゃんで身分を偽っていたのだが女の身の上は真実で、トンボの餌の封筒の中身は偽りだった。トンボが本当に男に飼われていたかどうかも不明で真実はわからない。ああ、甘いけど男が戻って二人の真実の恋物語が始まればいいなあ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の5編目。別作品の「生霊」の姉妹編のような題名で如何にも恐ろしそうな感じでしたが読んでみると全く怖くはなかったです。ある代官が死んだ時に悪党が遺族を騙して家財道具全てを差し押さえ、代官が不正をしていたと虚偽の報告を拵えて宰相に送ったので代官の妻子は追放命令を申し渡された。だが、その命令が届いた時に妻の雇う女中に奇妙な異変が起きた。女中は自分が死んだ代官だと名乗り、偽りの訴えが出鱈目であると帳面で計算した上で証明してみせたのだ。それで妻子は許され悪党は厳罰に処された。現実っぽい話ですね。
死霊
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの5編目。本当に短いサスペンスミステリーの掌編です。気が滅入ってヤケ酒を飲むオレにつきあってくれている内田君の右の頬の古傷が、一時の興奮から殺してしまった廸子の傷とそっくりなのに気づき、苛立ったオレは思わずガラスのコップを手で叩き落としてしまった。未完の作品に私が考えた結末。おい、殺人未遂の現行犯で逮捕する。さっき交番に110番通報があってな、女がここで殺人がありそうだから止めてくれって言ってきて丁度近くをパトロールしてたから駆け付けたんだ。女から「もう無益な殺生は止めてね」って伝言されたぞ!
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
メメント・モリ(死を忘れるな)よかったなあ、バキラックスさんの蘊蓄物語、読後の余韻に浸ってなあ父ちゃん思わず泣いちゃったぞ。元気だったか?九州から東京暮らしの息子の様子を見に来てやったぞ。今歯痛でうまく食べ物が噛めめんと?盛り蕎麦でも後で食べに行こうか。今でも覚えてるぞ小さい頃に剣道やってて町内の大会でおめー面と森師範に打ち込んだら銅を抜かれて見事に負けたんだったな。まあそんなに自分を責めめんと盛り返したらええのじゃけんって言うてたよなあ。最後に一つ忠告しとくぞ、ここは事故物件らしいから盛り塩忘れるなよ!
夢追人009
2024/03/06 15:34

Vakiraさん、ありがとうございます。事故物件で幽霊が出るアパートには御札と盛り塩が効果的で良く効くんですよ~ん!最後のオチは盛り(死を忘れるな)ですよ~ん!

Vakira
2024/03/06 17:16

009さん やられました ラスト、メメントモリ だったんですね。気づきませんでした。!!!っと、脳内発火してます。ありがとうございました。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの10編目。ある夫婦が夫の運転する左ハンドルの外車でドライブに出かける。やがて夫が妻の浮気を知っているのだと暴露し妻に運転を交代させて浮気相手を事故に見せかけて殺害しようと目論むのだが…。非は不倫カップルにあるのですが、この夫は普通に離婚すればいいだけなのに裏切られた事に腹を立てて復讐して悔しさを晴らそうと欲張りすぎて自ら墓穴を掘ってしまいましたね。さりとて妻の方も人間関係の全てを失い残るのは夫の遺産だけという虚しい未来予想図ですね。私なら刑事が妻の計画殺人を疑って追い詰める展開を考えますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
蘭郁二郎さんの4編目。著者の作品は異常でアブノーマルな領域を描いた作品が大半ですので一般受けは厳しいかもしれませんが、一部のマニアックなファンからは熱烈に愛好されるのだろうなと思えますね。本編は極上の快感を得る為に息を止める男の話で、15分、20分もの長い間ずっと息を止めていられるのですから凄い強者ですね。まさにチャレンジャーで万が一最悪の場合には死ぬ可能性があっても恐れずにトライするのですから中々に半端な気持ちではできる事ではなく覚悟の強さだけは認めますね。でも真似だけは絶対にしないようにしましょうね!
夢追人009
2024/03/05 12:33

本作は1931年に書かれた著者の記念すべきデビュー作で、やがて後年にはSF科学小説作家として人気を獲得されたそうですよ。でも惜しくも31歳の若さで飛行機の墜落事故により亡くなられたとの事です。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの9編目。5階の病室に入院している彼女は不治の奇病によって季節を体感することが出来ずに寝たきりで医者の宣告した余命一年の時を間もなく迎えようとしている。僕は彼女の病室を出て病院から街中を歩いていると不意に暑さを感じない瞬間が訪れて狼狽える。遠い未来の世界では人間が季節を制御して暑さ寒さがなくなるだろう。夏や冬はぜいたく品になって金持ちが大金を出して出かけて行く場所になるだろう。もしかしたらこういう事は実現可能なのかもしれませんが人間は神の摂理を考慮して踏み出さないのかもしれないと思いましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの8編目。放送局で働く27歳の演出プロデューサーの男が深夜の喫茶店に流れ着き若い高校生のカップルを目にすると女の方が赤い手帖を取り出し二人で交互に回し合いして筆談を始めた。俺にもああいう若い頃があったなあとのんきに思い二人が忘れていった手帖を読んで微笑ましく思っていたら、ショッキングな新聞記事を読んで彼はたちまち青ざめる。本編はふまじめな話と思わせて実はとてもシリアスなお話で読者は、そうだったのかと思わず目を見開かれるでしょう。この話はヒチコックマガジン掲載で外国の方も読まれたかもしれません。
夢追人009
2024/03/04 12:08

内容的に外国人から見た有名な日本の評判をますます助長するかもなあと思ってしまいましたが、これも日本古来から傾向・伝統として存在する厳然たる事実ですから仕方ないなあと思いましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ありがとうございます!すっかり遅くなりまして申し訳ありませんね。蘊蓄はいつも勉強になっています。実はキューピッドのバレンタインが処刑された日だったなんてショッキングな話ですね。そういう訳でまた続きを考えましたので、お読みくださいね。今年は特別にうちの高校のOBが来て講演してくれるというので行ったら千葉ロッテマリーンズのユニフォームを着た元監督のバレンタインさんのそっくりさんだった。私最近は疲れてボウリングを何度やっても9ピンしか倒せなかったんで、よし飲もうと思ったのがこの「キューピーコーワゴールド」です。
マリリン
2024/03/27 00:24

私も読みましたが、お二人のコメントのやり取りが面白くて( *´艸`) 楽しませていただきました。なかなか読メに辿り着けませんが、私も2作品読んでみたいと思います。

夢追人009
2024/03/27 06:04

マリリンさん、ありがとうございます。読メのオリジナルのバキラックスさんの世界を読んで思う存分楽しんでくださいね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
今野大力さんの詩の21編目。露西亜の船の沈んだ片身に残したと聞く石を抱いて われは又ある日のざんげをするか 函館山は高く 要塞地として秘密を冠る おごそかな 壮大なる岩礁の牢たる屹立は 東方に面して 何をひそかに語りつつあるか 黒鳥のあまた 岩に群がり 波に浮び 魚を捕う かつてここら立待岬のアイヌ達は 魚群の来きたるを銛もりを携えて立ち待てりと伝う 東海の波濤のすさまじく寄せ打つ処 崖上の草地にマントを着たる四五人の少女等 寝そべりてハーモニカを吹き、微かに歌をうたう 蟹とたわむれ 充たし得ぬ薄幸詩人の
夢追人009
2024/03/03 12:46

最后の願いは この函館の地に死ぬことを願いしと碑銘に物語る その碑は今この岬へ行く山腹の途辺みちべにあり 我をしも死地の願いを言わば この地に久遠(くおん)のあこがれを抱くであろう 1928年の新聞掲載作品ですが、54年後の1982年に森昌子さんの名曲「立待岬」がリリースされました。二つの世界観は全く違いますが、私はどちらも大好きですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の10編目。土も凍る夜 友と二人 炭のない部屋にねむろうとしている われらの「戦旗」がいま 二三の女の手にカギが渡され 必死のこぶしを 彼らの靴先が踏みくだこうとしている 友の夫 わたしの兄たち いく百の前衛は牢や いく千の兵士は満洲の戦場に狩り出され 友と二人 破れた雨戸の部屋にねむろうとしている ガラスの窓に月が冴えて光る 月は中天に輝々として 戦争が普通にある時代の詩を読むと心が重苦しくなりますね。杉田二郎さんの名曲「戦争を知らない子供たち」を歌いたくなります。でも忘れるまじですね。
月は中天に
るい
2024/03/04 06:42

もずが枯れ木で鳴いている~♪何気なく歌っていたのですが、ある時、「あんさはまんしゅへいっただよ」と3番があるのに気が付きました。悲しい歌です。中野さんの満州で思い出しました。

夢追人009
2024/03/04 08:03

るいさん、いつもありがとうございますね。恥ずかしながら、その歌は知りませんでしたね。また聞いてみますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの7編目。高校時代の友人が「きみ、ダイナマイトはいらないかね?」と不意に聞いてくる。同じ団地に住む自分そっくりな男ドッペルゲンゲルとの出会いが不快な連想をもたらした事により精神の均衡を保つ為に現代社会のお守りダイナマイトを手に入れた友人だったのだが…。著者の視点は鋭く有り得る話ですね。人間はどこまで冷静でいられるか折れずに心を強く持てるかが生死を分ける重要なポイントになりそうですね。ダイナマイトのバカ売れ・爆買いが密かに流行するような一触即発の危ない狂った未来が来ませんようにと切に祈りますね。
お守り
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの6編目。東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞たくましくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥むけたようだという。だが、ふしぎにその日、彼には元気がなかった。なんとか気分を変えねばならなかった。私は煙草たばこに火をつけ、からかうようにいった。「いったい、どうしたんだ? 彼女にでもふられたのか?」彼は海辺で偶然に魅力的な人妻が浮気相手の男に引導を渡す声を聞いて一目惚れしたというのだが…。著者の騙しのテクニックが冴える一編で上手にしてやられましたね。
はやい秋
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
中野鈴子さんの詩の9編目。軍服をつけ 銃を肩に 立ち上がったこの姿を見よ 沈着と決意に動かぬ この勢揃いを見よ 彼女らの全身の血の集中! すべてを明日に 未来にかけ 今日 立ちふさぐ我ら日本の女 我らの目はあつく燃える 正義と愛と憎しみとに波打つ その立派なたくましい 彼女らの整列の上に どうしてこの詩の題名が「スペインの女」であるのか?の理由は最後まで読んでもわかりませんが、女性の勇ましい心意気は伝わってきますね。「正義と愛と憎しみと」で「恋しさとせつなさと心強さと」篠原涼子さんの歌を思い出しましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小泉八雲さんの怪談噺の4編目。著者が結末の書かれていない物語の一例として紹介された魅力的な作品です。江戸時代に侍が茶店で喉の渇きを癒そうと茶を汲んで茶碗の中を見ると若い美男子が映っていたが周囲を見ても誰もいない。何度も現れる男に腹を立て一気に飲み干すとその夜に件の男が自宅の部屋に不躾に無断で入ってくる。刀で斬りつけると壁に入って消え失せ後日三人の侍が来て再び壁の中に消え失せる。うーん、これから良い所で続きが読めないのが残念ですが、いろいろ想像する楽しみがありますし私は「怪奇大作戦」の江戸編で観たいですね。
茶碗の中
夢追人009
2024/03/01 21:01

Vakiraさん、少し似た話で第1話「壁ぬけ男」がありましたね!

Vakira
2024/03/01 22:23

009さんの昭和の知識に驚かされます。 (⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山川方夫さんの5編目。本編はとても短くてサクサク読める話で洒落たナイスなショートショートですが女性の方は恐らく不愉快になるでしょうね。私は顔をあげた。やはり彼女だった。窓ごしに彼女の眼が、哀願するように私をみつめている。開けてくれというのだ。彼女は身もだえをし、全身で私に合図している。……だが、私には彼女を部屋に入れてやる気は毛頭ない。だんじてない。明日、私はこの窓の下、硬いコンクリートの上に、冷たくなった彼女の死骸をみつけるだろう。男の書いた原稿に怒り恐怖する女。予想外のオチに驚き苦笑する秀作でしたね。
非情な男
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/06(2249日経過)
記録初日
2018/01/20(2355日経過)
読んだ本
3018冊(1日平均1.28冊)
読んだページ
488724ページ(1日平均207ページ)
感想・レビュー
3018件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
性別
血液型
A型
現住所
奈良県

参加コミュニティ1

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