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2024年4月の読書メーターまとめ

やまはるか
読んだ本
9
読んだページ
2078ページ
感想・レビュー
9
ナイス
346ナイス

2024年4月に読んだ本
9

2024年4月のお気に入り登録
2

  • とくけんちょ
  • toshi

2024年4月のお気に入られ登録
2

  • とくけんちょ
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2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

やまはるか
 3人称の視点が主人公ヘンクの他に、恋人ミア、我々と切り替わるが、技巧的でも不自然でもなく、物語の温かみを醸す配慮と感じた。タイトルにあるように終わりそうで終わらない夏の長い一日が描かれている。原題は「ある犬のくらしより」となっているそうで、「原題に込められた意味が未だにわからない」と訳者が疑問を呈しているが、原題の意味を探ることもこの本の楽しみの一つであった。犬の一致は単なる偶然だけど、繰り返し読んでいるヘレ・ヘレの「犬に堕ちても」と同じ星から届いた物語のように思え、読むことの喜びと満足を得た。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
9

やまはるか
 明治22年(1889年)から大正5年(1916年)までの書簡。ロンドン留学時代の妻とのやりとりは「年始状、筆の日記、倫君の日記いずれも披見致候。右は去る2月20日に着致候」年始状が年明け50日後に届いた。届かない手紙もあったようで、漱石の苛立ちが随所に示されている。小学6年生が「心」の先生について訊ねたらしい返事に「先生というひとはもう死んでしまいました。名前はありますがあなたが覚えても役に立たない人です。」「子供がよんでためになるものじゃありませんからおよしなさい」読者などに宛てたものが面白かった。
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やまはるか
 1935年に生れ、敗血症により47歳で逝去。表紙カバー折り返しにコートの襟を立てて、口元と眼差しに含羞を湛えた小さな写真が載っている。寺山と言えばこの写真というほど。1975年に初版で2017年に16版、良く売れているのかまあまあか。トルコ風呂と言った時代の風俗や競馬の話が多い。「マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」もハイティーン詩集「18歳」に出ている。自殺について考えるとき、自分を他人から切り離すことの難しさを感じるという「自殺学入門」は自殺者に対する寺山の愛を感じる。
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やまはるか
白川郷は周りを山に囲まれ孤立した豪雪地帯にあって社会の浸食を免れ合掌集落が現存、1995年に世界遺産に指定された。本書は写真と図案による案内書である。天明7年(1787年)に前年に続く前代未聞の大凶作が村を襲い、ある集落では120人中104人が餓死した。生存者僅か16名。食糧自給率100%の閉鎖社会が凶作に見舞われた結果である。現代日本の食糧自給率は28%といわれている。地球規模の気候変動は確実に食糧不足に向かっている。世界であるいは列島で誰が生き残るか。人々がそれに気づいた頃にはもう間に合わないだろう。
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やまはるか
 1822年にドイツの牧師の家庭に生まれ、7歳の時に児童書で読んだトロヤの歴史に描かれた銅版画で古代ギリシャに憧れを抱く。独力で英語、フランス語、オランダ語、スペイン語、イタリア語などを身に付けて貿易商として財を成し、41歳で事業を清算、生涯をかけてギリシャ、トルコの古代遺跡を発掘した。一人の男の情熱によるものだが、うがって見ればビジネスの匂いがなくはない。世界的な古代遺跡の発掘が民間人の資金と労力で行われた事実に驚かされたが、シュリーマンの情熱があったからこそ遺跡が守られ後世に残されたと評価すべきか。
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やまはるか
 「ルクーレッィアは彼と腕を組んだ。海がきれいで、青いテーブルのように見えた。きみは早死にした、と彼は言った。四十年後にわたしがどんな詩人になるか君は知らない」「インターホンが鳴った。彼女だった。石のあいだを跳ねる鱒はあなたの人生をわたしに思い出させる、と美しく若々しい声で言って、インターホンを切った。」時間がどちらに向かっているか分からない。全体を読めば何かが浮かび上がってくるかと思いながら読んだが、共通項らしいのは魚くらいだった。短篇集なのにそうと決めつけられない難解さから最後まで抜け出せなかった。
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やまはるか
 アリ・スミス初読み。他人の家の庭の白い花咲く樹木に身も世もなく恋する「五月」、駅で死神とすれ違った後、事故で動かない電車から持ち物を持たずに降りて歩き出し、家で待つ夫とコレクトコールで話す「生きるということ」、バグパイプの楽隊にどこまでも付きまとわれる「スコットラドのラブソング」など日常に非ざる事態に陥り、非情で終わる話が多かった。「あなた」と「わたし」が自在に入れ替わって展開する夫婦の描写は斬新。アリ・スミス。もう少し読まないと理解できない。
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やまはるか
 短篇集はその本に入っているどれか一編のタイトルを表題に挙げているものが殆どで、まれに短編のタイトルとは別の表題を付けたものがある。本作は後者で、表題の謎というより「ファースト・プライオリティー」がどのように姿を現すのかを探りながら、31編を順に辿った。表面上は人物も場面もつながりのない短篇、そこに流れているのは作家のアイデンティティだけであり、それこそが作家の生命線であると40歳になる作家は10年を振り返って言おうとした。寄せ集めでなく31篇はファースト・プライオリティーの文脈で書かれていると感じた。
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やまはるか
ニュージーランドの作家の短編集 統合失調症と診断され精神病院に再三入院し、入院中に執筆した本作が発表されたことでロボトミー手術を免れた。「ベットジャケット」はナンが姉のように慕うハーパー看護師に、クリスマスプレゼントにベットジャケットを贈ろうと、編み物の得意な入院患者から手ほどきをうけて夢中になって編み上げる。出来上がると愛着がわいて自ら着てしまい、ハーパー看護師には石鹸とタオルを贈る。ベットジャケットを贈られなかったハーパー看護師のことは一切語られず、内面描写のないナンのチャーミングさが際立つ。
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やまはるか
 3人称の視点が主人公ヘンクの他に、恋人ミア、我々と切り替わるが、技巧的でも不自然でもなく、物語の温かみを醸す配慮と感じた。タイトルにあるように終わりそうで終わらない夏の長い一日が描かれている。原題は「ある犬のくらしより」となっているそうで、「原題に込められた意味が未だにわからない」と訳者が疑問を呈しているが、原題の意味を探ることもこの本の楽しみの一つであった。犬の一致は単なる偶然だけど、繰り返し読んでいるヘレ・ヘレの「犬に堕ちても」と同じ星から届いた物語のように思え、読むことの喜びと満足を得た。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/15(2245日経過)
記録初日
2018/05/17(2243日経過)
読んだ本
515冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
155049ページ(1日平均69ページ)
感想・レビュー
496件(投稿率96.3%)
本棚
2棚
性別
自己紹介

 読書メーター登録から5年で読んだ本は400冊、登録前の5年間は600冊だった。これまで気の向くままに読んで来たが、近ごろはそれ以上に本と向き合っている。読書時間が増えているのに読む量は減っている。読書は理解と鑑賞の度合いだから、川の流れが急流から中流、やがて下流域へと移れば、流れの速さも川底の様も変わるのだろう。

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