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2024年9月の読書メーターまとめ

やまはるか
読んだ本
11
読んだページ
3087ページ
感想・レビュー
11
ナイス
306ナイス

2024年9月に読んだ本
11

2024年9月のお気に入り登録
1

  • 杜のカラス

2024年9月のお気に入られ登録
1

  • 杜のカラス

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

やまはるか
 アントワーヌ・ローラン「赤いモレスキンの女」が面白くて一晩で読み終えたので二匹目を狙って読んだ。赤いモレスキンの女は仕掛けがハンドバッグだったが、こちらは大統領の帽子、展開が大仰でいささか辟易とした。エピローグで大統領の帽子を追跡するエリゼ宮の様子が語られる。これが一番の仕掛。タクシーの「女運転手の助手席には小型の牧羊犬が座っていた」ワルによる不測の事態を防ぐ目的らしい。ワンちゃんが飼い主の労働を補佐する。盲導犬、聴導犬ばかりではない動物と人間の微笑ましい関係。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
11

やまはるか
 サンカ資料など拾い読み。明治42年(1909年)の記述、平地に人、山に獣と「日本などこんな区画をしたらとても5千万の大人数は居りきれる筈がない。故に色々と都合をして20度はおろか30度40度の山腹にもずんずん村を作って早くから定住して居ります。何れの深山に入っても5里7里と続いて人家を見ない所のないのは全くお国柄」。人口は1億2千万に膨れ上がっても、山里に行けば10戸、20戸の集落が廃村になっている。2070年人口8千万の日本は山間の道は廃道となって登山もままならない。ドローンで飛んでそれから歩くのか。
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やまはるか
 近場の山は激しく褶曲した堆積岩が多い。転がっている石は角ばったものばかりだ。白山の石川県側の登山道に転がっている白い玉石は日本列島が大陸にくっ付いていた時の河川のものだという。玉石が転げ落ちないで運ばれたとは凄い。堆積物に覆われた平野を歩いている限り考えることもないが、山を歩く時は足の下の大地がいかにしてあるかを考える。玉石が転がっている山はめったにない。もし見つけたらじっくり観察しようと思う。いずれにしても山の地質は海洋プレートで運ばれて引っかかった付加体と噴出したマグマの固まったものであるらしい。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 階段を下りる裸婦像のモデルである女性と絵の所有者である夫、描いた画家との爭いに巻き込まれた弁護士である主人公。モデルの女性とともに行方不明となった絵が40年後にオーストラリアの美術館に展示され、三人の男たちが呼び寄せられるように集まる。ここまではスリリングで読み応えがあったが、女性と主人公の間であの時こうだったらという架空の長い話がはじまると、急に興味が薄れた。物語自体が架空であるのに、架空の中に架空と断った話を挿入する作者の意図が分からず、その部分はおとぎ話のようにしか読めなかった。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 安重根(アン・ジュングン)、ハルビン駅で伊藤博文を暗殺した主人公の名前を何故か重安根と記憶してしまっていたためにアン・ジュングンと書いたメモを手元に置いていても、最後まで正しい名前で読めなかった。伊藤博文の顔はお札で馴染み深く、刷り込みの強さには恐怖を覚える。作者は韓国人、訳者は日本人。作家の言葉としての後書きはあるが、訳者の言葉は載っていない。読み終えて本を閉じ背表紙をみて、訳者の名をはじめて目にした。拉致され北朝鮮から帰国した蓮池薫氏だった。改めて本書の歴史的構造が頭の中を駆け巡った。際立つ良書。
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やまはるか
 向田邦子が十何歳か年上の恋人N氏に宛てた手紙からは、向田がラジオ・テレビのライターをはじめたころのことで、ホテルに籠っていらいらしながら何本ものシナリオを締め切りに間に合わせる、書き手として一番気の毒な日常が垣間見える。だから神業のような作品が生まれたのか、書きなぐりに過ぎなかったのか、それは分からない。N氏の日記の支出メモ、国電40円、タクシー100円、ジュース25円、牛乳23円、みどり200円、邦子より1万円など意外にこっちが面白い。
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やまはるか
「私の祖父は世間で云う所謂山窩であった」の自序文の後に「序文そのものがフィクションなのである」と作者は笑って打ち明けておられる。確かにそうした手法は今も使われるが?27の短編が描くのは不特定の山窩たち、三角寛や五木寛之の山窩と違って生活基盤がぜい弱、家畜や農作物を盗みに山里に降る。男と女の関係は乱れていて美談はない。「陽がおちると森の中は、扇をたたむようにばたばたと暗くなった」「山の若葉の匂いがぷんぷんして、遅咲きの花の匂いが籠って、山の中は、いい匂いの室のようだ」誰でも体験できるような自然描写が美しい。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 アントワーヌ・ローラン「赤いモレスキンの女」が面白くて一晩で読み終えたので二匹目を狙って読んだ。赤いモレスキンの女は仕掛けがハンドバッグだったが、こちらは大統領の帽子、展開が大仰でいささか辟易とした。エピローグで大統領の帽子を追跡するエリゼ宮の様子が語られる。これが一番の仕掛。タクシーの「女運転手の助手席には小型の牧羊犬が座っていた」ワルによる不測の事態を防ぐ目的らしい。ワンちゃんが飼い主の労働を補佐する。盲導犬、聴導犬ばかりではない動物と人間の微笑ましい関係。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 明治初期に大和と河内にまたがる二上山から伊豆の山中に命からがら逃れた55人のサンカの末裔が、老人を含む55人の講を組んで伊豆から二上山を目指して徒歩の旅に出る。農耕社会においても、土地に定着せず移動生活する集団にルーツを持つ彼らは歩くことに特別な意味を見出している。彼らが体現し、多くのウォーカーが経験する長く歩くことに伴う精神の高揚は歩きつづけて獲物を狩っていた時代の本能に刻まれた記憶なのか。酷暑の日にも吹雪の中にも歩く場所を求めて山に行く我が嗜好に通じるものがある。巻末の参考資料の多さに驚愕した。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 第7巻と同様サンカに関する資料集、内容・写真とも七巻とかなりの重複あり。「腕斬りお小夜」は警察の密偵をしていたサンカの老人が語る形式の物語で、お小夜の切り落とした腕が破産した夫の家を救う怪談話。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 定住せずザルや箕などを扱って生活する人々が戦後しばらく存在したことは、農家などの生活記録に残っていて事実である。トケコミと称して社会に同化し、今はもうどこにもいないかも知れない。サンカ作家と言われた三角寛は彼らに近づいて写真を撮り、生活習慣など詳細に記録した。本書は90頁余を占める写真、福島以北を除く都府県のサンカ分布など大変興味深い。医療の恩恵を受けない彼らの昭和25年の平均寿命は87才を越えていたとある。妻子と道具を載せた一輪車を曳いて一晩に80キロを移動したと伝えられる彼らならあり得るだろう。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
深夜に帰宅した女性が強盗にハンドバックを奪われるところから物語がはじまる。地の文と会話の区切りがなく、メール、日記などシーンで4つほどの書体を使い分ける。チャールズ皇太子がコロナに感染し隔離生活を余儀なくされた時、カミラ夫人が「大切な人から隔離された時、人は読書に癒しを求める」と述べて挙げた9冊の中に、フランス小説として唯一選ばれた。後書きも含め190ページ足らず、ソフトなクレストブックスの表紙を左右に湾曲させ、寝転がって2,3ページ読んだところで一気読みを決めるには丁度良い。フランス映画を一本観た気分。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/15(2387日経過)
記録初日
2018/05/17(2385日経過)
読んだ本
565冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
166665ページ(1日平均69ページ)
感想・レビュー
546件(投稿率96.6%)
本棚
2棚
性別
自己紹介

 読書メーター登録から5年で読んだ本は400冊、登録前の5年間は600冊だった。これまで気の向くままに読んで来たが、近ごろはそれ以上に本と向き合っている。読書時間が増えているのに読む量は減っている。読書は理解と鑑賞の度合いだから、川の流れが急流から中流、やがて下流域へと移れば、流れの速さも川底の様も変わるのだろう。

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