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2024年3月の読書メーターまとめ

おとん707
読んだ本
10
読んだページ
3222ページ
感想・レビュー
10
ナイス
234ナイス

2024年3月に読んだ本
10

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

おとん707
思想的に無垢だったハンス。スコラ学派ナフタ、啓蒙主義者セテムブリーニの二人がハンスの前で繰り広げる論争。二人は売り言葉に買い言葉となり屡々元の主張から逸脱し極論に走る。ハンスは啓蒙主義に心を寄せていても時にナフタの一言にも頷く。この二人の論争はこの小説の見せ場だ。ここが当時の欧州の思想が集約されている注目の場。心の整理のつかぬハンスは無謀にも一人雪山に彷徨いながら死と生の意味と人間としての己の居場所を見つけたにみえた。しかし話はそれで済まない。無縁と思われたハンスの戦争志願の決定的動機は何だったのか?
おとん707
2024/03/05 22:58

作中には直接的あるいは間接的に多くの引用がある。聖書はもとよりギリシャ神話、ゲーテのファウスト、ダンテの神曲、ニーチェを始めとする哲学者の思想等々。さらに啓蒙思想、スコラ学派、ユダヤ教、ゲルマン文化、ラテン文化、フリーメイスン等々まだまだ引用はある。このうちいくつかは知識として表面的には知っていたが「魔の山」はこうした周辺知識を理解すればするほど深く味わえるのだと思う。いつの日かの再読を目指して勉強しようと思う。まずはニーチェか。

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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

おとん707

新国立劇場にエウゲニ・オネーギンを観に行きました。実はこの公演は同じプロダクションで2019年10月にも行われ、私もチケットを持っていたのですが当日台風19号が襲い公演が中止になってしまいました。今回は再チャレンジでした。2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3170ページ ナイス数:303ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/876755/summary/monthly/2024/2

新国立劇場にエウゲニ・オネーギンを観に行きました。実はこの公演は同じプロダクションで2019年10月にも行われ、私もチケットを持っていたのですが当日台風19号が襲い公演が中止になってしまいました。今回は再チャレンジでした。2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3170ページ ナイス数:303ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/876755/summary/monthly/2024/2
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2024年3月の感想・レビュー一覧
10

おとん707
読んでいて同じ作者の「アンネフランクの記憶」を思い出した。隠れ家での生活や秘密警察の取り締まり、匿っている人を支援する人々など、アンネの運命を擬えたようだ。そこにものが消えていくという超現実を組み合わせたところが小川洋子らしい。ただ、徐々に消えていくものを隠し持とうとする人々をなぜ秘密警察が徹底的に取り締まるのかという肝心な動機が読み取れなかった。消えていくものをナチによる民族浄化の隠喩とでも解釈するのか。なぜ消えるのか、権力が消したのか、その存在を権力がなぜ許さないのか?この根本的な疑問が残ったままだ。
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おとん707
タヒチに渡る画家が主人公なことからゴーガンをモデルにしていると言われるが殆ど共通点はないと思う。主人公と語り手の「私が」直接接するのはタヒチに行く以前で、フランス滞在の一部とタヒチでの画家の生活は関係者の証言となっている。その関係者がそれぞれ違う立場で証言する事によって画家と関係者双方の人柄が浮かびあがってくるのが読みどころ。概して島での人々は素朴で献身的。対する母国イギリスやパリの人々はどこか世間体への拘りから脱せられない。人それぞれの人生は何を以て幸せというのか?英文は易しくはないが挑戦し甲斐あり。
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おとん707
私は詩を鑑賞するということをほとんどしたことがなく、したがって感想を書く自信もないのだが敢えて書いてみる。本書は「道程」より、「道程」以降、「智恵子抄」よりの三部構成で、正直「道程」の詩は私には難解過ぎた。欧米留学から帰国直後の、何かしなければない焦り、のようなものを感じるが私には理解しきれなかった。「道程」以降は彫刻制作の現場を詠った詩に作者の秘めたる情熱を垣間見た気がした。やはり「智恵子抄」は一番心に沁みる。夫が妻をこんなにも純粋に全面的に愛することができるとは。鑑賞していて奇跡を見る思いだった。
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おとん707
このシリーズを読むのは「イタリアものしり紀行」「ヨーロッパものしり紀行」に次いで3冊目。刊行順は「ヨーロッパ」が最初で「ドイツ」、「イタリア」の順。「イタリア」は地元に詳しい人と一緒に街を歩きながら説明を受けるような趣があったが「ドイツ」はそこまでに至らず通り一遍の観光ガイド的なのが残念。しかも刊行時ドイツ統一から15年を経ているにも関わらず旧東ドイツ地域をカバーせず旧西ドイツのロマンチック街道等の定番観光地が中心なのも残念。ドイツは歴史も複雑なので2分冊にしてでも「イタリア」のような深掘りが欲しかった。
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おとん707
若い頃読んだかも。遠い記憶を辿れば青春の蹉跌みたいな話だったかなと。でも改めて読んでみるとそれは物語の始まりから少しのことで、今読むとリザヴェータとの出会い以降に物語の核心があると思う。つまり芸術家としての自覚に目覚めた若きトニオがリザヴェータに語りかける「技巧的なもの、エキセントリックなもの、悪魔的なものが究極の憧れだなんて人間は、まだまだ芸術家にはほど遠いよ。」という言葉にあるように、自然に心に湧き出たこと以上の作られた表現を是としない芸術家として持つべき矜持を若きマンは世に訴えたかったのではないか。
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おとん707
新国立劇場の「トリスタンとイゾルデ」を観に行く予定なので予習として再読。長大な詩を味わうように一気に読んでしまった。第二幕の「しかし、私たちの愛とは、トリスタン、とイゾルデという名ではないかしら?この『と』という優しい言葉。それが結んでいる愛のきずな、トリスタンが死ねば、死はそのきずなも壊してしまいはしないかしら?」というイゾルデの言葉は終幕にイゾルデが歌う「愛の死」に繋がる。『と』は単なる並列助詞ではなく、ふたりの愛がふたりの生死と分かちがたいものであること、つまり「愛の死」の結末を既に暗示していた。
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おとん707
海:鳴鱗琴はこころの中だけで鳴る楽器、なんだ。風薫るウィーンの旅6日間:ひとりで参加した私は同室の老婆に終始付き合う羽目に。でも心に残る旅か。バタフライ和文タイプ事務所:突飛な発想の官能小説。でもちょっと作り過ぎか。ひよこトラック:小川洋子らしい初老男と少女の交流が幻想的。ガイド:小学生の息子を自分の担当ツアーに連れて行かざるを得ないシングルマザーバスガイド。息子と客の老人との心温まる交流。ママの必死に生活を支える姿。心打たれる。他に夫々2-3ページの超掌編である銀色のかぎ針と缶入りドロップの2篇。
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おとん707
中心を成すのはガザ地区の実態。と言っても2019年の話。でも既に悲惨な状態だった。「パレスチナの民は平和を求めているだけなんだ。自分たちの国にいて、自分たちの自由が欲しい。それだけだよ。〈中略〉平和のために抗議をしてなぜ撃たれなければならないのか。少しの時間でいいからどうかどうかガザに生きている私たちのことを考えてください。」この現地人ドライバーの願いを伝えるために本書はできたようなものだ。一般のパレスチナ人はハマスには逆らえずイスラエルからは攻撃される。居場所がない。この本が多くの人に読まれますように。
おとん707
2024/03/11 10:15

「国境なき医師団」:名前は知っていたけど活動の実態は知らなかった。紛争地域で中立を守るためにあえて政府等の援助を断り個人の寄付に頼る。命を懸けた現地の活動はもちろん、組織を維持するだけでも大変だ。

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おとん707
永井 龍男は明治37年生。物語は明治後期から戦後まで神田に職人の長男として生まれ職人一筋に生きた由太郎の半生を描く。物語だが生い立ちから少年期までは永井の自伝かと思わせる。漱石の描いた明治末期は中上流階級が見た社会だったが、ここでは下町の職人の子であった永井自身の視線で時代の別の側面が描かれている。大工奉公以降の由太郎の半生は純粋な小説として展開する。時代は関東大震災を経て戦争へ。敗戦を経て今や彼は棟梁だがここに至るまでに家族を失い独りに。だが今や悟ったような職人の清々しさが漂う。後半は一職人の昭和史だ。
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おとん707
思想的に無垢だったハンス。スコラ学派ナフタ、啓蒙主義者セテムブリーニの二人がハンスの前で繰り広げる論争。二人は売り言葉に買い言葉となり屡々元の主張から逸脱し極論に走る。ハンスは啓蒙主義に心を寄せていても時にナフタの一言にも頷く。この二人の論争はこの小説の見せ場だ。ここが当時の欧州の思想が集約されている注目の場。心の整理のつかぬハンスは無謀にも一人雪山に彷徨いながら死と生の意味と人間としての己の居場所を見つけたにみえた。しかし話はそれで済まない。無縁と思われたハンスの戦争志願の決定的動機は何だったのか?
おとん707
2024/03/05 22:58

作中には直接的あるいは間接的に多くの引用がある。聖書はもとよりギリシャ神話、ゲーテのファウスト、ダンテの神曲、ニーチェを始めとする哲学者の思想等々。さらに啓蒙思想、スコラ学派、ユダヤ教、ゲルマン文化、ラテン文化、フリーメイスン等々まだまだ引用はある。このうちいくつかは知識として表面的には知っていたが「魔の山」はこうした周辺知識を理解すればするほど深く味わえるのだと思う。いつの日かの再読を目指して勉強しようと思う。まずはニーチェか。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/31(2211日経過)
記録初日
2018/05/08(2234日経過)
読んだ本
777冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
232907ページ(1日平均104ページ)
感想・レビュー
777件(投稿率100.0%)
本棚
7棚
性別
現住所
千葉県
自己紹介

毎月3000ページ、10冊、そのうち1冊は英語の本を含むことを目安としています。それより多過ぎもせず少な過ぎもせずというのが消化不良を起こさず、空腹感も覚えない私の読書ペースです。毎月ゆるいテーマを決めてそれに沿って、或いはそこから派生した本を選んで読みたいと思っています。読メに参加してから読んだ本は全部感想を書いています。趣味はクラシック音楽(聴くのもやるのも)、ひとり旅、写真、美術館・博物館めぐり、競馬、友達との飲食、そして読書。時間が足りません。

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