腐れ大学生ならぬ、怠け社会人の小和田くんが一応の主人公だけど、影の主役はやはりぽんぽこ仮面。期せずして祇園祭の時期に読むことになり、タイムリーな読書でした。中身は言うまでもなくおもしろ楽しい。

腐れ大学生ならぬ、怠け社会人の小和田くんが一応の主人公だけど、影の主役はやはりぽんぽこ仮面。期せずして祇園祭の時期に読むことになり、タイムリーな読書でした。中身は言うまでもなくおもしろ楽しい。

森博嗣のミステリ（特にGシリーズ以降のもの）を読むと、これまで読んできた本格ミステリがいかに様式美によって成り立っていたかということに気付く。この作品（シリーズ）はそういったお約束をほとんどすっ飛ばして、ミステリとしてのリアリティを追求しているように思える。

『嘘の木』に続いて、こちらも素晴らしい傑作。今回はファンタジー色が強めだけど、前作同様、現実世界での抑圧や少女の成長が根底にあるのですんなり入っていける。物語が大きく動く中盤以降はもちろん、序盤の謎めいた展開にも大いに引き込まれた。ハーディングはちょっと頼りなくて危なっかしいけど応援したくなるヒロインを描くのが上手い。