24篇の短いお話が詰まった一冊。不可思議な世界に連れて行かれるようだったり、すとんと落ちるとように急に終わるお話があったり。どのお話も心のどこかに残って、ふとした瞬間に思い出されるような、そんな感じがした。

連載は2014年〜2022年。現実の懐かしい話題がたくさんあったり、この連載の中で書いていたことを実際に小説として書いたのだなあというものがあったり、変わりゆく世界の記録であったり。楽しく読んだ。

SF短編集。とても好き。不思議で優しいお話も、へんてこなエンタメも、バラエティに富んだ一冊。特に好きなのは「糸は赤い、糸は白い」。きのこを脳幹に生やして人と人とが交流するという不思議な世界と、少女たちの感情と成長と。

ある朝起きたら彼女が子どもになっていた。最初は何もわからない、彼女がなぜ子どもになったのか？彼女はなぜこの旅を続けるのか？ロードノベル的な面白さとミステリ的な不穏さと。半分を超えたあたりからはノンストップで読んだ。面白かったです。

少しだけさみしくかなしい人たちが、小さな奇跡に出会って(少しだけ)しあわせになる、そんな短編集だった。物語の中だけは幸せでありたい皆が幸せであってほしい、そんな作者の願いが込められているなあと思う。猫が良い。

ルワンダ紛争の頃の全寮制の少女たちの学園を舞台にしたお話。名前も宗教も馴染みがなく、とても読みづらかった。読みづらくはあったものの、民族間の対立が少女同士の友人関係にも影響を与えていたり、話してはいけないことがあったり、といったような、その時代の、その場所にいた人たちがどんなふうに生きていたのか、少しだけわかるようになった感じがした。

チベット文学。様々な事情から都会のナイトクラブで働くようになった女の子たちのお話。つらい描写もたくさんあるけれど、良かった。どこの国でも痛みは共通のものだ。訳文がとても読みやすいのも良い。

現在の天皇陛下の留学記。80年代の英国オックスフォードの学生生活の記録であり、皇族の生活の記録でもあるなあと思った。まだ年若い天皇陛下がジーパンで街を歩いたりディスコに行ったりお酒を飲んだり。他の国の王皇族と過ごしたり。研究をしたり。きっと40年近く経った今も忘れられないだろう、きらきらとした青春の日々。研究について語られている部分は知識がなさすぎてよくわからなかったけれど面白かった。

うーん、相変わらず脳内の積読がとにかく増える本。古い少女小説レーベルの本も、最近の一般文芸も、時代小説も、ウェブ小説発の小説も、少女小説の精神を感じる本はなんでもござれの楽しいブックガイド。なんでも読みたくなってしまう。ただ、今回はなんだか誤字脱字が多く、助詞が抜けてない？日本語おかしくない？と詰まるところが多かった。助詞ぐらいならまだしも、登場人物の名前を間違っているのは紹介する小説へのリスペクトがないのでは？と思われても仕方がないと思う。楽しみにしていただけに残念だ。

24篇の短いお話が詰まった一冊。不可思議な世界に連れて行かれるようだったり、すとんと落ちるとように急に終わるお話があったり。どのお話も心のどこかに残って、ふとした瞬間に思い出されるような、そんな感じがした。