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2024年4月の読書メーターまとめ

manabukimoto
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感想・レビュー
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ナイス
181ナイス

2024年4月に読んだ本
11

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

manabukimoto
なんとも不思議な小説家譚。 大学院生だった主人公が就活および恋人への違和感を感じ始める「プロローグ」から、山本周五郎賞最終候補になったときに立て続けにかかってくる電話に思いを馳せる「受賞エッセイ」まで。 小説家は虚構を作り上げるのが生業。でも私達が過去を振り返るときの「過去」は、ときには改竄され、ときには無かったことになり、日々、記憶は更新される。その行為は「作家」そのものではないか。 他者(占い師やら、デイトレーダーまがいの詐欺師やら)と関わる中で、「小説を書くこと」に迷う筆者自身を主人公に据えた小説。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
11

manabukimoto
世知辛い世の中と思っている「普通」の人々の、悪意と偽善を曝け出す、短編六本。 「めんや 評論家おことわり」「パティオ8」が特に面白かった。 前者は、ラーメン評論家のSNSでの投稿から被害を被った人が連帯する話。ブロガー、評論家。なんであれSNSで投稿した段階で生じる権力性や暴力性。 後者は、コロナ禍で外出ままならない状態で、中庭で子供たちを慎ましく遊ばせている住人たちの平穏を乱すものへの対峙。 小説の面白さが濃縮されている。面白かった!
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manabukimoto
下巻は箱根駅伝本選。敗者で寄せ集めの学生連合チームの奮闘。 読み終えて、思う。私が毎年心を動かされているのは箱根駅伝ではなく「箱根駅伝中継」なのではないかと。 走るという、苦しみに加え、抜かされたり、心が折れたり。そんな姿を見ることが苦痛ではなく、むしろ「感動」に昇華させられるのは、そこに「物語」が加わるから。中継アナ辛島の語りに、数度、泣かされる。 見慣れたコースとユニフォームカラーが脳内に背景として浮かび、確かな語りが心を揺さぶる。 甲斐、諸矢、青葉、徳重。スピンオフの宝庫。面白かった!
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manabukimoto
一気に上巻読了。 箱根駅伝古豪のM大。シード獲得ならず、予選会も惜敗。ベテラン監督の引退、そして新人監督の就任と、彼が託される学生連合の舵取り。 マネタライズ(お金儲け)以外に価値を見出す池井戸作品。今作の主題は「信頼」。監督、チームメイト、お金で繋がらない他者と見出す新しい目的。 p367から泣かされまくりで、上巻を読み終える。 脳内ではずっと久石譲のRunner of the spiritが鳴り響きながらの読書体験。 下巻、週末に読もう。
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manabukimoto
「緑いろの信号」から「いいのだ、ということ」まで。モノ、場所、概念。お気に入りへの気持ちが語られる、随筆集。 「日が長くなること」…実際、夏の夕暮れには特別な感じがある。なつかしさ、と言ってもいいし、曖昧さを許す空気、と言ってもいい何か。p169 「フレンチトースト」…フレンチトーストを食べると思い出す恋がある。私はその恋に、それはそれは夢中だった。それはそれは日々愉しく、それはそれは羽目を外した。p118 どれも文庫で三ページ弱。軽やかなのに、身体全体に染み込む言葉の浸透圧! 素晴らしいエッセイ。
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世界の捉え方には二種類ある。言語思考と視覚思考。後者はさらに物体視覚思考と空間視覚思考タイプに。 数学の文章題を、ただただ数字で処理してしまう言語思考、図に置き換える物体視覚思考、代数の使うのが空間視覚思考。 ふむふむの連続。あらゆるものが言葉に出来る(言葉にできてこそ理解)と思い込んでいた私の様な言語思考至上主義者にとっては目から鱗だった。 画期的な発明はガレージ(モノに囲まれ、触りまくれる)という視覚思考者の桃源郷のような場所で生まれることに納得。 言語思考者たちは多数派の自覚を持つべき、と自戒。
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自分の性自認に違和感を感じ、トランスジェンダーと言い出す十代女子がアメリカで増えている、という。 SNSでは、トランスジェンダーの「男子」が、シスジェンダー女子と比べ賞賛される。「本人の意向」が尊重され、ホルモン療法や外科的処理がなされ、瞬く間に、身体的にも「男子」になっていく。 少女としての生きづらさの全面解決手段としてのトランスジェンダー。いっそのこと、男子になってしまえ。レズビアンがトランスジェンダーに比べ軽んじられているという。 性自認・性志向を問わない社会が一番なのかも。 よき学びを得る。
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三篇の川のある街に住む人々の生活譚。大恋愛もなければ、殺人事件も起こらない。緩やかに他者と関わりながら生きる人々。 両親の離婚により、母親の実家近くに住み、日毎にいろんな親戚の家で過ごす少女から見た営みを描く、一章。 カラスの視線を交えることで、人間とは違う尺度で、生活を捉える、二章。 三番目が一番愛しく読めた。異国で一人で生きる祖母を孫が訪ねる。 祖母は冷蔵庫のタッパーを見て亡きパートナーを思い出す。「死者なりの方法でいまここに出現し、芙美子にものを食べさせようとしている」。 孤高と孤独の狭間の漂い。
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今、ガザで行われている大量虐殺(ジェノサイド)の実態を知ること。イスラエルの建国の歴史(ヨーロッパでのユダヤ人差別、ホロコーストを逃れたユダヤ人の行き先としてのパレスチナ、アドホック委員会の勧告を無視した国連によるパレスチナ分割案)。 公正や正義や平和の拠り所となる国連が機能していないこと。その機能不全の黒幕のアメリカ。これを読んだ日(四月十二日)に米国議会で無邪気な演説で喝采を浴びる、我が国の無能な首相を思い出し、居た堪れなくなる。 日本にもあるヘイト、レイシズム、植民地主義。自分の無知を知る。
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韓国発の漫画エッセイ。 韓国人である筆者が、ガーナ出身のマーニに出会う。 二人で生きることで見えてきた、韓国における差別意識の蔓延。 無知であることの無自覚と、他者に思いを馳せることの想像力の欠如から発生する、日常の差別。 この翻訳本では、日本語と英語の二か国語併記(恐らく原著はハングルと英語なのだろう。 二言語表記で気が付かされる、自明の振る舞いの悍ましさ。 英語の話者が多い韓国でさえこの有様ということは、日本はもっと酷いのではないか? マイクロアグレッションを受けた側の実相。 多くの学びを得た一冊。
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manabukimoto
なんとも不思議な小説家譚。 大学院生だった主人公が就活および恋人への違和感を感じ始める「プロローグ」から、山本周五郎賞最終候補になったときに立て続けにかかってくる電話に思いを馳せる「受賞エッセイ」まで。 小説家は虚構を作り上げるのが生業。でも私達が過去を振り返るときの「過去」は、ときには改竄され、ときには無かったことになり、日々、記憶は更新される。その行為は「作家」そのものではないか。 他者(占い師やら、デイトレーダーまがいの詐欺師やら)と関わる中で、「小説を書くこと」に迷う筆者自身を主人公に据えた小説。
が「ナイス!」と言っています。
manabukimoto
理佐と律。歳の離れた姉妹。大学進学直前に入学金を母親に使い込まれた理佐は、家を出て律と共に山間の蕎麦屋で住み込みで働き始める。 自分や自分の大切な人を傷つける奴とは離れること、そして大切な人のために日々を生きること。 十年ごと五章の章立て。四十年に渡り姉妹の人生を見守る。 「いつものように姉は楽しそうだった。この人がこんな様子なら、自分のこれからだって何とかなるだろう、と常に律に思わせてきたおおらかな姉の姿は、律が八歳だった頃と少しも変わっていなかった。」p455 見守る存在としてのネネの愛おしいこと!
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/03/02(4897日経過)
記録初日
2010/11/09(5010日経過)
読んだ本
1500冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
389517ページ(1日平均77ページ)
感想・レビュー
1461件(投稿率97.4%)
本棚
1棚
性別
現住所
大阪府
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