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2024年11月の読書メーターまとめ

manabukimoto
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2024年11月に読んだ本
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2024年11月のお気に入られ登録
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  • 山口透析鉄

2024年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

manabukimoto
再読。 高校生活最後のイベント、24時間の歩行祭。 基本的には、みんな、恋話をずっとしている。 恋に恋しているのか、恋人のことを恋しているのか、そんな話を行ったり来たり。 物語の横糸は異母きょうだいの二人、融と貴子の相互理解、縦糸はゴールを目指す高校生たちの「終わり」へ寂寥感。 「何かが終わる、みんな終わる。…だけど、と貴子は呟く。何かの終わりは、いつだって何かの始まりなのだ。」 高校時代をついつい全肯定で上書きさせられる危険な一冊。 王道青春小説。 鎌倉 カフェテールベルト蔵書
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2024年11月の感想・レビュー一覧
15

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文芸誌「群像」の短歌投稿欄の書籍化。読者短歌、講評、木下さんの〆の短歌、という構成で12テーマで詠れる凝縮された31音の宇宙。 ・スピッツが歌っていない感情を私が感じるはずがないだろ/山田桃子  冒頭で心掴まれた句。そりゃそうだと激しく納得。草野マサムネの言葉から逸脱する感情への黄信号。 ・おばあちゃんがやがてニューおばあちゃんになり俺の名前を覚えてくれる/鳥さんの瞼  泣いた。祖母と母を思って。 ・だんだんと君を嫌いになる理由はやがてわたしが混ざっていくから/ゆはらしおぎ  好きでなく嫌い。儚さのうた。
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六篇の中で五篇目の「あたたかくもやわらかくもないそれ」が、今年の短編ベスト! ゾンビという流行性病に席巻された子供時代を過ごした主人公モモ。幼馴染で近所に住む「くるみ」。 小5になって、くるみはゾンビに罹患する。家の窓越しに会話をしたり紙飛行機で文通したりする二人。薬の服用に反対する母親に辟易するくるみ。彼女たちは家出を決意する。親戚のいる大阪に新幹線でいこう。 大人になったらモモが新幹線で相席になった「くるみ」。あのくるみ?そんなわけない。 振り返る過去が現在を揺さぶる。二回読む。さらに好きになる。
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再読で後書きを改めて読むと、このお話が作られる起点は村上さんだったとのこと。なんでもいいから絵を描いて、と佐々木さんにお願いし、佐々木さんが描いた絵を受け取って一年後に村上さんが物語を仕上げたとのこと。 佐々木さんが描いたキャラクター登場せず、別の物語になっていた、それが羊男の話。 与えられた使命に従い、諦めずに最後までやり遂げることで、思いもよらぬものを得ることができる。そんなクリスマスプレゼントがあってもいいではないか、という村上さんからのクリスマス絵本。 早稲田大学国際文学館で読む、という贅沢。
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「あつかったら ぬげばいい」で始まり、「さむかったら きればいい」で終わる、words of wisdom の深く濃い絵本。 「みかえりがほしかったら しょくぶつをそだてればいい」 「つかれているのかどうか よくわからなくなったら つかれたことに すればいい」 「じぶんのいばしょがなかったら のはらにしきものをしけばいい」 たいていのことはなんとかなる。目を背ける、うそをつく、その場から逃げる。 対峙よりも平穏。 考え方を変えることで、生きることが、楽で豊かで楽しくなりそう。 信濃大町 三俣山荘図書室蔵書
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岡山の実家を離れて芦屋の親戚の家で過ごす朋子。 高台の豪邸、使用人を抱え、庭にはカバを飼っている!そんな現実離れした日々で得たかけがえの無い時間。 冒頭、最初の乗り物の話から始まるんだけど、そのドイツ製のベビーカーと、岡山から新神戸まで乗る新幹線との対比が面白い。ベビーカーと新幹線の組み合わせ! 「自分から何も求めず、身体が弱いせいで遠くへは出掛けられないのに、心はいつも世界の果てを旅していたミーナ」という従姉妹との、芦屋という異世界生活譚。 豊かで切ない物語。 松本 Hangout coffee蔵書
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面白く、考えさせられる本。 筆者は高校の先生。幼稚園児の子がいる。 勤務先の高校の卒業式のつまらなさからエッセイは始まる。ただただ形式的、管理職の話は無論、答辞も送辞もつまらない。誰一人「自分」を語らない。 対照的に幼稚園の卒園式。ただただ自由。好きなお芝居をしたり歌を歌ったり。 「生徒の前で『先生はね』と自称する教員のことを、わたしはずっと馬鹿にしていた。自分で『先生』なんていうなよ、と』p156 だが、学校で先生を「演じ切る」ことの大切さもある。 生徒と相対している「私」は誰なのか? 松本 栞日 蔵書
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谷川俊太郎、ブレイディみかこ。お二人の往復書簡本。 ブレィディさんの元日始まりの手紙に対し、谷川さんは「詩頭」なので散文ではなく詩で返す。その詩を読んでブレィディさんは英国のロック音楽の言葉を想起する。 優れた書き手は世界の解像度をより鮮明にしてくれる。 「若い頃からもっぱら言葉を手立てに世界を見聞きし、知ってきた」p65 という谷川さん。 「漱石調」という詩に心奪われる。 死に先立つものとして 詩がある 詩に先立つものとして 生があると考えた 谷川さんを偲びながら読む。 松本 山山食堂 蔵書
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表題作と『続うそコンシェルジューうその需要と供給の苦悩編』が読み応えあり。 「うそがばれないいちばんのこつは、自分がついたうそを覚えていることだ。」主人公は自分のうそに自覚的だ。言い訳を探す上司に、「いいわけというかうそですね」と直言する。うそをつく起点は、自分を偽ること。その痛みを引きずる覚悟がうそには必要。うそをつくことを考えさせられた。 地下鉄のホームに居場所を見つける『通り過ぎる場所に座って』も好きな作品。家と職場の中間地点としての地下鉄ホーム。選択肢がなく、別の局面を見出す場所。 趣深い短編集。
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王子の格好をした男が呟く「人魚が逃げた」。この言葉の謎解きと、それぞれの短編の登場する人々の出会いと別れの刹那。 二章「街は豊か」 離れゆく娘からの最大に賛辞「毎日を作ってくれた」母への感謝。 五章「君は確か」 しっかり、の漢字表記を教わる。 結ばれるたり、離れたりする二人に、確かに存在する確かな気持ち。一章「恋は愚か」の自己肯定感低め男子の恋の着地点が、五章で用意されている。 銀座を散歩したくなる、温かくて優しい物語。
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二十世紀、考えることを専門にする人たちが、世界を、人間を、どのように考えてきたのか? フッサール、サルトル、ハイデッガー、メルロ=ポンティ、カミュ…。世界大戦を挟んで、混沌の世界を生きる哲学者たちの、思考の共鳴と反射と衝突と革新。 ネットなき時代、知を求めて人が集うのが興味深い。フッサールがいたフライブルグ。人口十万人、大学や大聖堂があり、知識人の街、現象学の都。大学都市という概念を初めて知る。 SNSで馬鹿でも「多様な」言説が垂れ流される現代と比較すると、哲学という道標がある時代のなんと豊かなこと!
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内田先生による、本をとっかかりにした文化論。 「疾走する文体について」…一気に読ませるものはでは、一行目でいきなり書き手がもう耳元にいる。…つまり、一行目から話が始まのではなく、もう話は始まっているのだが、それは私にとって、たまたま一行目だった、ということである。 どっぷり浸かる読書体験の秘密をしったような衝撃を受ける。物語が作者の声と共に私に耳元に巡ってくる感覚。 柴田元幸先生との対談の話や、町田康さんの作品の文体論など、話は尽きない。 面白かった! 名古屋LampLightBookscafe蔵書。
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吉見俊哉先生のアメリカ滞在記。 トランプが最初に大統領に就いた時期、ハーバード大学に招かれ暮らしたケンブリッジから見た、トランプに率いられたアメリカ。 冒頭、ライシャワーに触れ、大正デモクラシーが東亜の盟主として育ち、リベラル的なものは戦争と真逆ではないこと、戦前から「自由」的なものは日本には芽生えており、戦後の占領下での押し付けでないというライシャワー史観が半世紀前までは機能していた。巧妙かつ狡猾。 アメリカの持つ家父長的資本主義の生きる象徴としてのトランプ。 再選は必然かも。 名古屋大学図書館蔵書
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タヒチの孤島で繰り広げられる男10、女1という設定のリアリティショー。参加者の一人Mr.東京を見守る幼馴染モモ。 ・今年(2024)のオスカーの作品賞ノミニーに見られる白人至上主義(有色人種への懺悔という形をとった上での白人主人公)p22。 ・駐留軍兵士との間に生まれた子供への「加害者と被害者を強制的に引き分けにするための、仕組まれた子供」という視点p150。 世界の見方を更新させる考え方。そして、現実と交錯する畳み掛ける言葉たち。 新しい感覚を味わえる一冊。
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政治家宅での放火偽装殺人。事件を追う刑事と所轄の警部補。刑事ものとして、二人が犯人を突き詰める、と思いきや…。 架空犯、なるほど読み終えたら滋味深い題名としみじみ思う。 高校時代の激苦のトラウマが、それぞれの人のその後の人生を縛る話。 慎ましやかな日々の営みが、何気ない一言で、崩れ、内包していた憎しみが解放され、人を殺めてしまう。 読み手の先入観を絶妙に操り、斜め上の着地点に導かれる、ミステリーの楽しさ。 日曜日の朝、一気読み。
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再読。 高校生活最後のイベント、24時間の歩行祭。 基本的には、みんな、恋話をずっとしている。 恋に恋しているのか、恋人のことを恋しているのか、そんな話を行ったり来たり。 物語の横糸は異母きょうだいの二人、融と貴子の相互理解、縦糸はゴールを目指す高校生たちの「終わり」へ寂寥感。 「何かが終わる、みんな終わる。…だけど、と貴子は呟く。何かの終わりは、いつだって何かの始まりなのだ。」 高校時代をついつい全肯定で上書きさせられる危険な一冊。 王道青春小説。 鎌倉 カフェテールベルト蔵書
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読書データ

プロフィール

登録日
2011/03/02(5044日経過)
記録初日
2010/11/09(5157日経過)
読んだ本
1547冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
402008ページ(1日平均77ページ)
感想・レビュー
1508件(投稿率97.5%)
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性別
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大阪府
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