形式:単行本
出版社:平凡社
形式:その他
形式:Kindle版
読みやすい新書サイズの単行本にまとめられた科学のエッセイ。平凡社からシリーズになって、2016年から発行されていたんだね。偶然、なぜかアート系のお店で見かけて購入。実は中谷宇吉郎さんとの出会いも偶然で、2015年に家族旅行で訪れた石川県加賀市の温泉地の博物館「中谷宇吉郎 雪の科学館」にふらりと入った事から。人工的に雪を作ることに世界で初めて成功した中谷氏の雪との関わりを実験や映像で紹介していた。
中谷氏の雪の研究は、偶然北海道へ赴任したことがきっかけだった。氏の出身地石川県の雪では見られなかった、雪の結晶は北海道では当たり前のように肉眼でも確認できる。しかし、研究となると厳しい。大雪山系旭岳の白銀荘に滞在し、朝から夜中まで野外での作業が連日連夜。馬橇で移動。マイナス20度以下。そしてついに、結晶の撮影に成功。
⇒大雪山の近くの雪の洞穴の実験室。しんしんと雪の降り積もる静寂の夜の描写などはとてもリアルで、真夏の炎暑の中で読書していても、自分もその実験の場にいて、ひやりとする空気が肌を包み込み、時折梢を渡る風の音を耳にしているような気持ちになる。 科学と文学との、科学と一般の人びとの架け橋となるような、理知的でいて瑞々しい文章は半世紀以上の時を経ても、少しも古びていない。
まささん、こんにちは。コメントありがとうございます。まささんのお住まいの地域は雪の美しさも雪による生活の大変さもよくご存じでしょうね。中谷宇吉郎の雪の研究や雪の結晶に魅せられますよね。もう20年ぐらい前に車旅行で能登を巡り金沢からの帰りに科学館に立ち寄りました。加賀市だったのですね!教えて頂きありがとうございます。またいつか訪ねてみたいですね。
宵待草さん、こんにちは。いつも素敵なお言葉ありがとうございます。雪の研究や人工雪を創った中谷宇吉郎の業績は素晴らしいですよね。自然が創った雪の結晶は宝石の美しいと思います。恥ずかしながらウィリー・ベントレーの絵本は存じませんでした。ご教示ありがとうございます!冬の季節に『雪の写真家・ベントレー』の絵本を読んでみたいです。楽しみが増えて感謝です。今日は春風が心地よいですが、朝夕の寒暖差にどうぞご自愛くださいね。
中谷先生の頃にもよく知られていたのかなぁ、、「JPCZ」今週は日本海側から関東平野にかけて大雪をもたらす予報!はやしまさんも御身お大事に
ありがとうございます😊
快心の失敗作が見付かった時などは、思わず声が出る。「一寸覗いて見給え、又失敗してるぜ」と言うと、助手のH君は、顕微鏡を覗き込みながら、如何にも嬉しそうににこりと笑うのである。(p.62,l.7)それでよいのだ、生きる者はどんどん育つ方がよいのだと、私は目をつぶって寝入ることにした。(p.180,l.6)眼に見えない星雲の渦巻く虚空と、簪をさした蛇とは、私にとっては、自分の科学の母体である。人には笑われるかもしれないが、自分だけでは、何時までもそっと胸に抱いておくつもりである。(p.203,l2)
人界から離れ、音から離れた土地にも、夜の沈黙があるというのは、如何にも不思議である。——沈黙をひとしお強調するものである。/全然音のない世界には、静かさも、また無いのであろう。放送局の防音室の中にあるものは、静かさではなく、音の死骸なのである。/「一鳥啼いて山さらに静かなり」(王籍『入若耶渓』)/「ほろほろと山吹散るや滝の音」(夏目漱石)/「最も逆説的な騒音と沈黙との調和(The most paradoxical harmony of noise and silence)」(ダーウィン)
「STANDARD BOOKS」の寺田寅彦の巻との関連では、同じ題名の『線香花火』(師が研究テーマを提示し、引き継ぐ形で中谷が取り組む)があり、子供達の科学の心を育てるには、むしろ海坊主や河童など非科学的なものに親しむことの大切さを説く、類似のテーマの随筆がある(寺田『化物の進化』、中谷『簪を挿した蛇』)。叢書を読み継ぐことで発見した面白さ。
【関連書】●村田喜代子『偏愛ムラタ美術館』:昭和新山の経過を報告した文章『天地創造の話』では、噴火の状況を絵画として記録した郵便局長三松正夫について触れられているが、その絵がカラーで掲載されている本。●髙野文子『ドミトリーともきんす』:『天地創造の話』、『簪を挿した蛇』、『イグアノドンの唄』をコミックで紹介、補完して読む感じ。舞台となっている学生寮は、中谷が雪の研究をした山小屋「白銀荘」がモデルとのこと。
岩波新書の「雪」は名著です。人工雪実験に成功した2年後の1938年に初版、今も文庫で読めます。手前みそですが、新書の「雪」をネタにしてミステリ小説を書いた思い出が。
コメントありがとうございます。『雪は天からの手紙』もありますね。本書はあえて雪だけではない部分にスポットあてているのがいいです。恩師寺田寅彦に勧められて、線香花火の火花の研究もしていますね。好奇心が旺盛で、真面目にとことんやらずにはすませられない性格なのでしょうね。科学する心の輝く人のひとりです。
長文書評→http://www.honzuki.jp/book/244464/review/166866/
A.Tさん、雪の科学館、行かれましたか!ちょっと駅から離れていて便利ではないけれど、それでも行きたいと思わせる素敵なところでしたね。実験は、私もぜひと勧められ見学してきました。ティールームもよかったですね♪
kiyokaさん、雪の科学館は構造からしても(天窓やティールームの眺めなど)夏にこそ、という感じでした。寺田寅彦読んでますか!『柿の種』は私も読みましたが、あの方の詩情あふれる文章は本当に素晴らしいですね!
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