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熊楠の星の時間 (講談社選書メチエ 630)

感想・レビュー
35

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mstr_kk
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自由で楽しい本でした。ただ、「レンマ」についてと、ラカンの想像界、象徴界、現実界については、中沢さんは自由にいいすぎなところがあります。
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Nobuhiko  Obara
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初めて中沢新一も熊楠もふれることとなり、どちらも興味深く感じた。 無意識下のつながりというか、表面だけで説明できないことをどう説明するか、的なところの説明もあり。
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snow
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南方熊楠については英国留学や粘菌のことなどはテレビで見て知っていたが、改めて読むと、「こんなすごい人だったのか」と素直に驚きでした。神社合祀反対の運動の、反対理由の深い洞察など非常に考えさせられました。神社合祀してその森林を伐採し、売ってしまう。現代の太陽光パネル問題や街路樹伐採などを彷彿させられました。日本人にとって木をきるという意味。そこに生存している多様な生物を殺し、果ては自分たちの精神も崩壊させている。
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kentaro mori
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熊楠とガタリ「三つのエコロジー」がつながる第二章「アクティビスト南方熊楠」が白眉。⚫︎粘菌は湿気の多い時期には、枯木の肌に取り付いて、アメーバとなって移動しながら捕食活動をおこなう。たくさんのアメーバが集合して大きな個体を形成するのは、乾燥期の到来が予測されるからである。粘菌は植物のように動かなくなり、胞子をいっぱいにためた美しい色の茎を伸ばす。ときを見計らって、胞子を空中に飛散させる。一つ一つの胞子の中には、動物性のアメーバがおさまっていて、湿気の季節の到来を待っている。このような粘菌の生態の観察を通し
kentaro mori

て、熊楠は生命現象にあっては、生と死を分離できないことを、明確に認識していた。

02/07 19:42
0255文字
たつなみそう
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ネタバレうーむ、ツヴァイクの「人類の星の時間」をオマージュしてのタイトルとはなかなかにくい。那智の山中で、華厳経の世界観と粘菌の世界を行き来しながら、熊楠は南方曼荼羅に到達する。森のバロックでも、曼荼羅的理解が詳しく書かれていたが、科学的因果論から仏教の縁起的世界観へという流れはわかる。すべての事象は縁起プロセスの一断面というとらえ方は、ドウルーズの生成変化や存立平面を想起させる。千のプラトーのリゾーム概念って曼荼羅のことじゃないのか。熊楠ー華厳経ー曼荼羅一ドウルーズ、この並びをどう理解するかが今後のテーマです。
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くり坊
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南方熊楠関連の読書、2冊目。本書の第一章「熊楠の華厳」を読みました。「ヨーロッパの神学大学ではロゴスによって現象を理解する訓練が施されましたが、東洋の僧院大学では『中論』にもとずくレンマ的論争を鍛えることによって、現象を把握する訓練がおこなわれました。しかしここからが東洋の学問の面白いところで、世界をレンマ的、直観的に把握するためには、具体的な身体を介してそのことを体験するための瞑想訓練が、カリキュラムに組み入れられていることです」(26頁)は、目から鱗だった。
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ねるねんこ
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芸術は、自然と想像界の交差空間において、象徴界の形式を産み出そうとする実践である
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葉々
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「星の時間」冒頭頁のこの 概念(シュテファン・ツヴァイク)に一発で魅せられ帰路のお供に。「お通夜の古いケルト的な意味(略)。古代のお通夜は、昔話と謎なぞをする一種のお祭りでした」と、いうところで目が点。あれ、このあいだ読んだ小説「昼の家、夜の家」の世界に通底するものを覚える。「生は死に根を下ろし、死が生の中に組み込まれています」という箇所で再びフリーズ。思えば、あの物語、キノコ料理がなにかと披露してあった。と「南方熊楠」から始まり思わぬ沼地に嵌り込みました。※本棚の「超南方熊楠展」図録、開いてみようかな。
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kaz
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めちゃくちゃ面白かった。南方熊楠が那智の山中で粘菌研究に明け暮れながら構想していた、「レンマによる科学」。土宜法龍が熊楠と結びつけた明恵と華厳経。ユリシーズで知られるジェイムズジョイスの「シントム」と熊楠のシントムの比較。それによって支えられていたアクティビストとしての熊楠の事績。講演録を元に書かれてあるのでとても読みやすく、深い知的刺激を受けた。ジェイムズジョイス読みたくなった。また、中沢さんが最近出した『レンマ学』の予習に最適な本だと思う。早く『レンマ学』読みたい。
kaz

この本からまた一段階読む本が進化するだろうというような感覚のある本だった。

12/04 20:30
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天来
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おおが
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.
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「神話に古代人の社会思想や王権思想を見出そうとする人々とは異なり、熊楠は神話が人間と「自然」をつなぐ働きを持っていることに興味を抱いていた。人間と動植物が境界を踏み越えて互いに混交しあっている様子を、神話は表現しようとしている」「「人間ならざる」植物が存在の境界を越えて人間の領域に侵入し、人間もまた境界を越えて植物の領域に踏み込んでいくようになり、人間と植物の混成体(ハイブリット)の中から、私たちはかりそめに「人間」として現象している存在にすぎないのだという認識が活動しているのが分かる」
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vagabond
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森の王様「熊」植物の王様「楠」 名前のトーテミズム
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shomma
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魅力的だけれど、南方熊楠の構想した「科学」とはなんなのか、なかなか想像は及ばない。つづけて「森のバロック」や熊楠本人の文章にも手を出してみたいという気持ちになった。それから、時系列的・線形的ではない思考法、というアイデアはテッド・チャンの「あなたの人生の物語」とつながるかもしれない
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jhok
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タイトルがあまりにも美しいと思う。同じ題がつけられた「序」で、「星の時間」について簡単な解説がなされている。これでとても期待させられたのだが、内容はそれとは直接には関係のない5つの講演を並べたもの。少々肩透かし。「星の時間」について詳しく中沢の言を聞きたかった。/歴史的な事象を語る時の中沢新一はどうも簡略化が過ぎるように感じてしまうが、それはこちらの問題か。熊楠と明恵との比較や、熊楠の神社合祀反対運動への関わりは興味深かった。他に、ジョイス、人類学者デスコラ、レイチェル・カーソン『海辺』との対比などなど。
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Kazuhiro Okamoto
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熊楠は、脳の活動そのものを「自然」のなかに包摂している。「自然」が脳内過程を通して感情や思考を生み出していると考えている。脳内活動には、「自然状態にある知性」という潜在的な能力が組み込まれており、これはリアルとヴァーチャルの異なる相を行き来しており潜在的な相ではつながっているという。仏教思想が「インドラの網」として描いた超高速情報網を通じて世界の全域に広がっている。せかいの何処にも中心はなくあらゆるものが対称性の関係を持ちながら運動を続けている。これを熊楠は「マンダラ」と呼んだ。
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浅香山三郎
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『森のバロック』や河出文庫の『南方熊楠コレクション』解説以来の流れに属する。中沢新一さんは、多分その頃と変はらぬ主張をしてゐるのだらうと感じた。今一つ〈レンマ〉といふ概念が分からなかつたけど。少し前に『大阪アースダイバー』を読んだので、中沢新一のベースがどの本でも同じなんだなといふのもよくわかる。熊楠の一番分かりやすい神社合祀反対、エコロジーといふ社会の中に入つた活動と、南方曼荼羅や夢の効用や粘菌といふ難しい部分の繋がりが改めてよく理解できた(気がした)。
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生活相談屋
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中沢新一さんの最新巻。といってもいつもの通り、雑誌に掲載した論文を寄せ集めたもので、書き下ろしではない。今回は熊楠に絡めて書かれたものを集めている。20年前、「森のバロック」を読んだときの知的興奮をもう一度味わえるかと期待したが・・・う~む。あの頃に比べて随分と読みやすくはなっているが、その分言ってることが何か単純化され過ぎてしまっているような気がしないでもない。「ロゴス」から「レンマ」へという主張自体は中沢さんのそれこそ30年来言い続けてきたことと同じである。まあこちらもそれを期待してるんだが。
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あちこ
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わたし用に借りた本。あ~、難しい、難しいよ!いつものパターンだ!分かる人に分かるように書かれていて、分からない人には分からない本。大学の先生が書くと、よくこういう本が出来上がる。内輪ネタってやつだ。
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Tom Sasa
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読了 南方熊楠の星の時間-思考が真の天才の火花を散らし、人生が星の輝きに包まれた、ある限られた時間の瞬間。漆黒飲み屋宇宙空間にまばゆい光を放つ星となって、出現した!
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くみん
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熊は動物の王、楠は植物の王、その両方から名づけられたという南方熊楠。著者が熊楠のことを知ったことで神話学、生物学そして仏教を深め、そこから熊楠の思考や概念を語った本でした。哲学的、科学的、宗教的で私には難しかったですが、熊楠の思想の考察を知りそのスケールの大きさに、やはりただ者ではなかったと感嘆。特に神社合祀反対運動の項は納得です。
くみん

表紙の粘菌の写真がきれいで買ってしまいました。

11/25 14:10
山猫

おお、色あいからてっきりイラストかと思ったら、粘菌の写真とは。こういうのもあるんですねぇ。

11/25 14:17
3件のコメントを全て見る
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daichi
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熊楠の本ではなく、著者の考えを熊楠を介して紹介してる本だった。ロゴスとレンマなど、新しい概念をしれて良かったかも
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夏みかん
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熊楠そのものの紹介ではなく、熊楠を通じての著者の考えや想いが詰まった本でした。とても論理的に書かれていて面白く読みましたが、だからこそ熊楠からの距離を感じました。熊楠は論理的に言語化出来る人ではなさそうだから仕方ないかな。この世(あの世も?)全て縁で結ばれているという考え方には同意します。今の我々が感じる歪みは人間を含め色々なモノを個別した上で人間は特別という考えから生じているように思う。それはそうと私はやはりありとあらゆる事が数式で表されると信じているしその形を見たいと思う。
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ご〜ちゃん
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琵琶湖に住むナマズの話が、とても印象的だ。ナマズに感情をこめられる、中沢新一さんが面白い。
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悠
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なぜ粘菌なのか、なぜふたなりなのか、なぜ神社合祀反対運動なのか。そのうえで、なぜ仏教の認識論なのか。一見支離滅裂にみえながら、そこには何かつながりがあるのでは、という疑問が、熊楠への興味をかきたててきたのだけど、本書によって、複雑なパズルがなしくずしにひとつの絵柄へむかうように、すべてが新しい曼荼羅のピースとしてうまれかわってゆく興奮が味わえた。西洋近代による知のパラダイムをのりこえる、森羅万象が呼応しあう「縁」のヴィジョンは、来るべき未来の哲学を予感させる。国家神道が日本人に与えた致命傷の分析は衝撃的。
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アブーカマル
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熊楠のことが知りたくて、また中沢新一を読んでしまった。講演録を書き下ろしているので物足りなさも感じたが、僕自身の関心の所在である神社合祀反対運動についても第2章のアクティビスト南方熊楠で詳しく言及されていたし、神社合祀年表まで付けてくれてありがたかった。正直ジェームズ・ジョイスの症例と熊楠の比較をラカン理論から論じた第3章はただただ難解で、どちらも精神病のようなものに陥ったが文学や学問を通じて克服した以外のメッセージは受け取れなかった。何より装丁がかっこいい
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MrO
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カイエ・ソバージュだ
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Tatsuhito  Matsuzaki
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大学生の頃、知的好奇心と流行的アカデミズムに誘われて中沢新一や浅田彰の著書に挑戦し、あえなく破れ去りました。 「星の時間」とは、人生が星の輝きに包まれる如く輝く、限られた精神的な時間。 南方熊楠には1904年の夏、粘菌研究中の那智の山中で「星の時間」が到来し、中沢新一は中学生の時の南方熊楠の著書との出合いによってその時が訪れました。 しかし、私にはこれら知の巨人たちとの遭遇によっても、未だ「星の時間」は訪れる気配すらありません。
0255文字
霹靂火 雷公
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よく引用される熊楠の「曼荼羅」。見かける度にイラストだけでは何のこっちゃ解らなかったが、本書では殆どのページを費やして、「理論値と自然現象のズレの正体」とでもいえる有機的で可塑的な自然の有り様を描く(古くて)新しい東洋学問について解り易く示してくれる。東洋占術・東洋算術・本草学といったものに触れていると自然に身に付く感覚を、文字で表すという筆致は見事。
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書斎六尺
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ネタバレ昔、熊楠の一文*1に出会い、熊楠に興味を持ち続けていた。熊楠は植物でもなく動物でもない*2粘菌を研究する中で、生命現象に於いて、生と死を分離できず、生は死を含み、死は生を含むと認識し、世界の実相を華厳経の体系の中に見出した。森を曼荼羅に喩えた熊楠は精神的な病質を抱え彼自身「甚だしき疳積持ちにて狂人になることを人々患えたり..」と述べ、身体から頭部が離れる体験をしていた。著者は「精神的症候が生み出した最高の産物と呼んでよい..時に人類にとてつもない贈り物をもたらすものである」と結んでいる。正に天才であった。
書斎六尺

著者 中沢新一(人類学者・思想家・宗教学者)は、第26回南方熊楠賞を受賞(2016)。

07/15 19:59
書斎六尺

人類はまだ天才「南方熊楠」の思想にたどり着けない〜現代人が見習うべき唯一無二の思考法守備範囲は微生物から仏教まで!http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49083

07/18 16:10
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0255文字
るる
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すごい、何を言ってるか全然わからない。南方熊楠が何を示しているのかもわからなかった。 ただそこに、美しい世界が広がっているように思えた。新しい世界の扉を開いた。
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Hisatomi Maria Gratia Yuki
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序文で粘菌の生活形態を思い描いておくと、最後までそのアナロジーで理解が捗る。またこれまでの中沢本を想起させられるところが多いので、読書歴があるとまた楽しい。その意味で『野生の科学』を先に読んでおけばよかったな。「大地の持つ母性を象徴するのが土地の神社でした。…その産土神との結びつきを断ち切ってしまうと、人は『根こそぎ=デラシネ』された存在になってしまいます。…自分を生んでくれた存在にたいする帰属感が失われたところに、郷土愛も愛国心も育ちようがありません」には、そこに生まれる新しいモラルの可能性を夢想した。
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ところてん
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中沢新一氏による南方熊楠についての講演集です。南方熊楠がいかに深淵な思想家であるかが、「華厳」を主とした観点から、非常に活き活きと描かれています。表紙のデザインがなによりの要約となっており、素晴らしいと感じました。
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MrO
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講演会の記録なので、あっさりしているが、わかりやすい。森のバロックからもう20年たっていることに愕然とする。再度、読み直したくなった。カイエ.ソバージュとかも無性に読みたくなった。
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ころこ
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ネタバレ 1章では熊楠が注目した鎌倉時代の僧明恵の業績を検証し、熊楠の明恵観からレンマ的手法を導出します。ロゴス中心の現代社会の行き詰まりを、レンマという概念を対置することにより打開できるのではないかというのが本書を通じての問題意識のようです。つまり、生命現象は生でもなく死でもない、不生不滅こそが実相だとします。しかし、このレンマ的手法というのは、ロゴス的に依存している科学的因果関係では表すことができそうにありません。
ころこ

日常使われている日本語の表現で、多くのひとに伝わるように書かれている以上、ロゴスの外をロゴスで表現しきれないのは当然ですが、果敢にも表現できる部分だけ紹介しています。オウムと理論的に親和性が高いとされ、随分とご苦労があったと思いますが、またしても、ロゴスで伝わらないところは体験で、といっているようです。

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