健全で正常な人間は芸術家になれない。いわゆるまともな人間とは、才能のない人のことだ。彼らは健全で正常な人間だ。だからこそ、芸術家が持つ狂気を持ちあわせていないし、むしろ狂気を気味悪がっている。そもそも、才能というものと狂気は最初からつながっているものなのだから。
芸術と穏やかな生活は両立しない。芸術家というものは自分があわや破滅しそうになる寸前まで創造の力を尽くしきらなければならないことを仕事としている。それは、とても厳しい一人きりの戦場での闘いと似ている。創造のそのような日々は人としての生活の穏やかさや幸福を犠牲にしなければならないほど苛烈きわまるものなのだ。
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