形式:ライトノベル
出版社:KADOKAWA
形式:Kindle版ライトノベル
第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進!最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版! サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。 死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。 二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!
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考えてみれば「少年兵」とは国家が主導する児童労働というか児童虐待ともいえる。汚れ仕事や危険な仕事を少数民族に押しつけていたというのは、日本軍が南方でオーストラリア兵とかの捕虜虐待について問われた際「『看守の台湾人や朝鮮人のせいだ』と答えろ」と訓令していたという極悪な話があるので現実の問題でもある。「仕事」中に死んだ仲間たちの記憶を宿した亡霊を「葬儀人」たちが弔っていく話ともいえ、「戦争」を描く作品とか「ミリタリー」かというと違う気がしなくもない。
主人公たちも自覚している通り、彼らが従事しているのは意志を持った人間同士の戦争では「ない」ので、どうも自分の中で妖怪退治とか有害鳥獣の駆除という業務に軍事的な表象を重ねることがうまく合理化できない。ところでヒロインの名前Владиленаはレーニンに由来し、そうなるとこの世界にはレーニンがいたことになる。それは冗談だが、ファンタジーだと思っていたら「レマルク」(p. 106)とか「聖書」(p. 78)とか「何千年も前のいけ好かない救世主」(p. 69)とか遠未来という設定のようだ。
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