《inspiration創作話》それは奇妙な生き物だった。始めは、ひ弱な青白いチビに見える。それから神経質に震える、赤い瞳の少年になる。おびえたように痙攣と、しゃっくりを続ける病人に。ガミガミ雷を落とす、うすら禿の親父に。ヒステリーでキンキン声を荒げる、ヒステリー母さんになる。まばたきする。風が吹く。火の海になる。炎の龍がやって来る。炎の津波に飲み込まれる。ライターの手から力が抜ける。ほどなく記憶は煙になるだろう。
面白かった作品:『四大精霊の復讐』最後の不気味さ。『火事場』ミイラ取りがミイラに。度し難い情熱はとことんまで行く。『花火師』不滅を求めるとこうなるのか、美しいイメージ。『煉獄の博物館』焦げ跡が残す不気味な一致。『有毒ガス』東欧的奇怪な幻想が熱く重苦しい悪夢を引き出し、秘められたおぞましくも美しい自分の性癖を教えてくれて、一番好きだった。こんな趣味が自分にもあると思えば怖いな。外面的には普通の人でも夜は激しく燃え盛るのかもしれない。
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