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イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)

感想・レビュー
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由里子
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おすすめ本。通読5時間。読みやすかったです。
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5 よういち
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ネタバレイスラーム主義とは、イスラームを政治に反映し、その教えに立脚した社会変革や国家建設をめざすイデオロギーのこと。これらについて歴史をたどりながら解説◆今まで知らな過ぎたイスラーム主義について実に明快に解説しているという印象で、大筋を掴む入門的な本としては良い本だと思う。◆イスラーム主義の歴史は浅い/19世紀末~20世紀初頭の西洋列強による植民地化により、社会と国家の世俗化が進んだ時代に、その反動としてイスラーム主義が誕生する。/ジハード主義者の敵はムスリム社会の不信仰者から非ムスリム社会の異教徒へと変容。
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しおり
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読むほど欧米の考える民主主義とは相いれないと感じた。イスラーム主義といっても、時代によって受け取られ方は違っていた。オスマン帝国の崩壊の動揺から生まれたある種の改革思想だったものの、それゆえに世俗主義を掲げる政権からは敵視されたりした。一方で福祉といった生活に根ざした活動をしていて草の根的に民衆の支持を集めていた。地に足のついた思想に基づいていたのはイラン革命以前くらいで、あとは反米というあやふやな目標にジハードの対象が移ったり過激派のイスラーム化が見られたり。出自は建設的でも環境がそれを捻じ曲げた印象
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●●
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ネタバレ2018年の本。破綻した数多い国家、宗教的原理主義、政治と宗教、ホットで影響の大きい内容。現代においては、中東/イスラーム/地政学/地域研究に少しでも関心を持つ人なら、本書の内容は前提・常識として知ってなければならず、アフガーニー、アブドゥ、リダー、バンナー、…、そして、p-112:サイイド・クトゥブ( سيد قطب‎; sayyid quṭb, Sayyid Qutb )は当然知ってなければならない人物なのだな、と。
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よきし
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現代におけるイスラームの宗教的前景化の背景が植民地時代から紐解かれており、非常に明快に整理されていて、おおよその流れとキーとなる人物、思想、事件などからその潮流と変化がイメージできる良書。前提としての植民地時代の西洋による抑圧と西洋思想の流入によるイスラムの相対化ということを踏まえて考えると、第一世代、第二世代、第三世代の変遷などまで含めてなるほどなと感じる所が多かった。また世界の再宗教化はイスラームだけでなく、キリスト教やユダヤ教、ヒンドゥー教などにおいても同様であり日本も例外でないことを言い添えたい。
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Satsuki
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書名は、イスラームに依拠した社会変革や国家建設を目指すイデオロギーを指す。本書では、西洋的近代化との単純な二分法を避け、また相対化しつつ、これを見ていく。共感するかは別としても新鮮な視点だった。19世紀後半以降、植民地化と国民国家創出の中での世俗化。一方で生まれるイスラーム主義。その後、イラン革命などのイスラーム復興の中で国民国家の枠組み自体の相対化。そして「アラブの春」後にはイスラーム政党が結成され躍進。イスラームと民主主義は対立するのか。先述の二分法を排した可能性を著者は問題提起している。
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🍭
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ネタバレイスラーム圏の政治史とかに改題するべきだと思う。中東政治を一つずつ知りたい人にとっては良テキスト。著者の書き方からして、西欧の思想侵略的な関わり方に懐疑的で、西欧諸国、アメリカの干渉に対して否定的。その割に、あとがきで述べられている“イスラーム研修者”としての考察や、親イスラーム学的な立場からの反駁は薄い。“多様性”という言葉でまとめているけれど、著者はイスラームの思想のどこに光を見出しているのか。西洋の思想が完全だとは思わないけれど、世界に自由主義が広がる中、神の名の下に抑圧を行うイスラームの未来は?
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K
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交換様式Dを思い浮かべながら読むと「もう一つの近代」がよく理解できる
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アーロン
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ジハード主義、対テロ戦争、シーア派、スンナ派、民主主義とイスラーム主義、など、世界で起こっている戦争や内戦の起因となっている事柄を理解することができた。今後、世界はどのように進むのか、大変興味深い。もう一つの近代を構想し、共有できるのだろうか?争いが無くなることを切に願う。
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どんぐり
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独裁政権、テロリズム、宗派の違いを軸にした内部抗争など、イスラ-ム圏には常にきな臭い感じがつきまとう。イスラームの宗教と国家とは、どんな関係にあるのか、そこにあるイスラーム主義とはどういうものなのか、興味深く読んだ。イスラーム主義は、「宗教としてのイスラームへの信仰を思想的基盤とし、公的領域におけるイスラーム的価値の実現を求める政治的イデオロギー」のことである。これに対して、「宗教の違いによって個人の自由や権利が制限されたり侵害されたりしてはならない」とする政治と宗教の分離を掲げるのが、世俗主義(セキュラ
どんぐり

リズム)である。このイスラーム主義と世俗主義の違いを理解するだけでも、すごく勉強になる

02/28 22:05
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えむ
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「イスラーム主義」の思想、歴史を描き出すとともに、現代中東の政治史の概説書にもなっている1冊。落ち着いた筆致で書かれており、中等における政治と宗教の関係性に関する問題について、冷静に考えさせられる。
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Masayuki Shimura
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【「もう1つ」の解答と見なされて】著者自身も記していますが,イスラームまたは中東政治についての日本語の書籍が数多くある一方,イスラーム主義については手に取ることができる作品の数が限られていたため,その入門として非常に魅力的な一冊でした。聞き知った歴史や出来事も,イスラーム主義の窓を通して見ると,また異なった意味合いが浮かび上がることが再確認できるかと。
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かみしも
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良書。「「イスラーム主義がわかる本」であると同時に、「中東政治がわかる本」にもなっている」とあとがきにあるが、まさにその通りだと思う。しかも単にコンパクトにまとまっていて理論や歴史が「わかる」だけでなく、イスラーム/ムスリムを他者さらには異質なものとて扱いがちな近代西洋的なまなざしについて問うている本でもあった。アラブの春とその挫折、それらと同時発生している欧米の自国第一主義はコインの裏表のように見えてくる。それにしても岩波新書のイスラーム本は本当にハズレがないと思った。
0255文字
新都心@space_opera_
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イスラム圏の人々が近代後のイスラーム政治像を模索する試みとしての「イスラーム主義」を、定義から歴史まで丁寧に解説していた。イスラーム文化や政治に詳しくなくても理解でき、かつイスラームへの理解のキッカケを作る良著だと思う。
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kiyochi
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政治は、社会に対する価値の権威的な配分。 イスラーム改革は、イスラームかそれとも西洋か、といった単純な二分法を乗り超えようととする試みであった。 国家としての正しさを宗教的な正しさに求めた。 1972年には、ソ連がアフガニスタンに侵攻し、イスラーム革命の自国内への波及を未然に防ごうとした。 このような公正発展党の安定的な政権運営は、トルコモデルと呼ばれ、アラブの春によってあるべき秩序を模索し始めた中東諸国のロールモデルとなって注目を集めた。
kiyochi

義勇兵としてイスラーム国に参加した外国人戦闘員の数は、2014年6月の時点で一万二千人に上り、その後の18か月間でさらに約二倍に増加した。

09/03 07:33
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Inzaghico (Etsuko Oshita)
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事実の列挙と分析が多く、処方箋がほとんどないのが個人的には残念だ。価値観が多様化してしまったいま、イスラームといえども一枚岩ではないし、ムスリム側にも、それ以外の側にも、簡単な処方箋などないのはわかっている。だからこそ、共通の「あるべき秩序」を見つけようとして失敗し、紛争が起きているのだ。
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hitbari
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やはり、難しい。ちょっぴり、理解を深めました。さらに学びたいです。
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樋口佳之
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 「イスラームの戦い(ジハード)」と「テロとの戦い(対テロ戦争)」に共通するのは、それぞれ相手のことを知悉することなく安易に敵視し、暴力でもって対峙しようとする姿勢である。二〇〇〇年代の世界を席巻した両者の対立は、「文明の衝突」ならぬ「無知の衝突」( サイード) に過ぎなかった
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azumi
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大学で中東史を専攻して色々な本も読んでいましたが、近代からごく最近に至るまでの中東の政治がすごくよくまとまっていて、分かりやすかったです。ピンポイント過ぎて全体像が掴めないということもないし、かと言って当たり障りのない平易な概説で終わってしまうということもありません。学術的な言葉遣いも時にはありますが、複雑な中東政治を大まかに知りたいという方にはお勧めです。その書きぶりからは、偏見を持たずに現状を多角的に捉える著者の強くてしなやかな姿勢がうかがえます。いい本だなと思いました。
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トマス
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イスラームの教えを政治に反映させようとする「イスラーム主義」。イスラーム圏の「あるべき秩序」を考える上では、政教分離だけが正解ではない。近現代イスラーム世界の情勢を丁寧に理解することで、西洋近代がもたらした政治・宗教の歪みが見えてくる。
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K.Hajime
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分量はさほど多くないけれども、近現代、イスラーム主義とは何か、中東にどのような政治勢力が存在するか、それらの特徴を改めて整理できる。イスラームはおろか、イスラーム主義それ自体も=過激なのではない。中東が暴力の温床になったのも2003年イラク戦争以降の事だ。先進諸国の無理解(欧米のオリエンタリズムと民主主義二重基準(イスラーム=No)、および日本の無理解的加担)がイスラームの安全保障化(言説強化による負のスパイラル)を引き起こしている。しっかり読めば、少なくとも中東/イスラーム音痴とは言えなくなるだろう。
K.Hajime

一般的に、政治と宗教とは学術的には別々に語られる傾向が強い。それが、純粋な政治史/アラブ史としては機械的でちっとも身体に入ってこない、そして宗教書としては神秘的傾向のために倦厭されるような著作を量産してきた。少なくとも、中東においては宗教と政治はイスラーム主義としては一体のものであるし(それに拍車をかけたのが強権的な世俗主義、それを後押しする先進国)、領域横断的な著作が望ましい。おそらく、公教育の場面を筆頭にこの知見は活かされうる。生徒を洗脳する意味ではない、メタ的な宗教教育をする事を念頭に置くように。

05/29 02:00
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藤月はな(灯れ松明の火)
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大学生の時に「アラブの春」が起きた時、それに関心を持っていた人々は「新しい民主主義の形だ」と希望を持って言っていた。ところがISIS台頭やシリアへの爆撃、エジプトでの民主主義政策が失敗するなどを知るにつれて事態は悪くなる一方、彼等が困惑していたのを覚えている。元々、寛容であったイスラーム。それが現実と原理に添う形で解釈され、変えられ、アメリカなどの列強国によって繋がれ、使い捨てにされる内に二極化し、それが世界に波及していった歴史が分かりやすく、提示されています。9.11後の「無知の衝突」が一番、胸に答える
藤月はな(灯れ松明の火)

(余談)イランアメリカ大使館人質事件をモチーフにした映画『アルゴ』の「カナダの策謀」が成功した一場面が一番、印象に残っている。制作される筈もない絵コンテを見て「なあ、この悪役ってパフラヴィー国王に似てねぇか?」、「えー、そうか?」と言うかのように笑い合う出国審査での兵たちの談笑とそれがフェイクであったと気づいた時の「また、北米に裏切られた」というような表情。映画では序盤でパフラヴィー政権化が民衆をどれだけ、虐げていたのかが(やや)誇張気味に描かれています。この本で実情とそれによる対米意識の確立が知れます。

04/26 23:28
Vakira

「アルゴ」見なくっちゃ。

04/27 12:48
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乱読家 護る会支持!
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今日の中東では、イスラームを政治に反映させようとする声が高まっている。 そして、その声は、実際に中東の政治の姿を大きく変えている。こうしたイスラームに立脚した社会変革や国家建設を求める政治的なイデオロギーを、「イスラーム主義」という。 中東では、政治と宗教の関係をめぐる問題は、独裁政治によって長らく「封印」されてきた。 「アラブの春」によって長年の独裁政権が崩壊ないしは動揺し、人びとが自由に自分の意思を示すことができるようになった結果、イスラームを政治に反映させようとする声があらためて顕在化した。
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sk
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オスマン帝国の崩壊からジハード主義まで、イスラームの政治史を一望する。とても面白く読めた。
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ikeikeikea
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イスラーム主義と近代について真摯に考えた著作なのか甚だ疑問な一冊。イスラーム主義を「公的領域におけるイスラーム的価値の実現」と定義付けるだけで、その内実については多様であるとの理由で踏み込んだ解説をしない。その上近代とは何かについて考察もしないので「もう一つの近代を構想」できてるのかどうか判断しようがない著作となっている。イスラーム主義と自由主義の関係性についても1ページ程度の記述の薄さの上に、自由主義を中東に根付かせる政策を批判して記述を終えている。はたしてそれでいいのか?と思うのは私だけではあるまい。
ikeikeikea

著者の最終的な結論は「世界に今求められているのは、世俗主義であれ、イスラーム主義であれ、中東の人々の多様な意見が等価として保障され、対話を通して合意形成が実現されるような社会や国家のあり方を共に構想していく姿勢であろう。その先には西洋的でもイスラーム的でもない、新たな近代の可能性が開かれている」というものだが、多様な意見が等価として保障される社会とは要するに西洋流の自由主義社会であって新たな近代でもなんでもないような気がしてならない。

04/09 22:10
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曲月斎
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今の中東を俯瞰する時、格好の入門書。オスマン帝国の崩壊が基調低音。宗教と生活が一体とされるイスラムが異文明、異文化に接した時、どう対処しようとしてきたかを後付ける。世俗化という形で人、物の交流を受け入れるか、信仰に基づいた生活を守るか。後者の中でイスラム主義が1960年代のエジプトでの同胞団や、イラン革命を挟んで、アルカイダを始めとするジハード主義、さらにアラブの春の動きへと続く。ムスリムの心の揺れを「なぜ」「何」という視点で読み解いて立体的だ。其処で西欧、特に米国がこの地域に落とした影の大きさを思う。
曲月斎

9・11の後、アメリカが武力行使をするに際して、イスラムについて十把一絡にしてしまったことが今の混迷を招く要因となっているのがよく分かる。中国、ロシア、あるいは中東の独裁国家で、反体制派というレッテル貼りが容易に横行し、その後の武力闘争の拡大、あるいはISの成立につながっていく。筆者の提示する回答の一つは「話し合うこと」だが、そこに戻っていくのかもしれない。

04/04 09:52
曲月斎

筆者は「Why」の視点を中東研究者、社会科学の視点、「What」の視点をイスラム研究者、人文科学の視点と呼ぶけど、両者の関心を押さえつつ1冊にまとめたのが本書の眼目、です。

04/04 09:56
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skunk_c
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イスラーム主義という「イデオロギー」の形成過程と現状について、その宗教性と政治性の両方に目配せをして、中東社会を把握しようとする概説書。1章の問題提起が明確で、極めて読みやすかった。また、イスラーム主義の系譜は詳しく知らなかったことが多く勉強になった。しかし本書の白眉は、このイスラーム主義という視角から、中東の現状を見事に説明していることだ。切り口が違うのに酒井啓子氏と結論はほぼ同じになっているのだが、中東をより良く理解する手法としての本書のアプローチは成功していると思う。中東理解へのお薦めの1冊だ。
曲月斎

読み始めました。もし、お手すきなら「イスラームの歴史 - 1400年の軌跡 」(カレン・アームストロング、中公新書)もお薦めします。

04/03 19:16
skunk_c

ありがとうございます。イスラーム関係の本はけっこう持っておりまして、つまみ読みしてきました。 実は25年ほど前に、副読本作成を手伝い、中東諸国をまとめたことがあったんですよ。 その頃とは情勢が変わり(特にシリアとか)、世俗主義に対するイスラーム主義について、きちんと押さえようとぼちぼち読んでいるところです。

04/03 20:17
4件のコメントを全て見る
0255文字
ふるい
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ニュースで流れてくる中東情勢を漠然と眺めているだけでは正直何がなんだかよくわからない…そのことにいよいよ焦りを感じたので本書を読んでみた。歴史をたどりながら、基本的な知識についてもわかりやすく書かれていてとても勉強になる。本書を読んで、自分がいかに欧米諸国や追従する日本に都合のいい考え方をしていたかがわかり、反省。暴力がさらなる暴力の応酬につながる憎しみの連鎖を断ち切ることができる、よりよい社会を目指す努力を欠かさない世の中でありたい。
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jhok
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イスラームに立脚した社会変革・国家建設を求める政治的イデオロギー=「イスラーム主義」の誕生から今までと今後の展望。/イスラーム主義は西洋近代ではない「もう一つの近代」を追求するとし、ただしそれはまだ模索の途中である、としている。そして,それは「ポスト世俗化時代」のいまイスラームのみの課題ではない。わかりやすいし、興味深い。
jhok

オスマン帝国(国家の正しさは宗教の正しさで保証された)の崩壊後、西洋近代の影響が強まる中で、「あるべき秩序」(特に政治と宗教の関係について)が模索される。その一つが西洋的近代化と異なる「もう一つの近代」を求めるイスラーム主義(もう一つの軸は世俗主義)。しかし、ムスリム同胞団、イラン・イスラーム革命、ジハード主義、「アラブの春」を経ても「あるべき秩序」は生まれず、より混迷化している。必要なのは対話の機会と場所、とする。ハーバーマスが議論の下敷きにある。

03/14 16:38
jhok

「あとがき」で日本の「中東政治研究者」(社会科学)と「イスラーム研究者」(人文科学)が分離していること、その狭間にあるイスラーム主義はうまく取り上げてこられなかったことを述べて、双方の知見を活かし新たな方法論・手法を追求したいとしている。/イスラーム主義が「もう一つの近代」を追究し、国民国家を相対化するものとしてあるのならば、その分析も従来の手法に留まるものにはならないのだろう。

03/14 16:39
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MUNEKAZ
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イスラーム主義の概説書。過激な原理主義者という印象もあるが、イスラーム主義者の多くが政党を作り、「アラブの春」後は民主政治に積極的に参加している。ただ政権奪取ができても肝心の政策で国民を満足させられなかったり、欧米諸国のダブスタ対応に翻弄させられたりと、その立ち位置は苦境になりつつあるというのは興味深い。オスマン帝国崩壊後の分割統治と度重なる中東戦争の敗北で、国家・国民の正当性をどこに求めるのかが不安定なところに、中東問題の根源があることを窺わせる。
0255文字
おおた
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イスラームの人たちが西欧の影響を受けた後に「あるべき国家」を模索し続けているという指摘に驚く。ムスリムは宗教と生活が密接に関連しているから、彼らは国=あるべき様態と自然に受け入れるのかと。中東戦争の第一世代、80年代頃の第二世代を経て、現在はISISが大きな影響力を持つ第三世代として、コーランの解釈が変わって戦争・テロを(多くの人が誤っているとわかっていても)推奨する人たちが力を持つという時代になっているという。破壊の後に何が残るのか、歴史を学ばない・勝手に解釈することの恐ろしさを今の日本に重ねてしまう。
sabosashi

国家という形態そのものが16世紀あたりのスペインを発端にヨーロッパで「人工的に」培われてきたために、では、イスラム社会がどうなっているのか、興味津々です。ヨーロッパ流に言うと、いまの国家は、官僚制社会の同義語になっているようですが、それに抗する動きもヨーロッパのなかからも生まれているようで、比較するとおもしろいんでしょうね。

03/03 14:58
おおた

コメントありがとうございます。 現在のイスラーム社会は西欧の影響を受けた人々と、イスラーム教を厳格に守りたい人たちで混乱し、「あるべき秩序」を模索している状態、とありました。想像の範囲内ですが、平和でさえあれば民主主義という政治体制よりもイスラーム教による政治の方が民衆は幸福感を得られるのではないかと思います。一方で感情や理念が政治に深く関わるが故に争いも絶えないのだとしたら、あるべき社会というのは何なのだろうと考えさせられます。

03/04 14:26
0255文字
大泉
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イスラーム主義の潮流を概観する。イスラーム主義とは、近代以降の西洋文明との接触で生じた産物であるとし、それが現代のテロリズムに影響を与えていくさまを論じる。イラン革命期の第1世代、911以後の第2世代、そしてアラブの春後の混乱のなかから生まれたIS中心の第3世代と、先鋭化してテロリズムに訴える勢力を分節していてなるほどなという感じ。
0255文字
はちめ
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イスラーム主義とは宗教としてのイスラーム教ではなく、イスラーム教に基づくイデオロギーやその実践活動のことを指す。本書によれば現代イスラーム社会はイスラーム主義に基づく変革の真っただ中にあるということ。その具体的イメージとして何度も選挙を経験し、その失敗と成功の体験から民主主義が根付いていくというのは説得力があるのではないだろうか。
0255文字
さとうしん
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現在まで続くオスマン帝国崩壊後の中東の「あるべき秩序」の模索を、イスラーム主義を軸に描き出すという内容。イラン革命後の同国の体制をイスラーム共和制と評価したり、イスラーム法ではムスリム同士の争いや自死が禁じられているところを解釈の転換が図られたこと、そして「対テロ戦争」において誰が「テロリスト」なのかという問題が恣意的に曖昧にされているという問題提起などを面白く読んだ。
さとうしん

本書のあとがきで「中東(政治)研究者」と「イスラーム研究者」とのスタンスの違いについて触れていたのが印象的。著者自身は両方の知見が必要という立場のようだが…

02/06 19:35
0255文字
ドウ
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中東の近現代を、オスマン帝国崩壊後の「あるべき秩序の模索」と捉え、イスラーム主義運動をその模索方法の1つとして体系的に論じた新書。『比較政治学の考え方』で理論的な部分をまとめ、こちらで地域の実情を具体的に描いた形だろうか。クトゥブへの言及の仕方を除き(製造物責任を問うなと言いたいのだろうか)、イラン革命やアラブの春、イスラーム国といったトピックの論じ方・捉え方は私好み。多作な割に内容のしっかりした本を書く人なので、これからもどんどんこういう本を出していってほしい。
0255文字
お抹茶
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イスラームに依拠した社会変革や国家建設を目指すイデオロギーがイスラーム主義で,オスマン帝国後のあるべき秩序の一つとして発展した。イデオロギーとしての選択は,信仰よりも理性の問題。しかし,唯一絶対の「イスラーム的」基ハマースやヒズブッラーは,イスラームに依拠した社会変革や国家建設を目指すものの,宗教や宗派ではなく外国軍による侵略に武装闘争の根拠を置いている点で,ジハード主義者とは異なる。シリア紛争は,欧米と中ロ,サウジアラビアとイラン,反体制武装勢力とアサド政権という三層構造の対立図式。
0255文字
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イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)評価65感想・レビュー38