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あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる

感想・レビュー
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さとまる
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図書館本。ジョン失地王とかエドワード黒太子とか、あだ名のついた王侯貴族の評伝のようなものと思っていたが、実際にはあだ名を手がかりとして「貴族とは何か」「貴族の一族意識はどのようにできあがったのか」を探る内容だった。対象となるのはピピンやカール・マルテルなどカロリング朝が中心となる。そもそも中世前期は個人名だけで「家名」が存在せず、この一族ならこの名前という「主導名」によって一族意識が形成されていたことに驚いた。巻末にはあだ名一覧が掲載されており、それを眺めているだけでも楽しい。
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rosetta
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佐藤賢一の『王の渾名』を読んで物足りなかったので手にしてみたが、これは読み物ではなくて研究書。12世紀までは貴族でさえ個人の名前だけで苗字を持たなかったとは驚き。まあ学生時代のレポートや卒論を思い出した。
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UCorsair
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あだ名の由来にはほとんどふれてなくて、“あだ名文化”がなぜ生まれたのかについて説明してくれる。「姓」と「命名法」の章は目から鱗。巻末には、あだ名好きにはたまらない、総勢300名の王侯あだ名リストがある!
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あずき
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祖先の名前をそのままつけるようになり、見分けの必要性からあだ名文化が活発化した。身体特徴や振る舞いからついたあだ名の数々は面白い。
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読書記録(2018/10~)
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カロリング家、オットー家などは後世の名づけ、古代ゲルマン系は個人名しかなかった、と序盤から衝撃だった。日本の名族延いては中国の支配層などとはだいぶ意識が違うことに驚く。中世後半になり家門が生まれるまでの親族集団への帰属意識・同族意識は、男系女系に関わらず「主導名」に拠っていた。姓が生まれ男系一子相続となり家門が成立する、とだいたいこんな感じか。命名方法の検討から、そりゃ一族で同じまたは紛らわしい名前続出するわあだ名で識別したくなるわってことがよくわかった!
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金監禾重
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興味深い章ばかりだった。あだ名文化を生んだゲルマンの人名は家名を持たず、同じ個人名を近親間で多用する(主導名)ことで「家」を表現する。他家の権威を利用したいときはその家の主導名を取り込む。あだ名そのものは解明しきれないところが多い。起源は歴史叙述上の弁別の都合のようだが、同名同あだ名の例も多い。由来も不明の場合が多く、あだ名から本人の特性が推測されがちである。(続)
金監禾重

初代フランス王とされるユーグ・カペーも、近親だけでなく別氏族を含めて同名同あだ名が複数人いる。カペー(頭巾?外套?)をかぶっていたからと書かれることがあるが、実際は由来不明(歴史にはよくあるが、権威の文章が誤読されて史実のように書かれていく)。しかしカペーは聖マルティヌスの聖遺物の可能性もあり、そうであればフランスにおけるレガリアともいえる非常に重要なものである。

09/20 09:48
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拡がる読書会@大阪
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ヨーロッパでの西欧中世王侯たちの「あだ名」 ……色々あるらしいですが、そのあだ名文化を掘り下げることで、あだ名が名前にになり、一族の名になり・・・色んな所以がわかってくるそうで。それがわかってくると歴史がもっと面白くなるよとの紹介者の弁でした。 たしかに中世の人たちの名前はややこしいから由来から入ったほうが歴史は理解しやすそうですし、歴史を物語として読むには良い感じにボリューム増えて楽しそうですね。 https://note.com/sharebookworld/n/n5c58355d8150
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Machiko
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なんで中世人って、みんな同じ名前なの?って疑問に思ってる人は多いだろうから、着眼点はいいと思うんだけど。いかんせん学術的(涙)もう少し砕けたエピソードとか入れて、読み易くしてほしい。あと、例がピピンにカール・マルテルにユーグ・カペー。もちょっと新しい時代の人の方がとっつき易いんじゃないかなあ。まあでも、「姓の誕生」が意外に遅く、集団への帰属意識に直結していたからってのは納得できました、はい。
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ゆずこまめ
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高校生で世界史を勉強し始めたときの疑問、なんでみんな同じ名前?に対する答えがこの本に。家意識みたいなものの成り立ちや人々の捉え方に根っこがあったのか。でも一番の驚きは、まさかのブルートゥースに元ネタがあったことですね。
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ウヒュウゆいぞう
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ネタバレ中世ヨーロッパの王侯には「剛勇王」や「賢明王」等とにかくあだ名が多い。 そんなあだ名の由来に興味があったので読んでみた。あだ名の由来はそもそも結構分かっていないことが多く、また数多くある綽名を一つ一つ解説しているというようなものでもなく、むしろあだ名一覧は巻末にまとめられており、あだ名がなぜ存在するかとか、名前そのもののあり方について記載のある本であったが、それでもとても勉強になった。
四号戦車

いつも的確な感想すごいです。 ちなみに先祖と同名の名前をつけるのはその先祖を蘇らせるといった考えがあるそうです。

08/09 17:27
ウヒュウゆいぞう

ありがとうございます。 なるほど。蘇らせるという意味があるのですね。それならイングランド王家にヘンリーやエドワードが多いのも納得ですね。 逆にジョンが欠地王以外いないのも納得ですね(笑) 蘇られても困りますから(笑)

08/09 21:15
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てつこ
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ユニークなあだ名とそのエピソード紹介〜みたいな本かと思いきや、予想をいい意味で裏切られてとても面白かった!血族への帰属意識や、命名ルール、あだ名が確認される資料などを元に歴史背景を整理する。特に帰属意識のところは今まで知らなかったのでとても興味深かった。一次資料の欠如のため推測の域をでない箇所もあるけど、丁寧に整理された研究結果だと思う。読んでて楽しかった。ラテン語が読めたらもっと面白かっただろうな。
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さつき
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中世ヨーロッパの王たちのあだ名は、なかなかインパクトのある物が多くて以前から気になってました。獅子心王などはともかく、短躯王とか禿頭王とか無為王とか、それって悪口なんじゃ?と思うような名前が沢山。この本を読んで本人が生前そう呼ばれていたわけでは無いとわかり納得しました。専門書のわりには読みやすくて、あだ名から姓が誕生した経緯や、中世の人々の名付けから見える親族意識など面白かったです。
ベーグルグル (感想、本登録のみ)

古文書に書かれていたんですねー。そのあだ名を見つけたら吹き出してしまいそう😁

09/29 12:51
さつき

ベーグルグルさん、直接的すぎて笑っちゃいますよね(о´∀`о)

09/29 13:51
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9rikaz00
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日本にも先祖の名を受け継ぐという文化はあるが、中世欧州とはかなり異なる。特徴的なのが女系集団への帰属意識。父母両集団への帰属意識は父系絶対意識の不在を意味する。明確な外縁を持つ家集団ではなく、個人が親族とどのような繋がりがあるかという緩い紐帯意識が個人名の継承から浮かび上がる。これは当主を中心とした単一の家組織への帰属を迫る東洋的な家組織とは異なり、同族集団であるゲルマン系小民族の風習がそのまま維持されているのだろうか。
9rikaz00

せいぜいが祖父母程度までを自身の親族としてみなし、遠い先祖を意識しない言え感覚はクレヨンしんちゃんのような現代日本の核家族に近い印象を受けると言ったら言いすぎだろうか。後世では土地の所有権という普遍的な必要から姓が生まれ、家意識が発展することで遡ってカロリング家(カールたち)やカペー家(カッパを着たやつら)のように擬似的な父系集団を設定することにかるが、もちろん当時の人物の意識とは大きく剥離している

09/12 14:34
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ろばみみ
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中世史に詳しくないのになぜ読んでしまったのか…出てくる人物をほとんど知らないので「姓が無い&同じ名前があると分かりにくいのであだ名使用」論はよく分かった。アルファベットが元々は23字だとか、合羽とチャペルが聖マルティヌス伝説からくるchappelaを語源とするとか、jhonsonは英系、オハラやオブライエンはアイルランド系、マクドナルドはスコットランド系等は興味深かった。中世を舞台にした小説で父系または母系の名付けをするのは両者の権力均衡や、どちらの親族集団に属させるという意味合いもあるのか。
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Mマジパン
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遠出したとき東京郊外の本屋でたまたま手に取った本。妙に気になる題名である。千年以上前のヨーロッパ中世の王侯たちのあだ名から見た歴史だ。(カール・)マルテルや(ピピンの)大中小、そしてカペー(朝)など世界史でおなじみの名前が実はあだ名であったとは驚きだ。まったく浮世離れした内容の研究書なのだが、たまには(現実逃避に)いいだろう。しかし、読んだ人が多いのには驚いた。
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kasim
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獅子心王、赤髭王…。ヨーロッパの王侯へのイメージを盛り上げてくれる仇名の数々。なぜこんなに多いのか。それはゲルマン諸族に姓がなく、しかも親族で同じ名を使い回すので区別をつける必要が出てきたから。現代人は「カロリング家のカール・マルテル」というけど実は「カールが大勢いる一族中の鉄槌という仇名のカール」という意味。王侯は血縁の偉人や仇名、地方の有力者(貴族)は本拠とする城の名、庶民は父称や職業から次第に姓ができていく。まとめると単純そうだけど、学術書らしい丁寧な論証でした。
Maki

とても面白い視点の本ですね、読んでみたい!そういえばKasimさんは以前も「名前」についてかなり興味をお持ちじゃなかったでしたか??(イタリア人の名前でフランチェスコだったか、それがある一定数かならずどの時代にもいる、みたいな話をしましたね??)それにしても「~世」の数え方も一定しないって、もうビックリ!こっちはそれを覚えたり、確認したりするのも大変だというのに(笑)

01/23 23:03
kasim

そうそう、Makiさんとはフランチェスコ話で盛り上がったことがありましたね! たしかになぜか名前に興味があってこの本にも飛びついてしまいました。「~世」のこと、面白いですよ。同時代人は「今度の王様、3世だよね」なんて誰も考えてなくて「またカールだ」みたいな感じだったようです。番号を振るのは後世の工夫なのだとか。シャルルマーニュはカール1世だけどシャルル1世なのかどうかが人によってはっきりしないらしいです。面白いけど、この本読んでても混乱しますよ~。お読みになったらご感想楽しみです(^^)。

01/23 23:48
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しまった
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家名(姓)がない時代には、その一族特有の個人名がどの家門に所属しているかを表すこと、父系/母系のどちらの家門に所属するかは、どちらの地位が高いかで決めたことなど、目からうろこ。
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j1296118
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カール・マルテルのマルテルが仇名でなく「叔父」マルテル(マルティン、マルティヌス)にちなんだものだ、との主張を巡る話が、意外で、混み入っていて、否定する手間の大変さもあって面白い。  付録の仇名リストと簡単な紹介は見ているだけで楽しいのだが、同時に仇名の後ろに書かれる本名の同名連打ぶりにそれは仇名も必要になるわと思う事しきり
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びっぐすとん
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図書館本。読メレビュー見て。外国人の名前は種類が少なくて誰が誰だかわからなくなり混乱することが多いが、キリスト教由来の命名以前から、親族内の主導名と呼ばれる代表的な名前の中から選ぶ命名法のせいで混乱が生じるようになり、あだ名がほぼ公式に併記されるようになったとのこと。なら使う名前を増やせばいいのにと思うのは私だけ?「ハゲ、デブ、チビ」と陰湿ないじめのようなあだ名が後世に伝わるのはお気の毒。私たちも頭頂部の薄い先生には「ザビエル」とかあだ名付けてたけど。うちの子によると最近はあまりあだ名って使わないらしい。
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in medio tutissimus ibis.
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9世紀末、欧州史に突如同時代人歴史的人物にあだ名を付す文化が登場する。その背景には、姓を持たないゲルマン人が父母の家系の親族の名前を用いることで親族集団への帰属意識をもつ「主導名」という命名法が主流となった事で、個人識別が困難になったことがある。その際、父母どちらの集団により帰属意識を持つかは、社会的な力関係で決まった為に、永続的な核を持ちえなかった。11世紀以降、自立化した中位貴族が居城を築き、それを伝統的な分割相続の対象ではなく一子相続とするとともに、居城を以てする名乗りである「家門」から姓が誕生した
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相馬
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獅子心王、短軀王、禿頭王…中世ヨーロッパの君主につきもののあだ名。本来私的な呼び方のあだ名が何故公的に付くようになったのか、何時から付くようになったのか、年代的分布、などをゲルマン系の姓の特徴、中世の貴族の名前の付け方、家名の保持、本来の意味とかなどの点から研究したユニークな本。とても面白い。カペー朝のカペーが外套の意味のカペーで、合羽の語源のポルトガル語と同源だったのは知らなかった。それにしても巻末のあだ名一覧を見ると酷いのが多いが、特に「肥満」とか「禿」が多いのに笑ってしまった。
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サケ太
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視点が面白い。ヨーロッパで著名な王(イギリス、フランスなど)の名前を調べると“あだ名”に目がいってしまう。その“あだ名”がどういったものなのか、なぜつけられているのか、という事に迫っていく。ここから、ヨーロッパでの性の誕生、家門意識に繋がっていく。当時の人間につけられたもの、後世の人間につけられたもの。個人的には巻末の《あだ名》リストを読むだけでも楽しい。インターネットでは十分な情報が出てこないような人物たちもいて非常に気になる。『我慢公』、『目覚まし公』、『泣き虫伯』など由来不明のものもあって面白い。
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さとうしん
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ヨーロッパ中世の「短軀王」「獅子心王」の類のあだ名から出発して、それが公然性を持つものであったこと、中世の命名法と主導名の誕生、祖先の認識、家系・同属意識・家名の形成と、議論がどんどん広がっていく。特に同属意識が可変的であるという話は日本・中国など他の地域の王侯を考える際に示唆を与えてくれる。
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MUNEKAZ
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「○○王」「○○公」といった中世ヨーロッパ王侯のあだ名を検証した一冊。もともと姓がなく名のみのゲルマン人は、先祖と同じ名を受け継ぐことで親族意識を保ってきたが、当然のごとく代を重ねるごとに同名の人物が頻発するので、その区別として9世紀末より「あだ名」の多用が始まるとする(なので古い人物のあだ名は後世の名付け)。また「大・中・小」や「~世」といった区別は誰を起点にするかで、同時代人たちに混乱があったことも面白い。なにより巻末の「あだ名」一覧を見ると、思わずにやにやしてしまう。
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xuxu
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禿頭王に肥満王。要はハゲにデブ。仮にも王様なのになぜそんな酷い二つ名なのか。長年の疑問がある程度解消した。あだ名の疑問から始まり、当時の名づけや親族意識をも解き明かす。ゲルマン人に姓はなく、名は一族の人物に因んでつけた。当然同じ名前だらけだが、それが姓の代わりに親族集団への帰属を表した。困ったのは識別の問題を抱えた著述家たち。その最適解が「あだ名」で、個人に因むものもあれば単なる記号のものもある。では問題の禿頭や肥満は?後者は取り違えが原因らしいので事実無根。やはり酷い。不名誉なあだ名は業績がないから?
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めぐみこ
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著者曰く「あだ名は、『記号』という役割を越えて、聞く者、読む者、そして語る者、書く者の想像力を掻き立てる」。確かに獅子心王とか格好いい。肥満王や金欠王はちょっと遠慮したいが。ヨーロッパの王室に同名の人間が何人もいる理由がよくわかった。どの血筋に属しているかの主張だったのか。そう考えると『ハリー・ポッター』シリーズのドラコの名付けがブラック家由来なの納得だ。直系が断絶同然なら傍系にお鉢が回るわけである。
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Abercrombie
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中世ヨーロッパの王侯の多くにみられる「あだ名」。ゲルマン系の命名方法が、個々人を区別・識別することより、親族意識・帰属意識を重視し、父祖伝来の名前をつけるものだったため、同名異人わらわらの状況から、個人を特定する「あだ名」が生まれたことを豊富な資料とともに解説。とっつきやすそうなテーマとは裏腹に、専門的な内容&堅く読みにくい文章。一般人としては巻末の「中世ヨーロッパ王侯《あだ名リスト》を一読すれば十分な気がする~。
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人生ゴルディアス
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獅子心王リチャード、赤髭バルバロッサ、トマス・アクィナスが天使博士とかもある。そういうあだ名について考察した本。確かに意外になかった気がする。しかも、大ピピン、中ピピン、小ピピンは元々誰が年長かを表していたが、もしかして後世の人間はこのあだ名によって示されている人物のイメージが引きずられていないだろうか? という疑問が研究の動機だったらしい。おったまげたのはカペーとかマグヌスが元々はあだ名だったということ。また当事者における親族意識とかも、確かにそうかも、と思える指摘。巻末にはあだ名一覧あり。
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トミーチェ
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名前バリエーション少ない中世君侯たちを、何とか混同せずに記そうと苦心した年代史家たち。付けたあだ名は正直だったり失礼だったり。タイトルは軽めだけど内容はしっかり検証されている、姓や家門意識の形成過程が名付けによって確立されていくのが面白い。
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Junichi Kitazawa
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テーマはポップだけど中身は研究書 西日本だと屋号がある地域も多いというので、そういうところは世界共通だなあと
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俊
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本来私的なものであるあだ名が歴史書等の公的な空間で使われるようになったのは個人の識別のためのようだ。権力者との繋がりを示すため同名の人物が何代にも渡って現れる上に姓もまだないのだから、あだ名の使用が一般的になるまでは、当時の人々もさぞ混乱しただろう。家系図まで用意された分かりやすい解説のこの本を読んで尚「この人は結局誰なんだ??」となることが何度かあったので(汗)。ちなみにユーグ・カペーのカペーは姓だとばかり思っていたけれどこれもあだ名で「合羽」から来ているらしい。良い勉強になりました。
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貴船綏子
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題名だけ見たときは、いわゆる○○王、○○公のような呼び名の由来をたくさん解説する、軽めの本なのかと思ったのですが、いい意味で違っていました。途中で出てくる古代ローマの名前や家名の話も、私は知らなかったので面白かったです。
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はりねずみ
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「禿頭王」や「肥満王」など字面のインパクトが強い中世ヨーロッパのあだ名ですが、歴史家の記述においては表面上のニュアンスはほとんど排されています。この本ではあだ名文化の必然性や役割、性質などを丁寧にかつ面白く説明しています。中世史に興味のある方はもちろん命名の歴史に興味のある方にもオススメできる1冊です。
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六点
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ネタバレ「青歯王」「短躯王」…これらは中世の欧州の王のあだ名である。「禿頭王」などという本人の前では絶対に言えなさそうなあだ名もある。これらはゲルマン系の民族がもともと姓を持たず、幾つかの名前を共有する血族集団であったものが家族名を持つようになり、その中で後世になって特定の個人を示すためにあだ名が付けられるようになったのであるそうな。いずれにせよ、欧州と日本の中世に共通性が見られることもあるが、彼我の相違も大きいわけで、欧州の中世文化を学ぶには良い入口となる本と思う。
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ちり
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欧州の貴族の帰属意識が家門=家紋=姓による男系の固定的なものになったのは中世後期からで、それ以前は両系の可変的なものであった、ということを、あだ名(=名字が存在しない時期に区別のために必要性が高じた)というものの発生・流行時期から明らかにする。世界史で習ったあれもこれも、当時はなかった名字が後から遡ってそう呼ばれるようになっただけ、ってのがあってびっくり。
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あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる評価74感想・レビュー35