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小さな徳 (須賀敦子の本棚 3)

感想・レビュー
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dubonnet
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チョコレートの詰合わせのように一冊の中に様々な風味が控えめにこしらえてある。流刑の地での貧しさ、つのる郷愁、非業の死をとげた家族と子供達への祈り。イギリスに対する賛美と皮肉。「彼と私」は語りは控えめなユーモアなのに何故か読んでいくうちに切なくなるような愛情が伝わってくる。表題作は文章の最初から最後まであますところなく共感する。小さな徳は所謂処世術にも通じる所がある。そして大きな徳は生きていく為の軸となるもの。それらは子供達の背中からピアニッシモで伝え支えていきたい。一生大切にしていきたい一冊に出会えた。
dubonnet

お金の話は共感した。お手伝いでお小遣いはあげない。労働の対価は社会に出てから知ってほしい。お小遣いをあげるようになると何かを頼まれるたびに見返りを求めたくなる。行動に損得勘定をつけるようになる。子供のうちは純粋に誰かを助け感謝される喜びを知ることで足りると思っている。

01/14 19:31
0255文字
かもめ通信
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18頁にわたる読み応えのある訳者あとがきと池澤夏樹氏による8頁の解説を加えても165頁という薄い本ではあるが、ものすごく読み応えのあるナタリア・ギンズブルグ(1916-1991)のエッセイ集。読んでいるとなぜか、見知らぬ土地にに対する郷愁と、著者と著者が愛した人々に対する切なく愛おしい想いがこみあげてくる。しみじみと良いもの読んだと思える1冊だった。
0255文字
図書館小僧
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ナタリア・ギンズブルクの詩も小説も読んだことないのに、なんでエッセイを読もうと思ったんだっけ。何言ってるのかよくわからない部分も多かったのだけど、イギリスの悪口は筆が乗るね。
0255文字
k
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愛してるとしか言いようがない。即ポチ
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ハナハナ
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「あの頃こそが、私の人生の、なにものにも代えがたい最高のときだったのだ。」の一文が切ない冒頭の『アブルッツォの冬』は夫の流刑地で家族が一緒に暮らした最後の日々を季節の移ろいと共に詩情豊かに綴られるが喪失や悲しみから著者を救ったのは書く事だった。極めて個人的体験から自分史子育て論までエッセイの内容は様々だが辛く困難な時代を生き抜いて来た著者の揺るぎない精神、書く事への情熱、子どもへの慈しみがどの作品の底にも流れている。須賀敦子の本でしか知り得なかったナタリア・ギンズブルグとの距離が少し近くなった気がする。
0255文字
スズコ(梵我一如、一なる生命)
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最初の軽い読み心地から、後半はとてもどっしり読み応えと感動に変わった。人間関係の洞察の鋭さ、小さな徳の子供への接し方、とても共感した。イギリスの食をユーモラスに侮蔑し、新しい夫との関係が心配にさせられながらも、最後は映画のような映えの印象で終わる、オシャレ。またどこかのタイミングで再読したい。
スズコ(梵我一如、一なる生命)

それでもやっぱり、親も子もそれぞれ逃げ込める領域が必要ってことなんだろうな。親は自分である程度見つけられるけど、子供が上手く自分の世界を見つけられるように手助けするのが良いのだろう。それは理想論だけど、親心で悪さしないように、親も距離を保てるための自分の世界が必要で、ある程度それに入り浸って、子供は放任でも、子供は何か自分で見つけてくるかもしれないし、来ないかもしれない。そんなのわからないけど、親の負担は少なめ。

08/16 12:36
山猫

これ、この人のルーツから関わってくる部分もあるのではないかと。苗字から察するにユダヤ系でしょ?かの皆様は長らく専業主婦を是であり善としてきてるから。

08/16 14:09
4件のコメントを全て見る
0255文字
みねたか@
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エッセイ集と呼ぶにはあまりにも濃密で味わい深い作品群。夫と幼い子供と過ごした流刑地での日々を顧みた「アブルッツォの冬」。蘇る鮮やかな情景とその時の思いに胸を締めつけられる。「彼と私」や「イギリスに捧げる讃歌と哀歌」はウイットに富みリズミカル。その他の4編には著者の人間観,職業観,子育ての考え方が語られるが,ファシズムと戦火を潜り抜けた世代としての責任感と覚悟が強く感じられ読み応えがある。「須賀敦子の本棚」と銘打たれたシリーズの1作目。俄然他の作品も読み進めたくなった。
みねたか@

本文から/私たちは,死者たちの無言の返事と無言の許しを内に秘めて持ち歩いている。だから大人なのである。ある日思いがけず体験したあの瞬間,地上のあらゆるものをこれを最後と見つめ,抱え込むのは諦めて神の意志にゆだねた,あの瞬間を知ったから大人なのである。あのときふと,地上の者たちはすべて天のもとで,あるべき場所に配置されていると思った。人間もまたしかり,私たち人間も,与えられたたった一つのそれなりの位置につき,そこにぶら下がって世界を見つめているのだ。

08/05 18:38
0255文字
アン
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『ある家族の会話』の著者によるエッセイ集。夫の流刑に伴い幼子達と故郷を離れ寒村で暮らした日々「アブルッツォの冬」、疎開する両親に子供を預け、一足しかない靴でローマの道を歩く自由な人生「ぼろ靴」、対照的な夫婦の愛情に満ちた姿がコミカルに綴られる「彼と私」、子供の教育と天職を語る表題作など11編。最愛の夫との苛酷な別れさえも淡々と静かに述べ、「ぼろ靴」は須賀さんの『ユルスナールの靴』の冒頭の文章に通じるものを感じ、凛と前を向き心たおやかに生きる姿が印象的。人生を慈しみ愛する尊さを教えてくれる味わい深い作品。
ことり

「人生を慈しみ愛する尊さを教えてくれる」… ギンズブルグの書かれるものは良いですよね…「ユルスナールの靴」の冒頭は私も大好きでアンさんのレビューに共感しました♡ 私は未知谷から先に出版された、別訳の「小さな美徳」のほうで読みました(✿︎´ ꒳ ` )

12/18 08:20
アン

ことりさん、ありがとう♡やはり、ことりさんもお読みになっていたのですね。須賀さんの『ユルスナールの靴』の「きっちり足に合った靴さえあれば…」の一節は私も大好きなので、「ぼろ靴」は心に残り、「アブルッツォの冬」「彼と私」も深い愛情が込められていて胸がいっぱいになります。素敵な作品ですね。共感していただき嬉しいです(*ˊ˘ˋ*)✨

12/18 10:12
0255文字
uki
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人生の手引きという感じ
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佐屋
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敬愛する須賀さんが「この人の作品に出会わなかったら、自分は一生、ものを書かなかったかもしれない」と仰ったというナタリア・ギンズブルグのエッセイ集。ギンズブルグ作品ははじめて読んだのだが、冒頭の「アブルッツォの冬」は名品というほかない。当人すら知らぬまに、ひそやかに終わりに向かう幸福な日々。誰かの希望の砕けた、そのこまかな破片のなれの果てが、あるいは冬の空に舞う雪のひとひらなのか。人肌に一瞬にとけるその儚さと美しさに、何度でも文章を読み返す。ギンズブルグもまた、孤独を思うことを知る人だったのだと。
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いなお
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イギリスの食事の揶揄に笑っちゃった。まったく異なった人生を送った方なのにわたしの人生の物語でもあるような心持ちになった
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みにもる
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幸せなときには、想像力がより大きな力を持つ。一方、不幸なときに活発になるのは記憶である。(87) 沈黙には種類がふたつある。自らに対する沈黙と、他者に対する沈黙である。いずれの形をとっていようと、耐え難いものであることに変わりはない。(97) 天職=お金を度外視して、燃えたぎる一途な情熱を注ぎ込むもの、他の人より上手にできるし何よりも愛していると自覚できるなにか(136) 天職が誕生し育っていくためにはまず、空間(と自由に選択された沈黙)が必要である。(136)
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blue_blue
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ゆっくりと噛みしめるように読む。常人には耐え難いほどの哀しみと苦痛を味わっているのに、ギンズブルグは決して過去には留まっていない。絶望の慟哭は喉の奥で消しこみ、過去の美しく優しい情景をきりとって、いまとこれからを見据えている。忘れるのではなく、過去との距離をとる。ともすれば自分語りになりがちなエッセイが優れた文芸作品となるかならないかは、そういう姿勢によるのかも。女として、母親として、仕事を持つ身としても、悩んだときに反芻したい文章がたくさんあった。表題作と『アブルッツォの冬』『彼と私』が特に好き。
blue_blue

表紙も良いんだよねえ。大司教〜も素晴らしかったし、須賀敦子の本棚、集めようかな。。

02/25 21:11
0255文字
おおた
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論理が逸脱せず親身なやさしさをもっている。戦争の苦労や身内との離散・死別を経験したからここまで優しくなれるのだろうか。文中でも解説でも言われているのは、自分にしがみつかずに他者として突き放した文章であること。現実のささやかな正しさにしがみついて大志を忘れてしまうことの危機感を説く表題作は特に身に染みた。作者の小説もぜひ読んでみたくなる。
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neco
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「生きることへの愛が、生きることへの愛を生み出すのだから。」
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Susumu Kobayashi
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「イギリスに捧げる賛歌と哀歌」冒頭でイギリスを称賛しておいて、あとはシニカル。イタリア人視点ならこうなるだろう。巻末の表題作は、「子どもを育てるにあたって教えるべきものは、小さな徳ではなく大きな徳だと思う。貯蓄ではなくお金にこだわらない鷹揚さ。用心深さではなく危険を顧みない勇猛さ」(p. 123)とあるが、同意できる部分もあるが、そうでない部分も。著者の通り実践するのは難しい。しかし、著者の言う「天職」――「お金を度外視して、燃えたぎる一途な情熱を注ぎ込むもの」(p. 136)――を見つけるのは大切だ。
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なおこっか
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ナタリア・ギンズブルグの筆致は鮮やかだ。風景も人も、眼前に連れてくる。“川がかなたにぼんやりうすれ、水平線らしきすみれ色の靄に紛れてどこへともなく姿を消すさまは、昼日中でありながら黄昏どきを思わせる”そんな陰鬱な街が“私たちが亡くした友人によく似ている”と書かれると、浅学な私でもパヴェーゼのことだとわかる。あまりに鮮やかで、時に辛辣にすら思えるが、通低するのはナタリアが書くことと人間(広い意味で生きること、命、存在)をとても大切にしているということ。その姿勢が直接的に示された『私の仕事』が印象深い。
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やくも
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須賀敦子訳で有名な『ある家族の会話』の作者のエッセイ集。子どもの教育についての表題作「小さな徳」、二人目の夫との小さなすれ違いを描く「彼と私」が特によかった。「彼と私」は締めくくりがまた秀逸で、心に残る。この夫も早世するのが悲しい。
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jugemu
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珠玉の随筆集。須賀さんの本の中からは、イタリア文学の老大家で近寄りがたい峻厳なお婆さんというのが、ナタリア・ギンズブルグの印象だが、本書から浮かび上がる彼女のイメージは全く異なる。第一部が良い。中でも最初の二編に特徴が凝集されており、自分を取り巻く環境や周囲の人への目配りと距離感の中に細やかでさりげないながらも人生の真実を書きとめる。この二編は時と所を違えればまるで須賀さんの文章を読んでいるような味わいがある。ナタリアが須賀敦子文学を作ったと池澤さんがまとめるのも非常に納得。翻訳文章の出来も良い。
jugemu

上記の二編(「アブルッツォの冬」、「ぼろ靴」)にはナタリアその人の生が浮き彫りになり、いきなり読む人の心を掴む力がある。内容とは裏腹に掴まれた心は癒やされるとともに一つ一つの文章を慈しむ、その意味で小説を読むような感興がある。この魂にしみわたる心地よさは須賀文学に通じる。再婚後の夫に同行したロンドンで目にした市中生活をユーモラスに皮肉った二編すらエキゾチックだが同じような味がある。初めてナタリアを読む人は、ここにある文章だけで一気にファンになるだろう。文学の凄さだ。

12/07 16:02
0255文字
アヴォカド
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これから老いへと向かう日々の途上で、時折思い出して読みたい。
0255文字
OHNO Hiroshi
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何度でもまた読み返すだろう。この先の人生の不安を和らげてくれる。突然のことが起こるだろう。冷静であること。何もかも人生なのだから。
0255文字
ヘラジカ
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イタリアの作家ギンズブルグのエッセイ集全訳。短い文章ながらも響くものが非常に多い。詩的な存在をそのまま、あるいはそれ以上に詩的なものとして表現する素晴らしさ。対象への文章による接し方というか、見つめる眼差しが須賀敦子と本当によく似ている。迫害や戦争の傷跡を書いたものが多い点は須賀さんのエッセイとは少し違うが、死別した夫との距離感など、素人目にも原点がここにあることが分かる。短くもヴィヴィットな自伝的エッセイ「人間関係」、明快で納得してしまう教育論的な文章「小さな徳」が特に良かった。
ヘラジカ

2018年新刊104冊目。

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