読書メーター KADOKAWA Group

1968年 (朝日新書)

感想・レビュー
25

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
ありがとう
新着
1968年における音楽界、漫画界、プロ野球界、映画界の動向を記した4話構成で、特に第4話の「映画スターたちの独立戦争」が大変興味深かった。ここ近年、アマプラなどの動画配信で1960年代の邦画を観る機会に恵まれ、その背景にある「五社協定」の影響力について詳しく知りたいと思っていたので。著者のあとがきにある通り、「ネットはたしかに便利だが、昔を知るには、当時の新聞や雑誌のほうが空気感まで伝わる気がする」(P359)←分かる。本当に得たい情報って、やっぱり自分にとっては活字や紙の印刷物の比重がいまだに高いから。
ありがとう

(P300)永田も堀も、理性的な判断ができない。ワンマン体制で社内に意見を言える者がいない点でも大映と日活は似ていた。七〇年代に入り五社の中で脱落するのが、日活と大映なのは偶然ではないだろう。(P303)石原裕次郎と三船敏郎は、既存の五社ではできないスケールの大作を作り、斜陽化している日本映画界を何とかしたいという思いで『黒部の太陽』を始めた。別に五社協定をぶっ壊してやろうと思って始めたのではない。しかし五社協定が予想以上に難攻不落な要塞だったと思い知ると、「打倒・五社協定」が映画作りの目的になっていく。

07/25 15:56
ありがとう

(P303)五社協定は、いずれは破綻・崩壊したであろうが、『黒部の太陽』がその時を早めたのは間違いない。(P323)こうして一九六八年に、三船敏郎、石原裕次郎、勝新太郎、中村錦之助の四人の、東宝、日活、大映、東映を代表するスターによるプロダクションが揃ったのである。松竹のスターだけが、いない。というよりも、戦後の松竹からは、この四人に匹敵する大スターが生まれなかったのだ。

07/25 15:57
0255文字
ざび
新着
これは面白い。でも、読み人は選ばれてしまう。 この当時のエピソードについて行ける方には無類の面白さがある。派生作品も何作か読んでいるが再読したい。
0255文字
キック
新着
積読本消化。エンタメ業界(音楽・漫画・プロ野球・映画)を「1968年」を軸に振り返る内容。具体的には、「帰って来たヨッパライ」「花の首飾り」の大ヒット秘話、ザ・タイガースは「長髪」というくだらない理由で紅白に出場できなかった話、本宮ひろ志や永井豪の無名時代の話、「巨人の星」は「凄い企画がある」とのハッタリから生まれた作品、江夏投手の無双話、映画業界の傲慢な五社協定に風穴を開けたのが「黒部の太陽」だった話等々、興味深いエピソードが満載。記録としても楽しめる読み応えのある本でした。
キック

4歳の時の記憶はほとんどないのですが、この年にヒットした「帰って来たヨッパライ」「恋の季節」「世界は二人のために」はテレビで流れていたことを覚えています。歌の力は凄いと思ったのでした。

06/28 17:42
キック

Hirokoさん、コメントありがとうございます。ピンキーとキラーズは一発屋ではありましたが、爆発的な人気がありましたよ。

06/29 17:10
0255文字
一数学教師
新着
第二話の214ページで挫折。 図書館で借りた本なので、一旦返却する。
0255文字
SuzieQ
新着
ネタバレ現代から現在へ、モノクロからカラーへ、といった時代の変遷期の1年間を取り上げたドキュメント。学生運動とザ・タイガースを織り交ぜて時折佐藤栄作日記を加えた第一話は読みごたえがあったが、漫画と野球、それも「巨人の星」「あしたのジョー」の粗筋紹介ばかりになった中盤は冗長に過ぎた。今や神話的存在となった手塚治虫も「人気漫画家の一人」だった、という生の時代の空気は感じられた。
0255文字
kinkin
新着
音楽、映画、少年漫画、プロ野球などから見た1968年論。1968年といえば私は小学5年生。野球は巨人が圧倒的に強く「巨人の星」や「あしたのジョー」はリアルで読んでいたしグループサウンズの長髪を見た家族からあんな髪型は不良なのであんな風になるなと言われた。映画は学校の決していい環境ではなかった講堂で『黒部の太陽』を見た。しかしこの年を本当に謳歌していたのは私より一回り上の大人たちだったと思う。こんなに熱かった年はほかにないのかもしれない。まだいい未来が待ってることを信じていた時代。図書館にて
ちゃま坊

kinkinさんは少年マガジンでしたか。当時は貸本屋というのがあったおかげで、私はジャンプもサンデーも読んでました。

08/26 21:36
kinkin

ちゃま坊さん すぐ近くに貸本屋がありました。他の漫画雑誌も読みましたが楳図かずおや水木しげるの本も好きでした。

08/26 22:08
6件のコメントを全て見る
0255文字
north
新着
大衆文化的な事象に重心を置いた1968年論。68年というと、政治的な事件や文化事象を中心に語られるのが常だが、より広く見ると、それはある意味で偏りのある歴史観だということが、この本であらためてわかる。ただ、叙述の仕方が羅列的で分析の深みがなく、読み手の側に持続的な関心がないと最後まで読み続けるのは難しいかもとも思った。
0255文字
Gen  Kato
新着
なんといろいろな「事件」が起き、「物語」が語られ、「伝説」が作られていた年なのか(というのは、もしかすると今年を50年たって振り返ったときに思うことかもしれないのですが)。とにかくエキサイティングな「一年史」。
0255文字
美味しい渋谷
新着
中川右介さん、キーワードで熱い、熱苦しい年を鮮やかに蘇らせてくれます。いろいろありました。
0255文字
nadaha
新着
中川右介さんの本が次から次へ出る喜び。芸能界、映画、野球とこれまでの著書で取り上げられた分野に加えて漫画という切り口も加わる。隣接する知識がどんどん増えていく感じがとてもよい。これでいくと学生運動、裕ちゃんや黒澤明、出版社という切り口でも行けると思う。中川右介さんの作風ならデータが揃えばなんでも書けるから興味と隣接した知識次第なんだろうな。角川やジャニーズ、阪神なんかも少しだけ触れられてて、そこだけでも一冊書ける要素をふんだんに盛り込んである贅沢な一冊で、満足感あった。あと五社体制マジクソ。
0255文字
はな
新着
1968年、令和が始まる時に昭和の成熟期の記憶を歌謡曲をはじめとする音楽史、野球史⚾️、コミック史、映画史で読み解いた書籍。小生と同じ年の著者なので、殆ど人生のイヴェントが一緒なので懐かしいことこの上ないです。1968年のヒットチャートは過半数の曲が歌えるし、巨人軍V4の記憶も鮮明です。あしたのジョー、巨人の星、石原裕次郎、三船敏郎。令和が始まるあした、昭和は1つの伝説になるのでしょうね。
0255文字
hk
新着
「激動の一年」。1年を振り返る際の常套句だ。どの年も激動と安寧が混然一体となっているのだが、メディアは激動の部分にスポットライトを当てたがる。さて本書ではほぼ無作為に1968年という一年を抽出。この年を「激動の一年」という色眼鏡で見た場合の、デフォルメされた1968年を紹介していく。…集英社が満を持して週刊ジャンプを創刊。三船敏郎と石原裕次郎が共演した「黒部の太陽」で大手映画五社協定に風穴。江夏豊の年間401奪三振という前人未踏の快挙。…なるほど…所得倍増計画成就の年の息吹が僅かだが確実に伝わってくる。
hk

■備忘雑感■ 『さいとうたかを という巨匠』 1968年に小学館が創刊した青年漫画雑誌ビッグコミックにて連載が始まったのが「ゴルゴ13」。恐らくその名前を知らぬ日本人はいない。ゴルゴダの丘に吊るされた13番…といった蘊蓄は断腸の思いでわきに置こう。さいとうたかをの何が凄いかといえば68年から半世紀以上も連載を続け、常に第一線で仕事をしているということ。更に遡れば59年に小学館がサンデーを、講談社がマガジンを創刊した時から漫画家ならぬ「劇画家」として60年にもわたり異彩を放ち続けている点も見逃せない。

02/19 16:00
hk

『小学館 講談社 集英社、三つ巴構造の嚆矢』 現下、小学館は少年誌として少年サンデーを青年誌としてビッグコミックを。講談社は少年マガジンとモーニングを。集英社は少年ジャンプとヤングジャンプを有す。という風に今でこそ各出版社は少年誌と青年誌をすみ分けているのだが、68年にその端緒がみられる。 『団塊の世代を追いかけて』 59年にサンデーとマガジンが創刊されたのは、おおよそ10歳となった団塊の世代を取り込むため。68年からビッグコミックなど青年誌が創刊されたのは、成人した団塊の世代を漫画の世界に引き留めるため

02/19 16:12
0255文字
ぐうぐう
新着
1968年に起こった出来事として、ザ・タイガース、少年マガジン、江夏豊と星飛雄馬、映画『黒部の太陽』という4本柱でエピソードが紹介されている。1968年という括りがあるだけで、この4つの出来事に共通性はさほど見受けられない。そういう意味では、散漫な印象をどうしても受けてしまう。同時に、4つのテーマを盛り込んだことで、やや消化不良も起こしている。特に『黒部の太陽』のエピソードは、五社協定が瓦解する視点から、一冊の本としてたっぷり読みたかった。(つづく)
ぐうぐう

ただ、著者の中川右介は、情報収集にネットよりも当時の雑誌や新聞といった紙媒体を丁寧に当たっていて、ネット特有の底の浅さや偏りがなく、当時の空気感といったものが伝わってきて、好感が持てた。

01/17 00:28
0255文字
サカモトマコト(きょろちゃん)
新着
1968年の日本のカルチャー に起きた出来事を音楽、漫画、スポーツ(野球)、映画に分けて解説している本。 この時代に青春時代を過ごした人には懐かしく、この時代に生まれていなかった人には1968年が新鮮に感じるのではないかと思いました。
0255文字
AMOROS
新着
それほどでもない読後感。何だろう これ
0255文字
Shigeo Torii
新着
結構間違って記憶していた事が、判明、、、、。 忘却とは、、、。
0255文字
Mc6ρ助
新着
ポップカルチャーもまたは消費の文化であった。当時、TVしか世間との接点を持ってなかった読書子には1968年は過ぎ去ってから振り返るものであり、著者が淡々と記述する時代を共有出来るものではなかった。
0255文字
おかむら
新着
1968年の大衆文化にスポットを当てる。音楽界はザ・タイガースとフォーククルセダーズ。マンガ界は少年マガジンとあしたのジョー。野球界は江夏豊と星飛雄馬(!)。映画界は石原プロと三船プロの「黒部の太陽」。なんだかとてもマニアックな選択ですが、週刊少年漫画誌の勃興期のアレコレ、名だたる 漫画家さんの新人時代のエピソードとか、面白いっちゃー面白い。そして梶原一騎すごいわ。
0255文字
ko1kun
新着
1968年は、政治、映画、音楽、マンガ、野球などなど、熱い時代だったのがよく分かる。
0255文字
ざび
新着
著者は私がクラシックの師匠と思っている方。しかし芸能文化にも造詣が深い方でもある。時は1968年。歌謡界、少年漫画界、映画界を切り取ると素晴らしい年であったことが浮き彫りとなる。ただの過ぎ行く普通の年が躍動する。白眉は少年漫画週刊誌発刊と競争の歴史について。各社の戦略や漫画家たちの奪い合いと発掘は面白さ満点である。著者の文章能力と相まって極上の作品となった。
0255文字
gram1126
新着
完読。★★
0255文字
阿部義彦
新着
ちくまから四方田犬彦さんが「1968年、三部作」を出しましたが、同工異曲の本です。1968年には人を惹きつける何かがあるようです。筑摩選書は主にアングラ文化、ガロやつげ義春、天井桟敷、などを取り上げましたが、こちらはモロメジャーというか大衆的な文化、少年ジャンプ、永井豪、タイガース、明日のジョー、巨人の星等などを取り上げています。映画では 「黒部の太陽」と五社協定についてかなり詳しく書かれています。少年マガジンの黄金時代に関しては、梶原一騎抜きには語れず詳しくストーリーまで追ってます。熱かった日々
0255文字
Inzaghico (Etsuko Oshita)
新着
映画界の章は、五社協定の綻びのきっかけの一端となった映画『黒部の太陽』と、その映画に絡んだ三船敏郎、石原裕次郎の物語だ。これを読むと、昭和という時代は「老害」「既得権」が幅を利かせていたのだなあ、と痛感する。いまも「老害」と「既得権」ははびこってはいるけれど、そこに風穴をあけるしくみも少しずつ整ってきている。真正面からぶつかるだけでなく、ときには裏から攻める、またときには一歩下がっているように見せながら外堀を埋める、という方法もとれるのだ。
0255文字
オールド・ボリシェビク
新着
面白い!50歳以上必読だぜ!
0255文字
わいほす(noririn_papa)
新着
ちょうど50年前の昭和の1年間をサブカルチャー中心に綴った4つの物語。ザ・タイガースとフォークルの音楽界、マガジンとあしたのジョーの少年漫画界、江夏と星飛雄馬!の野球界、裕次郎と三船の映画界である。最初の話が秀逸。音楽界を描きながら激しくなる学生運動の状況とそれに手を焼く佐藤栄作のぼやきのような日記が絶妙に挟み込まれている。この人が後日ノーベル平和賞を取ることを思えば実に皮肉が効いている。漫画界と野球界はジョーと飛雄馬の物語に引っ張られすぎている感もあるが、同世代としてはよくわかる。(コメントに続く)
わいほす(noririn_papa)

著者も私と同様、当時は小学低学年で、おそらくこの二つの漫画はテレビから入り、後から単行本で夢中になった世代であろう。当時、現実の野球界とシンクロしながら週刊連載されていた「巨人の星」を今、改めて現実と漫画の記録を並べながら再読するのは、かなり楽しかったに違いない。こちらもこの野球編は読んでいてとても馬鹿馬鹿しくて楽しかった(褒め言葉)。(さらに以下コメントに続く)

09/20 21:05
わいほす(noririn_papa)

著者は膨大な当時の雑誌やその後の文献をレトロスペクティブに検証し、そこからある対象にスポットを当てることで浮かび上がる物語とともに時代を再構築しており、個人の思い出としての1968年ではなく、活字によって大衆にもたらされた大衆の記憶にある1968年が蘇ってくる。

09/20 21:06
0255文字
全25件中 1-25 件を表示
1968年 (朝日新書)評価88感想・レビュー25