読書メーター KADOKAWA Group

「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)

感想・レビュー
140

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
もん
新着
NHKラジオの「プラっと」を聞いて興味を持って。ロシアって、隣国なのによく知らないし、わからないことが多いなぁと思っていたので勉強になった。面白かったのは、アイデンティティクライシスについて。白人の国でありながらアジアに覇権のある大国。ソ連の崩壊後はどこまでをロシアとするのか…。大国ならではの葛藤があるのだなと思った。北極圏についての記述も興味深い。気候変動により、北極圏での軍事活動が行いやすくなったり、航路が利用しやすくなったりして、重要性が増しているらしい。温暖化がそんなことにも影響するのね…。
0255文字
金吾
新着
○ロシアのウクライナ侵攻前の本です。ロシアの思考がわかりやすく書かれています。守り主体の思考のため、勢力圏確保に敏感なのだなと感じました。グルジア、クリミア、中国、オホーツク、北極の話が面白かったです。
金吾

グルジアと書いていました。十数年前に会議に参加した時にジョージアからの参加者がいて、初めて国名が変わったことを知ったことを思い出しました。

01/23 18:11
KF

調べてみたところ、2019年6月の出版だったようですね。執筆のタイミングでは、まだジョージアだったのかもしれません。 グルジア人の立場では「ジョージアというのはロシア語の発音に近い。我々の母国語ではジョージアに近い」と主張した結果、日本のメディアもジョージア化したんでしょうね。 いずれにしろ「いや、そうじゃなくて、正しくはこう発音するんだ」と食下がられかねませんけどね(^^) 現地の綴りは⇒だそうです。საქართველოს 旧ソ連の15共和国は殆どがキリル文字かアルファベットですけどね。

01/23 18:29
3件のコメントを全て見る
0255文字
yoshichiha
新着
- ロシアが自国の勢力をどのように持とうとしているか、ということをわかりやすくまとめた本だったと思う。 - 大陸国・多民族国家・ソ連崩壊という負の経験があるロシアがどう自国の誇りを取り戻そうとしているか、という視点と、ソ連崩壊後の西側諸国の振る舞い、ロシアにおける資源という資金源、などが絡み合って今のようになっているのだな、と。
0255文字
みねたか@
新着
ロシアにとって境界(国境)とは「浸透膜」のようなもの。当初違和感のあったこの分析も読み進むうちに納得。ヨーロッパ、中央アジア、中国に面する広大な領域。これを維持していくうえで、巨大な隣人(中国)との関係では関係悪化を避けることが至上命題となり、紛争状態を継続することで外部勢力であるNATOの拡大を阻止する(ウクライナ)。また、実効支配を継続することで時の経過に伴う権利関係の固定化を図る(北方領土)。理解したとまでは言えないが、今後は、これまでとは少し違った感覚でロシアという国を見ていけそうだ。
0255文字
土偶
新着
いわゆるウクライナ戦争の開戦前に執筆発行された小泉悠さん本。入門者にも読みやすい語り口は他の本も同じくだ。 まえがきの北方領土渡航記は限られた人しか渡れなかった時期(今はそれさえ不可能)の珍しい記録。夏に羅臼からの船で国後島を眺め、改めてその至近距離な関係を感じただけに。 周辺諸国の通史本を読んでいくと、露が戦争を仕掛けた論理が体制が変わっても変わらないのだなと思う。
土偶

主権国家の定義に軽くショックを感じたし、なるほどと思ったし。そりゃ友好条約なんて黙殺だわね。

09/29 14:24
0255文字
𓍯𓊃𓄿𓅱𓄿
新着
ネタバレ★ロシアの考える国家主権とは極一部が保持しうる。強国とか列強に近い。★中印は主権国家←核を持ち同盟せず安全保障を全う出来る。★プーチン「"世界権力の中心(米国)に対する忠誠度"により国家主権は相対化している」★半主権国家と見なされる日本。★西欧のR2P(保護責任)とロシア的R2P(侵攻口実?)は別物。★×帝国的秩序×ウェストファリア的秩序→ソ連崩壊後ロシアの「大国」志向。★①思想⇔実利②戦略志向⇔場当たり主義、の相克が見られるロシアの秩序観。(1/4)
𓍯𓊃𓄿𓅱𓄿

★ロシアの"限定行動戦略"...自国の能力の限界を踏まえた介入戦略→現地勢力との関係が決定的に重要。★中東シリア内戦介入...①「汚れ仕事引受説」米に出来ないアサド(ISへの有効な対抗勢力)支援→ウクライナ情勢への姿勢軟化を求めた?②「世界戦略阻止説」アラブの春(民主化)は米国の陰謀→アサド(独裁)擁護で対抗。★いずれにせよ米国の中東戦略においてロシアは無視出来ない存在となった。★日米地位協定「返還後の北方領土に施設/区域を設けないとソ連と約するのは安保上問題だ」→ロシアの不信感。(3/4)

09/09 20:08
𓍯𓊃𓄿𓅱𓄿

★純軍事と政治の論理は別→アフガン侵攻容認やバルト三国NATO加盟など、政治論理の優先もある。★北方領土交渉におけるロシアの面的思考⇔日本の点的思考。★中国を共通の敵とした日露の結束は困難←中国の脅威を感じていないからではなく、むしろ脅威として関係悪化を絶対に避けたいから。★北極の①資源②商業航路③核抑止基盤としての価値を巡る、協調と対立。●(小ネタ/感想)・ベラルーシは憲法18条の中立国規定を現在も維持→ロシア軍の駐留はない。・集団安全保障概念が薄いロシア。全体的にメンヘラ。(4/4)

09/09 20:08
3件のコメントを全て見る
0255文字
ラピスラズリ
新着
非常におもしろい本だった。自分が国際政治をおもしろいと思う理由のひとつは、この本で述べられているような「人間や国の論理」を知ることだと改めて感じた。もちろん、その論理に賛同できるかどうかはまったく別であるが、その論理を知らずに相手と交渉してしまうと、本の中で述べられているような「ロシアは日本と同じように中国への脅威認識を持っている」といった誤った前提で話を進めてしまうことになるのだと思う。もっといろんな国の論理を知りたいと改めて感じた本であった。
0255文字
Marcel Proust
新着
ロシアによるウクライナ全面侵略戦争前の19年に出版され、著者が以前に発表した論文を加筆修正する事で構成された一冊だ。プーチンとロシア政府の特異な安全保障面での認識や、ロシアにより占領状態に置かれていた旧ソ連諸国の歴史認識など非常に参考になる本だ。著者が指摘するように、プーチンの脳内ではドイツや日本といった国家も「半主権国家」なのであり北方領土についても最初から「返還」などする意思は毛頭無かったのである。ウクライナ侵略を続けるロシアの歪んだ論理を理解する為にも、マクロな視点から眺める本書が非常に参考になる。
0255文字
dexter4620
新着
ロシアの軍事安全保障を専門とする筆者が綴るロシア地政学。NATO加入を阻止するために2014年以降ウクライナを戦争状態に置いているというのは、気付かなかった観点だった。5年、10年後のロシアはどうなっているのだろうか?今の戦争についても綴った増補版の出版を期待しています。
0255文字
まーくん
新着
元々著者の専門はロシアの軍事安全保障政策であったという。ウクライナ戦争が始まり、その豊富なロシアの軍事知識に基づいた的確な判断からメディアによく登場するが、見通せなかった事には、率直に判断の甘さや間違いを認める誠実さが好感されている。本書は今次のウクライナ戦争前の著作で2014年のロシアによるクリミア併合を受けて、ロシアの秩序観~「主権」と「勢力圏」を手懸りとして帝国ロシアの地政学について分析している。ロシア(プーチン)の考える主権の概念では軍事・政治同盟の枠内にある場合、上位者にその主権は制限される。⇒
まーくん

⇒NATO加盟国は米国に制限される。日本は言うまでもない。核保有国で外国と同盟することなく安全保障を全うしてる中印など少数の国のみが主権国家とみなされる。旧ソ連諸国は勿論、ロシアの影響下にあり主権国家ではない。これらの国々はロシアが一定の影響を及ぼすべき「勢力圏」と考える。その勢力圏であった東欧諸国が次々とNATOに加盟し、そして旧ソ連のウクライナまでもその気配を見せる。プーチンの心は穏やかではない。2000年代のエネルギー価格の上昇により、ソ連崩壊時の経済的疲弊から回復したロシアは勢力圏の確保に力を…。

09/27 12:57
0255文字
都人
新着
大変面白く拝読した。ロシアのウクライナ侵攻に関して、報道番組で大忙しの著者の本は初めて読む。2019年の7月に初版発行と云うことだから、ロシアのウクライナ侵攻前に書かれた本だ。氏曰く、ロシア・旧ソ連は「国境は自分の影響力を及ぼすことの出来る限界線」という考えは無く、その周辺を含めて自己の勢力範囲(ロシア人が住んでいれば)に自己の主権が及ぶと考えるという。正に帝国主義的な考え方(大国主義)を捨ていないという。衛星国は主権を持たないとも。なんとも恐ろしい国だ。
0255文字
楽
新着
19年。ウクライナ戦争前に書かれているがロシアの思考を読み解くには必読だろう。300頁近いハードカバーなので新書など類書をいくつか読んでから挑戦することをお勧めする。まずは日本でも一種のブームとなっている「地政学」の本来の意味に触れつつ、冷戦後のロシアにおける地政学とアイデンティティ(「ロシア」とは何なのか)がほとんど判別不能な形で癒着していることを説く。さらにプーチンにとっての「主権国家」とは。NATOを念頭にドイツでさえ「主権国家」とみなしていない。安全保障を米国に依存する日本も同様。
楽

ロシアの(勝手な)論理からすれば、中国やインドなど(いずれも核兵器を持つ)ごくいくつかの国以外は「主権国家」ではない。そういう意味では北朝鮮は「主権国家」になりつつあるのかもとも。また旧ソ連諸国は「上位の存在」であるロシアの影響下に置かれるのが当然というロシアの論理。北方領土問題は第6章に詳しいが、安倍政権の「新しいアプローチ」は安全保障に関する視点が欠けていたと手厳しい。このほか、ウクライナの位置付けを巡っての前置詞に関する論争も興味深い。プーチンの演説の中では、ウクライナは国ではなく特定の限られた場所

08/06 17:35
0255文字
尼西基馬大意
新着
プーチンの思想は、外から見ていると恐ろしい非合理性に満ちている。ドストエフスキーの小説の主人公のように、地下室の中で手記を書きながら、その非合理性を正当化しているだけならまだ良い。そのような人間が権力の座について思想を忠実に実行に移しているというところに、人類にとっての悲劇がある。本書を読み終えて「この戦争はそう簡単には終わらないだろう」という徒労感に襲われた。
0255文字
スタイリッシュどんぐり
新着
2019年初版発行。意図よりも能力を基準として軍事戦略を行う。旧ソ連領域はまだ自国だと思っている。特にウクライナはほとんど我々(だが下に見てる)。アサド政権を援助しシリア内戦に介入していた。面で展開しており境界線が長い。
スタイリッシュどんぐり

ってことはこの機に乗じて境界問題がある国が一斉に参戦して奪回しようとする動きが出る可能性がある?

06/03 19:02
0255文字
sakadonohito
新着
2019年出版された書物。2023年現在も続いているウクライナ戦争は長期化しているが、この本を読んで紛争状態を維持するのがそもそもの目的なのかもしれないという考えに至った。
0255文字
kei
新着
2019年7月発行。コロナ禍とウクライナ侵攻前というと隔世の感が出てきた今日この頃(2023年4月)ですが、ロシアという国がどういった思想によって政治を行っているのかがよく分かる良書だと思います。バルト三国やウクライナとの関係についてはここ最近よく取り沙汰されているので馴染みがありましたが、中東とロシア、北方領土、北極についてはまだまだ不勉強、というか北極を巡る攻防は初めて知りました。北極を中心にした地図を見ると不安が募ります。
kei

本書とはあまり関係がありませんが、バルト三国というとチャペック『オランダ絵図』の「小さな民族」の冒頭、ラトヴィア人の若者の「どの言語で仕事をしていくべきなのか」という苦悩を思い出します。バルト三国は、今まさにロシアから離れていこうとしていますね。

04/29 22:30
0255文字
しんさん
新着
世界で主権国家といえるのははごく少数の大国のみ。「ほとんど我々」としてのウクライナ。中東では戦略がないという戦略、など。国際社会で認められるかは別の話としてロシアが世界をどう認識しているか、ロシアの秩序観がよくわかる良書でした。
0255文字
入道雲
新着
ロシアにとっての地政学が非常に分かりやすく、所々に実際に訪問した地の人々や生活、文化なども紹介されていたりもする。広いロシアの長い国境、政治的や安全保障上の観点など、膨大な著者の知見の集結となっている。また、2022年からのウクライナへの再度の侵攻の前に書かれている本だが、その伏線を読み取ることが出来る。印象的なのは地政学的にも安全保障上でも北方領土返還はロシアにとってはあり得ない話なのだろうと言うこと。中ロ関係が微妙なバランスをもっていること。そして、北極海はとても意味があること。
0255文字
Hotspur
新着
2019年出版の本で遅まきながら読む。当然、2022年2月以降のウクライナ戦争はスコープに入っていないが、ロシアのウクライナ侵攻の背景にある歴史的事情や考え方を知るには本書は素晴らしいガイドとなる。プーチンの抱く「主権」や「勢力圏」の考え方、グルジアとバルト三国とロシアの関係、ウクライナ危機の歴史的背景、ロシアのシリア介入の事情、北方領土問題の整理、北極を巡る地政学的変化など、広範囲にわたるトピックとバランスの取れた鋭い分析・知見は、著者の分厚い専門知識に裏打ちされ、実に強い説得力を持つ。
0255文字
なおこっか
新着
初版2019年時点の本だが、現在に至るロシアの在り方についてはよくわかる。やはり2014年が最大の転機だった。何故世界は事を重大に受け止めず、その時点で解決できなかったのか。旧ソ連域とロシア民族に対して、特にウクライナへのプーチンの意識は、他国と一線を画す。まるでオマエの物はオレの物である。また、西側諸国がロシアを“冷戦の敗者”扱いすることは徹底して許せない、ロシアはナチを倒した勝者であるとの理屈も理解する。シリアとウクライナは全く違う。そして中国との立場の違いが鮮明になった。
0255文字
はるわか
新着
浸透膜のような境界とグラデーション状の主権。ロシアの関与する紛争においては境界線の性質に関する理解そのものが異なっている。問題にされているのは法的な国境線ではなく、ロシアの主権は国境を越えてどこまで及ぶかである。冷戦後のロシアでは地政学(ロシアの範囲)とアイデンティティ(ロシアとは何か)がほとんど判別不能な形で癒着。グルジア戦争、クリミア併合、ウクライナ軍事侵攻、バルト3国との対峙、中東シリアへの介入、北極圏への侵出、北方領土問題。
0255文字
ぷるぷる
新着
自国の存在理由というかアイデンティティを他国との関係の中に求めていて、共通の敵を作ることで多様な人々を1つまとめるしかない不安定で巨大な国家を統辞するには権威主義体制しかないというわけですか。西側諸国の言う民主化運動と政権批判は独裁国家にとっては武力を伴わない新しい形の戦争を仕掛けられているということになるらしい。しかし国民に指示されてもいないのに強権的に支配するとこでしか維持できない国家とは何なんだろう?という疑問が湧きます。旧ソ連構成国を勢力圏と見なすロシアの考えや北方領土や中露関係の解説も納得です。
0255文字
Hiroh
新着
ネタバレロシアにとって境界とは浸透膜のようなもの、グラデーションがある。「国民」と言った時も国籍ではなく民族的な、ベラルーシ人やウクライナ人を含むものになる。その観点ではソ連崩壊によって「数千万の我が国民と同胞がロシアの領域外にいることになってしまった」その処方箋として勢力圏という(大陸)地政学的発想がある。。
Hiroh

冷戦の終了をロシアと米国が成し遂げた「共通の成果」と見ていたため、冷戦の敗者と見られることに屈辱がある。2000年代初めは米国に譲歩していた面もあったがNATO拡大に裏切られた思いを持っている。2014年のクリミア危機時、半島勤務のウクライナ軍人のかなりがロシア人だった。例えば、セヴァストポリのウクライナ海軍総司令官は、クリミア「独立」後、そのままロシアの黒海艦隊副司令官に横滑りした。

02/04 17:44
Hiroh

対して、ドンバス地方の戦闘などは、紛争を抱えさせてNATOに加入させないという戦争のための戦争である。 シリアでは、民間人を無差別殺傷することで、反政府地域では生きていけないという状況を作り出している。民間人の巻き添えを出すこと自体がロシアの戦術の一環。 安倍政権では、ロシアとともに対中国の連携を取ろうとしたが、防衛を米国に負っている=ロシア的見方では主権国家ではない日本との連携には懐疑的であった。また、対中国についても考え方が違い、成果を挙げられなかった

02/04 17:45
0255文字
たけふじ
新着
久々に再読。民族的な「ロシア人」というアイデンティティと、浸透膜のような「境界」が結びつく。浸透膜といっても双方向のものではなく、ロシアが周辺国家求めるのは一方的な関係。すなわち「勢力圏」ないし他国の勢力圏に巻き込まれない「影響圏=消極的勢力圏」であり、結果として、ロシアは「外」に広がる志向を持つ。ロシアの価値観からすれば「米国の勢力圏が自国の勢力圏を浸食した」がゆえのグルジア侵攻であり、ウクライナ侵攻であったという点は、ロシアを分析する上で欠いてはならない視点だろう。
0255文字
mitu
新着
人気の著作ですが2019年7月初版なので、2022/2/24のロシアの軍事進攻(ロシア政府曰く:特別軍事作戦)より前の著作で、書いた時点では未来であった現在までを見通す洞察力の元になった多くの歴史的知見や展望はお薦め。「ロシアの秩序観を知り、国際社会の新たな構図を理解するのに最適の書」です。★本書は「境界」の概念を軸として、こういった問いに答える試み。★第4章!ウクライナへの軍事侵攻とクリミア半島併合(クリミア半島に勤務するウクライナ軍人達の少なからぬ数が民族的にはロシア人。セヴァストーポリでは⇒
mitu

⑱新生ロシアの方向性をどのように定めるのかという問題に行き着く。つまり、★ソ連から決別した新たな国家体制の下でも旧ソ連諸国を支配下に置く「帝国」を目指すのか、それとも旧ソ連諸国を完全な独立国として認めてウェストファリア体制の中に位置づけるのかということだ。★そして、ウェストファリア的秩序への試みが挫折し、帝国的秩序がその実現の困難さゆえに採用されなかった結果、残ったのが「大国」への志向であった。しかし、プーチンのロシアが帝国志向のようにあからさまなヒエラルキーを目指していないことは⇒

01/07 06:26
mitu

⑲たしかであるとしても、その後の振舞いを見れば、ロシアの国境外部まで「歴史的主権を」及ぼそうとする傾向が完全に払拭されたようには見えない。だが帝国的秩序ではなく、ウェストファリア的秩序でもないとすれば、現在のロシアが想定する大国志向の旧ソ連秩序とはいかなるものなのだろうか。【この辺は日々、ロシアの動向を見せられているわけです】

01/07 06:27
18件のコメントを全て見る
0255文字
aruku_gojira
新着
ロシア政府の領土の捉え方、勢力圏という考え方、ロシア政府が認める主権国家の要件、等々、ロシアが軍事行動をとる時の理由、その範囲、旧ソ連構成国に軍事力を行使してきたものの、実はそんなに大規模な戦闘を継続した前例がないなど、「大国」としてのロシアの振る舞い方を描いた良書。 2022年にはロシア・ウクライナ戦争で話題として薄くなったなと個人的には思っていた、北方領土交渉についても後半書かれていたが、何回目かの日露会談でプーチンが遅れてきたのは、シリアでの戦況をギリギリまでウォッチしていたからというのは印象深い。
0255文字
mori
新着
ロシアの勢力圏を維持するための考え方などがわかった。
0255文字
あっちゃんのパパ
新着
評価=5:ロシアの考え方がよく分かってきた。特に北方領土については、日本が日米安保や地位協定の元にある限りは平和条約(北方領土返還)はあり得ない。
0255文字
路人
新着
ロシアの思考をわかりやすく解説してくれる本。地政学的な言い回しに乗せられたのかもしれないが、納得してしまうところはある。 ウクライナ侵攻前に書かれた本だがその状況を予言していかのよう。引用(「親衛隊士の日」の一節)されていた2028年のロシア(帝政復活)と中国(皇帝復活)の姿が空恐ろしい。
0255文字
ピオリーヌ
新着
2019年の刊。ロシア的用語法における「主権国家」とは「大国」に限りなく近い表現であり、自らの力によって他国とのパワーバランスを維持し続けられる国であると歴史的に理解されてきた。このような主権理解はプーチン大統領の重要演説においても度々観察され、冷戦後のロシア状況は「主権国家」としての地位に対する危機であったということになる。またプーチン大統領は、ドイツを「主権国家」でないと発言したこともあり、他方プーチンが主権を持つ国として挙げたのは、インドと中国である。また日本も「主権国家」の定義からは漏れるだろう。
ピオリーヌ

ロシアの考え方が分かり、ウクライナ戦争へと突き進むこととなった背景も見えてくる良著。

10/27 20:16
0255文字
guanben
新着
ロシアが周囲の地域をどのように見ているのか。ウクライナに限らず旧ソ連圏に対しては「歴史的主権」があると考えているようだ。昔と同じ様に俺っちの言うことには従えってことね。中東はシリアに加勢してるけど、中長期的な戦略はない。でもアメリカの足は引っ張っておきたいと。北方四島は返還されない。返還と同時に米軍が駐留するようになるから。今後の火種は北極か。地下資源豊富な上に、氷が溶けて航行がしやすくなっており、軍事的経済的に注目されつつある。中国に対しては同盟者じゃないけど、敵対しないように動かざるを得ないとのこと。
0255文字
スー
新着
91ロシアがどう世界を見ているか?の解説から始まるのでその後のロシアの行動がとても分かりやすくなりました。ソ連時代から米国は自分達を貶めようと策謀をめぐらす信用できない国で自分達は世界平和の為に冷戦構造を終わらせたと信じている、しかし世界はソ連の負けという認識なのでだいぶ双方の開きがある。ロシア目線で見れば欧米にジワジワと締め上げられてる感覚でいる様なので今の状況は理解出来ました。中東進出も反米の為で戦略構想はあまりなく軍の構成上でも深入りはできない。中国との微妙な距離感も納得でした。
0255文字
syaori
新着
「「主権」とは、ごく一部の大国のみが保持しうる」というロシア独特の主権観を通しロシアの対外政策を見てゆく本。そこから浮び上がるのは、少数の「主権国家」がそれぞれに勢力圏を従えて並存するというロシアから見た世界の姿で、そこでは旧ソ連諸国は半主権国家としてロシアの影響下にあり、東欧の民主化支援をする米国は内政に干渉し世界秩序を不安定化している悪ということに。一国の動向は一つの視座からのみ読み解けるとは思いませんが、ウクライナ侵攻におけるロシアの立場もこの視点からだと理解しやすくなるようで、興味深く読みました。
syaori

「ソ連崩壊後、「ロシア」の範囲をめぐって試行錯誤を繰り返したのちにロシアが見出したのは、旧ソ連諸国を消極的にではあっても「勢力圏」として影響下に留めることであった。このような論理の帰結が2014年のウクライナへの介入であり、それに続く西側との対立の再燃であったと言えよう」「だが、これはロシアの論理である。」「ユーラシアの巨大な陸地の上で、ロシアは壮大な「勢力圏」の夢を見ている。⇒

10/06 08:06
syaori

⇒それは巨人の頭の中に広がる世界ではあるが、巨人が高揚のあまり、あるいは自らを脅かす「カラー革命」の悪夢に怯えて寝返りを打てば、隣人たちに影響を与えずにはいられない。2014年にウクライナで発生し、現在まで続く紛争は、その長い余韻と言える。」/ロシアの主権観、秩序観が窺える1、2章、ウクライナ危機を見てゆく4章、北方領土問題を切り口に日・米・中・露の四角関係を見てゆく6章が面白かったです。そして、ロシアの主権観からはもちろん日本は主権国家ではないのだった……。

10/06 08:06
0255文字
のるくん
新着
漢字表記「露西亜」の通り、西洋(ヨーロッパ)と亜細亜(アジア)にまたがる広大な国。「熊」「巨象」とも表現される強大な国。「鷲」(米)との長い睨み合いで、かつての「熊」一族(ソ連)が力を失い、本家(露)と分家に分かれるも、誇り高く影響力を残したい本家が、蔑ろにした(と受け止めた)分家に口だけでなく手も出し、田畑や屋敷も奪おうとする。そんな一族の掟(論理)や家訓(思考)を紐解いていく。2019年の著書ながら2022年の今につながる伏線も。「○○○は見た」ごとく謎解きできず、世界の専門家も今を予想できていない。
0255文字
高等遊眠
新着
本書は「ロシアの『境界』をめぐる物語」をテーマとしたもので、2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻の背景を理解するための必読書だ。本書からは、ロシアを巡る地政学とその秩序観が分かるとともに、今回のウクライナ侵攻が過去にロシア軍が行ってきた軍事侵攻のパターンに連なるものであることが見えてくる。多くの識者や専門家は、ロシア軍のウクライナへの侵攻はないとその直前まで見ていた。ロシアの軍事・安全保障政策を専門とする小泉氏は、衛星画像や現地のSNS投稿などからロシア軍の展開模様を分析し、事前に
高等遊眠

今年7月8日、安倍晋三元総理が亡くなられた。この事件は私自身にとっても衝撃的な出来事で、事件後は大きな喪失感のなかで日々過ごしている。心からご冥福をお祈り申し上げます。安倍元総理は非常に多くの難題に取り組まれ功績を残されたが、その北方領土返還交渉については失敗であったとしばしば言われる。四島一括返還を唱える論者からの批判も存在する。しかし、その評価について結論を出すのは、個人的にはもう少ししてからにしたいと思っている。

10/02 23:41
高等遊眠

ロシアによるウクライナ侵攻は強く非難されるべきものだ。しかし、日露間には依然として北方領土問題が横たわっている。この解決のためには、ロシアに対して欧米諸国と足並みを揃えた圧力一辺倒というわけではなく、安倍元総理がされた外交のように、硬軟織り交ぜた、何かいい方法はないものだろうかという思いになる。

10/02 23:41
9件のコメントを全て見る
0255文字
紙狸
新着
2019年刊行。「プーチンのロシア」が周辺国をどうとらえているのかを描く。北方領土、グルジア、バルト3国、ウクライナなどでの見聞をもとに、ロシア特有の「勢力圏」について説明する。具体例の前に置かれた第2章で、概念を整理している。勢力圏とは、ロシアと共同歩調をとる国々だけではなく、ロシアが好ましくないと考える行動(たとえばNATO加盟)をとらせないようにできる対象国も含む。プーチン大統領による「主権国家」の定義も重要だ。米国との同盟に依存せず、自己決定権を持つ国(インド、中国は該当)だけが主権国家だという。
0255文字
ちいだ
新着
2022年よく見かける方。TVもそうだが平易でよい。少なくとも本書はカタい題の割に読みやすくロシアの地政学的メンタリティを紐解いてくれている。ロシアの、控えめに言って「野蛮な」安全保障戦略のロシアなりの根拠に近づける。 感想としては、ロシアは西欧的というよりアジア的。語弊を恐れず言えばウェストファリア以前の国家観。外敵からの勝利でのみ形成されたアイデンティティと、冷戦で培われた歪んだ大国意識が、臆病なパワーの信奉者(イキリちらかすビビりともいう)になっちゃった感がある。核戦略も、核恫喝中心の北朝鮮みたい。
ちいだ

「彼らは、自分たちがかつての東欧諸国からどれほど恨まれているかを理解できていなかった」って、控えめに言って、サイコパスでは?

09/26 16:42
0255文字
はぎはぎ
新着
初版発行2019年7月。ロシアのウクライナ侵攻の3年前の書籍であるが、今回に至るロシアの動き、特に2014年のクリミア併合までの世界情勢が以前よりだいぶ理解できたと感じた。プーチンロシアの行動にはロシアなりの理論建てがあるのだと分かったが、理解出来るものではない。
0255文字
バーニング
新着
結果的に半年くらい積んでしまっていたが、戦争が始まって真っ先に読むべきだったかもしれない。そのくらいロシアが周辺地域に対して及ぼしている(及ぼそうとしている)影響力の所在や、今後起こりうる展開について幅ひろくかつ具体的に書かれており、何より読みやすいのがよかった。戦争から半年が経った今だからこそ読んでよかったとも言える一冊。
0255文字
月猫夕霧/いのうえそう
新着
イズムィコ先生の代表作。ロシアの対外戦略を勢力圏をキーに読み解きます。勢力圏の概念自体は19世紀や20世紀には存在して今も根底にはあるのでしょうが、それを武力で公然とは主張しないというのが国連時代のルールなんじゃないのかなとは思うわけで。そもそも過去の最大領土を元に現在の勢力圏拡大していこうっていうのは、一度も負けたことの無い国の我儘でしかない気がします。
0255文字
全140件中 1-40 件を表示
「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)評価65感想・レビュー140