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高等遊眠
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北朝鮮による日本人拉致問題に関するこれまでの流れの整理と、情報のアップデートのために本書を手に取った。本書では、北朝鮮との交渉に携わってきた外交官や政治家、北朝鮮の元高官、韓国の情報機関関係者、帰国した被害者の証言をもとに拉致問題の真相の追究が行われるとともに、これまでの日朝交渉の舞台裏や、表面上はまったく動いていないように見える水面下での動きについて述べられる。◆「解説」において、安倍元首相の信任が厚く、日朝間の交渉役を務めたこともある斎木昭隆元外務省事務次官は、著者で朝日新聞元ソウル特派員の【続く】
高等遊眠

安倍政権の判断の是非は、現時点では保留したい。◆そのほか、本書からは、一方では経済制裁を科しつつ他方で交渉を行い、交渉の行方次第で制裁の解除を行う「対話と圧力」といった手法が有効であることがよくわかる。また、拉致被害者5名の帰国につながった小泉訪朝に向けて行われた、アジア大洋州局長田中均氏とミスターXこと国家安全保衛部副部長柳敬氏による約一年にわたる秘密交渉がどのようなものだったかを取材した内容も興味深かった。◆以前に比べ拉致問題がニュースになる機会が減り、世論の関心も低下しつつあり、拉致問題の【続く】

10/05 22:00
高等遊眠

風化が懸念される。鈴木氏は、「独裁体制であるが故に、正恩氏の腹一つで方針が大きく変わることもある。日本との交渉にメリットを感じ、メンツを保つこともできると判断すれば、態度を変えてくる可能性は十分にある。粘り強く働きかけていくしかない」と述べる。局面が打開され、すべての拉致被害者の方々が一日も早く帰国されることを願ってやまない。

10/05 22:01
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0255文字
高等遊眠
新着
萩原遼氏による『北朝鮮に消えた友と私の物語』の内容が興味深いものだったので、同氏の著作を続けて読んでみた。1989年に大月書店から刊行された本書の原著は、刊行当時、南北両朝鮮に一年以上常駐した世界で唯一人のジャーナリストの手記として話題を呼んだ。また、北朝鮮について、極端に情報が少なかった当時、左派の側から率直な批判的実態が報告された初めての事例であった。◆本書で述べられる萩原氏による見聞は、1988年にソウル・オリンピックの取材で「赤旗」記者としてはじめて韓国に25日間滞在したときのものが一つ。【続く】
高等遊眠

もう一つの小さな封筒をみた。その中には私のもっとも大切にしていた薄紙のメモが入っている。そのメモはたたまれないままにぐしゃぐしゃにしてさかさまにつっこんであった。そのほか仕事に必要な若干のノート類やメモの位置も乱れている。読みあさり、あわただしく元にもどした狼狽ぶりが歴然としていた。あわてて私は妻を呼んだ。彼女も蒼ざめて『消されるのでは――』といった。前途に暗たんとした不安と恐怖が広がっていく。」◆「危ないと思ってメモ類も極端に少なくしていたし、焼いたりしていた。しかし物を書く仕事で最小限のメモは【続く】

08/04 13:41
高等遊眠

不可欠だ。それらがすべて彼らに察知されたことの恐怖。頭の中まで押し入り、のぞきこみ、それをもとに罪状を作りあげていく社会。この国を覆う恐怖の正体をまのあたりにみたようないいしれぬ恐ろしさにとらわれた。」この踏み込みからしばらくして、萩原氏は好ましくない人物として北朝鮮からの退去を通告されることとなった。

08/04 13:41
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0255文字
高等遊眠
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テレビ番組で大韓航空機爆破事件(1987年)がとりあげられ、爆破実行役の金賢姫が出演しているのを見かけた際、過去の北朝鮮について書かれたものを読んでみたくなり、本書を手に取った。本書は、著者萩原遼氏が高校時代の親友で、帰還事業で北朝鮮へ帰国したのち連絡が途絶えた尹元一を訪ねる物語である。大宅壮一ノンフィクション賞を満票で受賞した本書は、当時の北朝鮮情勢を知ることができるとともに、読み物としても読者を物語中に引き込んで離さないものだった。◆萩原氏の人生は波瀾万丈なものだった。「赤旗」特派員記者として【続く】
高等遊眠

平壌に派遣されたもののスパイ容疑で国外追放され、のちに方向性の違いから赤旗記者を解任、共産党党員としても除籍をされる。そして、在日朝鮮人の帰還事業によって日本から北朝鮮に帰国した約10万人の在日朝鮮・韓国人とその日本人配偶者を救うことに身命を賭した生涯だった。実際に命を狙われたこともあったという。「諸君!」に寄稿し、和田春樹との論争も行った。また、大韓航空機爆破事件当時、北朝鮮は金賢姫を北の人間だと認めなかったが、萩原氏が発表した少女時代の彼女とされた写真は、決め手として大きな話題となった。【続く】

05/28 04:05
高等遊眠

◆本書において萩原氏は朝鮮総連を厳しく批判するが、当時のマスメディアは、ろくに取材、検証を行わずに北朝鮮を「地上の楽園」のように宣伝し、1950年代から行われたその帰還事業を大いに推進する報道を行った。帰国者たちには想像を絶する地獄の日々が待ち受けていたわけだが、帰還事業の旗振り役であった朝日新聞などは、未だに当時の北朝鮮関連の報道が誤りであったと認めて謝罪を行っていない。北朝鮮への帰国を推進したマスコミ各社についても、その責任が追及されてしかるべきだと思う。

05/28 04:05
0255文字
高等遊眠
新着
「戦国史研究の未踏峰を拓く大著!」「新たなる勝頼像と大国滅亡の真相に迫る決定版」――本書はこうした帯の文句に偽りないものだった。膨大な数の資料を参照し、全精力を傾けて執筆された本書は、読む者を圧倒しつつ、当時の世界に引きずり込むかのような迫力あるものだった。著者の平山氏は、本書執筆後、一種の「燃え尽き症候群」に陥り、なかなか復活できなかったそうだ。◆本書を手に取ったのは、仕事が忙しいこともあり、「勉強のために」といったことは抜きに、私の趣味ともいえる戦国時代物でかねてより関心があった本書を読んでみ【続く】
高等遊眠

長の朝廷工作によって「朝敵」「東夷」と認定され、政治的に逃げ道を塞がれ、家臣を繋ぎ止める正当性をも喪失した。そして、天皇を主催者として畿内の有力寺社が信長の戦勝と「朝敵」「東夷」勝頼の打倒を祈願した成果が天正十年二月十四日夜に現れた(と多くの人々が信じた)。それは、いよいよ織田軍が信濃に侵入したそのときに起こった、浅間山の大噴火だった。当時、浅間山の噴火は東国の政変を告げるものとされており、武田領内では家臣が逃亡し、村々は勝頼を見捨て織田方に帰属しようと動いた。◆ところで、本書が描く“優れているが【続く】

02/21 00:01
高等遊眠

不運な武将”としての勝頼像には同意だが、織田信長の先見性を伴った行動、言い換えるなら尋常でないまでに将来をよく見通したうえで取られる行動には驚嘆した。上記⑶の「演出」を行った信長の見通しは、恐ろしいほど正確なものだった。このとき信長は、実際に高天神城で戦い犠牲を払うことになる徳川家康に、その心情に非常に配慮した形でこの「演出」の提案を行った。最後に、当時の北関東情勢に詳しいのも本書の特徴の一つだと思う。

02/21 00:02
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0255文字
高等遊眠
新着
◆『雁』は、1911年(明治44)年9月から雑誌「スバル」で森鷗外により連載が開始された。当時満49歳の鷗外は、軍人としては陸軍軍医総監という軍医の最高ポストに就いていた。しかし、それまでの彼は、『舞姫』等の初期三部作執筆後、軍内での圧力により文学活動を停止、さらには上官と対立して小倉に左遷されるという憂き目に遭っていた。『雁』は、鷗外がこうした挫折を乗り越え、上官の失脚後に最高の地位に就き、もう誰からも文句を言われなくなった状態の明治末期に、堰を切ったように多くの現代小説を執筆したなかの一作だ。【続く】
高等遊眠

し、その後はどうにかして岡田に近寄りたくて、いてもたってもいられぬ痛切な想いで岡田を待ち、まごついて声を掛けることができないと落ち込んだ。末造の自由になっているときも目を瞑って岡田のことを思い、夢の中で岡田と一緒になる。二、三日岡田を見かけないときは塞ぎこんだ。こうした恋するお玉における、その変化の描写は見事としか言いようがない。◆もっとも、本書は妻子ある男の不倫の物語として読むこともできるのではないだろうか。末造が妾を囲っていることを知り、その妻はこれを問い詰めるが、末造は余計なことを一切言わず【続く】

09/01 00:28
高等遊眠

のらりくらりとシラを切り、いつも妻を言いくるめてしまう。妻が嫉妬に狂うその描写は、非常にリアルで迫力がある。◆個人的には、物語の流れが終盤の急展開を迎えるまではやや退屈で、短い物語であるにもかかわらず読むのに時間がかかってしまった。私としては、同時期の青春を扱ったものだと、鷗外よりも漱石の方がストーリーとしては面白く、鷗外の素晴らしさは歴史小説にこそあるのではないかと思っている。

09/01 00:29
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0255文字
高等遊眠
新着
仕事が繁忙期なこともあり、かねてより興味があった江戸時代の特殊な藩、喜連川藩について書かれた本書を手に取った。本書によると、徳川家光は大名の定義を一万石以上としたが、たった五千石の大名が存在した。奥州街道喜連川宿(現在の栃木県さくら市喜連川)の喜連川家である。しかも、喜連川家当主は徳川家康から御所号を与えられ、「御所さま」と呼ばれていた。さらに、将軍を示す「公方」の尊称が許され、十万石の家格が与えられ、江戸城に登れば微禄にもかかわらず高い家格の詰め席が与えられた。このように、喜連川家は五千石【続く】
高等遊眠

それぞれの暮らしが成り立つように心を砕いた。幕末から明治にかけて、喜連川家は細川家、水戸徳川家、宮原家からそれぞれ養子を迎え、足利の血統は途絶えることとなった。戊辰戦争では、勤王の喜連川藩はいち早く新政府側につき、会津征討に加わった。五千石の貧乏所帯では、フランス式の喜連川藩兵は一小隊ですべてだった。明治元年に喜連川家は足利へ復姓し、版籍奉還により貧乏藩の経営から解放されることとなった。華族令により子爵となり、以降も水戸家の血統でもって現在に至っている。【続く】

04/19 01:36
高等遊眠

本書で書かれた喜連川藩の奮闘は、規模が小さく弱小とされる組織でも気概を持ち続け、知恵をしぼり、努力することをやめなければやっていくことができるのだと、勇気を与えるものだった。本書は学術書でないため、記述には多少その論拠が気になる箇所があるが、そんな歴史もあったのかと、固いことを言わずに気楽に読むには楽しい本だった。

04/19 01:37
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0255文字
高等遊眠
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『兵隊やくざ』(光人社NF文庫)の続編である本作では、桁外れの行動力を持つ大宮貴三郎とインテリの兵長殿(関東軍最古参の上等兵だったが前作で昇進)のコンビが中国大陸で終戦に伴う混乱に巻き込まれていく。北満の孫呉の部隊にいた二人は、軍隊という理不尽な組織とそれを利用している人間に対する反抗から、部隊の南方転出の際に脱走を企図し、これを成功させる。とはいえ、二人が脱走兵であることが日本軍の将兵に露見すると当然大変なことになるわけだが、関東軍から脱走した二人は北支軍隷下の地域であればそのような心配はない【続く】
高等遊眠

なんと呼んだらいいだろうか。大宮はそれに耐えた。軍隊で、あれほど抵抗し、楽をしようとしていた大宮貴三郎の中では、これは軍律でも、愛国心でも、天皇陛下の命令でもなく、一人でも余計に日本人を内地へ帰したい、という情熱だったのだろう。私には、そうとしか考えられない。すでに北支には秋風が立っていた。>おそらく、このような混乱時にこそ、それぞれの人間の本性というものが現れるのであろう。いつの時代、どこの地域であっても、混乱時には人を騙し、酷いことを行う者がいるものだ。最近では、トルコ・シリア大地震後の現地で【続く】

03/04 15:45
高等遊眠

窃盗が多発しているというニュースが記憶に新しい。民族的な大移動ともいうべき終戦時の引き揚げにおいても、本作中の根上のような不善をなす者はたくさん現れたのだろう。しかし、その一方で、本作の主人公たちのような立派な行動をとった、無名の英雄とも呼ぶべき日本人もまた、当時数多く現れたのであろうなどと思いを巡らしながら読んだ。

03/04 15:46
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0255文字
高等遊眠
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本書では、太平洋戦争の名将6名が、1名につき1章ずつという形式で取り上げられる。取り上げられるのは、海軍から山本五十六、山口多聞、角田覚治、陸軍から中川州男、栗林忠道、今村均の6名だ。収録されている論考は『歴史街道』での掲載記事が中心であるため、読みやすいものが揃っているうえ、それぞれがだいたいにおいて同じ長さで、10分~15分もあれば読めてしまうものばかりだ。このため、本書は通勤、通学の途中や隙間時間を利用して行う読書にも適したものとなっている。主な内容は次のとおり。
高等遊眠

戦後、ラバウルには豪軍が進駐し、今村の部下たちを戦犯裁判に引き出そうとしたが、今村は個々の将兵ではなく最高責任者である自身を裁くようにと申し入れ、必死で部下を救おうとした。巣鴨に収容された今村は、かつての部下たちが服役する、東京より生活環境が厳しいマヌス島の刑務所への移動を申し出て服役した。釈放後も、自宅の庭に三畳一間の粗末な小屋を建て、そこで謹慎し、早逝した部下を慰霊する生活を送った。 最終章で取り上げられる、戦後の今村均による身の処し方と現地の人々との交流のエピソードは心を動かされるものだった。

01/22 22:19
高等遊眠

今村のエピソードは、過酷な戦争を描いた本書の幕引きに現れるせめてもの救いの物語となっている。本書で取り上げられる名将たちは、単に軍人として戦略的、戦術的に優れていたのみでなく、部下や民間人といった周囲の人々を大切にした、人間的にも素晴らしい人物たちだ。そうであるからこそ、多くの人に慕われ、想像を絶する困難な状況においても最後まで部下がついてきたのだろう。こういう人物こそが本当の「名将」であり、それは現代のリーダーにおいても通じることなのではないだろうか。

01/22 22:20
9件のコメントを全て見る
0255文字

読んだ本
83

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/10/23(3113日経過)
記録初日
2014/01/07(4133日経過)
読んだ本
83冊(1日平均0.02冊)
読んだページ
25594ページ(1日平均6ページ)
感想・レビュー
78件(投稿率94.0%)
本棚
0棚
性別
年齢
38歳
血液型
O型
自己紹介

社会人になってからあまり本を読めていませんが、
時間があるときに読んでいきたいと思います。
政治、法律、歴史、思想などの分野の本が好きです。
大学卒業後、ロシアに関心を持っています。

平成30年は文学強化年間としています。
平成31年はこれに加えて基礎知識の定着を図りたいと思います。
令和2年以降は仕事の都合などで読書の時間がほとんどとれていません。

2018/7/21 ブクログへ移行

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