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源氏物語 A・ウェイリー版4

感想・レビュー
30

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淳水堂
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https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4865282009#comment ・「宿木」の英訳には「アイヴィー」と「ミスルトゥ」が使われている。アイヴィーは他の木に絡む蔦、そしてミスルトゥはクリスマスの時期に天井に吊るし、その下に立ったらキスをするという飾り。情が感じられます ・「浮舟」が「レディ・オブ・ボート」。その通りなんだけど、なんか情緒ってもんが(^_^;)。なお、訳注で「ウキフネという名前は”漂うボート”という意味」とちゃんと解説もしています
淳水堂

そして私には、このように『源氏物語』が聖書やジェーン・オースティンとの共通点があると知るのは「世界って案外近いな」と思えるのです。私は歌のやり取りなどは、源氏物語の貴族、中世ヨーロッパ騎士たち、それぞれ国も風習違っても人間のやることの近さを感じたこともあります。『源氏物語』が欧米の読者の心を捉えたのは、ヒーローのゲンジは戦わないし強くないし恋愛でグジグジ言うばっかりでこれだけの大作ができるのか!ってことのようですね。

01/02 14:47
淳水堂

私も授業で習ったころは「勝手なことばっかり言ったりやったりしてるしイライラする奴らだなあヽ(`Д´)ノ」などと思っていたのですが(そしてその感想は今も変わらない箇所もありますが)、改めて読んでみると、ただただ恋愛に現を抜かしているような人たちでこれだけの大作を、そして線年経っても変わらない人の心というものを感じることができました。 …ただし、王朝文学好きの友人に「こんな翻訳になってるよ!」と報告したら「全然違う。全然ダメ。それ無理に翻訳する必要ある?(ーーメ)」と不評なところもありました(^_^;)

01/02 14:47
7件のコメントを全て見る
0255文字
nako*beary
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これまで光源氏で力尽き、読みきれなかった宇治十帖。めちゃくちゃおもしろかった…。これは世界文学だわ。
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真琴
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A・ウェイリー版の「らせん訳」を読み終わり達成感と喪失感を抱く。一文一文を慈しみながら読み、日本語と日本文化や人の人生の儚さを堪能した。4巻は宇治十帖の「早蕨」〜「夢浮橋」で最後に登場する女君、浮舟の選択についてこれは誰かと語り合いたい。今年は「源氏物語」を読むぞ!と心に決め角田光代訳とA・ウェイリー版を読んだ。他訳も読み、一千年前に生きた人たちの人生をもっと覗きたくなった。
0255文字
14番目の月
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今まで読んだ源氏物語以上に薫、コゼリ、ニオウなど登場人物の心情が深く描かれておりドラマチックでした。 光源氏のいい意味でも悪い意味でもの潔さは、多くの女君に苦悩を与えたものの、やすらぎを与えたことは確か。 対極の薫の優柔不断さや、ニオウのうわべの優しさはほとんどの女性に不幸であったと思う。 この時代の身分制度には相変わらず辟易とするけれど宇治十帖の世界を堪能できとても面白かったです。
0255文字
かふ
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マルケス『百年の孤独』が話題だけど、『源氏物語』はさしずめ「千年の孤独」だろうか。だれも幸福になれない物語。この4巻は登場人物関係図が付いていたり、巻末の和歌をまとめてあったり、ヴァージニア・ウルフの書評が出ていたりとお得感があります。装丁のクリムトの絵も良かった。匂宮と薫は光源氏のドンファンの姿と政治的な冷暖さをそれぞれ描いているようで、俵万智が情熱的な匂宮に惹かれるというのがそうなのかなと思った。どちらかというと薫タイプかもと考える男子は多いかも。釣った魚に餌を与えない冷酷な男という(俵万智の解説)。
かふ

俵万智『愛する源氏物語』か二人の和歌についての考察から。

07/04 02:07
0255文字
みあ
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「早蕨」から「夢浮橋」まで。アゲマキが死にニオウと結婚したコゼリに言い寄るカオルはウキフネを紹介された。宇治に匿われたウキフネをニオウが探し出し二人で夢のように美しく淫靡な日々を過ごすがカオルにばれ…。深く甘美な物語は意外な結末で幕を下ろした。私は今まで宇治十帖より正篇の方が好きだったが、このらせん訳を読んで宇治の物語にこそ紫式部が伝えたかったことが凝縮されていると感じた。ウキフネの身に起こった心と身体の乖離という現代にも通じる主題とそこからの離脱としての信仰。作者は悩み抜きこの結末に辿り着いたのだ。
shio

宇治十帖はあまり好きでなく、アゲマキ?コゼリ?えっそんな人いた?と記憶になかったのですが、大君と中君、でしょうか?ニオウも仁王?二王?と思ってしまったけど、匂宮ですね〜!😆

04/19 21:31
みあ

shioさん、こんばんは。そうです。アゲマキとコゼリが大君、中君で、ニオウが匂宮です。私も宇治十帖は苦手だったのですが、この源氏物語を読んで良さが理解出来ました。

04/19 22:40
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ユキタ
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図書館。ついに読み終わった。宇治十帖をきちんと読むのは初めてだったので、ウキフネがどうなるのかドキドキひやひや、当時の女房もこんな感じで続きを読んでたのかなと思うと千年前がぐっと身近に感じられた。いや、でも、意外と「え、これで終わり?」みたいな終わり方するんだね源氏物語。そして光源氏も薫も匂宮も、実際にいたら関わり合いたくないなと思った(笑)。
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ほっそ
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長い長い物語も、終わり。 源氏の子孫の話になります。 浮舟、薫、匂宮が話の中心です。 時代背景もあり、誰がどうと言えないのも事実。浮舟のかたくなな様子に、とまどいました。 世間知らず?身分相応? そんなに悩むならと、週刊誌的に思ってしまった。よくわからないのが、薫。結局どっちつかず。 しばらく解釈本やテレビなど見て、余韻にひたります。Eテレで、「源氏物語の女君」スタートしました。
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美鈴
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ネタバレ課題本。ついに読了! 結末が唐突過ぎて謎過ぎて、考察を検索したら『薫の母も出家した』という設定を思い出し、うわーとなった。 ヒトガタがテーマのこの物語で、最後ヒトガタ故に妹尼を救えた展開が神。
0255文字
蝦
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ついにウェイリー版源氏物語全篇読了。以前別訳で読んだときはピンとこなかった薫・匂宮・浮舟の話だったが、いやいや熱い情感と人間の弱さと愚かさが入り混じる「人間を描く」物語だと改めて感じた次第。ウルフの賛辞、訳者のあとがきも感動的。この本に出会えたことに感謝するしかない。スゴイ読書体験だった。
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yumicomachi
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最終巻となる本書では、カオルとニオウの愛の板挟みになるウキフネの苦悩が中心的に語られる。深い情感があり、思索的ですらあった。そして余韻の残る終わり方……。巻末には源氏物語の和歌一覧、ヴァージニア・ウルフが「ヴォーグ」誌に寄せた書評、感動的な訳者あとがき、英文学者・阿部公彦による解説文が収録されている。解説文では原文、与謝野晶子訳、A.ウェイリー訳の英文、さらにその和訳を並べて読むことができ興味深い。他に付録として登場人物総系図がついている。4巻通して贅沢な読書体験をできたと思う。2019年7月30日発行。
0255文字
みつ
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いよいよ最終巻。宇治十帖の4帖目『早蕨』から。主要登場人物は薫、匂宮、コゼリ(宇治の中君)、浮舟の4人に絞られ、彼らの心理の綾が詳細に描かれる。とりわけ薫と匂宮の二人に愛される浮舟の懊悩は、第3巻のアゲマキ(大君)に似つつも、さらに陰翳を帯び、物語の最後を飾るヒロインに相応しい。彼女の選択した行動とその後の展開は、近代的な心理小説と呪術性を帯びた王朝物語が絶妙に混じり合う。余韻嫋々の終結まで、千年の時代と2つの国籍を結ぶ読書の歓びを堪能できた。英訳と日本語への戻し訳、両方の訳者に感謝の他はない。➡️
みつ

●この巻の価値をさらに高めるものがふたつ。ひとつはヴァージニア・ウルフがウェイリーの英訳に寄せた賛辞。彼女がいかにこの作品にのめり込んだかは、20世紀の文学史に輝くウルフの小説(読んだのは『ダロウェイ夫人』だけであるが)とこの『源氏物語』とりわけ『宇治十帖』が、極めて近い位置にあることからも、如実にわかる。●もうひとつは、全篇の登場人物を収めた系図。70年にわたる物語世界の拡がりがこの1枚に示される。これを見るだけでも、この時代にこれだけ複雑かつ長大な物語を破綻なく書き上げた紫式部の天才は明らか。

08/18 14:27
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うっちゃん
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GW頃に読み始め、はや2か月。ようやく最終巻到達です。とにかく重い!手が痛い!でも面白い。円地源治、田辺源治と読み、流れや人物は頭に入っているが、訳者が違うとここまで人物造形が違うのか。英語圏が一度間に入っている、ということもあるのかもしれない。以前、薫は「うじうじして優柔不断だから浮舟のことを知ってからも押しができない」と思い込んでいたが、見方が違う。こんなに計算高い人物だったとは。。2022年度48冊目。
うっちゃん

薫は現天皇の第二皇女を正妻としている。浮舟とは結婚したいが、正式な妻とはできない(というか、当然したくない)。だから自分から率先して押していくのではなく、先方(浮舟の母親)から申し込ませて、浮舟を第二夫人としたい、ともくろんでいるとの解釈。しかも、明石の姫君(現皇后)の娘にも、目を付けている。なんとも計算高い。こんな風に違った見方ができるのだから、何度読んでも源氏は面白い。

07/04 20:19
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Akio  Kudo
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★★★ 5センチ程の厚さから放たれる物語は余りにも濃厚。源氏物語の宇治十帖はやはり盛り上がりに欠ける
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やいっち
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1ヶ月半を費やして全四巻読了。分かりやすく 且つ味わい深く、楽しめました。「源氏物語」の現代語訳の可能性が広いことを感じた。感想……?
都わすれ

やいっちさん、全巻読了おめでとうございます!私の拙い感想にありがとうございます。恐縮です💦各帖のやいっちさんのつぶやきを楽しみに拝見させて頂いてましたよ。毬矢・森山姉妹訳は素晴らしかったですね。

11/01 12:41
やいっち

都わすれさん 勝手に紹介してしまって。我輩にはとてもまともな感想は書けない。与謝野版源氏に続いての「源氏物語」。毬矢・森山姉妹訳さんの訳は最初はやや戸惑いました。読み進むに連れ、魅了されていきました。考え尽くされた翻訳。また数年したら誰かの現代語訳を楽しみたいです。

11/01 13:43
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都わすれ
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最終巻、宇治十帖早蕨から夢の浮橋まで。ウジは木も花も露に煌めき緑が萌え出し春の淡い光に包まれ季節は移りゆく。恋に逡巡する冷静なカオルと情熱が迸るようなニオウの恋を巡る駆け引きが始まる。カオルはアゲマキへの愛執で面影を追い、ニオウはコゼリと結ばれる。そこへ運命に翻弄されるウキフネが現れる。ウキフネはカオルとニオウの恋の狭間で揺れ動き苦悩する。霧が覆うウジ川の波に揺れる行方定めぬ柴舟のように…。川の藻屑となりたいと願うウキフネの憂愁と魂の祈りと救済が綴られる。人間の内面を描くレディ・ムラサキの筆は鋭く深い。⇒
やいっち

数年前、与謝野版源氏を読みました。現代語訳なのに食らい付くように。森山姉妹の翻訳は読みやすく分かりやすい。物語の中にどれだけ入れたか覚束ないのですが、緒に付いたような気がします。源氏物語の世界は深い……深すぎます。

11/01 13:54
都わすれ

ほんとに深くて魅力がいっぱいですよね。だから何度も読みたくなるんでしょうね。今度は誰訳で読もうかと迷っています。

11/01 14:05
14件のコメントを全て見る
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トモタン
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ニオウとカオルに翻弄されたウキフネ。はじめは優柔不断な女性に見えたが、田舎で育ったため、世間知らずなだけだったのかも。最終的には自分の意志を押し通して尼となり、訪ねてきた弟も人違いですと帰したところで物語が終わる。続きが知りたいけど、もはや想像するしかない。
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ひとみ
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2800項を読了。達成感と共に、もっとこの世界に浸っていたかった。前半は、エキゾチックな絢爛たる世界観が際立っていたが、宇治十帖ではそれを超越した精神と魂の物語。類い稀なる語り手により、ウキフネ、カオル、ニオウの内面が伝わってくる。情熱を秘めた優美さで。戦争や紛争のない時代に、日常の中の美、月、雪、川の流れ、自然の移ろいの全て、そして、人間の感情の機微を驚くべき感受性と機智で捉え豊潤な言葉で語ったレディ ムラサキ。彼女の完璧さを論じたバージニア ウルフの解説は必見。音楽的で流麗な戻し訳には、大変満足した。
ひとみ

ウキフネの全ての過去を断ち切りたい、カオルを待つという相反した感情、俗世を憂い離れたい思いつつアゲマキやウキフネに執着して嘆きながらも、新しい女性にも心ときめかせるカオルの複雑さなど、宇治十帖は読み応えがあった。終わり方も、先を予感させる様な。日本人訳を挫折した私には、源氏物語の全体像が捉えられて良かった。谷崎訳が気になるが、全部はもう読む気力がない。宇治十帖だけでも読み比べてみようかな。

01/04 11:45
0255文字
pn675
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ネタバレ第48帖「早蕨」から第54(最終)帖「夢浮橋」まで。アゲマキ(大君)に似る異母妹のウキフネとカオル、プリンス・ニオウの逢瀬とそれを苦にしたウキフネの失踪を書く。最後の4帖は全帖中でドラマチックで最も盛り上がるところで、A・ウェイリーがここを重点的に訳したのもうなずける優雅な仕上がりになっている。続きがある感じで終わっているが、最後はこれで終わりなのが続巻があったものの長い時の流れの中で散逸してしまったのか気になるところ。(続)
pn675

とはいうが1000年の時を超えてこれだけ残っているのが驚異的(歴史を調べるに最初の200年ぐらいを超えれば大丈夫そうな感じだが)。計量言語学に興味があるので写本同士の関係性も非常に興味深い。

11/30 13:43
pn675

この訳の雰囲気だと10巻ぐらいで今は昔の小学館ガガガ文庫の「跳訳」シリーズから出しても違和感はない。せめて普及版を文庫で有名出版社(ちくま文庫とか新潮文庫nexとかどうだろう?)から出して気軽に読めるようになって欲しい。

11/30 13:44
0255文字
らぱん
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「早蕨」から「夢浮橋」まで。2800頁の読了に達成感と喪失感を同時に味わう。どっぷりと物語世界にハマっていた。知ってはいたものの、ここで終わるのかという自分の前のめりの姿勢に「明暗」を思い出した。こちらの顛末はおよそ想像できるしそれを書かないところに余韻や味わいがあるとは思うのだけれども。 それにしても、カタカナの名前や役職、西洋のものに置き換えられる様々なものなど斬新で面白かったし、明快で明瞭な文体もまた読みやすかった。おかげで宇治十帖の重要度を再認識させてもらった。新しい源氏物語をかなり楽しめた。↓
らぱん

↑100年前にイギリスで絶賛され、ヴァージニア・ウルフ、レヴィ・ストロース、マルグリット・ユルスナールに愛されたウェイリーのモダニズム的な源氏物語の世界を垣間見ることが出来たという幸福感を味わった。 そもそも翻訳は再構成(再創造)であり、さらなる翻訳は再々構成(再々創造)されているわけだが、鞠矢+森山姉妹は紫式部とウェイリーの両方の声を聴きながら、詩人俳人の言葉でその世界を現出させていると思う。かなり満足した。 ヴァージニア・ウルフの書評も面白かった。・・・角田光代版を読みたくなった。

08/17 02:48
0255文字
ケイスケ
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源氏物語の最終巻。浮舟の話に移る。 序盤が一話完結型だったのに対し、宇治十帖は連作物である。その分登場人物の内面に重点が置かれている。中君、浮舟、薫、匂宮と複数の人物の考えが交錯し、複雑な人間心理が描かれる。 源氏物語の最終帖、夢浮橋は短いながらも重要なところが凝縮されている。この結末は、私はよかったと思うし、非常に示唆的であると思う。 ここまで長かったが、読んでよかったと思う。解説などを見ながらこの世界感にもう少し浸っていたい。
0255文字
Qfwfq
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★5
0255文字
しんすけ
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原注に「男は身内以外の女性が居る場で食事はしてはならない」という主旨のものが有った。 英国人ウェリーが奇異に思ったように、現代日本人も奇異に思うであろう。そのような意味でもウェリー源氏は現代日本人の源氏物語入門だと確信するのである。 薫には現代男性によくあるタイプの優柔不断を感じ、読みながらも腹立たしい。 しかし式部が1000年後の男はKYばかりになると予測していたのでないかと思えてくることもある。その意味では1960年代に青春を過ごしたぼくも優柔不断だったことを今更ながら思い知らされる。
しんすけ

プルーストも「見出された時」で過去を振り返りながら「かくして私は自分の不手際のせいですべてを台なしにしたのだ」と云っているから、優柔不断は誰しもに共通する悲劇なのかもしれない。いや、悲劇というよりも喜劇と云ったほうが正確かも知れない。 ウェリーは宇治十帖の中に人間喜劇を読み取っていたようにさえ想える。所々に『高慢と偏見』をも髣髴させることもある。 浮舟まで読み進むとオースティンの世界に居るような気もしてきた。あのユーモラスな世界こそがウェリーが描く『源氏物語』だったのかもしれない。

11/30 12:59
しんすけ

天皇家の血を継ぎながらも下級役人の子(連れ子)として育った浮舟に良い縁談をと工面する母親の姿は悲壮感も漂うが、喜劇的な一面も観えてくる。 近所によくいるスノップのようで親近感さえ覚えてくるのである。 原作は結末がよく解らない終わり方をしている。それは読者に人間相互の精神的齟齬を悲劇的に連想させる。 しかし、ウェリー源氏を読み終わった今、下賤なスノップを交えた世界を想い描けば十分に喜劇になるとさえ想えるのである。

11/30 12:59
0255文字
練りようかん
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ネタバレ第四巻の表紙は女性の渦に物語のカルマを、捺し当てたような金箔に華美な雰囲気を感じ物語世界にマッチしていて全巻中最も好きだ。多くの呼び名が置き換えられたことで階級や血縁が端的で明快さが引き立った。お陰で展開と構図を行ったり来たりする慣例作業が減り物語に没入して脇役に親しみを抱けるようになった。柔らかく大人しい描写が続く最終巻も螺旋訳は核を損なわず両者の偉業に驚くと共に感謝だ。エピグラフとウェイリー氏が特に評価した宇治十帖は、手ぐすねを引いて待つ女と待つことを断ち切る女という対極である点がとても興味深かった。
0255文字
すいれん
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宇治十帖。正直蛇足だと思ってたけど、こんなに広がりがあったんだと再認識。かなり新鮮に読了。ひっそりと、堅固な終焉だった。読み終えて改めて思ったのは、登場人物の多さと複雑な関係…厄介な主人公と翻弄される女君たち…なのに、凄く簡潔な文章だったこと。それがするする読めた要因かもしれない。訳注が親切丁寧なのもよかった。誰にも思い入れしないで最後まで読めたのもそのお陰かな。和歌一覧と系図が非常にありがたい…。クリムトの表紙も素敵。この絵だろうと思ってたのがきて軽くガッツポーズ。
0255文字
アキ
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紫式部とアーサー・ウェイリーと毬矢まりえ・森山恵の化学反応で生み出された新たな源氏物語。とても読みやすくヴィクトリア王朝風でシェークスピアと並び称されてもおかしくない程。宇治十帖の終わり方は東洋の絵巻物の棚引く雲のようだとウエイリーが絶賛している。現代の作家であれば作品へのコメントもあるが、式部はどんな風にその後を考えていたのかな?浮舟から夢浮橋は頁を繰るのももどかしい程。4巻で2760頁。クリムトの絵の装幀も美しい。レヴィ・ストロースもユルスナールもムラサキシキブに魅せられたのは天才ウェイリーのお陰です
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ゴロチビ
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何しろ初源氏がこのウェイリー版なので、夢浮橋がこれ?未完やん!と驚く。でもこれで源氏を一通り読んだことだし、次は普通の現代語訳も読むぞ!と意気込んだのも束の間。阿部公彦氏の解説(?)に①原文②与謝野晶子訳③ウェイリーの英訳④本書の訳文、が並べてあったので、渡りに船と喜んで読み比べてみると、自分には④が一番面白く、正直言って②では楽しめないことを自覚。本書を読んでいて、まるで少女漫画だなぁと思いながら情景がすらすら頭に浮かんだのは伊達では無く、ウェイリー訳と姉妹訳(本書)のセンスの賜物なのだなぁと感謝する。
ゴロチビ

4巻目を読んでいて一番気になったのは、片仮名でフリガナを打たれた敬称の数々。ヒズマジェスティとかユアハイネスとか沢山出て来るが、その法則性がちっとも分からない。何しろ英語からっきしなので。知恵袋等の丁寧な解説を読んで何とか理解出来た気がしたのだが、読み始めるとやっぱり⁇となるのだった。とほほ。

10/07 07:17
ゴロチビ

2巻を読んだ時も感じたのだが、紫式部の価値観なのだろうが、高齢の母尼君の老いの描写が容赦無く、周りの老婆たちもまるで魔女のようで(これはウェイリー独自の解釈かもしれないが。)、平安時代は儒教の価値観がまだ無いので年寄りを敬ったりしない、と書いてあった大塚ひかり氏の本を思い出した。また、病気治療が専ら祈祷頼みなのは仕方ないとして、狐憑き等の怪異現象に対しては冷静に「有り得ない」と判断しているのが、千年も昔の人の感覚としてはとても意外に思った。

10/07 17:15
0255文字
myjstyle
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あぁ、読み終えてしまいました。雅で格調高い源氏の世界を損なわず心の動きまで書いているので、読みやすく理解が深まりました。言い尽くせないほど愛おしい源氏物語です。「宇治十帖」の真価は本書で教えてもらいました。ウェイリー版を精妙かつ感性きわ立つ日本語のチョイスで紡いだ螺旋訳ですね。上梓、おめでとうございます。感性豊かな「ウェイリー版源氏」を慈しむように訳され、新たに日本に誕生させた献身に心から敬意と謝意を表します。
0255文字
nobu
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和歌一覧と登場人物総系図がうれしい
0255文字
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源氏物語 A・ウェイリー版4評価92感想・レビュー30