形式:文庫
出版社:講談社
形式:Kindle版
現代のように反知性主義やポスト・トゥルースなどの考え方が現実に力を持ち、「啓蒙」といった言葉自体が冷笑の的になる時代では、道徳哲学や体系的理論などの「知力」で相手を説得しようとすることは、却ってルサンチマンを焚き付けて泥沼を助長するにすぎないのかもしれない。すると、ユマニスムのささやかな抵抗ぐらいしか、実はすでに残されていないのかもしれない。しかし青瓢箪の私は、そんなユマニスムの精神を基盤としつつ近代への道を一度は切り開いた「人文主義=人間らしい学芸の追究」への希望を、まだ捨てられない。
若い女性とお見うけしますがそのような方が大江さんの小説を読んでおられるのが嬉しくて、突然コメントを差し上げる失礼をお許しください。セナンクゥールのこの言葉は、大江健三郎さんの小説『さようなら、私の本よ!』に示唆に富む仕方で引用されています(第12章1)。無理にとは言いませんがこの小説も読んでください。
情報ありがとうございます。今、大江さんの全作品を読もうとしているところなのでその小説も近々読むと思います。
(2)「人間であることの意味(責任)を念頭に置く」とも言えると思う。それが、神を越えたとする傲慢な存在でもなく、個人の権利のみに拘泥するバラバラの存在でもなく、権力に盲従する畜群のような存在でもない、弱さを強さに変えうる人間というものの普遍概念に成りうるものであると感じた。
また野崎歓の解説は渡辺一夫の日記を元に、敗戦時の悔悟とユマニスムへの傾斜を橋渡しする内容で、これも興味深い内容だ。
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