形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:新潮社
女性担当者の、父親と本を買いに行き、帰りにパフェを食べたというエピソードに嘆息した。こういうお父さんがいるんだなぁ。
萩原朔太郎の詩の「読み」、芥川龍之介の『カルメン』のモデル、文学全集の翻訳言葉「何ひと」、中村真一郎と福永武彦の関係……。各短編で話題は掘り下げられていくが、本書の白眉は『ゆき』だろう。とっかかりこそ三島由紀夫の話だが、すぐに「樽拾い」の句の作者をめぐる話題になり、三島はどうなったのだろうと思いきや、ラストの締めにたどり着く。思わず溜息をついてしまった。話題の一つ、岡山の万歩書店は私も訪れたことがある。古書店というより図書館の書庫にいるような空間だった。機会があったらまた行きたいな。(文庫版で読了)
朔太郎の詩『天景』の「しずかにきしれ四輪馬車」の読みについてのくだりが読ませる。作者が振り仮名を付けていないので正答が無い問題。「しりんばしゃ」と読む人が多いとの前提があって、著者は「よりんばしゃ」と読む。「し」という子音の音が耳障りでそうは読めないというのだ。高原英理『詩歌探偵フラヌール』にも『天景』の読みが書いてあったなと思い、現物に当たってみた。「「よんりん」と読まない。「しりんばしゃ」というのもそういう言い方あるのか知らないが、いい響き」(14p)……読み方一つのこだわりで読書が広がる体験に。
橘曙似様 昨日、糸島市図書館から、北村薫『水 本の小説』新潮社 2022.11 https://www.amazon.co.jp/dp/4104066168 「本の達人ならではの探索と発見が胸を打つ〈本の私小説〉」 を借りました!
Fe様 ご連絡ありがとうございます!私も図書館で借りてみます。
終わりのほうは、北村氏のネタギレなのかもね。
ははは、前半の楽しさで私は十分に元を獲れたので購入しましたが、ちょっと「そうかも」と思います( *´艸`)折口信夫は見目好い青年がお気に入りっていうのはそこまで目新しくはなくても、どこかで披露しておきたい個人的なツボ噺ってありますよね。何年か経ってこちらの読歴が変化して再読したら案外自分もツボにはまるかも?どうかな~。
【月を愛でる読書会】参加4冊目
ちょき様。北村薫はデビュー時(『空とぶ馬』)は覆面作家として正体不明でした。主人公が読書好きの女子大生だったので、余計に男性なのか女性なのか話題になりました。一見、ソフトな作風なので女性と感じるのも無理はないのでは。
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