形式:新書
出版社:講談社
形式:Kindle版
民主主義を基軸に人類の歴史を振り返れば、平等化のメカニズムは停滞したり、一時逆行することはあるが、最終的には平等化を隔てる様々な障壁は破壊され前進していく。厳しい時代にこそ信念が重要になる。その信念のために「公開による透明性」「参加を通じての当事者意識」「判断に伴う責任」が重要になる。
なるほど。確かにくじ引き民主主義というのもあって、実際導入している自治体もある。世襲議員が多いのも、日本独特の民主主義か?
本書によれば、古代ギリシャのポリスにおける政治の定義は、そもそも公共の場所において、人々が言葉を交わし、多様な議論を批判的に検討した上で決定を行うという含意があり、あくまで「公共的な議論」が不可欠であったということです。はたして現代における民主主義は、そもそも本来の意味での正しい民主主義になっているのか…なかなか考えさせられました。同じ著者が書いた「保守主義とは何か」と合わせて、良著だと思います。
20Cの章では、独裁、ファシズムへの接続としてウェーバーのワイマール憲法における大統領の扱いの意図、(ビスマルクの負の遺産として、無力な議会と愚かな大衆)が挙げられたり、カールシュミットの友敵理論などが紹介。民主主義の負の側面の警戒が更に大きな災厄を招いた過程。一体どうせいっちゅーねん、って思う。その後アーレントやシューペンター、ロールズの正義論などが紹介され、今ここにつながる形で後半はやや駆け足で本書は終わる感じ。未来の課題に向けての信念として、透明性、当事者意識、判断の責任を著者は挙げる。
グローバル化が加速し、格差はますます広がるだろう。特に先進国中間層は軒並み没落していく。中間層を欠いた民主主義の社会は不安定になっていく。では人々は怒りの声を上げるのだろうか?過去と違うなと思うのは、日本で若者が静かなことだ。今はスマホの中、というもう一つの世界で安らぎがあるのだろう。戦争が起きるまでなかなか政治に本気になれない。それは核の均衡の上の不気味な安寧だ。河野太郎のBBCでのインタビューを先日見ていて、開いた口がふさがらなった。適当にごまかす根性ここまでとは。政治家を腐らせたのは自分達でもあるな
とはいえ、宇野重規さんの講義は聴講できる機会がもしあるなら聴講してみたい。
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