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中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代 (講談社学術文庫 2656)

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赤白黒
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隋唐帝国の概説書だが、平板な制度の解説ではなく、前後の時代や東部ユーラシア他地域との繋がりがよく意識された作りとなっており、とても楽しく読めた。所々差し挟まれる熱っぽい語り口が良い。会昌の廃仏を武宗の個人的趣味に留まらず、東アジア文化圏に属する諸民族の民族的自覚という文脈で捉える視点に納得。大陸と海で隔てられた我が国も当時の大きな時代のうねりの中にあったことがよく分かる。日本についての記述も充実しているので、古代日本史に興味がある方にもお勧め。
赤白黒

円仁『入唐求法巡礼行記』は大学時代にゼミで読んだのを懐かしく思い出した。いずれ全体を読んでみたい。

01/13 16:53
0255文字
イツシノコヲリ
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隋唐の概説書では一番しっくりきたので購入し、年末年始に読んだ。政治史よりは文化史に重きをおいている感じであり、興味があった円仁の入唐求法巡礼行記の項もあり良かった。円仁が無事に旅することができた理由として新羅商人のネットワークがあったのだなぁ。
0255文字
coolflat
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88頁。則天武后の時代、中でもその後半期は政治は全体に内向きに傾いた。権力固めのためにエネルギーの大半が割かれたからで、いかに政治の中心に居続けることが大変であったか想像できる。その結果、長く陰山山脈一帯に押さえこまれていた突厥がまず682年唐の軛を脱して自立し、第二汗国をつくった。それに刺激されるように696年営州付近にいた契丹族が反乱を起こし、それに乗じて高句麗・靺鞨族の遺民が逃げ出し、渤海国につながる下地を築いた。体制の末端ではそれを支える府兵制や均田制や租庸調制が動揺し始め、社会の変質が進行する。
coolflat

314頁。ウイグルはなぜ大量の絹を必要とし続けたのか。中央アジアの交易では元々ササン朝銀貨などが広く用いられた。そこに唐が進出すると銅銭を持ち込んだ。銅銭は当初、補助的貨幣として扱われたが、8世紀には銀銭にとって代わり主要通貨となった。ただしこれは遠距離や高額の取引には不向きであり、そこで重用されたのが中国産の絹であった。かくしてウイグルが唐から入手した絹は本来の交易品の他に、高額の通貨や決済手段としてウイグルに巨額の富をもたらした。ウイグル遊牧社会はこのようにして大きく変質(遊牧民→商業民、定住民)した

09/23 11:49
coolflat

315頁。吐谷渾は4世紀後半、鮮卑族募容部の一部が青海に進出し、チベット系原住民の上にたてた征服王朝である。南北朝時代、青海から西域南道に続くシルクロードの裏ルートを押さえ、東に進めば北朝に、西南に道をとると四川を経由して南朝に連結し、中継貿易で利益を上げ栄えた。そればかりか、北魏に対抗して、南朝が柔然と連携をとりあう政治的仲介役としても存在感を示した。吐谷渾は中国が分裂し、また北アジアと中国世界との対立する時代の隙間をぬって300年もの間政界地方で自立し、最後は唐と吐蕃の狭間で引き裂かれ姿を消した。

09/23 11:50
7件のコメントを全て見る
0255文字
榊原 香織
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唐は華やか。面白い。 世界帝国、隋唐(内藤湖南の区分)。 日本の円仁は大変な時期に遭遇し、貴重な見聞録を残してくれた。”入唐求法巡礼行記”  私のやってる中国拳法の流派は終南門ていうんだけど、終南山は2604m、長安の東南郊外。詩人王維は麓の輞(もう)川荘に暮らす。
0255文字
でんきひつじ
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隋唐の概説書。中華風ファンタジーの多くは唐代を基にしていると小耳にはさんだことがあるけど、なるほど古代国家らしさを残しながらもどこか自由な気風があるところが創作意欲を掻き立てるのかも、と思ったりした。暴君の代名詞である隋煬帝をやや高めに、名君の誉れ高い唐太宗をやや低めに評価していること、極めて安定した帝国という印象が強かった唐は常に内憂外患に悩まされ続けていて必ずしも安定していたとは言い難いこと、この二点が印象深かった。
0255文字
おはぎ
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最初に通史が述べられることで読みやすかった。隋と唐の関係、唐300年の中での変化など把握できる。
0255文字
かずー
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①個人としての資質は、唐太宗を上回っていた可能性がある煬帝。おそるべし。②ドラマ「武則天」に出てくる女人たちのランキングがよくわかった。③唐代には、長男→皇太子→皇帝となったケース皆無。どひゃー💦④実は熱い!?氣賀澤先生!文章から熱気が伝わる!ベルベットパス(小野伸二)貝塚茂樹先生、キラーパス(中田英寿)宮崎市定先生、危険な男(大久保嘉人?)杉ちゃん。彼らに勝るとも劣らない!魂のストライカー(ゴン中山)みたいな。
0255文字
aki
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日本の古代史を学ぶうえでも欠かせない世界帝国である隋と唐。本書は、その王朝の変質、崩壊に連動して「周辺諸国全体が文字通り面貌を一新する」ほどの影響力を有した隋と唐を律令制、安史の乱、則天武后に代表される女性たち、仏教、唐詩などに焦点をあてて描かれた概説史である。なぜこの時代の女性たちが政治的な力を発揮できたのか、この問題は前近代の女性史を検討するのに非常に重要であろう。また安史の乱後も100年以上にわたって唐王朝が存続した理由が、唐の国制・政治体制を考察するさいのキーポイントになるであろう。
0255文字
newborn
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三回読んでまあまあ頭はいってきた
0255文字
Tomoichi
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恐らく歴史に興味のない人も学校で習う遣隋使・遣唐使でその名を知る隋・唐の時代のお話です。隋の時代が2代と短いからではなく、唐と連続した王朝であるのがよくわかりました。融通無碍というかある意味中華的ではない北方系的な気風がこの2王朝の面白いところであり、則天武后を産んだ土壌となった。続く五代十国を経て北宋により再統一されるが、支那文明のダイナミックさは唐で終息する気がする。
0255文字
chang_ume
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隋唐建国から盛唐を経て安史の乱以降に至る変遷を、都市史・女性史の視点を含みながら多面的に解きほぐしていく。この時代の概説入門書として今最良の一冊ではないかと思う。長安・洛陽の検討から、隋唐の「北族的色彩」を坊牆制などから見て取り、古代日本の都城系譜を考えるうえで一石を投じている。また対外関係について冊封体制と羈縻政策の連動を重視し、高句麗など周辺諸国の動向を新たな視点で理解していく。円仁の入唐体験のなかで新羅人コミュニティが果たした役割が、多文化社会としての唐を思わせるエピソードのようで味わい深く感じた。
chang_ume

"隋の大興城に始まる長安城に、最初からそのような一貫した理念があったかは疑問である。それらは時々の状況に応じて付加され、膨らまされてきた経緯をもつ。儀礼や理念と実際のあり方との関係はどうなのか、検討の余地もある。その上、北族的色彩も無視できず、中国的理念だけで説明することはむずかしいだろう。とはいえ、こうした都城の精神と論理をつよく意識させることじたいに、唐という時代の特質があることは間違いない"(p222)

08/25 21:34
0255文字
すいか
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隋唐の通史を概観した上で研究史上の主要な項目について解説、概説書として過不足ない内容で、入門書としても最適。隋唐史研究の層の厚さを感じさせる。近年の重要な考古学上の成果についても補遺などできちんと目配りしている。個人的な関心としては、国家祭祀について、皇帝の日常生活に当てはめる試みへの言及が興味深かった。武周政権など女性の活躍についての見解が旧態依然なのは研究自体進展がないということか。個人的には唐宋期における皇帝権力そのものとの変質がその背景にあるのではと考えているがどうだろ。
0255文字
Hide
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隋唐の歴史について読むなら、まずこれを読んでいれば外れはないかなあと思う一冊。個人的には府兵制ってどういうものなのか、なんとなく分かったりとか唐の女性関係の話が非常に面白く読めた。それと、後書きで新しい情報(煬帝とか吉備真備関連)が触れられているのも良いかなと。
0255文字
さとうしん
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通史としてシリーズ中最もオーソドックスな構成かつ内容。唐王朝では皇后が空位の期間が長いこと、それを皇太子の地位が不安定で、嫡長子相続の制度が確立しなかったのと結びつけて考えていること、外交面では吐蕃の位置づけに注目していることが特徴か。煬帝墓誌や吉備真備関係の石刻など近年の大発見も承けて、文庫版の補遺は他の巻より比較的充実している。
0255文字
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