形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:新潮社
余談だが第14話「所有のはなし」は、東方界隈なら必読だろう。「東方虹龍洞」の設定そのままで笑ってしまった。恐らく元ネタは、本項で触れられている勝俣鎭夫氏の「交換と所有の観念」だろう。中世日本における所有の概念、そこから派生する窃盗への強い忌避、売買の場が虹の袂でなければならない理由など、読みどころ満載だった。
中世は信仰と呪術の時代で近世は合理主義や人間中心主義の時代、その狭間の中世後期は補陀落渡海や湯起請など神の存在を疑い試す行為が流行った、同時期にルーツをもつ夢幻能=神や霊の出る能もまた本来俗人には見られないそれらを人間が演じ演出するという点で「そこに神はいない」といえる
「荘園領主たちは荘園を設定するにあたって、その中心地に『鎮守』とよばれる自分たちが信仰する守り神を祀った。藤原氏の荘園だったら、彼らの氏神である春日神社。荘園領主が武家だったら、武門の神である八幡神社。延暦寺の荘園だったら、比叡山の地主神である日吉(日枝)神社、という具合である。…賀茂神社があったりすると『あ、ここは賀茂社領か』とわかるわけである。」
読了後、感慨に浸る。違う。考えた。ものを見る眼が変わりつつあるのか、価値観というものが絶対ではないし時代のそれに影響されもする。そんな中で思い込みと偏見で全てを知った気になる過ちは勿体なくつまらない。嫌いなものは嫌いだけど、あまりにも室町戦国は違い過ぎる。嗚呼おもろかった。
たまさん、ありがとうございます。ご助言通り『ワンダーランド』で頭を中世モードにしてから読んで正解でした♪あれ、やっぱり咥え煙草ですよね?これを読むと徳川の天下統一ってすごい力技だったんだなと思います。江戸初期って外様いじめ酷すぎではと思ってきましたが、地方ほど中世人メンタルが残っているわけで、怖かったでしょうね。ちょっと中世が癖になりそうです( *´艸`)
えにさん、ありがとうございます。そして、おお~、中世にもお強い!頼もしいです♪そうそう、平場に普及した習慣で中世由来って結構あるみたいですよ。これは『室町ワンダーランド』の方のネタですが、往年の任侠映画で目にした血判状・盃事・指詰めなんぞも室町の誓約神事由来だとか(笑)なんとなく容易には隷属しない人たちのエネルギーを感じる読書でした(*^_^*)
読んだのは文庫版(間違えた…)
タイムスクープハンターの監修者だったのですね。ありがとうございました。
>樋口さん タイムスクープハンターは戦国〜江戸時代あたりのレポートが多かった気がしますが、ご専門が中世とは意外でした。 荒々しいといえば戦国というイメージがありましたが中世の方がかなり過激ですね…
面白そうですね、いただいていきます😊
ANさん、ぜひぜひ!読まれたときの感想を楽しみにしています!
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