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暴走するポピュリズム ――日本と世界の政治危機 (筑摩選書)

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だるちゃん
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とても勉強になった。★日本では国政より地方首長にポピュリストが多い。なぜか? 背景には、地方政治の、大統領制にも似た「二元代表制」がある(vs 国政の議院内閣制)。地方首長と、議会議員、それぞれ別々に直接選挙によって選ぶから、突然、人気重視の首長が(議会多数派とは関係なく)選ばれる可能性がある。さらに、その首長の取り巻き政党を形成し(cf. 維新、減税日本、都ファ...)議会議員にも選ばれ始めると、二元代表制の理想であるチェック&バランス自体が壊れる。
だるちゃん

★WW2戦後、経済成長+福祉政策がともに実現し、分厚い中間層がいた時代には、リベラル・デモクラシーがうまく機能したが、中間層が没落した現在、リベラルとデモクラシーの結合がほどけてしまった。①一方に、非民主的なリベラル。つまり欧米に見られる(れた)、エリートによるリベラル支配。これは、伝統的な価値観を持つ没落中間層にとっては「非民主的」なリベラル支配と映る。②もう一方に、民主的な非リベラル。そこにポピュリズムが入り込む。

11/21 17:31
だるちゃん

★重要なことは、①「相互的寛容」(政治家みなが意見の不一致をすすんで認める)、②「組織的な自制心」(持っている権限でも、根源的な理念に照らして濫用しない;勝手に非常事態宣言を連発して国境壁を建てたりしない)を持つことである。日本では、②の事例として、内閣法制局長官に安倍派の外務省出身者を起用したり、最高裁判事に弁護士会推薦以外の人物を起用したり、検事総長が安倍派になるよう異例の定年延長をしたりしている。こうした先例ができてしまうと、将来ポピュリズム政権が誕生すると、悪用されかねない。

11/21 17:35
8件のコメントを全て見る
0255文字
いけだのどん
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著者の専門が日本の地方自治論ということもあるのか、日本の特に地方におけるポピュリズム、例えば橋本劇場、小池劇場などをまず挙げている。海外の例は他の人の主張等を引用する形で取り上げる。まとめが、今後日本でも国政レベルでのポピュリズム政党が台頭するのか、そうならないような防止策やそうなってしまったときの対応策などを論じてまとめている。ポピュリズムについて考えるときの基礎テキスト的な本かもしれない。惜しむらくは本書は21年夏に出たのだが、21年秋の衆議院選の結果が反映されていれば、どう論じただろうか。
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TAKA0726
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ネタバレトランプや欧州で台頭、日本は小泉・橋下・小池劇場の自治体レベルだがアフターコロナで暴走の危機あり。ポピュリズム定義は①固定的な支持基盤を超え幅広く国民に直接訴える政治スタイル②人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動。日本初青島都知事は大衆迎合的で無責任な政治。小泉は善玉悪玉二元論、民進党は決定できない政治。橋下はマスメディアを巧みに利用し既得権益批判、小池は劇的性格、物語性、演技性の首長。れいわは格差是正の既成政党不信の受け皿。権威か民主か、政治的イノベーションや国家ビジョン提示を期待したい。
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Go Extreme
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ポピュリズムとは何か:日本政治でのポピュリズム現象 学問的な定義 ポピュリズムへの警鐘ーデモクラシー論からの視点 日本のポピュリズム:平成のポピュリズム現象 橋下劇場 小池劇場 ポピュリズムを生み出す日本政治の仕組み 世界のポピュリズム:世界のポピュリズム 欧州ポピュリズム政党の台頭要因と未然防止策 ポピュリズムへどう立ち向かうか:日本でのポピュリズム台頭の可能性と防止策 ポピュリズム政党が政権を取った時の対応策 リベラル・デモクラシーの危機:民主主義の歴史 権威主義の伸長 新型コロナウィルスと民主主義
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jackbdc
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暴走するのはポピュリズムなのか?既存システムに問題はないのか?ポピュリズムとは「大衆迎合的な無責任な政治」の意味であり、中間搾取を貪るエリート等の外敵への対抗を旗印に、独裁的な振る舞いを可能とするポピュリストの台頭により政治的混乱を危惧する文脈で使用される言葉である。トランプを筆頭に世界中で広まっていると実感はある。しかし正当な民主主義プロセスを通じて得られた結果だと謙虚に受け止める必要があると思う。本当に問題なのは何か。印象論で否定せず、民衆の投票行動の根幹にあるものを冷静に捉え直す必要があるのでは?
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Satsuki
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本書は、日本のポピュリズムをまず論じる点が目新しい。しかし、日本、特に国政では欧米ほど台頭していないという一般的見解をやはりとる。日本の国政で例として挙げられているれいわ新選組又は権威主義的ポピュリズムの可能性も、2021年9月現在では該当しないだろう。加えての欧米との違いとして、欧米では既にほぼ消えた新自由主義的ポピュリズムが日本では主流である点も挙げている。一方で、「民主主義を守る」必要性やその方策を説く。著者は、日本における権威主義の伸長の可能性、またポピュリズムに危機感を持っていることが分かる。
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青雲空
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ポピュリズム研究の一環で読んだ
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