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楠木正成(下)-新装版 (中公文庫 き 17-17)

感想・レビュー
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イコ
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楠木正成の最後の戦いである湊川の戦いは本書では書かれないが、北方謙三版の佐々木道誉風に言えば、そこはもう余生だったのだろう。本書の後に大水滸伝が紡がれ始めるのは、歴史物の制限から解放される為の、作家としての前進だったのかもしれない。楠木正成の諦念があまりにも悲しいが、ピリオドを打つのに相応しい内容だった。
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てぃと
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理想と現実との葛藤。悪党として生きるための蜂起だったにも関わらず、自分の思い描いたものと違う展開となってしまった正成の虚無感のようなものを強く感じました。正成と赤松円心、足利尊氏とのやりとりで醸し出す男気にグッと来た。ここで描かれた楠木正成の生き様が強く印象に残りました。
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Ozymandias
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面白い。御大にしては珍しく最後の戦場を描かないなと思ったが、それも納得。御大の作風は夢、大志、理想を夢見た男たちの夢が猛々しく燃えて、消える瞬間の美しさを描くこと。正成の夢は大塔宮の死の時点で燃え落ちていた。原因不明とされる討幕についても、武士に依存しない政治という早すぎる理想で彩ったのが素晴らしい。
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禅
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「悪党の活路。正成が求めたものは、それだった。いまの幕府のやり方、領地を与えて支配するという方法では、悪党が生きる道はいずれ断たれる。もう、世の動きは、領地の支配だけですべてが解決できるようにはなっていないのだ。新しい国ができれば、自分が望んでいる商いの道も開かれるのか。海の外とも、商いができるまでになるのか。俺は、なにをしようとしているのだ」 天皇、武士、悪党。親政はかんばしからず、武士は土地にしがみつき、悪党は流通で儲けつつ、独自の道を探していた。お上、大企業、フリーランス……あれ、現代って南北朝!?
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shiggy
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新田次郎の新田義貞を先に読んでるので、新田義貞と足利尊氏のキャラ設定が不満だが、悪党である事を矜持とし続けた生き様はかっこよいと思う。全体的にこういう感じのハードボイルドが好きじゃないので、他の人が書いた楠木正成も読んでみたい。
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どぶねずみ
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鎌倉幕府討幕に貢献したために悪党として名高い楠木正成だが、北方健三さんはこの悪党をとても人情味ある人物像として書き上げているので、本当のところはどうなのかわからない。当時の幕府が腐っていたため、それを立て直そうと努めたところはとても彼が悪党だったとは思えない。それまで素晴らしい知力を戦に活かせていたものの、湊川の戦いでは負け戦になると知りながら戦わざるを得なかった生涯に後醍醐天皇を尊ぶ心を感じ、この人が国を動かしていたらその後にどんな幕府が誕生していたかと想像が途切れない。
はるま

北方謙三さんと言えば やはりハードボイルドってイメージですね

10/11 08:30
どぶねずみ

ハードボイルドの象徴醸しれないけど、やっぱり『水滸伝』じゃない( -_・)? 日本のは珍しいねσ(^_^;)

10/11 23:10
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Yoshinori Inagaki
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ネタバレ動きが少なかった情感と比べて、各勢力の思惑、動きが次々に文章になって、一気に読み込まされた。 ラスト直前の足利尊氏とのやり取りは北方謙三ならでは。 力のある者たちがお互いを認めあって、力ではどうにもできないものもあってという、ニヒリズムの中にロマンティシズムもあった。
0255文字
taco
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楠木悪党は成らず。結局は、力の象徴、武士の時代へ。
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車はkei
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太平記の世の本を連続で。元は直木賞作品に物足りなさを感じたからだったが、やはりこの時代の物語は北方謙三に限る。何が史実なのかはわからないが、その時々の武将・悪党・婆娑羅の考えが見えてくる気がする。多くの漢の中でも大好きな大楠公。この本では商いを中心に迷いながらも思慮深く動き回る姿を描いている。有名な自決部分にはたどり着かないところも良い。次はもう少し後の時代へ。
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mizinko
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ネタバレ北方謙三による楠木正成の物語。このまま天下を取りそうな勢いだったがそこは史実通り足利尊氏の登場で夢の終わりエンドへ…
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coldsurgeon
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武士ではなかった悪党・楠木正成の生き様は、古い社会を壊し、武士など存在しなくてもよい国を目指す戦いであったと思う。方法性のない建武の新政の政事は、正成の心を裏切るものだった。しかし、自らが天下を望む立場にないと思っていたから、身を削るような戦い方しかできなかったのだろう。
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すみす
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下巻はあっさり。天皇の忠臣として祭り上げられた楠木正成の像とは全く違う楠木正成が描かれている。なぜ足利尊氏を追い詰めながら逃がしたのか、なぜ武士は新田義貞ではなく敗れた足利尊氏についたのか、そしてなぜ楠木正成が戦前まで天皇の忠臣と崇められたのか、多くのなぜが解明されぬまま、湊川の合戦を描かずに物語は終わる。尻切れトンボ感は強いが、作者は湊川の大分前の足利尊氏と戦う前からの諦観が導いた最後ということにしたのかどうか。
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都人
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不思議なことに、「湊川」の前で終わる。この小説は、楠木正成を借りて、著者の「人間論」「男論」を熱く語る。著者のファンにはたまらないだろう。
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フミ
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皇国史観にとらわれない、北方先生、独特の「楠木正成」のお話。「悪党(武装した商工業・庶民階級)」の力で武士(武装農民)を倒したいと願う正成は、大塔宮・護良親王の人柄に希望を感じて、後醍醐天皇の笠置山挙兵に連動。下巻の前半から、戦いに次ぐ戦いで、各地で山岳戦を展開します。「なんとか武士の力を借りずに、六波羅を落としたい」と願うのですが、物語は歴史通りに進み…という感じです。六波羅が落ちる前の「こんな社会にしたい」「こんな風に勝てれば」という理想と、夢破れた後との感情の落差が大きいです。(コメントに続く)
フミ

後半、幕府滅亡後は、あまりの現実に落胆する主人公の姿が描かれますが、同時に「悪党より先を越した」形の、足利尊氏が、重要人物として主人公・楠木正成との親交を深めていく展開で「もしも…」という夢を膨らませてくれて「前の夢が潰れても、新しい夢を見せる」作風になっているのが、心地良かったです。北方先生は「ハードボイルド」と、よくお聞きしますが、個人的には「ロマンの人だなぁ」と感じました。 読み終えた時は「これなら、足利尊氏の話も書いてくれれば良かったのに~」と、少し残念に思いました(笑)

10/05 11:49
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優希
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信念を貫いたばかりに苛酷な運命と死への道を歩むしかなかったのでしょう。こう考えると正成は単なる悪ではなく、悲運の名将だったことが想像できます。その生き様の迫力を感じることができました。
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Y2K☮
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今作の解釈だと、足利直義が北条時行に敗れたのは尊氏が京を離れる口実を作るため。大塔宮が直義のいる鎌倉へ流罪になったのは帝の意志で、要は処断を期待してのこと。直義は本当に戦下手だと思うが一理ある。建武の新政は典型的な坊っちゃん体質。反吐が出るほど世間知らず。悪党・楠木正成は何を考えて彼らへ与したのか。なぜ赤松円心みたいに見切りを付けなかったのか。帝への忠節? あるいは。でも違う気がする。彼は武士が支配する世の中を厭い、同時に武家の棟梁としての尊氏を認めていた。その葛藤が率直に生き方に表れている。不器用な男。
Y2K☮

マテリアル「儲けようとしすぎると、結局損をする」「芸能は、民の心を慰めるためにある」「悪党は、おのがためにしか闘わぬ」「もっと自由に、この世を生きたいのだ。生きやすい世を作るのは、やはりおのがため」「理屈をつければ、いくらでもつけられる。しかし、どんな理屈でも、まやかしだという気がする」

07/02 21:46
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スギヒロ
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今までの楠木正成の言い伝えとはかなり違った印象を与える小説でした。この小説では正成が何の為に戦い死んだのかは曖昧でした。
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たか
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天のとき、地の利、人の和。天のときだけは努力で手に入るものではなく、自分の理想が天のときを得られなかったことが、正成の死を決定します。この北方南北朝三部作は悪党とバサラから時代をみていますが、視点をずらすことで描くものを増やしています。なお、湊川はありません。読むと書かない理由がなんとなくしっくりします
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楠木正成(下)-新装版 (中公文庫 き 17-17)評価65感想・レビュー18