読書メーター KADOKAWA Group

フォークナー全集 13 征服されざる人びと

感想・レビュー
2

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
kero385
新着
「土にまみれた旗」で老人として登場した主要人物オールド・ベイヤード・サートリスの12歳から24歳までを描いた教養小説的な作品。個別に発表された短編を改作し、物語の最終話としてフォークナーの短編の中でも傑作の誉高い「美女桜の香り」(「バーベナの香り」「クマツヅラの匂い」等の訳もあり)を新たに書き加えて、長編小説に整えた、限りなく愛おしさを感じさせる作品。殊更フォークナーは読みにくい難解と言われるが、この小説にはそのような評価は当たらないだろう。しかし、フォークナーが繰り返し主題にした深南部の伝統や因習、
kero385

差別の問題、憎しみによる暴力の連鎖とその否定などが10代から20代にかけてのベイヤードの清々しい目で捉えられていて、フォークナーの主題が余すことなく展開されている。フォークナー入門には最適な長編かと思う。 同じ年同じ月に生まれ同じ乳を飲んで育った、サートリス家の跡取りベイヤードと黒人奴隷のリンゴー。物語の初めは、対等の幼馴染として共に協力し合い活躍する姿が描かれ痛快である。けれど二人が成長し最後の「美女桜の香り」では、ベイヤードがリンゴーの主として振る舞いリンゴーも立場をわきまえて行動する姿が描かれる。

12/04 04:27
kero385

これがその当時の南部の事実であり、露骨な差別を描くよりも、むしろもっと哀しく胸が痛くなる。「美女桜の香り」は、それだけ読んでも十分鑑賞に耐える短編だが、長編「征服されざる人々」の最終章として読むと、青年となったベイヤードが今までの経験を通してなぜあのような選択したかがより深く感じられる。こんな素晴らしい作品が入手しがたい状態で、尚且つ1975年のこの翻訳以降新訳が出ていないのが残念だ。

12/04 04:28
0255文字
Yasunori Hosokawa
新着
サートリス家つながりで読んだのですが、世間的にはフォークナー作品群の中では佳作扱いのようなのですが、思ったよりずっと面白かったです。サートリス家の少年が主人公、その一人称で語られる家族の物語ですが、周辺では戦争やその敗北などがあるなかで、子供というのはこうなんだろうな、というのがとてもよく描かれてて、フォークナーは子供を描写するのが凄い上手いということを再確認した次第です。
Yasunori Hosokawa

佳作的な扱いだからなのか、文庫類などは無いので全集で読みました。絶版で他の選択肢が限られてるせいかamazonなどではプレミア化してるようです。 文章はいわゆるフォークナー節が見られるものの、全体として平易で気軽に読み進められる文章です。翻訳は斎藤光さんという人で自分は初めてでしたが、文体等にクセもないせいか、特に何も問題なく読めました。

02/18 22:07
0255文字
全2件中 1-2 件を表示

この本を登録した読書家

今読んでいる読書家全0件中 新着0件

登録しているユーザーはいません

積読中の読書家全1件中 新着1件

読みたい本に登録した読書家全0件中 新着0件

登録しているユーザーはいません
フォークナー全集 13 征服されざる人びと評価67感想・レビュー2