特に、自分にとって大きな成長が必要だと感じたのは、第5章の「まず理解に徹し、そして理解される」という部分である。ここで述べられていることが私には難しく感じた。私が理解に徹しようとしても、その行動が相手にとって理解に努めているように伝わらないのではないか、と思ってしまう。そして、「なぜ相手は私のことを理解してくれないのだろうか」と、感情的な反応をしてしまいそうになる自分がいる。それに気づきながら書いていると、まさに著者が遭遇した「分からず屋の父親」の言動と同じことを思っている自分に驚かされる。
事例を読んでいたときは、父親に理解がないと思い、完全に子供が可哀想だと感じていたのに。 私自身この課題の解決策として、海面に突き出た一角のスキルであったとしても、私自身が理解に努めていることを相手に理解させた方が良いと思っている。相手の言葉をそのままおうむ返しする傾聴の仕方(一番効果の低い第一段階として紹介されている)。私の現在地はここである。本書が対人援助の技術指南書ではなく、人格形成のための本だと言われる所以が少し理解できたように思う。
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