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借りの哲学 (atプラス叢書06)

感想・レビュー
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いのうえかずね
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ネタバレ『先行する世代から贈られたものを《借り》とし、それに自分がつくったものを加えて、あとから来る世代に贈るかたちで、その《借り》を返すーーこれによって、個人の歴史は、より大きい歴史、永遠に続いていく人類の歴史につながっていくのだ。』
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jackbdc
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かつて贈与交換の世界に生きていた私たち人間も今やどっぷり等価交換の世界の住人となった。物々交換で贈与を繰り返しいつ終わるかも分からない関係を続けるよりも、貨幣によってその都度すっきり負債を清算する世界の方が暮らしやすいという私たちによる選択の結果である。しかし、行き過ぎた等価交換の世界に息苦しさを感じて、贈与交換の世界の懐かしさに浸る自はあって然るべき。強欲的資本主義への懐疑論なんかはこの延長線上にあるだろうし、二者択一ではなく複層的な選択の余地を生み出せれば、私たちの本能により沿った世界になる気もする。
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獏
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ネタバレ時差でのとっ散らかった感想。私はこの本で、すごく思考の引き出しが増えたように思った。個人を縛るものとして忌避されるところのある「借り」という概念。その意味を考え直し、個々の存在の間の循環を復興させようという著者の試みに心惹かれた。全ては、循環なのかもしれない。極めて日常的なものでも、人間の日々の営みから離れたもっと大きな自然界にしても。「借り」を作らない人は誰一人としていない。誰しも「借り」、そして返す循環の中に生きている。そこから逃避しようとする現代人(私を含む)の病理と、近代の罪を鋭く突いていると思う
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takao
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ふむ
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mak_1410
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≪返さなくてもよい借り≫によって「自由」が制限されるいっぽう、どのくらい返すかは、人それぞれによってちがう。ここに「自由」が保証されている!うおお
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na2hiro
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負い目を伴う「借り」をテーマに、様々な社会形態や寓話が考察されている。伝統的な経済学は交換を行う個人を基礎に置くが、原始社会ではまず与えるところから始まったという指摘が面白く、より人間的な社会とはどういうものかを考えさせてくれる。返せない借りが隷属を意味していた封建時代→労働で借りを返せる初期資本主義→大きな負債を抱え金銭的隷属状態になり得る一方、すべて交換で"自力でやってきて借りはない"他者知らんぷりの人を生む現代資本主義の後にどのような制度がありうるのか、もう一つ具体的な提示があるとなお良かった。
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文字
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「借り」について多角的な側面から考察している良書だった。私は借りを返すことができない、という意識が自己目的化しているのがメランコリーの状態であり、そうなると人に何かを与えることを恐れる(人を愛せなくなる)ようになるのが興味深い。借りをきちんと返すことのできる私という自信と、赦しと愛、そのバランスの中にあるべきなのだろう。
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chiro
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贈与には純粋なる贈与と贈与交換という二つの捉え方があるが、著者は贈与交換の説に基づき、それを「借り」と考え、その連鎖によって社会は回っている事を示している。その主張には賛否両論あるようだが、そもそもそうした考えの元になった等価交換がもたらした自由主義経済によるある種の道徳的な秩序の崩壊に対するアプローチとしては説得的なものであると感じた。
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nranjen
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本来ならマイナスな「借り」という言葉をポジティブにとらえ、社会をとらえていく鍵にしようとする発想を述べた本。この本で述べられている「借り」は日本人なら「おかげさま」という感じで、親しみがわくが、いろいろちょっと無理がある気がする。そもそも貸借は会計学ではあくまでも定量化されるもので構成されており、例えば愛に関しては納得いく説明ができているかは謎なのだ。そもそも人の人生はバランスシートで構成されているわけではいので、貸借以外の次元というものもある。そういう意味でも考える鍵を与えてくれる本ではあった。
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ゆりん
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借りを前提とした社会システム 借りをフランス語にするとデッド、債務負債追い目借り恩 贈与、哲学では返礼をしない、社会学からみると返礼させない対立がある より上位概念としての借り 借りには道徳的なところから、金銭が生まれたとニーチェは言う、そのぎゃくもある、いずれにせよ両方ある 資本主義が発達する中で、かつての借りは等価交換的ではなく永遠とまとわりつくものから、金銭であとぐされなくなれる自由を産んだと でもそれは同時に、貸し借りによって継続されていた社会のつながりを断絶してしまったのではないか
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RKG
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我々に終章で、グサリと刺さるような言葉を突きつける。 その意味で有用な哲学書と言えよう。
RKG

2章のレヴィナスのくだりは要らんよね

05/05 06:03
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nagata
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市場原理が根本とする等価交換は、容易に数式に変換され、実体経済を離れた幻想を膨らませる一方、いわゆる環境負荷をくみ取ることなく、これまでにない危機をまねいている。常に「借りがある」という不均衡な関係性をもとに社会を構築しなおすとは、単なる価値論にとどまらない可能性を持っていると思われる。
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kyoko mizutate
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図書館本。 良かった。傘を借りる位なら濡れた方が良いと思ってしまう、借りる事が苦手な自分の問題点を理解する手掛かりになる気がして読んでみたら。もっと広く、勉強になりました。
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Ñori
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昨年オアハカの山奥で人類学者の米国人女性と話したときに、「借り」というものがない社会こそが「分かち合い」の社会だと力説していて、違和感を覚えたことを覚えている。本書はその違和感に真っ向からの回答をくれる。「借り」を悪いものと決めつけず、人間の根源である「贈与」とからめて積極的に社会哲学として取り入れて行こうという姿勢が本書の中核。贈与を二者間のみでとらえず、第三項を導入するとき、窮屈な視野がグッと広がり新たな社会の可能性の海原が見える、そんな気がした。
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ミッツデラックス
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ネタバレ物事の見方を変えてくれるような1冊。借り、責任、罪などの関連や、経済や社会、倫理、文学も借りの観点から捉えていてとても面白い。ドンジュアンやヴェニスの商人も借りの観点で読むとここまで面白いのかと感心させられる。また機会主義者の精神構造の説明が自分にも当てはまる部分があり、ドキッとした。借りの概念を取り戻すことで解決出来る問題もあるだろうが、実際問題借りの概念を取り戻すのは難しいと思った。何回も読み返したい1冊になった。
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せらむ
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訳者あとがきで國分功一郎が中沢新一の本のなかの贈与は輪郭がはっきりして無く、交換は輪郭をはっきりさせないとできないものなんではないか、みたいなことを書いてあったのが面白かった。
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アナクマ
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借りのない生はありえない。誰もがまず与えられて生存する。ここを起点に、借りの復権と、借りをもとにした社会システムをつくりあげるべきと提起する。◉借りから逃げると、嗜癖という病理に苛まれる。あるいは機会主義者となり、借りを一気に支払わされる(覚悟のうえの踏み倒しは?)。◉(p.214)借りがあることによって、私たちは自由を完全に奪われたわけではない。最初にどのくらい与えられたかによって、返す範囲も決まってくる。逆から言えば、自由の範囲も決まってくるのだ。◉引きずりそうなテーマだ。文庫化希望。
アナクマ

◉連書「贈与論」「君あり故に我あり」「それをお金で買いますか」「ひとりでは生きられないのも芸のうち」「かさじぞう」「旅へ」「荒野へ」「堕落論」「ろくでなしのバラッド」

01/18 00:59
アナクマ

連書「評価と贈与の経済学」「貨幣の新世界史」

01/18 21:18
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五月雨ザバレタ
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借りというものをまず負という側面から見ていた僕には新鮮なものだった。それと宗教を借りの側面から見たときに、宗教が実によくできたものだなと関心した。自己を確立するには他者が必要であるというのはもともと良く聞かれた言葉ではあったけど、ネット文化が発達している今それを否定する論証があがるかもしれないと思うと、まだまだ人間は未知数なんだなと思う。
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左手爆弾
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資本主義批判を前提にして借りの概念を分析。モースやニーチェ、バタイユやレヴィナスが理論的な源泉。借りの概念は単に経済的なものに限定されず、道徳をはじめとして人間のあらゆる生を基礎づけている。本書の興味深い点は、ヴェニスの商人、ドン・ジュアンなどの物語を贈与を切り口にして分析していく点だろう。機会主義者の集合のような資本主義社会が横行すると、借りの習慣は途絶えてしまう。筆者が何をしたいのかは明白だが、哲学的な分析の掘り下げがいまひとつだと感じた。
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つみき
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神経症の話も興味深かった。鏡の中の自己の偽のイメージに隷属していると神経症になる。そこから脱するには、言語を使って社会基盤に従う必要がある。これは大学生が就職活動をするにはイメージの自分ではダメで、言語を駆使して社会に馴染んでいく、というのと似ている気がする。
0255文字
匿名
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新自由主義批判
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xivia | ゼビア
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バレンタインの「義理」の《借り》を募金で返している人を思い出した. 「[現代人がさまざまな意味で《借り》を拒否して,そこから逃げようとしているから]内面の空虚を埋めるために,「快楽」を追い求めている」(p.186) 内面の空虚ではなく,退屈を埋めるためでは?
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よく読む
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借りを返さなくてよい贈与社会を提案する。かつての贈与社会は、人はdette(仏,恩および借り)を返せないと奴隷にもなったが、借りを返すことで人間関係を築いた(全く同じものを返せるわけではない)。今の資本主義社会は、かつてのように神からの天職を神に返す意識はなく、利益を追求し、人間に値段をつける。現代は、借りから逃げる人が多い。多くの集団を出入りし、多くの仮面を持ち、内面を空虚にする。/人は一人では生きられない。人は借りから逃げられない。貸借関係や資本主義より高次の、借りを前提とした社会を提案する。
よく読む

マルセル・モースの一般交換との違いがよくわからないが、一般交換のような概念は本当に正しいのだろうか。互恵的関係を作れない相手と人は仲良くするだろうか。山岸俊男『社会的ジレンマ』で、次の主張があったのを思い出した。自己中が減り、お人よしかギブアンドテイク」人が増えれば社会問題は解決されるのだ。ただし、ギブアンドテイクは一般交換ではない。

06/03 10:15
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Mk-2
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私がもつもの、全ては世の中あるいは他人様からの借り物という前提で、借りという答えから哲学を導く。借りという概念は如何に僕たちの文明に息づき、姿をなすか?
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バナナフィッシュ。
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人から「借り」をつくらないことが本当に自立した人間なのだろうか。「借り」という行動に隠された歴史、人格、それに今後の向かうべき社会への展望まで考察された一冊。ネットのコンテンツで衣食住を賄っている者に対する著者の批判は手厳しい。社会システムとして「借り」を担保するのは面白い意見。だけど、贈与というものは範囲が狭いからこそ成り立つんじゃないかな、とも。社会主義のように中々実現は難しいと思うが、面白い考察ではある。個人としては内田樹の「ひとりで生きられないのも芸のうち」という著作が思い浮かんだ。
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常磐条
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実社会で《借り》や《貸し》をつくったりして他人に束縛されたくない、けれども社会には繋がっていたい人々が、インターネットを通じて形成される「ネットワーク社会」に集まった、という指摘が面白かった。インターネットには対価を支払うことなく利用できる情報やアイデア、システムがあふれている。それらに依存しながら《借り》を認めない、拒否してきた対価を我々はどのような形で支払うことになるのだろうか。
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y-k-057
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わりと分かりやすい議論。
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べんぞいん
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「借り」をシステムとして社会へ大胆に組み込もうとする発想は面白く興味深かった。実現性は難しいと思いますが、個人的に出来る「借り」「お返し」の考え方は秘かに行動していいかもです。
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も
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『借り』の概念の考察。ひとは必ず誰かに借りを作って生きている。商品の購入やサービスを受けるのであれば対価を支払うことで借りはなくなるけれど、すべての贈与が必ずしも返礼を求めているとは限らない。そんなときは、贈与した相手に返礼するのではなく、他の誰かに新たな贈与として返礼すればよい。この恩送りの考えかた、すきです。
えい きときと

kaoritenagliaさん、こんばんは。 先輩に施された恩は、先輩に返すのではなく、後輩に施す。そうすると恩の連鎖が生まれる、と聞いた事があります。そんな感じなんでしょうかね?

12/05 00:35
も

そうそう!そんな感じです!見返りを求めるのではなく、次のひとへ回してっていうのとってもステキだなって思います(^^)

12/05 06:58
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忍者
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他の方も感想を寄せていますが、私も昔、大学の先輩に奢ってもらったとき、『このお返しはお前の後輩に奢れ』と教えてもらったこたがあります。それから、私も後輩と飲むときは、『帰りのタクシー代だけ持ってきて財布をもってこないように、かわいがってる後輩に同じように奢るように』と、言うようにしています。それが、貸し借りのバトンとして繋いでいくことだと思います。
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魚京童!
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返さねば!!!
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ゆれる
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トレーダーやノマドと自称する人々につきまとうある種の空虚さ。資本主義に対し獲得しうる「個人の自由」からは何も学ぶことができない、ということなのかもしれない。借りがないということ、恩を感じることのない状態、他者やその歴史への敬意の不在。顔のない人々。かの人は、私の水と塩を大地へと返す、と唄った。
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Junji
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おすすめ。SNSは、なぜ流行しているのか?などの解釈がいい。
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愚者
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「タラントのたとえ話」はじめて納得(中学以来)。この本では《借り》というアイディアが掴めたので、次の展開が待たれる。
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KABOOM!™(かぶーん)
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問題各々の精査こそ薄いが、非常に力強く、贈与論の対になる強力な理論の先鞭に成りうる一冊だと思う。返さなくてもいい借りを借りの中に区切ることによって、借りの概念はより自由になり、強度を持つだろう。
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