(2)それにしても、当時の武士たちの権勢欲というものには、呆れ、驚く他はない。彼らの価値観について云々し、断ずることは歴史に対する冒涜であり、慎まなければならないのは承知の上で、あえて感想を述べれば、本書を読む限り、歴史に学ぶ教訓は浮かばなかった。太田道灌に関しても、才知や器量に長けた人物であったことは窺えたが、歴史的偉人という印象ではなかった。しかしまたそれも、歴史を知り、考える上での一つの教訓と言えるかもしれない。全体を通して、漠然と感じたことは、領地や権力への執着や、それに伴う他者への猜疑心→(3)
(3)は、いつの時代も変わらない人間の性であり、それを調整し、抑えるもののひとつとして、中央権力の役割の重要性はあらためて感じさせられた。この時代は、その強力な秩序母体の不在の悲劇を象徴する時代であったと言えるかもしれない。
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(2)それにしても、当時の武士たちの権勢欲というものには、呆れ、驚く他はない。彼らの価値観について云々し、断ずることは歴史に対する冒涜であり、慎まなければならないのは承知の上で、あえて感想を述べれば、本書を読む限り、歴史に学ぶ教訓は浮かばなかった。太田道灌に関しても、才知や器量に長けた人物であったことは窺えたが、歴史的偉人という印象ではなかった。しかしまたそれも、歴史を知り、考える上での一つの教訓と言えるかもしれない。全体を通して、漠然と感じたことは、領地や権力への執着や、それに伴う他者への猜疑心→(3)
(3)は、いつの時代も変わらない人間の性であり、それを調整し、抑えるもののひとつとして、中央権力の役割の重要性はあらためて感じさせられた。この時代は、その強力な秩序母体の不在の悲劇を象徴する時代であったと言えるかもしれない。