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武井 康則
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武井 康則
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ネタバレ仕事と執筆に行き詰った男は浮気をし、知った妻は体が巨大化していく。精神のバランスの狂いを身体に比喩したのか、その変身とまつわる出来事、食事、排便、がリアル。浮気と妻への対応、心情もリアルで息苦しい。緊張感が延々続き、小説を書くことにすべてをかけている古いタイプの作家を見る。巨大な女が、臣と書き間違えらえるように選択を誤り続けて破滅していく。私小説の時代から男の女遊びと苦しむ妻、その対応に右往左往する男という決まり切った定式が幻想、不条理という形式で再生される。
武井 康則

本文からの抜き書き。  あの時私は、この老人は戦争で人を殺してきた人間だ、と思った。彼の目の中に恐ろしい気迫を感じたのではない。寧ろ黄色く濁った彼の目の底には、怯えがあった。 こんなおどおどした人間が、おどおどしたままで人を殺す事が出来るのが戦争である。 戦場でのその場面が、彼の中でありありと再現されているのを私は感じた。その瞬間、軽蔑とも同情ともつかない感情が湧いた。 とても人など殺せないような人間が、時代の空気と、命令と、武器とによって人を殺す。 それは、たまたま乗ってしまった乗り物が、

09/19 16:07
  • HANAMARU
  • shin_ash
  • グラスホッパー
  • ごじ
  • ω
武井 康則

制御不能になって暴走してしまったようなものだったろう。そして、そういう乗り物に乗って何か決定的なことを為してしまった人間は、二度と元の自分には戻れない。(二十四)

09/19 16:08
  • HANAMARU
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  • グラスホッパー
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0255文字
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武井 康則
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読書データ

プロフィール

登録日
2017/02/02(2978日経過)
記録初日
2017/01/01(3010日経過)
読んだ本
1020冊(1日平均0.34冊)
読んだページ
285174ページ(1日平均94ページ)
感想・レビュー
1009件(投稿率98.9%)
本棚
2棚
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