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2025年2月の読書メーターまとめ

無重力蜜柑
読んだ本
7
読んだページ
2826ページ
感想・レビュー
7
ナイス
252ナイス

2025年2月に読んだ本
7

2025年2月のお気に入り登録
2

  • 記憶喪失した男
  • アイリス⭐️

2025年2月のお気に入られ登録
5

  • とも
  • ふかわ
  • 橙なオレンジ
  • アイリス⭐️
  • tktk_tent

2025年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

無重力蜜柑
ネタバレ筒井康隆、星新一と並んで日本SF御三家の一角を占める小松左京だが、個人的には他二人より頭三つくらい抜けた評価を与えている。彼の文明論的想像力の規模と密度は別格というほかないからだ。同時代的には無論のこと、現代まで見てもこれほど「巨大」な小説を書く日本SF作家は少ない。……パンデミックによる人類文明の黄昏と復活を描いた本作はまさに小松左京的な小説。密かに作られていた「生物兵器」が流出、軍事機密による情報の不足と近代文明の交通の過剰により爆発的に拡散し、偉大な人類文明が呆気なく崩壊する様を描き切っている。
が「ナイス!」と言っています。

2025年2月にナイスが最も多かったつぶやき

無重力蜜柑

今年の日本SF大賞は大賞『宝石の国』、特別賞『銀河風帆走』とのこと。大賞は『一億年のテレスコープ』が大本命だと思っていたので、正気か?というのが正直な感想。まあ、こういう判断をやりがちな賞ではあるけれども。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000073686.html

無重力蜜柑
2025/02/15 19:38

『宝石の国』は半分くらいまで読んだのかな。何が面白いのか分からなすぎて読むのやめたが、まあ自分の感性と合うか結果か否かはどうでも良い。それ以上に『一億年のテレスコープ』のような正道で高水準のSF小説を、SF業界が顕彰しなくてどうするんだという。せっかく国内から世界水準のハードSFが出てきたってのに。言っちゃなんだが、『宝石の国』なんてSF業界の外で大バズりして幾らでも読まれてるんだから……。

が「ナイス!」と言っています。

2025年2月の感想・レビュー一覧
7

無重力蜜柑
評価に困る本。試み自体は非常に面白いし価値があると思う。ただ極めて図式的に議論を進めてスパスパ断言して行くのと、扱う内容が巨大なのもあって細部の議論があまりにガバい。無論、これは新書なので筆者が出してる専門書の方を読まねば判断はできないが、それにしたってちょっとなあ……というところ。特に「論理学」「レトリック」「科学」「哲学」を比較する序章は、科学哲学やメタ哲学の標準的な理解からかなりズレたことを言っており困惑する。これは物事を対立図式で分類把握する本書のスタイルが悪い方向に作用しているのだと思う。
無重力蜜柑
2025/02/28 03:27

だが我々の社会は経済の論理だけで回っているのではない。経済が政治を浸食すれば不公正が、法技術を浸食すれば秩序の破壊が、社会を浸食すれば感情的不和が起こる。我々は論理性が複数あることを理解せねばならない……。色々言いたいことのある本だがこの辺は賛同できる。論理性(合理性)が自分の依拠しているもの以外ないと思い込んでる人間が多すぎる。特に経済系、自然科学系にはそういう人が比較的多い実感がある。本書の言葉を使えば、形式合理性にのみ依拠して議論を進め、実質合理性に関しては自分の考えを自明のものと据え置くというか。

無重力蜜柑
2025/02/28 03:41

余談。就活してると結論ファースト絶対遵守マンに会う。彼らはあらゆる場面で結論ファーストを貫く。とはいえその論理性はかなり怪しい。寧ろ彼らはその形式を遵守すれば自動的に論理性が担保されると盲目的に思い込んでいる節があって、肝心の内容がずたぼろなことも少なくなかった。この本曰く、結論ファーストはアメリカ流エッセイの作文形式なわけだが、アメリカ人と違い幼少期からその訓練を積んできたのではない日本人が就活本で付け焼き刃的に詰め込んだ結論ファーストで醜態を晒しているのは、まあ何とも悲しいものである。

が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレ筒井康隆、星新一と並んで日本SF御三家の一角を占める小松左京だが、個人的には他二人より頭三つくらい抜けた評価を与えている。彼の文明論的想像力の規模と密度は別格というほかないからだ。同時代的には無論のこと、現代まで見てもこれほど「巨大」な小説を書く日本SF作家は少ない。……パンデミックによる人類文明の黄昏と復活を描いた本作はまさに小松左京的な小説。密かに作られていた「生物兵器」が流出、軍事機密による情報の不足と近代文明の交通の過剰により爆発的に拡散し、偉大な人類文明が呆気なく崩壊する様を描き切っている。
が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレ今年のSFコンテスト優秀賞作。この賞でホラーが受賞するのは初めてだと思う。といっても直球のホラーではなくSFホラー。とある団地で怪奇現象が頻発、調査を進めるうちにギリシア神話に行き当たり、超古代のロストテクノロジーやら人類の集合的無意識やらディラックの海やらが出てくる。説明になってるのか微妙なオカルト科学の連発でB級感が凄い。展開もやたらB級っぽくて、ホラー的な前半からカルト教団の姿が見えてくる中盤以降では一気にサスペンス×アクションな伝奇ものに。キャラも多い割にはドラマが薄く書割っぽくてこれまたB級感。
が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレ小林泰三は短編を何作か読んでいる。一冊の本で読むのは初めて。収録作では「時空争奪」だけ既読。昔読んだときは感心した記憶があるのだが、まとめて本で読むとまあつまらない。書割的で幼稚なキャラクターが支離滅裂な行動を起こし、かと思えば自分の行動の意図をペラペラと開陳する。文芸的な面白さは皆無。まあSF短編なのでアイデアさえ面白ければなんでもいいのだが、そっち方面も微妙。どのアイデアもフィニッシングストロークというミステリ的な要請で作られていて、SF的な面白さを覚えることができないのだ。スプラッタ描写も悪趣味。
が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレ超大作だった。政治と経済と思想と歴史と戦争と技術。全てぶち込んで社会という「システム」自体を描きだしたその構想力には脱帽するしかない。これほどの密度(あくまで密度だ、精度ではない)で構築された「システム」だからこそ、それを憎悪しその解体を容赦なく遂行する鈴原冬二のカリスマ性が際立つ。一方、「システム」全体を描きながらも小説としては鈴原冬二の視点に閉じたこと、徹頭徹尾に彼とゼロ(とフルーツ)の物語であったことが作品に異常な可読性と説得力を与えていた。荒唐無稽な作品ではあるが、アジテーション的な力がある。
が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレ黄金期の海外SFを読むとその時代にそぐわない想像力(これは偏見かもしれないが)の射程に驚かされる。特にアシモフは想像力のスケールにおいて頭一つ抜けている。アメリカ国家がとうの昔になくなり、習慣も宗教も変質した未来をアシモフは提示する。同時代のアメリカSF作家が大抵、アメリカの延長線上でしかない未来を想像するのと大違いだ。だから彼は古びないのだろう。もっとも、数千年後の人類が聖書に親しんでいたり核家族を中心とした一家団欒や近所づきあいを維持していたりと、二十世紀半ばのミドルクラスそのもので滑稽な部分はある。
が「ナイス!」と言っています。
無重力蜜柑
ネタバレめっちゃ面白い。1980年代後半の大恐慌に見舞われる日本を舞台に、「強者による支配」を掲げる政治的天才が「反動的革命」を起こしていく様を描いた大作政治経済小説。昭和末期〜平成初期という時代が色濃く反映された……というより時代そのものな小説だと思う。この時期のフィクション全般には「反米右翼」というべき思想が広く見られる。共産主義や反戦平和主義からの反米ではなく、愛国主義や軍国主義からの反米だ。背景にあるのは日本の経済的繁栄やそれへの米国の介入、共産圏の弱体化等で米国が日本の一種の「主敵」になったこと。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/06/29(2079日経過)
記録初日
2019/04/10(2159日経過)
読んだ本
1053冊(1日平均0.49冊)
読んだページ
336394ページ(1日平均155ページ)
感想・レビュー
920件(投稿率87.4%)
本棚
19棚
性別
職業
大学生
自己紹介

人文系の学生。専門は科学史。
近現代史、軍事学、左右の政治思想の本などを読みます。
小説の方は国内SF専門、ときどきラノベと海外SFも。
歴史改変、ミリタリーSF、異能バトルなどを読みます。
弱さに感傷的に寄り添うような物語は好みません。
英雄と運命を強靭に肯定する小説が読みたい。

漫画は分けて記録しています↓
https://bookmeter.com/users/1510477

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