今年の日本SF大賞は大賞『宝石の国』、特別賞『銀河風帆走』とのこと。大賞は『一億年のテレスコープ』が大本命だと思っていたので、正気か?というのが正直な感想。まあ、こういう判断をやりがちな賞ではあるけれども。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000073686.html
『宝石の国』は半分くらいまで読んだのかな。何が面白いのか分からなすぎて読むのやめたが、まあ自分の感性と合うか結果か否かはどうでも良い。それ以上に『一億年のテレスコープ』のような正道で高水準のSF小説を、SF業界が顕彰しなくてどうするんだという。せっかく国内から世界水準のハードSFが出てきたってのに。言っちゃなんだが、『宝石の国』なんてSF業界の外で大バズりして幾らでも読まれてるんだから……。
だが我々の社会は経済の論理だけで回っているのではない。経済が政治を浸食すれば不公正が、法技術を浸食すれば秩序の破壊が、社会を浸食すれば感情的不和が起こる。我々は論理性が複数あることを理解せねばならない……。色々言いたいことのある本だがこの辺は賛同できる。論理性(合理性)が自分の依拠しているもの以外ないと思い込んでる人間が多すぎる。特に経済系、自然科学系にはそういう人が比較的多い実感がある。本書の言葉を使えば、形式合理性にのみ依拠して議論を進め、実質合理性に関しては自分の考えを自明のものと据え置くというか。
余談。就活してると結論ファースト絶対遵守マンに会う。彼らはあらゆる場面で結論ファーストを貫く。とはいえその論理性はかなり怪しい。寧ろ彼らはその形式を遵守すれば自動的に論理性が担保されると盲目的に思い込んでいる節があって、肝心の内容がずたぼろなことも少なくなかった。この本曰く、結論ファーストはアメリカ流エッセイの作文形式なわけだが、アメリカ人と違い幼少期からその訓練を積んできたのではない日本人が就活本で付け焼き刃的に詰め込んだ結論ファーストで醜態を晒しているのは、まあ何とも悲しいものである。
人文系の学生。専門は科学史。
近現代史、軍事学、左右の政治思想の本などを読みます。
小説の方は国内SF専門、ときどきラノベと海外SFも。
歴史改変、ミリタリーSF、異能バトルなどを読みます。
弱さに感傷的に寄り添うような物語は好みません。
英雄と運命を強靭に肯定する小説が読みたい。
漫画は分けて記録しています↓
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