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2024年5月の読書メーターまとめ

葉々
読んだ本
10
読んだページ
1610ページ
感想・レビュー
6
ナイス
135ナイス

2024年5月に読んだ本
10

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

葉々
はじめての町田康作品。表紙(書影は逆さになってる?)につられ開く。文体はリズミカルであると同時に袖珍本の香りが仄かにした。なぜかしら奥ゆかしくもあるのだった。そして収録5作品どれもに著者の死生観が籠めてあるような感触がした。とりわけ最初の短編「諧和会議」はそれらに加え社会風刺的であったり宮澤賢治著「猫の事務所」風味もしたりして面白い。ところで諧和ってなんだろ?と検索すると意味のひとつに「音楽の調子などが、よくととのっていて美しいこと。」(出典 精選版 日本国語大辞典)とあり、なるほどなぁと一頻り感じ入る。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
6

葉々
幼少期に魅了された『クラムボン』。奥付に『賢治の造語。それが何かはわからない』とあるのだけれど、その解釈はめいめいの心に映ったもの次第ってことなのかな。今回、川上和生氏の浮世絵を思わす浅葱や水浅葱の色に温もりつつも物語は幼少期同様、絶えず見知らぬどこか遠くを意識させられる。極めつけは末尾の「私の幻燈はこれでおしまいであります。」。俄に正気づき今、前にしている世界は実は背後にあるものの影かも?と襟足が寒くなる。「ひとりでにおいしいお酒ができる」やまなしのいい匂いだけに現実味を覚え読後、月になり胸に留まる。
が「ナイス!」と言っています。
葉々
「視力を失いつつある男性」と「言葉を失っている女性」。そのふたりが眺め合っている。まなざしを向け合っている。もしかしてこれは心中のお話なの?と途中思ったが生れ変わりの物語として次第にわたしのなかで落ち着いた。女性側の喪失感に一部、自身の語学留学時(02当時)が喚起される。男性側独白の「知らない人に笑いかけたりあいさつしたりしない文化」は個人的には楽だったな。訳者あとがきに「それを個人のトラウマに帰結するものとして扱わない」とあった。その姿勢が著者の作品の骨だと思う。*「中動態」について更に知りたくなった。
が「ナイス!」と言っています。
葉々
はじめての町田康作品。表紙(書影は逆さになってる?)につられ開く。文体はリズミカルであると同時に袖珍本の香りが仄かにした。なぜかしら奥ゆかしくもあるのだった。そして収録5作品どれもに著者の死生観が籠めてあるような感触がした。とりわけ最初の短編「諧和会議」はそれらに加え社会風刺的であったり宮澤賢治著「猫の事務所」風味もしたりして面白い。ところで諧和ってなんだろ?と検索すると意味のひとつに「音楽の調子などが、よくととのっていて美しいこと。」(出典 精選版 日本国語大辞典)とあり、なるほどなぁと一頻り感じ入る。
が「ナイス!」と言っています。
葉々
本文の「雨季に牛糞の下から生えてくるきのこで作ったシロップ」「夢の中では(略)幽霊になっていた」等々に冬虫夏草的な世界を覚えながら読み進める。全体として「苦しくてたまらない虚無感」、この"虚無感"が物語の人々、「ひまったらしい連中」たち同様、読んでいるわたし自身の心と内臓をもざわつかせ、ひりつかせ「重い眠り」へと吹き寄せていく手応えがした。だからこそラストの「死者たちは、自分に向けられた声、話しかけてくる声を聞いて、いくらか慰められ、生者を煩わせるのをやめる」に「この季節最初の雨の甘み」に呼吸が楽になる。
が「ナイス!」と言っています。
葉々
イランで2頭のロバ、トルコでソロツベ、モロッコでスーコをパートナーにして10カ月(3500キロ)著者は旅をする。本文の「人は、自分とは別に流れる時間や世界を持っておきたいものなのかも知れない」「別れ際のあるべき態度」等に『天路の旅人』の西川一三氏と旅の姿勢が少し重なった。「人生のある日、ただすれ違っただけの人とロバ」諦念を得たかのような距離感を著者は維持していたが最終盤「スーコへの気持ちはこの時、病的なレベルにまで達し(略)スーコのふんまで愛おしく思えてきた」と綴っていて、そこに触れ漸く鳩尾が熱くなった。
が「ナイス!」と言っています。
葉々
想像以上に深い、深かった。業や遣る瀬無さや手詰まり感に圧倒された。特に後半「実家の整理は葬式だ」と引っ越し作業をする場面、「どこを開けても物、もの、モノ」「捨てないと、終わらない」「いるかいらないかで言えば九割が不要品」等、自身の経験と被り胸がざわつく。そして「母親がひた隠しにしていた(押入れの)秘密を(略)暴露」し著者が「ずっと避けてきた、認めたくない事実」、母親のさみしさを心に留めるくだりはダメ出しだった。*読後「私は「あの人」に電話をした」著者の心情、その連絡を受けた時の父親の愛人の後ろ姿を思った。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/08/28(1757日経過)
記録初日
2019/08/28(1757日経過)
読んだ本
651冊(1日平均0.37冊)
読んだページ
114764ページ(1日平均65ページ)
感想・レビュー
572件(投稿率87.9%)
本棚
130棚
自己紹介




老ネコ(保護猫♂)と暮らしています

ラジオ英会話を継続しつつくずし字教室に通っています

インド料理好き♥

*02年夏の数ヶ月、ソウルに語学留学していました




☆ピアニスト務川慧悟氏、田所マルセル氏&プレトニョフ樣♡

 ピアノリサイタルを聴きにいくのが今、一番の楽しみ。 なのでときどき、呟いてみようかな

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