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2024年5月の読書メーターまとめ

ちゑ
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2024年5月に読んだ本
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ちゑ
ネタバレ終身刑、最低拘禁期間20年。これに見合う契約の取消権はない──。選ばれた者だという慢心、輝く未来が待つという誤信。そんなティーンたちの観念を砕く夏の日の愚行。20年後、優等生6人の罪を1人で被り刑期を終えた女が出所する。身代りになるかわりにあの日約束したことを果たしてね…と。それを受けざるを得ない今や地位も名誉もある5人の狼狽。戦々恐々としながらヒソヒソ謀る愚かな選択。丸裸にされた彼らの心理に眉を顰めるなかれ。明日は我が身と我らに問いかけ、その筆力で作者は我らを眠らせない。圧倒的な面白さ、心してかかれ!
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2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

ちゑ

4月は心待ちにしていた新刊も数冊読むことができて満足。やっぱり『ワニ町』は面白い。この先の大量の未邦訳が気になって原作のラインナップを見てみると、こちらも華やかでにぎやかな表紙ばかり。26巻にはラクダの顔が…ガーティが跨ってる姿を想像してしまった。お楽しみの確約って幸せ。 2024年4月の読書メーター 読んだ本の数:10冊 読んだページ数:4162ページ ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1076924/summary/monthly/2024/4

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
11

ちゑ
ネタバレ原書刊行から59年後の初邦訳。タイトルと煽り文句に惹かれて読み始めたところ、人間関係が妙にこなれていることに気づく。どうやら登場人物は本国では40作を超えるシリーズでもお馴染みの人々のようだ。アーミテージ巡査部長を中心に、バーマン警部や恋人、果ては容疑者まで、ゆる〜く巻き込みながら事件を解決していく様子が味わい深い。思い込みだけで突っ走るアーミテージにヤキモキさせられるが、周囲に窘められながらも守られっ子扱いなのは人懐こさゆえか。事件の方はタイトルほどの鮮烈さはなく、意外なところでゆるく丸く解決。
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ちゑ
ネタバレ月イチ水滸6。解説の冒頭の一文「面白いから、読め!」───ほんと、それ。楊令と林冲の抱擁。秦明将軍と魯達の会談。清濁併せ呑む宋江チームの緩急ある道行き。そして聞煥章という新たな参謀を得た青蓮寺。漢たちの姿に心が躍る読みどころが満載。それでも、今回の私のツボは、王定六だ。脱獄途中で足の速さを戴宗に見込まれ、わけのわからないまま手紙を届けるためにひたすら走る男。普通の悪人が何かに突き動かされて走る姿に豪傑たちとは違う清々しさを感じた。戦国の世の鳥居強右衛門を思い出した。人が揃ってきた…みんな死ぬなよ!
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ちゑ
ネタバレかつて台北にあった中華商場。八つある棟のうち二つを結ぶ歩道橋には、黒い風呂敷をひろげて手品道具を並べ〈魔法〉を売る魔術師がいた。往来の子どもたちの好奇心をくすぐり驚かせた魔法は当時の絶ちがたい暮らしと共に、大人になった彼らの記憶に刻まれている。何かの拍子に思い出す不思議なあの日と今の彼らを繋ぐのも作者の魔法。澄んだ言葉で丁寧に紡がれた連作短編は、子どもの私を取り巻く全てが新鮮だったことを思い出させた。懐かしいけれど、大人になればなるほど高騰して手が届かなくなる感情もあるような気がして急にせつなくなった。
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ちゑ
一瞬で情景が浮かび、ちょっと悲哀を感じるタイトルが気になって手に取る。作者は芸人さん。自分の不幸を盛り込んだものやそのまんまやんとツッコミたくなる31文字が並ぶ。クスッと笑えてなんとなく物悲しいオチのついたエッセイ付きの短歌集。失礼ながら存じ上げない芸人さんだったけれど、自由に軽やかに日常の小さな不幸を詠み上げては自虐サイドに舵をきる潔さと滲む人柄の良さに好感を持った。〈この話多分こいつにもうしてる だけど今さら引き返せない〉あるあるな状況を詠んだこの短歌を強烈に印象づけるエッセイに肩を震わせて笑った。
ちゑ
2025/01/10 18:48

まさかの本人さま降臨で、嬉しいやら恥ずかしいやら…コメントありがとうございます。これはもう「センチメンタルに効くクスリ」のほうも読まなくては!

岡本雄矢
2025/01/10 19:16

降臨すいません!! センチメンタルも何卒よろしくお願いいたします🙇‍♀️ また感想聞けるの楽しみにしています✨

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ちゑ
ネタバレ今尚〈アメリカ連合国〉を賛美する者、新しい教会のあり方を推奨する黒人牧師、父、弟、恋人…自分のアイデンティティを揺るがす人々に痛々しいほど完璧な姿で向き合おうとするタイタス。今度の主人公は米南部の郡、初の黒人保安官だ。人種問題が必至の上、事件は醜悪。闇と息苦しさしかない中に、コスビーは何を見せてくれるのか。期待しかない。ある日から信仰に背を向け生きてきたタイタスの、神に対する怒りに隠れた思慕が胸に刺さる。美味しいところを使い捨ての人物が多いし、前作までの叙情も影を潜めるが、疾走感は健在。この結末はありだ。
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ちゑ
ネタバレ土漠に浮かぶ蜃気楼。諦念を湛えた男の眼が遠くを見つめる。南風の啜り泣きに呼応するように男の貫頭衣の裾がはためいている───ペルーの奥地に立つ1人の男のこんな姿を勝手に想像しては、こんな日本人いる?…と一度は思う。なのに船戸ワールドには確かに存在した。南米3部作の2作目。「山猫の夏」ほどのダイナミズムは感じないし、雇われ破壊工作員という仕事を生業とする人間の矜持や信念が描かれないままの主人公 志度正平にも不満が残る。それでも、漂うロマンに酔いしれる。破滅に向かう男がまた1人…。
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ちゑ
ネタバレ妖婦、チン切り…〈阿部定〉という響き自体がサブカル的なアイコンのようだ。そのイメージの払拭なるか、殺された吉蔵の妾の子だという脚本家/吉弥が調べたことや定の口述を紡ぐ体で新たな阿部定像を浮かびあがらせる創作阿部定伝。狂おしく焦がれる思いを昇華させるための手段がこれだったということか。これを純愛とは言い難く、様々な関係者の証言をもって定像を考察して行く中に死後の吉蔵の証言まで加えては、行為を美化するようで興醒めだ。とはいえ、阿部定とは今なお作家の創作意欲を掻き立てる何かを持っている人物なのだと痛感した。
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ちゑ
ネタバレ胡散臭くてちょっと笑えて、かっこいい風を気取ったロクデナシたちがいっぱい。そんなタチの悪い奴らが、作者に弄ばれては最後に突き放される超短編集。一気にいくにはきついけど、ナイトキャップ代わりにちびちび口をつけると癖になる、大人の嗜む不条理本といったところか。やるせない話、ドタバタ喜劇、突飛なブラックファンタジー…もはやなんでもあり。御曹司が誘拐されて逃げ出す「脱出」と、出所した老ギャングに降りかかる災難「出所して」のなんとも言えない絶望感が好きだ。感情を削ぎ落とした語りにフィットする柴田さんの訳もいい。
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ちゑ
ネタバレ1冊の本から、18年前に世間を騒がせた連続殺人犯〈ナッシング・マン〉であるジムの眠れぬ夜が始まった──捕まることもなく今や巷に紛れて普通に暮らすジムだったが、最後の殺人で生き延びた少女イヴが成長し、彼女は関係者へのインタビューや調査内容をまとめた手記を出版。意図はなんだ?何を知っている?気になって仕方ないジムと同時に作中作としてそれを読むことになる構成が面白く、初老男の狼狽と切迫感を大いに嘲笑ってみる。長い間野放しだった胸糞悪い殺人犯がイヴの仕掛けにハマったさまは痛快だったけれど、ここまで警察って無能?笑
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ちゑ
「はんなり」という京言葉が好きだ。品があって温かみを感じる響きがあり、大阪人の私には憧れの言葉だ。そのはんなりさに、ほっこりが加わった京都育ちの赤染さんの心地よいエッセイ。ただし手強い。身の回りで起きるちょっとした情景に、自虐とぶっ飛び妄想できり込んでくる。その想像の斜め上をいく視点が笑顔を誘い、おおらかさと優しさに安心を感じさせる。「安全運転」なんかは、これから右折するたびにニヤニヤしそうで危ない危ない。岸本さんとの交換日記も、相打ちのスリルがある楽しい試み。楽しい人だったろうな。寂しいね。
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ちゑ
ネタバレ終身刑、最低拘禁期間20年。これに見合う契約の取消権はない──。選ばれた者だという慢心、輝く未来が待つという誤信。そんなティーンたちの観念を砕く夏の日の愚行。20年後、優等生6人の罪を1人で被り刑期を終えた女が出所する。身代りになるかわりにあの日約束したことを果たしてね…と。それを受けざるを得ない今や地位も名誉もある5人の狼狽。戦々恐々としながらヒソヒソ謀る愚かな選択。丸裸にされた彼らの心理に眉を顰めるなかれ。明日は我が身と我らに問いかけ、その筆力で作者は我らを眠らせない。圧倒的な面白さ、心してかかれ!
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/12/19(2194日経過)
記録初日
2019/12/20(2193日経過)
読んだ本
971冊(1日平均0.44冊)
読んだページ
358922ページ(1日平均163ページ)
感想・レビュー
846件(投稿率87.1%)
本棚
19棚
自己紹介

2019年12月から、お世話になっています。
子供の頃、デュマの『モンテ・クリスト伯』を読んで以来、本の虜。沢木耕太郎は若かりし頃の私のバイブル。『高熱隧道』を筆頭に吉村昭はその名を目にするだけで心が震え、山本周五郎は『さぶ』に始まる人生の道標。
自己啓発本とホラーは苦手ですが、なんでもニュートラルに読みたい派。

読メを知る前の5年程の本は、思い出しながらボツボツと登録していますが、それ以前のものは、遠い記憶の中だけに…。

本と映画と音楽好き。老眼鏡のお年頃。よろしくお願いいたします。

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