ここ最近、千早茜作品は気に入ったもの（透明な夜の香りと赤い月の香り）の再読ばかりしていたので、久しぶりに新しいものに手を出したけど、期待を裏切らない短編集だった！「林檎のしるし」がずば抜けて好き。この低温でぐじゅぐじゅ引きずる感じの恋心、、書くのが上手い。中年男性と30くらいの女性が居酒屋デートで距離を縮めるという遠目から見た設定は、『センセイの鞄』っぽいなと思っていたら、作者インタビューで本人もやはり意識していたとのことで、我が意を得たり。似たような設定だからこそ、コントラストが引き立つ。とても良かった

やっぱり穂村弘は特別。最後の「流星とチーかま」、たったの見開き2ページしかないのに、ものすごい青春を浴びた感じ。

陶器の器のように美しい装丁の1冊。最近、Kindleを使ってみたら、あまりの便利さに電子書籍派に移行しつつあった私だけれど、やはり紙の本はいいなあと唸らされた。このような装幀と本の内容が寸分の違いなくぴったりと合わさった美しい1冊に出会ってしまうと、やはり紙の本の方が良いですと、白旗をあげたくなる。特に小川洋子の本は、そう思わされるものが多い。

これなぜ「読みたい本リスト」に入れてたんだっけ。変な夢を立て続けに見たあとみたいな読後感。特に「鳥男の恐怖」の夢っぽさは半端ない。ポストを青に塗るチームVS赤を守るチームみたいな目的が謎すぎるチーム戦、私の夢にも出てきます。

主人公が読んでいた「記憶力をなくした数学者の話」はやっぱり『博士の愛した数式』のこと？本筋とは全く関係ないけれど、こよみさんが聞かせてくれた、とあるバイオリニストの「難しいパッセージは一小節ずつ取り出して、それを完璧に十回弾けるようになるまで繰り返して練習する」という練習法は、シンプルでかっこいいなと思った。お話自体は、割とありきたりというか、あまり印象に残らず、さあーーーと読み進め気づいたら終わってたみたいな感じ。

ここ最近、千早茜作品は気に入ったもの（透明な夜の香りと赤い月の香り）の再読ばかりしていたので、久しぶりに新しいものに手を出したけど、期待を裏切らない短編集だった！「林檎のしるし」がずば抜けて好き。この低温でぐじゅぐじゅ引きずる感じの恋心、、書くのが上手い。中年男性と30くらいの女性が居酒屋デートで距離を縮めるという遠目から見た設定は、『センセイの鞄』っぽいなと思っていたら、作者インタビューで本人もやはり意識していたとのことで、我が意を得たり。似たような設定だからこそ、コントラストが引き立つ。とても良かった

特別なことは何も起きないのに、なんでこう面白いんだろう。私の母親の友達に、理枝さんに似た女性がいるなあと思いながら読了。ところで、最後の方のページで理枝さんの名前が理恵になっているところがあった。第二版以降は直っているのかな。誤植を見つけると嬉しくなってしまう笑。

映画版「冷静と情熱のあいだ」にはエンヤの曲がたくさん使われてるのに、江國香織はエンヤ好きじゃないのー！！っていうのがいちばん気になった、、（笑）

基本的に穂村弘のエッセイには、つまらないところがない。本書は数あるエッセイの中でも、トップクラスに面白かった。

「まわりのもの全部から、ただ逃げてるの。はやくゲームオーバーにならないかなあって、いつも思ってた」

ネット書店はNeedsに応えることができても、Wantsを創造することはできない。一万円選書がやっているのは、お客さんの潜在的な欲求を嗅ぎ出して、「あなたが読みたいのはこういう本じゃないの？」と差し出すこと。齊藤義明さんによる、分析が印象に残った。AIにはできないお仕事、かっこいい！いわた書店のような本屋さんが増えていったら、本当に嬉しいなぁ。

失敗することにすら失敗する、っていう感覚分かる。カフカが生前、全然評価されていなかったことを知って、悲しくなった。