ネタバレ前作もよかったけれど続編の本作がずっと好き。成瀬がますます気になるし、成瀬の弟子となる四年生の北川みらいも気になる存在。島崎が東京の大学に行くことを聞き泣き出すみらいちゃんに「もしかしたら、北川は島崎がいなくなることで、バランスが崩れるのが不安なのかもしれない」と成瀬。成瀬自身も、島崎が東京に行くと聞いた時は心身のバランスを崩し、自分の世界に穴が空いて、そこに足を取られたという。「北川にとって、ゼゼカラは小さな存在かもしれない。でも、小さな歯車が欠けても仕掛け全体が回らなくなるように‥」ラストもよかった。

ネタバレ医者になって37年目の著者。最初の19年は大学病院の小児外科医で、後半17年は開業医の松永先生が書く舞台裏のいろいろが、面白くて勉強になります。親身になってくれる看護師さんほど心強い存在はないのを私自身何度か経験したのもあって看護師さんについて書かれたところは特に興味深く読みました。奥様が看護師さんで、開業するときにお二人でスタッフの面接をしたりの場面が印象深いです。いい加減な医師も多いことも書かれています。避けられる手術はしない方がいいと言ってくれた医師のことを思い出しつつ読みました。

ネタバレ「なるようになる」。はっきりした目的意識があって、それに従って物事が進むということにはならない。すっかり忘れてしまったような些事が、その後の人生を動かして来たかもしれない。「なるべくしてなる」。心にストンと落ち、頭でわかるのではなく心が頷く感じがしました。すっかり忘れてしまったような些事、ほんとそうだなあって思います。人生とは、ありとあらゆる細かい出来事の積み重ねの上に成り立っているわけで、全部、なりゆき。すべてのことは動かしようのない、一種の必然。いまさら、ああすればよかったと言ってもしょうがない。

ネタバレ読友さんのおかげで出会うことができました。あらためて読メに感謝。これからも何度も読み返すことと思います。「私はいつも、己との一騎打ちをしているようなものですから、好きか嫌いか、この二者択一しかありません」「私は争ったり、戦ったりするのが大嫌い。なのに屈服はしない」「生きているということは、変わるということ。だったら、そのときどきで、いつもその日の生に没頭するしかない」「今の自分に懸けてきました。昨日でも、明日でもない。その日に感じたことを描くしかないのです」「感性は死の間際まで衰えない」潔い言葉ばかり。

ネタバレ前作もよかったけれど続編の本作がずっと好き。成瀬がますます気になるし、成瀬の弟子となる四年生の北川みらいも気になる存在。島崎が東京の大学に行くことを聞き泣き出すみらいちゃんに「もしかしたら、北川は島崎がいなくなることで、バランスが崩れるのが不安なのかもしれない」と成瀬。成瀬自身も、島崎が東京に行くと聞いた時は心身のバランスを崩し、自分の世界に穴が空いて、そこに足を取られたという。「北川にとって、ゼゼカラは小さな存在かもしれない。でも、小さな歯車が欠けても仕掛け全体が回らなくなるように‥」ラストもよかった。