読書メーター KADOKAWA Group

2024年1月の読書メーターまとめ

荒野の狼
読んだ本
22
読んだページ
2551ページ
感想・レビュー
22
ナイス
1117ナイス

2024年1月に読んだ本
22

2024年1月のお気に入られ登録
4

  • 雨季💘なきうさ
  • ぺこウィン
  • ショア
  • 魅乃乎minoco19860125

2024年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

荒野の狼
菊池寛による1920年(大正9年)の長編小説。本作の一番の魅力は主人公・瑠璃子であり、性差別に根差した男性中心の偏見に対して、ひとり社会に反抗していく姿勢は、100年以上たった現代でも新しく学ぶところは大きい。小説の構成は巧みで、冒頭は、正義感と良識を持ち合わせた渥美信一郎が、純粋な青年である青木淳と自動車に相乗りをするのだが、青木は自己で死亡してしまう。青木が腕時計に関連した謎の言葉とノートを渥美に残し、ミステリータッチの導入部に読者は引き込まれる。
荒野の狼
2024/01/06 19:21

なお、本作は2002年にテレビドラマ化され大ヒットしたが、瑠璃子役の横山めぐみと、荘田勝平役の 大和田伸也は適役であり、ドラマ視聴後、20年を経た2023年に本作を読んだ私にとっても、横山と大和田をイメージしてしまうほどであった。 瑠璃子のモデルは、歌人の柳原白蓮とされるが、なるほど本作を読むと彼女の半生で荘田勝平や、その息子である荘田種彦を思わせる人物と関わっており興味深い。また、本作の章「ユージット」は、日本では旧約聖書続編にふくまれる『ユディト記』と関連する。

宵待草
2024/01/06 20:12

荒野の狼さん こんばんは🌃 川端康成や柳原白蓮など迄、何時もながら広範囲に通じて居る、荒野の狼さんならではの、レビューには学びを頂きます!💫 読みたい本を積むばかり📚️📚️📚️ですが、、、 📝させて頂きますね!🍀 能登半島の地震や航空機事故など、胸を塞ぎ心痛める、年明けに成って仕舞いました。 不安と不眠が続く、被災された方々の、体調不良を案じて居ます。 早く余震が、収まるのを願うばかりです。 お寒いですので、荒野の狼さんも、ご自愛下さいね!✨ 宵待草

が「ナイス!」と言っています。

2024年1月にナイスが最も多かったつぶやき

荒野の狼

2023年12月の読書メーター 読んだ本の数:25冊 読んだページ数:3223ページ ナイス数:653ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1124113/summary/monthly/2023/12

が「ナイス!」と言っています。

2024年1月の感想・レビュー一覧
22

荒野の狼
香川県の丸亀市猪熊源一郎現代美術館は1991年に開館したが、本図録は「開館10周年記念 猪熊弦一郎の仕事展」のもの。2023年現在、同美術館には図録がないので、本書が美術館の公式図録と言ってよい。残念なのは、美術館は相当な広さをもっているにも関わらず、展示している作品数が少なく、案内のパンプレットにある代表作すら一部しか見ることができない。巻末に5ページの年譜。本図録には、展覧会の展示作品と猪熊の他の作品の写真も掲載されている
荒野の狼
2024/01/27 17:31

。例、香川県庁舎の陶画p9.慶応大学学生ホールの壁画p10.上野駅壁画p13.山梨県立県民文化ホール緞帳p29.三越ショッパーp45.映画「生きる」ポスターp56.小説新潮表紙絵p66.増井山の化粧廻し「虎を倒す象」p76,91.

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「香川県庁舎 1958」は2014年に改訂版が発行されたカラーの47ページの小冊子。香川県庁舎のガイドツアーの際に制作された冊子を基に再編集したものであるが、現在はパネル展示などは行われているがツアーは行われていない。ガイドツアーに参加しているような感覚で読める本であり、丹下健三の設計による建物の外観から、内部までを写真と短い解説がつくので図録といってよい。本書ならではの情報は以下。香川県庁の現・本館も同じく丹下による設計で2000年に竣工されたことが写真入りで掲載p11.
荒野の狼
2024/01/27 17:02

ピロティのコンクリートの柱には木目があるが、これは杉板の型枠にコンクリートを流し込んで作られたためで、あたかも木造建築であるかのように見えるp17.階段の両側に黄色と赤色の丸い装飾は換気口p23.低層棟の屋上庭園は2003年に屋上緑化が施され一般に公開(現際は非公開)p26。香川県庁は丹下の「美しきもののみ機能的である」と語ったこだわりを感じさせるp27.高層棟屋上はガイドツアー限定の体験(現在は非公開)p28.デザイン知事・金子正則は大阪万博の際、初めて「讃岐うどん」の名でブランド化し世に出したp32.

荒野の狼
2024/01/27 17:02

丹下と金子を引き合わせたのは画家・猪熊弦一郎(いのくま げんいちろう)p36で、猪熊は1階の陶板壁画「和敬清寂」を制作p20.p44-45には、香川県のその他の建築を紹介しているが、県立博物館(丹下の設計、2014年に閉館され2023年に解体が決定された)、ジョージ・ナカシマ記念館、ベネッセアートサイト直島など。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
『応天の門』第三巻「染殿の后(そめどの の きさき)鬼に乱心せらるる事」は藤原良房の娘で清和天皇の母・藤原明子(あきらけいこ)(829-900)が、夜間さまよい歩く謎の話。精神的に破綻をきたしている明子の原因に、真済(しんぜい)ら僧侶が関わっているという内容。歴史上の真済(800-860)は、空海の十大弟子の一人で、長く神護寺に住し、その発展に尽力し、高雄僧正と称された人物だが、本作は真済と明子に関わる伝説にヒントを得たものだろう。
荒野の狼
2024/01/24 11:20

道真の兄の死の真相も描かれるが、それが第二巻に登場する狂犬病の話と関連付けられているが、道真の兄が狂犬病に罹って死亡したのかは判然としない。狂犬らしい犬に噛まれる場面はあるのだが、嚙まれてから一か月後に死亡しているので、狂犬病だとすると発症は早いといえる。第三巻も、歴史上の人物と時代を使って自由に描かれたフィクションである。

荒野の狼
2024/01/27 17:55

本作の題材と思われる話は、「今昔物語」巻20第7話に明子が登場する話があるが、原作はより異様である。ここに登場する僧は金剛山の聖人(真済という名はでてこない)で、これが自ら餓死して鬼になり、染殿と鬼は天皇らが見ている前で行為に及ぶという奇怪な話。真済が、明子に恋慕執着して、死後「紺青の色したる鬼」という怨霊になって后にとり憑き、これを相応和尚が調伏する話は『宝物集』などの他書にある。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
第二巻では、時代背景として藤原家の権力者としての立ち位置が描かれており、歴史物として楽しめる内容。後に清和天皇の妻となる藤原高子の登場する「藤原高子屋敷に怪の現れたる事」では、高子と関係があった在原業平ではなく、菅原道真が事件を解決するのだが、ここは、業平に活躍して欲しかったところ。「鏡売るものぐるいの事」は、狂犬病が題材だが、狂犬病患者が水を恐れる描写があり、これは狂犬病の症状とし
荒野の狼
2024/01/24 11:18

ての恐水症(水の嚥下ができないことが一因)に一致する。しかし、狂犬病で鏡を怖がるということは特になく、これは吸血鬼伝説との混同と思われる。狂犬病のスリリングな話や、道真の活躍が楽しい第二巻。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「伊勢物語」の主人公とされる在原業平(825-880)と菅原道真(845-903)が怪事件を解決していく漫画。業平は女たらしの渋い中年として登場しているが、歌人として和歌を詠んだりする場面がなく、魅力には今一つ欠ける。道真は少年として登場するが歴史的に業平と20歳の年齢差があるので、作画としては一致。第一巻は、当時の時代背景はあまり描かれておらず、歴史物としての面白みには欠けるが、業平と道真の掛け合いや謎解きは楽しい。
が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「伊勢物語」の主人公とされる在原業平(825-880)と菅原道真(845-903)が怪事件を解決していく漫画。業平は女たらしの渋い中年として登場しているが、歌人として和歌を詠んだりする場面がなく、魅力には今一つ欠ける。道真は少年として登場するが歴史的に業平と20歳の年齢差があるので、作画としては一致。第一巻は、当時の時代背景はあまり描かれておらず、歴史物としての面白みには欠けるが、業平と道真の掛け合いや謎解きは楽しい。
が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
Kindle版で読みましたが、絵本でにらめっこをするという発想には驚きました。電子版ですと、画面が一瞬でかわるので、印刷版より、本書の内容は適しているように思えました。様々な鬼の顔がでてきますが、一枚くらい思いっきりはじけたような絵があってもよいのではという印象です。
が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「なっとうぼうや」は、キリンの男の子「のった」くんが主人公の絵本で5分で読了できる長さ。キリンが納豆を朝ごはんに食べるという発想はユニーク(キリンは草食動物なので、納豆ご飯を食べるのは可能かもしれないが)。外に逃げたした納豆はお互いに、ねばねばの糸で手をつないで歌を歌って仲良しで幸せである。これを見た動物も木々すらも、納豆のように手をつないで幸せになる。ところが、キリンの男の子は、彼らの輪には入ろうとはせずに、自分が納豆を食べることにしか注意を払わない。
荒野の狼
2024/01/22 20:28

ここで「のった」くんの家族が登場。のっぽ(父)、のっこ(母)、のん(妹)。納豆たちの皆が仲良しになろうというメッセージが、キリンの男の子に伝わるか、が焦点になる。本書を読めば、納豆嫌いが克服できるかも、と思える楽しい内容である。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「でこぼこホットケーキ」は3分ほどで読了できる絵本。ハリネズミの双子が祖母の誕生日のためにホットケーキを焼いて、これを祖母の家に持って行く話。道なりに最初にリスに会ってホットケーキの一部を分けてあげるところで、物語の結末がわかったかと思いきや、途中でひとひねりされていてよい。秀逸な場面としては、熊にホットケーキを分ける時には熊の大きな身体と口から、ホットケーキがなくなってしまうのではという危惧がハリネズミの双子と読者で共有でき、スリルが味わえる。登場する動物は、他に兎。
荒野の狼
2024/01/21 17:31

焼かれたケーキも美味しそうであり、ストーリーも優しさがこめられている作品。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「太宰治情死考」は、坂口安吾が1948(昭和23)年8月1日発行の「オール読物 第三巻第八号」に掲載した10分で読了できるエッセー。太宰は6月13日に死亡しているので、死後、二カ月以内に書かれている。安吾は2019年の、映画「太宰治と3人の女たち」では、いつも酔って太宰に悪態をついており藤原竜也が演じていたが、本作は、ちょうどそうしたイメージで読むと安吾の心情が想像できる。
魅乃乎minoco19860125
2024/01/17 23:24

あの藤原竜也さん演じる坂口安吾、印象的でした✨✨✨✨

荒野の狼
2024/01/18 00:18

魅乃乎さん コメントありがとうございます。同感です。映画を見てから、このエッセーを読むと、映画のイメージも、エッセーのイメージも強くなります。このエッセーは、青空文庫で無料で10分ほど読むことができるので、おススメです。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「佳日(かじつ)」は1944年(昭和19年)の太宰治の短編で20分で読了できる長さ。表題は4月29日のことで昭和天皇の誕生日であるが、戦前の天皇が神格化されていた時代の話であるため「暦を調べて仏滅だの大安だのと騒ぐ必要は無かった。四月二十九日。これ以上の佳日は無い筈である」ということになる。本作は佐藤春夫がエッセー「稀有の文才」の中で絶賛している。
荒野の狼
2024/01/17 11:42

なお、佐藤は太宰の死後、太宰の「津軽」を読んで、「他のすべての作品は全部抹殺してもこの一作さえあれば彼は普及の作家の一人だと云える。生前これを読んで直接彼に讚辞を呈する事のできなかつたのが千秋の恨事である」としている。佐藤は、太宰が自分の本音を表面に出せない人間だという事をよく理解しており、佐藤のエッセー「井伏鱒二は悪人なるの説」は、太宰が井伏を非難したとされている文章に込められた太宰の真意が見えてくる名文である。

荒野の狼
2024/01/17 11:42

「佳日」は、上記のことを頭に入れて読むと、本作に登場する主人公と、その友人大隅は、二人とも心根は非常に良い人物であるのに態度ではそれと反対のことをしてしまう太宰自身であり、それを理解する「瀬川先生」は佐藤春夫のようである。大隅の態度を非難する主人公にたいして、瀬川は「どうも、あれは昔から、感覚がいいくせに、表現のますい男だった。いたわってやれよ。君ひとりをたのみにしているんだ。」と諭している。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
太宰治と親交があった豊島与志雄が、太宰と最後にあった1948年(昭和23年)4月25日のことを書いた文で10分で読了できる長さ。太宰はこの後、6月13日に山崎富枝と心中している。本作を読むと、映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」などで描かれているような淫乱で情熱的な人物像と、実際の山崎は全くことなり、清浄で可憐な人物であったことが偲ばれる。
荒野の狼
2024/01/16 21:03

本作で、豊島は山崎を「さっちゃん」と呼んでおり、「さっちゃんは最も完全な侍女であり看護婦であった。――家庭のことは、美知子夫人がりっぱに守ってくれる。太宰はただ仕事をすればよかったのだ。そういう風で、太宰とさっちゃんとの間に、愛欲的なものの影を吾々は少しも感じなかった。二人の間になにか清潔なものさえ吾々は感じた。」としている。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「週刊 日本の神社」の15号は香川県の金刀比羅宮(ことひらぐう)を32ページで紹介。本シリーズの魅力は冒頭の折込を開くとみられる3ページをつかったCG鳥瞰図で、主な建造物の配置がわかるマップとしての機能と目次代わりにもなっている。境内と関連の建築物を写真入りで解説。他に、こんぴら参りの歴史、金刀比羅宮の祭神の大物主神と崇徳天皇、丸山応挙の障壁画、祭り、こんぴら狗(いぬ)などを紹介。
が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「週刊 四国八十八カ所遍路の旅」の第25号は、本山寺(もとやまじ、70番札所)、弥谷寺(いやだにじ、71番札所)、曼荼羅寺(まんだらじ、72番札所)の香川県に北西にある三寺。2005年(平成17年)の出版で、34ページと薄く、数時間で読了できる内容。香川県を旅行した時に本山寺を訪れたが、本書掲載の寺の関連本としては本書が唯一であり購入した。四国八十八カ所の霊場のうちで、五重塔を有するのは、四カ所で本山寺の他には、高知県の竹林寺、香川県の善通寺と志度寺と本書では解説p14.
荒野の狼
2024/01/14 19:43

たとえば曼荼羅寺の住職は「遍路による弘法大師のご利益は、現世の利益です。死後、来世で救われるのではなく、生きているうちに救われる。未来成仏ではなく、即身成仏が大師信仰の核心ですp26」と説明。近隣の名所も短く紹介しており、たとえば香川県豊中町の宇賀神社は、どぶろく造りで知られるが、現在どぶろくが醸造できるのは、許可された全国でも40カ所であり、四国では宇賀神社が唯一と写真入りで掲載p32。

荒野の狼
2024/01/14 19:43

画家の川端龍子(りゅうし)による三つの寺の絵・俳句・探訪記は2ページに掲載。 巻頭インタビュー「苦しみの代償」は、作家の石牟礼(いしむれ)道子のもので4ページ。内容は、お遍路には全く関係のないインタビューで、水俣病について。78歳の時のものだが、石牟礼は2018年に90歳で亡くなっている。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「恩を返す話」については、菊池寛自身が、自分のこの作品について“いわゆる「大恩は謝せず」の思想である。学生時代の恩人に対する心持から生まれた作品。恩返しを考えるということは、恩人の不幸を待っている気持ちだと云う皮肉な思い付きである”として解説している。これと同様の文章は、菊池寛の短編「大島が出来る話」に掲載されている。この二つの作品を読み較べると、菊池寛の意味することがはっきりわかってくる。
荒野の狼
2024/01/13 22:14

「恩を返す話」では、自分が嫌いな相手から、大恩を受けた主人公が、恩を受けたままだと頭が上がらないので、そのチャンスを長年うかがう話(つまり、その間、相手に不幸があって、恩返しのチャンスが来るのを待っている)。結局、恩返しはできないで終わる。ここで主人公は「恩」と「借り」をはきちがえている。「恩」を授けたほうが、返してもらうことなど期待はしていないときに、「恩」という。

荒野の狼
2024/01/13 22:14

一方、「大島が出来る話」の主人公譲吉は菊池寛がモデルであり、小説中の「近藤夫人」は菊池寛が世話になった成瀬峰子。譲吉は近藤夫人に対して強い感謝の心を懐いており、恩返しは少しも念頭にない(恩返しの機会を待つことは、恩人に何らかの事変が起こるのを待つことになるため)。こちらでは、夫人の死で恩返しはできなかっただけでなく、死後も夫人から譲吉に贈り物が届くことで、恩返しは生きている間だけ本人に返すというたぐいのものではない、ということがわかる作品。二つの作品をじっくりと読み較べてみたいところである。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「大島が出来る話」の主人公譲吉は菊池寛がモデルであり、小説中の「近藤夫人」は菊池寛が世話になった成瀬峰子。譲吉は近藤夫人に対して強い感謝の心を懐いており、恩返しは少しも念頭にない(恩返しの機会を待つことは、恩人に何らかの事変が起こるのを待つことになるため)。こちらでは、夫人の死で恩返しはできなかっただけでなく、死後も夫人から譲吉に贈り物が届くことで、恩返しは生きている間だけ本人に返すというたぐいのものではない、ということがわかる作品。
荒野の狼
2024/01/13 22:12

菊池寛には、本作とはちょうど反対のメンタリティを持った主人公の作品である「恩を返す話がある。本作と合わせて読むと、菊池寛の意味するテーマがはっきりするので比較するのがおススメ。

荒野の狼
2024/01/13 22:12

「恩を返す話」では、自分が嫌いな相手から、大恩を受けた主人公が、恩を受けたままだと頭が上がらないので、そのチャンスを長年うかがう話(つまり、その間、相手に不幸があって、恩返しのチャンスが来るのを待っている)。結局、恩返しはできないで終わる。ここで主人公は「恩」と「借り」をはきちがえている。「恩」を授けたほうが、返してもらうことなど期待はしていないときに、「恩」という。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「図録 菊池寛」は1992年(平成4年)に香川県高知市の菊池寛記念館が発行した48ページのサイズが36.5×25.5 cm と大きな図録。菊池寛の生涯と作品を「半自叙伝」とその他の作品の抜粋と写真で解説。他に小林秀雄、上林吾郎、大江健三郎、井上ひさし、らの菊池寛に関するコメント、年譜、記念館の案内を掲載。菊池寛が「吉川英治 解説」の題名で、吉川英治の名を借りて、自身の作品を解説したものが掲載されており、ユニーク。
が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「極楽」は10分ほどで読了できる短編。「極楽」については、著者の菊池寛は「極楽というものが存在したら、いかに無味乾燥であろうかという疑問である。われわれとして、官能的な快楽を否定された、極楽はあり得ない。」とコメントしている。
荒野の狼
2024/01/07 18:46

菊池寛の描く極楽は「暑さも寒さも感じなかった。色食(しきじき)の欲もなかった。百八の煩悩は、夢のように、心の中から消えて居た。極楽の空がほがらかに澄んで居るように、心の中も朗らかに澄んで居た。」というものである。すなわち、本作では、死ぬまでに、自分が清浄で高い精神性のあるライフスタイルをベストと思えるようになり、人生の煩悩・執着を捨てたようになっていなければ、極楽(=天国)は居心地のよいものではないという事を示している。

荒野の狼
2024/01/07 18:46

仮に、そうした欲や煩悩を持っていたとしても、極楽に入る前に、それらは自分の中から無くなってしまうので、欲・煩悩の塊であったような人には極楽に行った場合、何も残らなくなり、その人ですらなくなってしまうということである。キリスト教では、現世は、天国に行くための準備の場であるとする考え方があるが、本作は、ユーモアの中にも、人生の深い意味を考えさせる佳作といえる。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
「極楽」は10分ほどで読了できる短編。「極楽」については、著者の菊池寛は「極楽というものが存在したら、いかに無味乾燥であろうかという疑問である。われわれとして、官能的な快楽を否定された、極楽はあり得ない。」とコメントしている。本作は以下の笑い話を思い出させる。
荒野の狼
2024/01/07 18:43

菊池寛の描く極楽は「暑さも寒さも感じなかった。色食(しきじき)の欲もなかった。百八の煩悩は、夢のように、心の中から消えて居た。極楽の空がほがらかに澄んで居るように、心の中も朗らかに澄んで居た。」というものである。すなわち、本作では、死ぬまでに、自分が清浄で高い精神性のあるライフスタイルをベストと思えるようになり、人生の煩悩・執着を捨てたようになっていなければ、極楽(=天国)は居心地のよいものではないという事を示している。

荒野の狼
2024/01/07 18:43

仮に、そうした欲や煩悩を持っていたとしても、極楽に入る前に、それらは自分の中から無くなってしまうので、欲・煩悩の塊であったような人には極楽に行った場合、何も残らなくなり、その人ですらなくなってしまうということである。キリスト教では、現世は、天国に行くための準備の場であるとする考え方があるが、本作は、ユーモアの中にも、人生の深い意味を考えさせる佳作といえる。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
菊池寛による1920年(大正9年)の長編小説。本作の一番の魅力は主人公・瑠璃子であり、性差別に根差した男性中心の偏見に対して、ひとり社会に反抗していく姿勢は、100年以上たった現代でも新しく学ぶところは大きい。小説の構成は巧みで、冒頭は、正義感と良識を持ち合わせた渥美信一郎が、純粋な青年である青木淳と自動車に相乗りをするのだが、青木は自己で死亡してしまう。青木が腕時計に関連した謎の言葉とノートを渥美に残し、ミステリータッチの導入部に読者は引き込まれる。
荒野の狼
2024/01/06 19:21

なお、本作は2002年にテレビドラマ化され大ヒットしたが、瑠璃子役の横山めぐみと、荘田勝平役の 大和田伸也は適役であり、ドラマ視聴後、20年を経た2023年に本作を読んだ私にとっても、横山と大和田をイメージしてしまうほどであった。 瑠璃子のモデルは、歌人の柳原白蓮とされるが、なるほど本作を読むと彼女の半生で荘田勝平や、その息子である荘田種彦を思わせる人物と関わっており興味深い。また、本作の章「ユージット」は、日本では旧約聖書続編にふくまれる『ユディト記』と関連する。

宵待草
2024/01/06 20:12

荒野の狼さん こんばんは🌃 川端康成や柳原白蓮など迄、何時もながら広範囲に通じて居る、荒野の狼さんならではの、レビューには学びを頂きます!💫 読みたい本を積むばかり📚️📚️📚️ですが、、、 📝させて頂きますね!🍀 能登半島の地震や航空機事故など、胸を塞ぎ心痛める、年明けに成って仕舞いました。 不安と不眠が続く、被災された方々の、体調不良を案じて居ます。 早く余震が、収まるのを願うばかりです。 お寒いですので、荒野の狼さんも、ご自愛下さいね!✨ 宵待草

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
井伏鱒二が1933年に創刊された「東京新聞」に掲載した二作品「三十男Q・Dの告白」と「小さな町」を収録。二作品とも、井伏の単行本にも全集にも未収録であるため、本書の表紙には「発掘」とある。二作品とも10分で読了できる短編。
荒野の狼
2024/01/03 02:12

「三十男Q・Dの告白」は、ミステリーのような仕上がりで、東北地方の田舎町で起こった窃盗事件の真相が、容疑者の警察に語った陳述によって明らかにされていく。12年前の出来事にさかのぼって、徐々に真相が明らかにされていくのだが、「真面目な人物だと言われている文筆家」の容疑者の猟奇的な側面が最後のページに垣間見え、江戸川乱歩の作品のような読後感を残す名作。

荒野の狼
2024/01/03 02:12

「小さな家」は、田舎町で曲馬団の少女が脱走することから起こる謎解きの要素を持つ作品。疾走してから姿を見せない少女をめぐって話は展開していくが、ラストは、作品に張られた伏線が完結せず、話はまとまりがなく終わってしまう。大原祐治の解説によれば、「小さな家」は、つまらない出来事を記事にするメディアへの冷ややかな批評を込めた作品という評価であるが、そうした意図は本作を読む限りは明瞭ではない。緻密な「三十男Q・Dの告白」と比較すると、ミステリーとしては失敗作である。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
ウクライナの戦争が継続し、ガザではイスラエルとハマスが報復の応酬で罪なき子供を含む人民が死亡している今、読むべき作品と、知人に勧められた30分で読了できる作品。 岩手県北上川のほとりの松林に住むフクロウたちの物語。フクロウの坊さんがお経を唱えるところから物語は始まる。このお経は賢治自作のものであるが、仏教に帰依した賢治らしく格調は高い。
宵待草
2024/01/03 07:32

荒野の狼さん 明けましておめでとうございます!🐉 今年もどうぞ、宜しくお願い致します!🎍 レビューの菩薩三尊の登場など、興味深く拝読しました。 読んでみたいと思い📝させて頂きますね!✨ 能登半島の地震や、飛行機事故など、胸が塞がる心痛む新年となりました。  此れ以上の甚大な被害が、無い様に祈るばかりです!🍀 お寒いですので、ご自愛下さいね!💫 宵待草

荒野の狼
2024/01/03 18:15

宵待草さん 明けましておめでとうございます 今年もよろしくお願い申し上げます! 荒野の狼

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/18(1472日経過)
記録初日
1984/08/04(14513日経過)
読んだ本
1314冊(1日平均0.09冊)
読んだページ
312259ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
1314件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
現住所
大阪府
外部サイト
URL/ブログ
https://www.amazon.co.jp/gp/profile/amzn1.account.AGAXCTZNJ3RUL2ZYI3KBAEWCB36Q?preview=true
自己紹介

Amazonのレビューは2009年くらいから投稿しております。本の長めの感想は、アマゾンの「荒野の狼」の上記URLをご参照ください。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう