読書メーターあなたの読書量を記録・管理

3月の読書メーターまとめ

アナーキー靴下
読んだ本
38
読んだページ
8522ページ
感想・レビュー
38
ナイス
3883ナイス

3月に読んだ本
38

3月のお気に入り登録
20

  • とむとむ
  • こばたく
  • shocot1
  • タナオ
  • ねぎ
  • ケルビン
  • taku
  • Sam
  • PENGUINDRUM
  • 麩之介
  • luri
  • ガラスの文鎮(文鎮城)
  • nomak
  • シマエナガ
  • 巣々木
  • おおとろ
  • りょうへい
  • ゆきぽん
  • レモングラス
  • gen

3月のお気に入られ登録
27

  • とむとむ
  • がのら
  • こばたく
  • ねぎ
  • タナオ
  • ケルビン
  • Akira Sensei
  • taku
  • yama
  • Sam
  • PENGUINDRUM
  • mom
  • 麩之介
  • luri
  • ガラスの文鎮(文鎮城)
  • nomak
  • Twakiz
  • シマエナガ
  • 巣々木
  • おおとろ
  • gen
  • shocot1
  • 今朝未明
  • りょうへい
  • ゆきぽん
  • のーまんりーだす
  • レモングラス

3月のトップ感想・レビュー!

アナーキー靴下
これは何とも評価が難しい。平凡なOLの主人公こと葉が、出席した結婚式で伝説のスピーチライターに出会い、言葉が持つ力に魅せられ、自身もスピーチライターに…というストーリーは面白いし、登場人物も魅力的、名言盛り沢山、思わず涙の展開も。ラストも好き。なのだけれど、ストーリーの大半を占めているのは政治に関わるスピーチライターとしてのお仕事。仕掛人側であるはずのこと葉が、言葉のマジックや感動で政治や有権者の心が動いてしまうことに鈍感すぎて、素直に共感したり応援できず、気持ち良く読めない。痛快小説に皮肉は欲しくない。
nomak
2021/03/26 19:10

アナーキーさん、私も読みましたよ、この本。心中お察しします。これがラノベ(読んだことない)というやつかと思いました。たしかにストーリーはおもしろいのですが、「言葉の力」という重厚なテーマのわりに、つくりが軽すぎでした。プロパガンダと言われれば、あ、たしかに骨格は同じですね。最近はやたらと言葉をトリミングして背景の色をとばして、名言なり失言なりに加工しているように感じます。そのような「言葉の力」にあまり深入りできませんでした。

アナーキー靴下
2021/03/26 21:44

nomak様の感想、笑わせてもらいました! この本では、「言葉の力」はプロパガンダにもなり得る、ということを久遠さんは理解していて話しているのに、こと葉にはいまいち響かない、そこがもどかしく感じました。言葉の加工、以前何かで、消費者は「情報を根本から理解したがらずに結果だけ知りたがる」ものなのだという話を見たとき、結局自分たちが望んでしまった結果なのかもしれない、なんて思ったりしました(私はひときわ感動にも弱く直感で行動するタイプなので、かなり胸に突き刺さる話でした)。

が「ナイス!」と言っています。

3月のトップつぶやき!

アナーキー靴下

メチャクチャ嬉しくてテンション上がってます! 実は昨日PICK UPレビューページ完成のメッセージを頂き、慌てて借りっぱなしだった「1973年のピンボール」を読みました。でも他の本の返却期限の都合もあり、「羊をめぐる冒険」はまだまだ後回しになりそう…。

メチャクチャ嬉しくてテンション上がってます! 実は昨日PICK UPレビューページ完成のメッセージを頂き、慌てて借りっぱなしだった「1973年のピンボール」を読みました。でも他の本の返却期限の都合もあり、「羊をめぐる冒険」はまだまだ後回しになりそう…。
アナーキー靴下
2021/03/02 20:23

キク様、ありがとうございます! 今はハルキストではなく、村上主義者というのですね。私は今のところ、村上春樹氏の作品より、村上主義者の方の感想を見るほうが好きかもしれません。心の深いところに置いて大切にしている感じがして、とても素敵に見えます。一言で言えばカッコいいのです(キク様の感想みたいに…!)。私ももっと村上春樹氏の作品を読んで、カッコいい存在を目指したいです!

アナーキー靴下
2021/03/02 20:24

zero1様、ありがとうございます! 「月と六ペンス」のときにいただいたコメントで、【理解というものは、つねに誤解の総体】という村上春樹氏の言葉を教えていただき、強く興味が湧いたことがきっかけで読んだようなものです。(いつかは読んだかもしれませんが、ずっと後回しになったと思います) 言い換えればzero1様のおかげです。本当にありがとうございました。50円で【いつまでもプレー出来る台】なら、私もプレーしたいです(笑)。

が「ナイス!」と言っています。

3月の感想・レビュー一覧
38

アナーキー靴下
保護猫たちと暮らす仁尾さんの猫短歌とエッセイ。小泉さんのイラストも雰囲気とマッチしていて、優しくほのぼの、そしてちょっと泣ける本。たくさんの猫たちとの出会いと別れを経験している仁尾さんの眼差しはひたすら温かく、切ない。命に対する真摯な向き合いかた。笑顔でお別れなハッピーエンドを何度も何度も繰り返しているようなものだし、本当に優しさと強さと美しさを持っている人なのだと思う。のびのびとした猫の話は「わかるー!」だし、話ぶりの穏やかさに「うちの子はー…」と言いたくなってしまう雰囲気。重みが幸せなのは本当に同意。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
行動と思考が細かく入り乱れ、直感的で断片的な思惟。その文体にユリカの存在を感じた。裏社会が舞台なのは「掏摸」も同様ながら、ユリカの目を通して見た世界は生命のゆりかごのようで心安らぐ。「掏摸」冒頭で主人公は、ゴミの濁った水を不快で温かいと表現していたが、ユリカはまるでその水そのもの。心象として描かれるイメージも「掏摸」は塔から見下ろされているかのようなのに、ユリカは月に同化している。木崎が支配するには大きすぎたのだろう。聖書の話あたりの「わからない」も、思考ルーチンの違いで、互いにわかり合えないのだと。
アナーキー靴下
2021/03/30 07:01

「掏摸」の方は自身を客観視する社会型人間、本作は生命力溢れる動物型人間、という感じの主人公で、どちらも良かった。木崎の「神」感がだいぶ減退して「父」感になってしまったのは、エンタメ的には少し物足りないが、木崎的には同義で、そもそも「掏摸」も同じ結末を描いていたのかもしれない。役割を終えた人間に死を与え、新しい生を与える…。生きる意味、その答えを知りたいがために。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
ディキンソンの詩は「まぶしい庭へ」で初めて読んだが、別の本で引用を見かけ、印象の違いに興味を持った。第一印象ではありのままを生き生きと、という詩人に思えたのだが、自己の内面を見つめる詩人のようだ、と。加えて、お気に入りの方の感想の「ダッシュの多用」の話にも惹かれた。短く、独特な表現で綴られる詩は、一語一語、一文字一文字に意味がある、そう窺えるのは対訳本ならでは。生涯信仰告白ができなかったディキンソンにとって、詩作こそが信仰告白だったのでは、と思う。「魂の自由な選択に絶対的な尊厳をおく」、彼女にとって。
アナーキー靴下
2021/03/29 07:26

50篇いずれも傑作。「[43]わたしは荒野を見たことがない――」これは前書きや解説から思い描くディキンソン像そのもの。私も20年程前に読んだ「嵐が丘」。当時園芸誌などでもエリカのエピソードとして「嵐が丘」のヒースはよく触れられていて、イメージを抱きながら読み始めたのに、私には荒野は見えないままだった。「[46]ことばは死んだ」言葉に様々な想いを託す詩人らしい詩だと思った。出してしまった言葉は変えることも取り消すこともできない、それ自体は死だが、自分の中でも相手の中でも変化し続ける、それは生なのだろう。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
こちらは動物オンリー、可愛い・格好いい・個性的で美しい写真を楽しむ図鑑。大人でも楽しめる内容なのは自然博物と同様ながら、動物の写真のほうがより低年齢でも興味を持つのではないかと想像(親が読んであげて一緒に楽しむ場合でも、鉱物では広がりを持たせにくい気がする)。なので、こちらのほうが子供とのコミュニケーションツールとしても使いやすいかもしれない。動物園に行く前の予習とかにも。人間と2ショットじゃないクアッカワラビーは初めて見たかも。真上からのシードラゴンも。あと、巻末の「生命の木」はすごくいいなと思った。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
鉱物、微生物、植物、動物が、見開きごとに一種ずつ、大判のアップ写真とトリビア的な解説が収録された図鑑。物語のエッセンスのような解説は、知識が広がるというよりは夢が広がる。写真も本当に美しく魅力的で、庭に生えていたら嫌で仕方がないゼニゴケでさえ美しい。子供は子供騙しになど満足できないと思うのだが、この本のように大人も楽しめる本こそ、子供へのプレゼントに最適だと思う。抜群のセンスで多方向に知的好奇心を刺激してくれて、年齢問わず楽しめる一生ものの本。税抜4000円。孫に贈る初めての本、とか素敵。孫いないけど…。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
なまはげって有名だけどどんな由来があるのかは聞いたことがないな、なんて思っていたところに、ちょうど読メでこの絵本を見つけ読んでみた。表紙のインパクトに負けない、力強く魅力的な版画で語られるのは、不幸な鬼たちの物語。まさかそんな話だったとは…。何らかの実話ベースであれ、作り話であれ、ずるいこと、悪いことをしてしまった後悔を伝承し続ける、ってどんな心持ちなんだろう。それを秋田生まれの著者が語り継ぐ。秋田の人のなまはげへの想いの深さははかりしれない。単純に悲しい、可哀想、だけではない、複雑な気持ちが残る絵本。
zero1
2021/03/27 09:16

こんにちは。なまはげの由来、語源については「きのうの影踏み」(辻村深月)に収録されている「ナマハゲと私」でも紹介されていました。よかったらどうぞ。

アナーキー靴下
2021/03/27 10:57

zero1様、ご紹介ありがとうございます。ホラーっぽい作品のようですね。ゾクゾクヒンヤリ感、夏あたりに楽しみたいです!

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
タイトル通り美しい鳥の羽根の写真集。鳥の全体像は小さいイラストのみ、でもそれがいい。個々の鳥の解説も併記されており、淡々とした説明かと思いきや、ほのかなユーモアと、好きな気持ちに溢れていて、これもまたいい。羽根の美しさに魅せられた著者だからか、特に「色彩」の章での羽根愛は熱い。鳥の羽根には触りたくなる、所有したくなる魅力があるのは何故だろう。羽根を使った小物に惹かれるし、昔どこかで買ったクジャクの羽根は宝物だった。もう記憶の中にしかない羽根。しかしそんな思慕とは別格の、フキナガシフウチョウの触ってみたさ。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
「氷」の印象そのままのアンナ・カヴァンの短篇集。いずれの作品も素晴らしかった。常に何かに囚われ、残酷な現実を突き付けられながらも、それらすべて幻想であるかのような不可思議さ。自分を痛めつける棘の中でしか生きられない存在。無限に続けてしまう心の自傷行為は生きている実感を求めてか、或いは肉体の痛みとの均衡を保つためか。唐突で率直な言葉、無遠慮な空気など、無意識そのものが語り手のようである。無意識の中に入れ子のように意識があるならば、無意識の言語化は劇中劇のようなもの。意識の上位にあるメタフィクション。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
これは何とも評価が難しい。平凡なOLの主人公こと葉が、出席した結婚式で伝説のスピーチライターに出会い、言葉が持つ力に魅せられ、自身もスピーチライターに…というストーリーは面白いし、登場人物も魅力的、名言盛り沢山、思わず涙の展開も。ラストも好き。なのだけれど、ストーリーの大半を占めているのは政治に関わるスピーチライターとしてのお仕事。仕掛人側であるはずのこと葉が、言葉のマジックや感動で政治や有権者の心が動いてしまうことに鈍感すぎて、素直に共感したり応援できず、気持ち良く読めない。痛快小説に皮肉は欲しくない。
nomak
2021/03/26 19:10

アナーキーさん、私も読みましたよ、この本。心中お察しします。これがラノベ(読んだことない)というやつかと思いました。たしかにストーリーはおもしろいのですが、「言葉の力」という重厚なテーマのわりに、つくりが軽すぎでした。プロパガンダと言われれば、あ、たしかに骨格は同じですね。最近はやたらと言葉をトリミングして背景の色をとばして、名言なり失言なりに加工しているように感じます。そのような「言葉の力」にあまり深入りできませんでした。

アナーキー靴下
2021/03/26 21:44

nomak様の感想、笑わせてもらいました! この本では、「言葉の力」はプロパガンダにもなり得る、ということを久遠さんは理解していて話しているのに、こと葉にはいまいち響かない、そこがもどかしく感じました。言葉の加工、以前何かで、消費者は「情報を根本から理解したがらずに結果だけ知りたがる」ものなのだという話を見たとき、結局自分たちが望んでしまった結果なのかもしれない、なんて思ったりしました(私はひときわ感動にも弱く直感で行動するタイプなので、かなり胸に突き刺さる話でした)。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
幼い姉妹の失踪事件が結びつける連作短篇。本の帯は今後変わっていくのだろうけど、今手もとにある本にかかっている帯(読メにも表示されている帯)の、「この痛みから、目を背けることはできない」という言葉は、登場人物を結びつけるもう一つの線。逃れられない、自業自得の呪い。現実的な確率や責任割合など関係なく、ほんの僅かでも、その結果を避ける選択が取れる可能性があった、その事実が、痛みとして自身を責め苛む。何かしらの別れを抱えた女性たちは、物理的な消失時点ではなく、消失を自覚したとき、鮮やかな眩暈を経て、歩き始める。
zero1
2021/03/24 07:58

だとしたら帯の担当者は【してやったり!】ですね。本が売れない時代、【何とかしなければ!】という想いを持つ方がいるのは頼もしいです。

アナーキー靴下
2021/03/24 08:43

zero1様、コメントありがとうございます。改めて考えてみると、初動に影響しそうな本の帯を作る人はすごいセンスの持ち主ですね。「○万部突破」とか「○賞受賞」みたいな帯はあまりありがたくなく、雑な扱いになりがちですが、こういう素敵な帯だと大切に取っておきたくなります。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
著者の小説は、分人主義を披露する精神科医が登場する「空白を満たしなさい」から入っているので、この本の内容はおさらいに近かった。著者のような技巧派の小説家が「わかりやすく」書いた本書は、ぐうの音も出ないほどわかりやすく、体験や多種の書物をリバースエンジニアリングして哲学的プログラムを再構成したかのようなクレバーさ。「本当の自分」幻想による生きづらさの解消から、多様化する社会における自己と他者の結び付きのヒントまで、分人主義は時代の万能薬である。これが仮にフィクションだとしても、否定する意味は何もない。
アナーキー靴下
2021/03/23 07:34

「本当の自分」はもちろん、「自分探しの旅」や「わたしと仕事、どっちが大事なの?」など、散々言い古されて、陳腐化して、馬鹿にされるようになった言葉たちを拾い上げて、その裏にある心理を考察する著者の姿がとても好きだ。人間は、いつだって良い方向、救いを求める方向にメッセージを送っていて、ただそのやり方が不器用なだけなんだと、肯定してくれているように感じる。否定でも無関心でもない、肯定。尊重、の方が近いか。いざ自分が、考え方の違う誰かを尊重しようと思うと、難しい。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
お気に入りの方紹介の「ジャンの新盆」を読み、その「聖☆おにいさん」風な面白さ、かつ心を揺さぶられるラストに、こんな凄い作家がいたとは、と驚いた。本書は切れ味鋭いショートショートから文学論エッセイ風連作まで33篇収録。ジャンルは説明しがたく、推理要らずのミステリー、人外の存在が登場しないホラー、空想科学要素のないSF。巧みなストーリーに配された「情緒化」こそが肝であり、唯一無二なエンタメ文学。エンタメと文学の融合は村田沙耶香氏の「コンビニ人間」に近いものを感じるが、それを短篇で表現する、まさに早世の天才。
アナーキー靴下
2021/03/22 07:26

本書に「ジャンの新盆」は収録されているが、先に青空文庫で読んだ。気軽に読めるボリュームなので興味のある方は是非! 他に好きな収録作は「頭上の海」(こちらはまだ青空文庫にはないようだ)。現実から逃げたいというより、現実に向き合いたくない、という心情が、あまりに鮮やかに描かれている。文学論エッセイ風連作であるトコの話も、著者の作品をより深く感じることができてとても良かった。夭折を惜しむしかない。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
あまりに有名な絵本だけど読んだことがない…と思って読んでみると、途中の展開は覚えがあり、子供の頃に読んだことはあったようだ。何を想い、この話を受け止めたら良いのだろう。子供の頃も同じように感じた気がする。多分、まるごと受け止めるしかないのだ。白馬の身体まるごと。楽器を奏でるということ…喜怒哀楽の表現は、俳優の演技のような、何かを伝えるための表現だと思っていた。しかしスーホが悔しさや楽しさを思い出しながら馬頭琴を弾くという話に、誰に伝えるためでもない、魂の叫びのような音楽もあるのかと、今更ながら思った。
アナーキー靴下
2021/03/21 09:52

都わすれ様、ありがとうございます。改めて読み、長く読み継がれるだけのことはある、素晴らしい絵本だと思いました。馬頭琴はどんな音色なのか、と気になりつつも、スーホの馬頭琴の音色はこの本の中にしかないのですよね…。

アナーキー靴下
2021/03/21 10:06

masa様、ありがとうございます。教科書に載っていたんですか! 個人的には、こういう心の奥に触れる話を授業で何度も反復されるのは抵抗を感じそうですが…私だけの「スーホの白い馬」なのに! って。でも大人になったら、それはそれで良かったとなりそうだし、難しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
父が東山魁夷を好きだったが、私は数年前にようやく魅力を認識した(画集一つ見ぬままだが)。気付くまでは空気みたいに自然にそこにいる、という存在なのに、一度気付いてしまうともう二度と見逃せなくなる、そういう絵だと思う。この本は、春を感じさせる絵20点と、それぞれの絵にあしらわれた、詩とも解説ともつかない短い文章で構成されている。随筆もされていたとのことで、文章の巧みさは何も不思議ではないのかもしれないが、あまりにその絵を、端的に美しく表現されていて、その文才に驚く。四季それぞれの全4冊らしく、他も気になる。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
木を植え続け、荒れ果てた地を蘇らせたブフィエ氏。彼は本当に偉大で、素晴らしい。しかしこの本は、素晴らしいだけではない人間、醜く、残酷な人間の姿が対比としてあるからこそ、ブフィエ氏の尊さが際立っているように感じる。皆が木を植える善き人間になろう、という呼びかけではなく、絶望の中にも希望があった、絶望の影が濃いほどに、希望の光はより強く輝いていた、という、著者の心象風景をそのまま投影した物語のように。また、その希望が形になるには、時として長い歳月が必要、ということも伝えてくれているように思う。幸福は美しい。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
お気に入りの方の感想を見て、がろあむしって何なんだ、見たことも聞いたこともない、と気になり読んでみた。岩、土、落ち葉ばかりの、地味な「ガレ場」での地味な虫の一生が、美しく精密なタッチの絵で描かれた観察絵本。その一生は生命の営み、循環を感じさせる壮大なドラマであるものの、どこかで聞いたような、コモンな虫の、よくある一生にも思える。まあユニークなエピソードのある虫ならもっと有名だっただろう。しかし多分だからこそ素晴らしいのだ。一寸の虫にも五分の魂、の言葉はがろあむしのような虫にこそ…え、2cm? 惜しい。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
図書館の新刊コーナーで見かけて思わず借りてしまった。いや、こんな吸引力のある本、無視できるわけがない。中身はミジンコをしっかりとらえた綺麗な写真で構成された科学絵本。子供向けながら、ミジンコを体系的に理解できるような調査と解説は見るだけでワクワクしてくる。全ミジンコ好きにオススメ! あと、この本を見て思い出したのは、子供の頃、親が(多分親戚のお古の)顕微鏡をくれたのだが、何を見てよいのやらアイデアが浮かばず、ほぼ使わずじまいだった。顕微鏡とセットで、ミクロ世界への案内は必須!
アナーキー靴下
2021/03/20 16:35

中村さん、ありがとうございます! このタイトル、表紙、すごいですよね! 中身も全然表紙負けしない、良い本でした! ミジンコについてひととおり見せてくれているのに、「えっ、つまりどういうこと?」みたいな、もっと知りたくなる謎要素も結構あり、ミジンコスタート本として素晴らしい絵本だと思いました。ちなみに、この本は「ミジンコってなに?」から始まりますよ😉🎶。

中村です
2021/03/20 17:09

( ゚ε゚;)ムムム、なんと、そんな感じなんですね。私みたいな人に向けて作った絵本ではないですか😆💦!是非とも探して読まないといけませんね。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
子供の頃に児童館で半分くらい読んだまま忘れていた本。読メで再会しこれは読まねばと。読み終わって…当時最後まで読まなかったことを後悔するほど良い物語だった。最後の方は涙が止まらない。子供の頃に読んでもそこまで感動しなかったかもしれないけれど、大人になるってどういうことか、わからないながらも心の奥に残りそうな、素晴らしい作品だった。先が読めてしまう感はあるものの、物語全体が過渡期のメタファーかつ謎かけであり、予想できることがむしろクオリティの高さ、感動は損なわれない。竜の正体はネオテニー的なイメージだろうか。
アナーキー靴下
2021/03/19 07:48

もしかしたら子供のときに最後まで読んだことをすっかり忘れていて、「先が読めてしまう感」になっているだけかもしれない(笑)。でも謎かけをされる前は何もない空白なところに、謎が生まれることで想像の枠組みができていくものだから、先が読めることは何ら不思議ではなく、むしろ作者の手の内であろうと思う。何より、そういう話のほうがぐいぐい引き付けられるし。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
お気に入りの方の傑作との評価にたまらず読むも、これはまさしく大傑作。タイトルがまず良いし話も完成されすぎ。論理に隙のない構造的様式美。SF系の「世にも奇妙な物語」が好きな人には特にお薦め。ページ数は多いが話に引き込まれぐんぐん読めてしまう。難点は、固定電話や公衆電話がそれなりに重要さを持っているので、当時の感覚を知らない若者世代が読むと印象が変わるかもしれない点。推理トリック的な問題ではなく、コミュニケーションのリアルさの概念の相違。様々な技術が発展した現代、リアルとフェイクの境目は昔より曖昧な気がする。
みも
2021/03/18 09:53

アナーキー靴下さん、こんにちは。僕の単行本レビューも見つけて下さり、ありがとうございます。それにしても、アナーキーさんのレビュー素晴らしいです。IT関連のお仕事をされている方は、どんな感想を持たれるのだろうと、かねてより思っておりました。そういう方から見ても、着想や構成に破綻を感じる事無く読める作品なのでしょうか。「論理に隙のない構造的様式美」とは、見事な表現。本作に限らず、それこそ岡嶋二人さんの真骨頂だと、個人的に思っております。素晴らしいレビューを読ませて頂き、ありがとうございます。

アナーキー靴下
2021/03/18 12:13

みも様、ありがとうございます。そんなにお褒めいただき恐縮です。名ばかりITなので全然専門家ではなく、数学も苦手です(笑)。この本は、全体的にきれいにまとまったストーリー、ありがちな結末、のようでありながら、主人公の性格と行動が、この筋書きしかありえない、というところにまで完成させているようで、隙がない、と思いました。着想も、30年も前にこれほど素晴らしい作品が、と驚きです。岡嶋二人さんの他の作品も読んでみたくなりました!(ありがちな結末、なんて書きましたが、類型を作ったのが著者という可能性もありますね)

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
自国観とは故郷の投影に近いものだと思う。私の故郷は埼玉なので日本イコール埼玉。暮らす分には不満はないが、これといって誇れるものはなく、テレビで知る程度ではまわりの地域がどこも素敵に見えた。この本には、福島の人たちの言葉、震災、今、そして未来への想いが詰まっている。悲惨な体験や大切なものを失った悲しみを想像すること以上に、それを越えて今を生きる人を想像することは難しい。同じ日本に暮らしながらきっと違う日本。国は自国観の集合だ。福島の人が語り続けてくれることで福島を知り、日本のイメージは日本の形を維持できる。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
わからなさに包まれた感想に無性に惹かれてしまう、その答えがあるかと読むも、具体的には何もわからなかった。とはいえ無意識から来る第1感というのは興味深い。本書や自身の体験から考えると、無意識は五感による外部感知と、内部(肉体)からの信号の集合体で、そこから取捨選択され、言語化されたものが意識なのだろう(と思っている)。取捨選択で弾かれたからこその無意識の第1感で、取捨選択を操れるなら、意識的に正しい選択ができるはず。視界を遮断し演奏者の音だけで評価する、という話は、まさにその可能性を示している。
ガラスの文鎮(文鎮城)
2021/03/16 20:25

なるほどなるほど、何となくそういう経験があります。ポチッですな。

アナーキー靴下
2021/03/16 21:13

文鎮様も山崎パンセンサーが付いておられるんですか!(いや冗談ですが…でももしそうなら本気で嬉しかったり…😂💓) 文鎮様の感想楽しみにしております!

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
アングラ本のようなタイトルと表紙だが、内容は「脳深部刺激療法」という実験的治療で精神疾患にアプローチした、ロバート・ヒースという忘れ去られた科学者の足跡を追った本。脳科学寄りではなく、埋もれた科学者の再評価と、この分野の倫理的難しさを問うもの。著者はヒース批判者に対して、倫理規程が厳格化された現在のフィルターを通して見ているのでは、と言うが、どちらかといえば著者の方が、現代の脳科学に照らし合わせてヒースの研究を見ているように思う。倫理的には手段以上にどこまでが治療すべき疾患か、の線引きが重要と感じた。
nomak
2021/03/15 16:46

倫理観のない独裁政権のもとに、このような科学者やバイオハッカーたちが集められて新人類をつくりだそうとしているのではないかと、わりと勘ぐってます笑

アナーキー靴下
2021/03/15 17:35

バイオハッカーってカッコいいですね! こっそりではなく正々堂々ハッキングしてくれるなら遭遇したいです!

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
ネタバレカズオ・イシグロは「わたしを離さないで」以来2冊目。語りかけるような一人称表現は、解説の通り、映像的でシーケンシャルな印象。読む間はじっくり考える余地がなく、読み終わってから、印象的なシーンが何度も心に浮かび、様々な想いが去来する。ストーリーは人工親友ロボットのクララの物語。内容的に「トイ・ストーリー」を思ってしまう。「物」にも心があって、自分のことをそこまで想っていると知っていたら、酷い扱いはできないよね。「物」を買うということが、別れの悲しみごと買うのだとわかっていたら、買わなかったかもしれないよね。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
ネタバレエンタメ的面白さ抜群なうえ、人間のあり方、生きることそのものを考えずにはいられない素晴らしい作品だった。昔読んだ「罪と罰」は正直よくわからなかったけれど、いろいろな本を通して少しずつ見える気がして、これもその一つになった。渇望の強さが人間を順位付けして見せる、ときに価値観の反転を伴って。ラストは…コインをスリ入れられた、つまり仕組まれたとしか思えない。奴隷少年が何を思って絶命したか知りたい、だから生粋のスリを選び実験したと。残酷だけど悲しくはない。そう感じさせるということは、木崎は私にとって上位者、神だ。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
難しいというか、想像の余地が広くてよくわからない話だった。そこがガブリエル・バンサンの魅力なのかな、とは思う。「みかけだおし」と「しがない音楽家」は相反する姿勢で、主人公はどちらにも振り切れずに苦悩していた、ということで良いのかな? どっちつかずではお父さんの心配も尤もだし、この先の指針が決まったならたまには会ってあげたっていいじゃない、なんて思ってしまうけれど、現実ではそんなの無神経なだけの要らぬお節介だから何も言わないでおこう。なるほど、言葉にしないほうがいいこともあるってことか。この絵本のように。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
お気に入りの方の感想で気になり読んでみてなるほどと。これは世代差があるとまったくピントがずれているように感じてしまう本かも(著者は1939年生まれとのこと)。史実を淡々と綴る内容ではない、そこを理解したうえで読めば、自分にはない視点で平成が見え有益か。個人的には、昭和に目を向けすぎ、経済など歩みの言及が少なすぎ、と思う。インターネットについても理解が表層的すぎる。自由経済とグローバル化、情報のユビキタス化が平成の要だと私は思っている。経済は戦争に代わる覇権争い、その経済に翻弄された世代の肌感覚として。
アナーキー靴下
2021/03/13 08:05

ユビキタスなんてもうすっかり聞かなくなったのも、社会はそれだけ変容したということだろう。私の義務教育時代は君が代問題のせいもあり天皇の話題はタブー感が強かったが、そんな昔と比べればオープンな空気になったと感じる(今の子供たちがどんな教師に囲まれ、どんな感覚でいるかはわからないけれども)。平成天皇としての上皇陛下の歩みゆえ、なのはもちろんだし、「国旗国歌法」も一つの区切りになったかもしれないが、何より誰もが発信できる土壌が空気を変えたと思う。玉石混淆の意見がネットに曝され、タブーが消えてゆく。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
やはり大江健三郎は難しく、重い。難しいと感じるのは、鳥という一人の人間そのものであり、本人にしか理解し得ないものと思うからだろう。主人公と接触する人間、その接地面までが自己の一部として拡張されているようで、度の合わない眼鏡で周囲を見続けている感覚である。接地面として最も比重が高い存在が赤んぼうであり、重力を持った現実そのものに縛り付けられる重苦しさ。度々酸っぱさや吐き気が表現されるが、押し寄せてくる現実に対しての反応か。欺瞞から、欺瞞へと、逃れようとした時点で、引き受けることを予期していたようでもある。
アナーキー靴下
2021/03/12 11:45

中村さん、ありがとうございます! 中村さんと出会っていなかったらこの本を読むこともなかったかもしれません。本当にありがとうございます😂💓。欺瞞から予期、は、ラストが唐突だからというより、逃げる自分に向き合いすぎていると感じて、逃げたくて逃げたというより、心の中の逃げ道を潰すために逃げなければならなかった、みたいな風に受け取りました。とにかく気迫におされました😱💨。

中村です
2021/03/12 12:16

ウキャー(///∇///)こんなに感謝されることないので照れますねー💦💦。最後のところは、そうか、そういう風に捉えたんですね😳!おおー、すごいッス👏✨ますます読みが深くなりました!

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
15歳の「僕」と人妻マルトの恋愛物語…というより、「僕」の物語、だろうか。序盤こそ勘違い男の思い込み、に見えたけれど、どうやらそうではなく、認識通りに話は進む。こんなにも自身の矛盾する心理と場の心理を、自覚的に明晰に説明できるというのは、どう考えてもコントロールされる人間を嗅ぎ分ける嗅覚を持つタイプにしか見えない。それは実際には誰もがしているけれど、無自覚だからこそ耐えられる心理。自覚してなお、人を愛せるのか、はたまた自覚は遡及してのものなのか。いずれにせよ、人間そのものを見せつけられる恐ろしさ。凄い。
アナーキー靴下
2021/03/11 07:35

お気に入りの方の感想に惹かれて読んだ本だけれど、あらためてその方の感想を読み返してみると同じく「すごい」で終わっていた。いやもう本当にすごいとしか言いようがない。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
第1章のコムギはまさに植物が世界史を動かした、といって過言はないうえ、イネ科植物について初めて知る知識もあり、とてもワクワクしたが、全14章読み進めるうち徐々にトーンダウン。多分世界史への影響度が植物より人間だな、と思えてきてしまったからだと思う。知らない話は面白いけれど。内容はコムギ、イネ、コショウ、トウガラシ、ジャガイモ、トマト、ワタ、チャ、サトウキビ、ダイズ、タマネギ、チューリップ、トウモロコシ、サクラ。著者は「生き物の死にざま」の人で、単純に相性がよくない気がする。志向の強さがどうも苦手だ。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
良書。前半は飼育難易度が窺える記号が付記されたカラーの爬虫両生類図鑑。後半は「飼育総論」で文章中心。何を飼育するにしても理解しておくべき必須情報と、ヘビ、トカゲ等ざっくりした種別ごとの基本的な飼育方法。爬虫両生類は難しい、をわかっていたつもりでわかっていなかった。「飼育」は、犬や猫のように、人間と共に暮らすことを受け入れた動物をペットにすることとはまったく違い、野生動物が生きている自然環境を再現すること。「爬虫両生類は、生かしておくことはそう難しくもない。乱暴に言えば、ゆっくりと死に向かわせるのは易しい」
アナーキー靴下
2021/03/09 12:04

さやなか様、コメントありがとうございます! この本はとても良い本ですが、30年前に出版されたもののようですので、入手しづらいかもしれません。また、古いだけあって挿し絵のセンス等も古くさいため、お気に召さない可能性も…? それから、30年も前の情報だと、ペットショップで手に入れられる餌や資材もかなり変わっているかも、と思います。爬虫類飼育している方であれば心構えの書として手もとに置いておきたくなりそうな、非常に意義ある本ですが、可能であれば、まずは図書館などで一読されることをおすすめします。

さやなか
2021/03/09 12:58

ギョ( ̄0 ̄;30年前!それは考えてしまいますね。ヘビかトカゲ飼うのが密かな夢なんですよ。親が嫌がりそうなんで黙ってますけどね。的確なアドバイスありがとうございます!図書館が近くにあれば良いのですが、(車で20分かかる)でも暇な時に足を運んでみよう思います。本当ありがとう(*´-`)

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
これは生物についての、わかる面白さを得られる本というより、面白さがわかる本。誰でもお手軽に知識を得られる、というものではないが、引き込み上手、たとえ上手な著者の話に、つい続きが知りたい、となってしまう。著者の優れたトポロジー感覚(ものごとを立体的に考えるセンス、とのこと)が、時系列的にも理論の構築的にもしっかりとした軸を持ち、飛躍せず、かつドラマチックなストーリーに帰結させるのだろう。生命と、「時間」。問いという空から始まり、取り返しの付かない体験という実感で終わるのも、タイトルを鑑みると美しい。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
世界というものを感じた小説はこの作品が初めてだ。戦争の中にも氷河時代の中にもいない「僕」。死にかけの町や取り残された建物やジェイズ・バーにいるかもしれない「僕」。すべての時代、すべての場所、そういうものがしっかり存在していて、今この「僕」にフォーカスされて、「僕」という窓から世界を覗き返しているようだ。鼠は本当に死んだのか、私にはわからない。ただ「僕」はかつて友だちだった鼠を置いていかなくてはいけなかったし、この先「僕」の窓から覗いても羊男が見えるくらいで、鼠を見ることはないのだろう。たまらなく泣いた。
アナーキー靴下
2021/03/07 07:59

「僕」もしくは村上春樹は、知識や情報として知る事柄と自分との距離を掴んでいて、世界の中の座標として認識しているように感じた。その座標は、ゆっくりと、時間に合わせて変わってゆくことを意識しているようにも。昔会社で、何万年前とか何億年前とか、数字だけでは想像しにくいからお金で考えるといい(何万円、何億万円)と聞いたことがあるけれど、そういう想像しやすい単位に置き換えたりしながら、時間的、地理的な自分の立ち位置を立体的に認識し続けられたら、とてもカッコいい気がする。

キク
2021/03/07 08:14

とても素晴らしいレビューだと、本心で思いました。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
三部作はどの作品も人間のわかりあえなさを感じるのに、何故心地よくもあるのだろう。その中心にいる「僕」はいったい何なのだろう。ずっと不思議だったけれど、「僕」は何者でもない存在を目指しているのかもしれない。自覚的な平凡さ。きっと誰だって平凡な時期があって、その頃の自分に重なるからこそ、悲しく、切なく、愛おしく、懐かしい感覚を覚えるのだろう。その感覚をまるごと含む「パセティック」という言葉の繰り返しに、村上春樹の一語一語、一文一文の的確さを感じる。飾り付けた気障さではなく、無駄を削ぎ落としたがゆえの気障さ。
アナーキー靴下
2021/03/06 11:20

キク様、ありがとうございます。なるほど、「僕が僕として現実世界で成立する為に頑張っている」…。以前(京極夏彦氏の「地獄の楽しみ方」で)、現実と仮想現実の共存、読む行為は両者を行き来する道整備、といったコメントをいただきましたが、そこに通ずるような概念でしょうか(全然違っていたらすみません)。今下巻を読んでいるところですが、「羊をめぐる冒険」は前二作品以上に、人それぞれ、いろいろな捉え方がありそうな作品に思え、とてもワクワクしています。自分にとっての村上春樹、は、みんな違ってみんないい、ってやつなのかなと。

キク
2021/03/06 11:59

うん、通じてます。僕が個人的に「いかに自分を成立させるか」ということと向き合ってきたからだと思います。彼氏との最初の朝食のレシピに悩む女性が「そうだ!春樹さんの本で、コーヒーとトーストで充分素敵だったじゃない!」と思ったら、彼女にとってのとても正しい春樹さんの読み方になる。主観というレンズを通してしか世界と向き合えない僕達は、それぞれの問題を抱えている。どっちが正解かではなく、それぞれが等価で正解であるべきですよね。多様性の否定って、人間の存在の否定と同義なんじゃないかと、最近の世間を見てて不安になります

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
お気に入りの方のお薦めで。ゼロ年代のPCネットゲームにはまり高校中退、大学で文学を学ぶも母の死により鬱発症…という著者の自伝的小説、とのこと。前半はゲームについてや諸々、説明上手と思うものの、感情が欠落した文章なので、興味ない人から一方的に話をされている感じできつい。そう至る経緯が明かされてからは引き込まれる。そして饒舌さ自体がある種の感情の発露なのだろうと思え、見届けたくなる。起きた事実は変わらない、でもそれに伴う感情は観測点で変わる。不条理も観測点次第、条理と不条理は何層もの入れ子。上階層への収束。
キク
2021/03/05 12:25

RPGの攻略本を読むのは、異国のガイドブックを読んでいるようで、下手したらゲームより楽しいと思うことがあります。

アナーキー靴下
2021/03/05 17:21

攻略本だけで満足してしまってクリアしてないゲームもしょっちゅうです。「ぼくのかんがえた最強パーティー」みたいのを考えぬいて、作って試し切りしてモチベーションが尽きてしまう、とか。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
詩人田村隆一が愛し、1970年から終生過ごした鎌倉。田村が残した作品の中から、鎌倉を感じさせる詩やエッセイをまとめた、という一冊である。鎌倉という土地、自然、季節の移り変わり、住まう人々の躍動…。そうしたものに目を向けているからか、詩とエッセイの境界線も曖昧に感じる。タイトル通り、田村隆一の鎌倉散歩をそばで見ているような、言葉たちは、詩人のつぶやきであるような、そんな味わいである。いくつかの詩は他書で読んだ気がするが、この本のまとめ方は素敵だと思う。このあとがきでもエリオットと荒地について書いてあった…。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
ネタバレ裏表紙のあらすじに【胸糞注意】と表示してほしい、というのが率直な感想。この話を歴史修正主義への皮肉と受け止めるなら間違いなく傑作だと思う。生き残った者は誰を悪人に仕立てあげてもいいし、好き勝手に甘ったるいフィクションを作り上げて罪悪感に酔いしれたっていい。なされなかった断罪をでっち上げて歪んだカタルシスを得たっていい。でもストーリーとしては、許される機会を失ったブライオニーの物語への逃避、ならまだしも、本当はロビーもセシーリアもどうでも良く、ローラへの敵意から「真犯人」を設定しただけにも見えてくる。胸糞。
が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
最高にセンスの良いスクラップブック型アルバムのようである。あの頃の空気を感じさせるもの、意識無意識問わず大切と感じていたもの、すべてが飾られている。究極的には本人のためだけの。他人にとっては、そこに写る人物はモデルでしかない。あるときはモデルに自分を重ね、あるときはまるで風景のように扱う。「これはピンボールについての小説である」生きることはそれ自体が依存症のようであり、どこまでも無為で、たいした価値のない何かと引き換えに大切な何かを失ってゆく。この小説はそうしたことを言葉に置き換えた、美意識そのものだ。
キク
2021/03/25 23:56

僕と村上春樹の出会いは「普段はそれほど本を読まないミーハーな母がベストセラーだからと「ノルウェイの森」買っってきて「よくわかんない」と放り出したのを、中学生の僕が拾って読んだ」です。母がミーハーじゃなかったら、文学的硬派ぶっていた僕と春樹さんの出会いは、もっと遅いものになっていたと思います。(生意気に、ベストセラーをバカにしてました)うちの子供達は、家じゅうに転がってる春樹さんの本、見事にスルーしています。でも、自分達と同世代の表現者と幸せな出会いをしてくれればいいなと、特に僕からも特に勧めていません。

アナーキー靴下
2021/03/26 07:56

キク様のレビュー、痺れました。私の夫は本を読まず、あまり心うちを語ってくれないので、男性の言葉を聞く(見る)のは興味深く、カッコいいな、と思うことばかりてす。私も中学時代に「ノルウェイの森」、図書室で出会い…かけたのですが、当時の私にはまだ早かったようで、読みかけてやめてしまいました。で、去年最後まで読みましたが、去年もまだわかっていなかったな、と思います。しかしわかることはないのだろうという気持ちもあり、村上主義者の感想を見るのがとても好きです。楽しみにしてます! お子様がデビューしたら教えて下さい。

が「ナイス!」と言っています。
アナーキー靴下
短篇13作品収録。アンナ・カヴァンは2冊目だから想像できていたものの、何も知らずに読んでいたら、爽やかなタイトルから抱くイメージとの差に困惑していただろう一冊。肉体の重さを背負いきれず、覚めることのない悪夢に閉じ込められていたい、恒常性にも似たその思念の強さに引きずられそうになる。「氷の嵐」「クリスマスの願いごと」「睡眠術師訪問記」に特に惹かれてしまう。これが芸術かどうかは別として、言葉で芸術作品を作るにはこの方法しかないのではと思う。受け手に解釈は委ねられていない、直接的に何かを想起させる伝達方法。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/07/18(275日経過)
記録初日
2016/08/14(1709日経過)
読んだ本
408冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
105466ページ(1日平均61ページ)
感想・レビュー
408件(投稿率100.0%)
本棚
30棚
年齢
44歳
血液型
O型
職業
IT関係
現住所
東京都
自己紹介

名前はアナーキーですが、アナーキーなところなんか何もない穴開き靴下です。でも穴が開いている日なんてそうそうないので、たいていはただの靴下です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■好きな作家

ポール・ギャリコ
ミヒャエル・エンデ
ブッツァーティ
カレル・チャペック
アンナ・カヴァン
田村隆一(詩人)
左近司祥子先生(哲学者)
いとうせいこう
山川方夫
中村文則
万城目学





読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう