大学病院でも有名な名医であるのに、町医者で終末期の患者と丁寧に向き合うマチ先生。先生の抱えるバックボーンを知るにつれ、先生の穏やかな優しさだけではない一面を見ることができ、強く心打たれました。文体に対して内容が重く感じることもあるけれど、それを重いものとせず人間への敬意として受け止めることのできる作品です。

演劇に疎いからなのか、スピード感を感じることもできなかったし、正直なところ全然入り込めなかった。演劇学校で起きた、エース演出家の謎の死。それを解明しようとする新入生。魔女役の3人との対峙のあたりは多少面白かったけれど・・。この本を理解するためにマクベスを読むことはないから、本作はご縁がなかったということで。

この作者さんご自身がモデルなのでしょうね。還暦直前に作家デビューした主人公と、超売れっ子漫画家の2人の娘、ほぼ他人状態の夫。家族のドタバタ劇が面白おかしく、時に温かく描かれていて、こんな風に歳を重ねたら楽しいだろうな、と。この赤いパンツのポップな表装もいい味出してる。とても明るい気持ちになれました。

フィクションとはいえ、もしかしたらこれが真実かもしれないと思わせる強烈な作品。単純な単独犯ではなく、やはり裏に様々な利権があったのではないかと思ってしまうも、もはや一国民のわたしには知る術もない。一気読みでした。そして、もうこのような事件は起きてほしくないと切に願うばかりです。

北朝鮮の家族事情・社会事情を垣間見ることができる、とても貴重な作品。離婚するにも国の承認が必要だけれども、そこへ至るまでの心の動きは、どこの国でも変わらないんだなと、当たり前のことを改めて感じました。2人の離婚問題を担当する判事自身も他人事にあらず。面白かった、というよりは、よかったに近い読後感です。紹介してくれた読友さんに感謝。

顔と名前と声は知っているレベルの竹中さん。へぇ、映画監督もされているんですね。大御所とのフランクな関係や、映画のキャスティングの声かけが軽い感じとか、竹中さんの人柄にもよるんでしょうけれど、他の俳優さん同士も案外昔はこんな感じのラフな関係性だったのではないかと推測します。少し読みにくいところもありましたが、なかなか面白かったです。

ハマってしまうととことんのめり込む。自身の頭の良さを自覚しそれをサラッと書いてしまう。超高級な買い物の値段も特に隠さない。読んでいて小気味良いし清々しい。恐らくそれらも彼女の特性のせいなのかもしれないけれど、そこを十分理解し寄り添ってくれる旦那様の存在がありがたいね。小説家は彼女の天職なのでしょう。これからも素晴らしい作品を期待しています！

BluもRossoも何度も読んだけれど、やっぱりBluが好き。Rossoのあおいにはモヤっとしてしまうけれど、Bluで順正の目を通して描かれるあおいはとても魅力的。そしてここまで1人の女性を想い続けている男性がいることにロマンを感じてしまうからでしょう。文章もとてもきれいで繊細で、いくつになっても自分の過ぎ去りし時に重ね合わせてうっとりと浸りたくなる作品です。

政治、特に国会ともなると、女性の活躍はまだまだ特異なものとして見られ、揚げ足を取られ、揶揄され、お飾りパンダかと思われることも。それでも、心から日本をよくしたいと思い行動に起こす女性もいるんだよね。利権や地位にしがみつきたいだけの男性も多々いるのにね。登場する女性たちは、立場こそ違うものの、みな真面目に必死に働いていて、応援したくなる。ちょうど衆院選の火ぶたが切られ、今回も目が離せない選挙戦になりそうですが、女性議員にも注目していきたいです。

大学病院でも有名な名医であるのに、町医者で終末期の患者と丁寧に向き合うマチ先生。先生の抱えるバックボーンを知るにつれ、先生の穏やかな優しさだけではない一面を見ることができ、強く心打たれました。文体に対して内容が重く感じることもあるけれど、それを重いものとせず人間への敬意として受け止めることのできる作品です。

いざ箱根駅伝本番。選手やマネージャーはもちろん、番組関係者の気持ちに触れるたびに心打たれました。辛島さんのアナウンスもよかった。監督の優しさと強さにも感動した。どのページを開いても熱いものがあり、本当に楽しめました。毎年箱根駅伝は2日とも見ていますが、来年は実況やらカメラワークなどにも注目しそうです。『風が強く〜』も好きだし、この作品も好きです。

箱根駅伝の優勝チームにも最下位チームにも、予選会敗退チームにも、どのチームを切り取ってもドラマはあると思う。その中で、学生連合にスポットを当てるというのが期待大じゃないですか。異なる大学から、想いも背負うものも違うメンバーが集まる学生連合。でも走ることが好きなことはみんな同じ。ラストがすごくよかった。よかったよ。一気読みでした。